忍びが転生したら〝異世界珍道中〟になった件 作:にゃんころ缶
リムルはミョルマイルの館の応接室で寛いでいた。
そのミョルマイルは召使達に指示を出し、お茶の用意をさせている最中である。
やがて運ばれて来たお茶を飲みながら、リムルは話を始めていった。
「いや~ほんと、仕事の邪魔しちゃったみたいで、何だか悪いね」
と、切り出したリムルに、ミョルマイルは苦笑いで答える。
「いやいや、リムルの旦那。あんなクソ野郎とは手を切りたいと思っていたのですよ。貴族の身分をひけらかし、毎度毎度厄介な案件を持ち込まれておりましてな……」
そのままミョルマイルは顔をしかめて、苦々しくリムルに答える。
(なるほどねぇ。あの気色の悪い貴族のオッサン、相当な厄介者だったんだな。まああれだ、
リムルはミョルマイルの返した言葉に、そんな事を思った。
一度ティーカップに入ったお茶を一口飲み、カチャリとテーブルに置くと話を続けていった。
「だけどさ、貴族に目を付けられたりしたら大変なんじゃないの?」
「それはそうなのですが、あの男、カザックはすこぶる厄介者でしてな。今回の案件は、奴隷を扱った娼館をやりたいと申していたのです。しかもその奴隷、エルフだそうで……」
「エルフ!?」
エルフと聞き、驚いて問い返すリムル。
(エルフと言えば、ドワーフ王国の夜のお店にいたねぇ。エレンとかもエルフの血を引いていると聞いたし……。エルフは魔物ではなく、亜人だ。人身売買は法律で禁じられているハズだから、完全に犯罪行為じゃないの?)
リムルは、エルフであり、人間に化けて冒険者をやっているエレンを思い浮かべる。
エレンの場合は、身分の事もあり、無用のトラブルを避ける為に長耳を隠しているとも聞いていた。
「これって――」
「はい、犯罪ですよ。あの男は、このワシに犯罪に手を染めよと言って来たのですよ。まあワシも、少しは悪事に手を出しているのですが、それでもエルフを奴隷扱いをするような命知らずな真似は出来ませんな」
「やはり犯罪かぁ。それって、バレたらあれだよな?」
「下手をすると、
リムルはミョルマイルの話を聞きながら、モモコが言っていた事を思い出す。
(ふーん、子爵ねえ。位で言えば最高位の公爵から、侯爵、伯爵、子爵、男爵の下から二番目の位か。モモコが小者と言っていたから本当に大した事はないんだろうけども、フューズの知り合いであるベルヤード男爵よりも上の貴族になるのなら……。ミョルマイルが厄介者と言うのも納得がいくな。うーん、ヤツの調査資料を見てから、コハクに相談でもしてみるかな)
一応の対処を考慮に入れつつ、リムルはミョルマイルに確認を取る。
「本当に、大丈夫なのか?」
「なーに、これでもワシ暗黒街のドンと呼ばれた男。リムルの旦那に心配してもらわんでも、ワシ一人で何とかして見せますとも!」
リムルが心配して尋ねると、ミョルマイルは笑いながら返した。
(いやいや、何が暗黒街のドンだよ。そんな街、このブルムンド王国のどこにもないってーの。恐らく貧民街の事を言ってるんだろうけど。ヨウムの育った貧民街と比べれば、まだここはましな方だ。何と言ってもここブルムンド王国は、比較的治安の良い国だ。裏社会みたいなものはあるが、有力なところはルヴナンの息が密かにかかっていると聞いたしな。そこがどんな組織なのかは、教えてはくれなかったけどな。コハクに一度聞いたら、にこやかに手を出して来るんだものなぁ。ほんと現金なヤツだよ、ククッ。ん?――)
そう話していると、フッとリムルにだけわかる
『リムル様。あの者は屋敷に帰りました。とりあえず、誰とも接触はありませんでしたので、引き続き〝
『うん、御苦労』
(あのオッサンの行き先だけ確認して来たみたいだな。まあそれはそうと、忠告だけはしておこう)
とりあえずミョルマイルの身を案じて、リムルはミョルマイルに告げる。
「おいおい、ホント気を付けてくれよ。君には重要な仕事を任せたいと思っているんだからね」
