忍びが転生したら〝異世界珍道中〟になった件 作:にゃんころ缶
ミュウランの広域魔法妨害領域が完成する、少し前。
テンペストの街へ侵入した、商人偽装一行。
賑わいを見せる街並みに、ショウゴ達は驚愕の声を上げる。
「おいおい、なんだこれは!? 何で魔物達が俺達よりいい暮らしをしてるんだよ!」
「ホント、マジおかしくね? 何でウチらより、ここヤツらの方が贅沢をしてるワケ? ちょームカつくんですけど?」
「まあまあ。ショウゴもキララさんも、そんなに怒らないで(しかし……なんだ、ここは……)」
キョウヤは二人を宥めながらも、この町の発展が理不尽なものに映り、その目は暗く不穏な闇を放ち始めていた。
「ここってさ、スライムの魔物が親玉なんしょっ? ソイツぶっ殺せば、ウチらがここの主になれるっしょ?」
「いいなキララ。俺は、その案に賛成だぜ!」
「僕も賛成だけど、いいのかな勝手な行動を取っても?」
「問題無いって。騎士のオッサン達が乗り込む前に、俺達でひと騒動起こせって、話しだっただろ?」
「そうそう、ウチら善良な市民を、魔物が襲ったって事実が欲しいんじゃん? ウチが『狂言師』で、言い訳すれば、魔物以外はいいなりっしょ」
「う-ん……そうだね。ラーゼン様にそう命令されてるから、いいか」
「チッ、あのジジイに様なんて、つけんなよ!」
「ホント、マジあのクソジジイ、早く死んで欲しいワケ」
「アハッ 癖になっててね。つい本人の前で言ったら、マズいだろ?」
苦笑い気味に言い訳をし、キョウヤは大人しい自分を演じつつ、本性を隠そうとする。
内から沸き上がる、どす黒い感情を押さえつつ。
「じゃあ、とっとと始めようか!」
ショウゴはそう二人に声を掛け、人と通りの多い街の中心地に足を進める。
それをじっと観察する、ツキハとコハク。
「ねえ、あの小娘。精神系のユニークスキルを、持ってるみたいだねぇ」
「ですなぁ。『狂言師』とか、
「ふーん。そこそこには使えると、言った所か。あと、外でコソコソしている、神殿騎士団ども。あれが、
「そうどすな。魔物は人間より劣る存在で、危険な生き物と言う考え……ほんま、いつの時代も人は度し難いおすな。まあ、人より強靭で力も強いからこそ、恐れるんでしょうけども。ほんま……人は、なんぎやで」
「あたしらが〝異形の
ツキハが始まるよとコハクに言うと、キララが手近な魔物を見つけ仕掛けていく。
ターゲットにされた魔物は、ゴブゾウであった。
「キャアアアアアーー! あんた、今ウチの胸触ったっしょ? なに? 魔物のくせに、エロい事でも考えたワケ? ねえ、誰か! 警備兵を呼んでよぉーーーー! 誰かああああーーーー! 助けてよぉーーーー!」
「いや、違うダス! オラは何も、何もしてないダスよ!! オラは……オラも、衛兵なんダスよ……」
キララは更にゴブゾウに近付き、ワザとぶつかり後ろに大袈裟に吹き飛んだ。
「痛あぁーーーーい! お尻触るだけじゃなくて、暴力も振るうワケーーーー!」
「やってないダス……違う……ダス……」
涙目で慌てふためき周りを見るも、ゴブゾウを見る周囲の目は、何故か厳しかった。
『
ゴブゾウにワザと当たりながら、さり気無くユニークスキル『狂言師』を使い、周囲にいる人間達の意識に働き掛けていたのだ。
「おー。あのユニークスキルおもしろいな。そうだ――ちょっと魂喰って、あのスキルもらおうかな――くぇっ!」
ツキハが魂を喰おうかなと言った瞬間、コハクが思い切りツキハの後ろ襟首を掴み引っ張り、言い放つ。
「――なに、
「え? えぇー。何であんたが、怒るのよ? それに、悪食って……魂に悪食もくそも、無いよね?」
「黙りおす! うちの目が金色の内は、
「あーはいはい。こんな時に、変態全開はやめてよね。まったく、あんたときたら……」
馬鹿なやり取りをしてる間に、下ではゴブタが駆け付け事を納めようとするが、徐々に本性を表すショウゴ達は、悪意と言う名の牙を剥き出しにする。
「どうもスンマセン。よく教育しておくっすよ」
「あ゛あ!? この街じゃ客人に暴行働いても、スンマセンの一言で終わらせるのかよ!」
ショウゴがゴブタの前に立ち、見下ろすように吐き捨てる。
「ご、ゴブタさん……オラ……」
「何も、やってないんすよね? でも、ゴブゾウ、疑われた時点で負けなんす。リムル様も『痴漢冤罪は』恐ろしいって言ってたっすよ。だから、今は負けなんす」
「オラを、信じてくれるダスか?」
「そんなの、聞かれるまでもないっすよ。お前に、そんな根性はないっす」
そう言い切ったゴブタに、ゴブゾウは抱き付き号泣する
それを見ていたキララが、声を上げる。
「え? ちょっとなんなワケ? ウチが嘘吐いてるとでも、言いたいワケ!?」
「そう、聞こえなかったすか?」
ゴブタの問い返しにキララの怒りが頂点に達し、爆発した。
「はあぁっ!? ふざけんじゃねえーぞ! この魔物風情が!! 舐めんじゃねーぞ! 〝