「わっはっはっはっ! 大丈夫ですとも。このミョルマイル、しぶとさと幸運さには自信があります。何しろ、幸運さにかけては、リムルの旦那ともこうして親しくさせてもらっておるのですからな!」
リムルの心配を吹き飛ばすように、ミョルマイルは笑う。
(そっか……
リムルは、笑うミョルマイルを見ながら、そんな事を考えていた。
「それでリムルの旦那、今日はどのような用件で?」
ミョルマイルからそう問われてリムルは、今日来た目的を思い出す。
………………
…………
……
ジュラの大森林の魔物達に、人類国家の首脳達を呼んで開催する予定の大規模な祭り――
それは、〝テンペスト開国祭〟。
その正式な開催日が決まったのである。
本格的な冬が到来する前にと最初は計画していたが、冬支度に向けて準備をしなければならない国や、大きな村や里などの都合も考慮して、冬が明けた春に開催する事が決まったのだ。
既に招待状を出した国などには、改めて開催日程を書き記したものを急ぎ送っていた。
これで開催日程に余裕が出来たリムルは、かねてより計画していたが断念したものを取り行おうと、ここミョルマイルの所に、相談とある事を告げに来たのであった。
リグルド達は今も、各国首脳に招待状を出す為に奮闘している。
そして、張り切っているのはリグルド達だけではなかった。
リムルの配下達の魔物も、国を挙げての祭りという事で浮かれていて、幹部達もそれぞれ何かしらの企画を考えて発表しようとしているらしい。
例えばシュナ。
新作の様々な料理を、客人達を持て成すべく用意に
更にそれだけではなく、色とりどりのケーキを作って、テンペストにスイーツ専門の喫茶店を開くのだと張り切っていたのだ。
それでイングラシア王国で世話になった、喫茶店のマスターの
いままで何度もテンペストに店を出してくれと勧誘しても、首を縦に振ってくれなかった吉田氏。
そこでリムルは、海千山千を
『あそこの店のマスターどすかぁ……。うーん、美人系、いや違うどすなぁ……可愛い系、ケモミミ……これもなんか違うどすな……!? 鬼っ
と、コハクがリムルに助言をしたのである。
リムルにしては半信半疑であったが、それは――ビンゴであった。
コハクに言われた通りにシュナを吉田氏の所に連れて行ったところ――
シュナを一目見るなり、ソワソワし始めたのだ。
「お、俺はここに店を構えるまでに、色々な人にお世話になった。協力は惜しまないが、ここを離れる訳にはよう……」
「そこを何とかお願いします」
丁寧に頭を下げてお願いをするシュナ。
両手を重ねて、綺麗に腰を折り、見ている者が惚れ惚れするような上品な仕草で。
元よりオーガの里で巫女姫という立場であったシュナ。
礼儀作法は教え込まれてはいたが、コハクとツキハがテンペストに住み着いて以来、純日本式の礼儀作法をコハクから教えてもらっていたのだ。
宴会の時のゴブリナが着ていた小袖の給仕服、その着物を着た動作もコハクがゴブリナ達に教えていたのだ。
元は戦国時代の忍び、敵国へ潜入したり、武将の身辺警護もやる事もあったので、こういう礼儀作法は小さい時から叩き込まれていた、コハクとツキハである。
因みにツキハは、礼儀作法を教えてくれないかと頼まれた翌日には、数日間行方を
こうしてシュナの礼儀作法は、更に洗練されたものへと昇華されていたのだ。
これでいけると思ったリムルであったが、動揺が激しい割に吉田氏は――
「くっ、俺には色仕掛けは通じねーぞ。前にもこんな事があったが……。そんなに言うなら、俺を納得させるだけの料理の腕を見せてみやがれ! もしも、俺様を満足させる料理が作れたなら、考えてやらんでもない」
と、吉田氏が提案してきたのである。
(ん? 前に、も? ……。あぁ、そうだったのか。なるほどねえ、コハクのヤツめ。ククッ)
吉田氏の前にもという言葉に、リムルは何となく察したのであった。
だがしかし、シュナの料理の腕は一級品であると、誰もが認めるものであり、問題はなかったのだ。
そして――
「シュナさん。思う存分に、やっておしまいなさい! その生意気な店主を
「はい、リムル様。了解致しました!」
「おいおい、旦那。どこの誰が生意気な店主だよ……」
吉田氏がリムルに文句を言うが、リムルはそれを聞き流す。
リムルの
そこから背中へと回した帯紐を今度は右前に垂らし、そこからまた右袖を巻き込みながら背中へと回していき、掴んだ帯紐の片側を左前に持って来て、口に咥えたもう片方の帯紐と、背中から回してきた帯紐を左脇前で結んで、たすき掛けの完成である。
そして、吉田氏の許可を受けて厨房へと入るシュナ。
シュナが作る品は、卵焼き。
卵焼きを見れば、その料理人の腕がわかると言われる、シンプルにして究極の一品。
この刻印魔法コンロは、リムルが吉田氏に寄贈したものだった。
先ず、毒抜きした
縦長の卵焼き用のフライパンがあったので、そのままそれを使い、オリーブオイルが入った瓶をコンロから離れたところに置き、フライパンを温める。
この世界にもオリーブと同等の実がなる木があり、この世界に住む者達はそれを食用油に加工して使用していた。特に上質のオリーブオイルは、とある場所からしか入手できなくて、リムルはそのオリーブオイルの仕入れの交渉を近く行う予定でもあった。
そしてリムルは、
菜箸を受け取ったシュナは、白身を数回切るように菜箸を走らせ、泡立てないように掻き混ぜていく。
カッカッカッと早く小気味良《こぎみよ》い音が厨房に響いていった。
リズミカルな掻き混ぜる音に、吉田氏の顔が真剣な表情を見せ始める。
そう、シュナの何気ない卵を掻き混ぜる音で吉田氏は、シュナの料理の腕が只者ではないと気付き始めていたのだ。
そしてシュナは菜箸を置き、フライパンの上に手をやり、十分に温まったのを確認すると、オリーブオイルを垂らし入れて、火を強火に調整する。
ボウルから
ジュウゥーッと音を上げる溶いた卵を全体に広げて、熱で出来た気泡を菜箸の先で潰していく。
表面が薄っすらと固まってきたのを確認したら、卵焼きの奥から三分の一程折ると一呼吸置き、更に手前に半分に折っていく。
折り上げた卵焼きを奥に移動させると、また三分の一程溶いた卵を入れる。
この時、奥に移動した卵焼きを少し持ち上げて、下にも溶いた卵がいき渡るようにする。
そして、同様に折り焼いていき、三回目は残り全部を入れて同じように焼き上げていった。
こうして出来上がった卵焼きを清潔な
シュナは粗熱が取れたのを確認すると、卵焼きを皿の載せ、均等に切り分けていった。
ふわりと出来立ての卵焼きの甘い匂いが厨房内に広がる。
「どうぞ、御試食をお願いします」
そう言い、シュナは卵焼きが載った皿を吉田氏に差し出す。
吉田氏は差し出された皿を黙ったまま見つめ、ゴクリと喉を鳴らす。
そして、フォークで一切れの卵焼きを口に運んだ。
……
…
「美味い!!」
一撃であった。
シュナの料理人としての腕を、完全に認めた瞬間である。
「ありがとうございます」
ニッコリと微笑みを浮かべるシュナ。
そして、それがトドメとなり、吉田氏は完全に落ちたのであった。
「チッ。仕方ねーな! 特別だぜ?」
薄桃色の髪の可愛らしい少女であるシュナを前に、デレデレになってるようにしか見えない吉田氏だった。
(うーん。コハクの言う通りシュナを連れて来て正解だったな。何かさ、デレたというより、シュナを一目見た時に、一目惚れしたようにも感じたんだけど、まあいいか)
デレる吉田氏を何とも言えない顔で見るリムルだった。
こうして吉田氏はイングラシア王国の店を閉じて、
シュナと吉田氏の最強タッグが形成された今は、この二人が携わる店の料理は大反響間違いなしだろう。
そして、開国祭で扱う料理も、強力な目玉となりそうである。
他にも、ガビルなどが、回復薬の歴史と銘打って、ベスタ―と協力して展示会を催す計画を立てていた。
核心の技術は非公開にするようで、この研究に興味を持ち参加したいと申し出る者を集めるのが目的だという。
クロベエにドワーフ三兄弟の長男ガルムも、それぞれが自慢の品を展示するとの事。
そしてカイジン、今では鍛冶仕事はクロベエに任せていて、様々な技術研究に明け暮れる日々を過ごしている。
最近では、獣王国跡地にミリムの居城である、巨大建造物の建築を任されたゲルドを補佐するべく獣王国に出張しているが、開国祭に合わせて帰国する事になっていた。
ゲルドもまた開国祭には帰国する事が決まっており、それまでには工事は一段落つく事だろう。
また、作業員の捕虜達にも、開国祭が行われる期間は休息と御馳走が用意される手筈となっていた。
そして、シオンも何か企んでいた。
「ふっふっふっ、楽しみにしていて下さいね、リムル様!」
と、自信満々に言っていたのを思い出すリムル。
(そう言えば、シオンも何かするような事を言っていたな。楽しみ半分怖さ半分という感じだよ)
少し不安になるリムル、だがしかし、それよりも厄介な事を思い出してしまう。
そう、ヴェルドラがツキハを誘って――面倒な事を言い出していた事を。
(そうだったー。あれだ、周囲に迷惑をかける前に、俺が何とかしないと駄目だよな……)
と、こんな感じで色々とやらなければならない事が増えてしまい――
そこでふと思い当たったのがミョルマイルだったのだ。
お茶を飲みながら、あれやこれやと思い考えていたリムルがミョルマイルに本題を切り出していった。
「いや、何ね。また一つ、お仕事を依頼したいと思ってね。なーに、ミョルマイル君にとっては
「ほほう、また新しい思い付きですかな? 旦那の持ち込む仕事はとても面白いですが、毎度毎度準備が大変なんですよ?」
リムルの言葉にミョルマイルもニヤリと笑い返し、口では大変だと言いながらも、その表情からはそれを微塵も感じられなかった。
現在進行形で、ハンバーガーなどを販売する『ファーストフード店展開計画』が発動中であり、リムルから手渡された計画書に乗っ取り、今も遂行中なのだ。
その試験的店を、開国祭で試験的に出店しようと思い付いたリムルなのだった。
「フフフ、そう言うなよミョルマイル君。でだ、君に任せている計画だがね、それをイングラシア王国やブルムンド王国で展開させる前に、一度我が国で試験的に出店してみて欲しいんだよ」
「ほほう、なるほど。どこで練習させようかと思案しておったのですが、その申し出はありがたいです。ところで、そんな事を仰るという事は、聖騎士団との問題は上手く片付いたという事で、宜しいのですかな?」
リムルがそう言うと、少し心配そうにミョルマイルが聞いてきた。
「ふっふっふっ、片付いたとも、それは綺麗にね。ヒナタとも和解したし、ルゥ――」
「ル?」
「あ、えと、ルール。そう、ルールをね。ちゃんとしたルールを決めようねって事で、彼等とも話し合って和解したんだよ」
「ほほう、そうでしたか! あの西方聖教会がですか……。もっと恐ろしい組織だと思っておりましたわい。案外物分かりがよろしいようで。いやはや、心配し過ぎたようですな。ハハッ」
どこか
リムルもそれに愛想笑いしつつ。
(あぶねえー、思わずルミナスの名を出しかけたわ。そんな事したら俺が睨まれるだけでなく、ミョルマイル君まで粛清されかねないな。迂闊な事は口にしないように気を付けないとな。まああれだ、あの誇り高いルミナスが参加するかどうかは、今のところ不明だし……『何故
ルミナスの名を出しかけて、危ない危ないと思いながらルミナスが参加した時の事を考えてしまい、心の内でどこか憂鬱な気分になるリムルだった。
そんな事を考えているリムルにミョルマイルは、計画に携わる人員の教育が予定通りに進んでいる事をリムルに嬉しそうに話してきた。
既に一定レベルの作業が出来るまでに育っていて、今では誰でも同じように出来ると告げる。
それを聞いたリムルも、祭りでデビューさせても問題ないなと判断した。
出し物は、ハンバーガー、ホットドッグ、ポテトフライ、それに各種ジュースを出そうとリムルが言い。
そして――
「良し! それでいこう。人員に余裕はあるのか?」
「そうですな、現在、二十店舗まで展開出来るように考えておりました。かなり経費もかかるのですが、交代要員も必要ですし、必要経費と割り切って育てております。ですので、五店舗ずつ出しても、余裕はは御座いますよ」
「ほう。流石ミョルマイル君、相変わらず仕事が早いねえ」
ミョルマイルの告げた言葉に満足そうに頷くリムル。
キチンと自分の考えを理解したミョルマイルの仕事にリムルは、ならばと、もう一つの頼み事を口にする。
「それじゃあさ、悪いんだけど一番腕の立つ者を五名、用意してくれないかな?」
「五名? 何をさせるつもりで?」
「実はさ、俺の友達にヴェルドラってヤツがいてね。そして、そのヴェルドラの友達のツキハってのがいるんだけどさ――」
「ヴェ、ヴェルドラ!? そ、それに、ツキハ!?」
「ソイツらがさ、鉄板焼きの店を出すって息巻いてるんだよ。ツキハはさ、ヴェルドラが誘ったんだけどね」
リムルの説明を聞くミョルマイルの顔色が心なしか
「さ、左様でしたか……」
リムルに相槌を打つミョルマイルだが、額に脂汗を浮かべ流れていた。
それを見たリムルは、大丈夫かな? と心配になるも、説明を続けていく。
「でさ、ソイツ等だけに店を任せると不安だろう?」
「お、仰る通りかと」
「だからね、ミョルマイル君。一番腕の立つ五名で、ヴェルドラとツキハを助けてやって欲しいんだよ!」
リムルは満面の笑みでそう告げる。
厄介事を押し付ける気満々で言うリムルに、ミョルマイルは天を仰ぐ。
「手伝わせる者達の安全面は、そ、そのう、大丈夫なのですかな?」
「それは勿論だとも! 何かあったら俺に相談してくれていいからさ。アイツ等が我侭を言うようなら、俺がちゃんと怒るから」
「そこは信用しております。ですが、そのう、ヴェルドラとツキハというのは、かの〝暴風竜〟ヴェルドラ様と〝番外魔王〟ツキハ様の事で間違いなかったりするのでしょうか?」
(うん、間違いなかったりするんだよ。だよなぁ、やっぱりミョルマイルも、ヴェルドラとツキハの事は知っていたか)
少し
「大丈夫かな?」
「ああ……大丈夫と言うか不味いと言いますか、皆ビビッてしまって仕事にならないんじゃないかな、なんて……」
(ああ、やっぱりねぇ。そうだよね、知らない人からすると、ヴェルドラとツキハってやっぱり怖いよね。何せ、二人とも
流石に無謀だったかと思い始めるリムルであった。
「そっかー、やっぱ駄目かぁ」
「そうですな……。せめて、偽名でも名乗って下さるなら、あるいは――」
「それだよ、ミョルマイル君! アイツ等には正体を悟られぬように、偽名を名乗らせる事にしよう!」
「え!? そんな事が出来るのですか!?」
「なーに、大丈夫大丈夫。ツキハは幾つかの偽名を使って、人間社会に潜り込んでもいるみたいだし。そのツキハがヴェルドラに言えば、ヴェルドラも偽名を使うと思う。それでも文句があるなら、ヴェルドラには、この話はナシって、言えばいいさ。良し、それでいこう。その五名には俺からも特別手当を支給するから、くれぐれも宜しくと伝えておいてくれたまえ! あ、それと、以前話した俺とは別に外食チェーン店をやりたいと言ってるのがツキハだから、その時にでも一度話をしておいてくれるかな?」
「はァ? 〝番外魔王〟ツキハ様が、ですか?」
「うん、そう」
「わ、わかりました。了解しましたぞ」
「それじゃあ、頼むよ、ミョルマイル君!」
驚くミョルマイルを他所に、問題が解決したリムルは満足そうに笑みを浮かべた。
(ヴェルドラの我侭は毎度の事だけど、今回は各国の要人も来る。そんな場所であの二人が問題を起こしたら、それこそ
なんやかんやで、問題をミョルマイルに丸投げしたリムル。
ミョルマイルが何か言いたそうな顔をしてリムルを見るも、きっと大した事ではないだろうという事にした、リムルであったのだ。
この作品を読んで頂きありがとうございます!
次回の更新もよろしくお願いします!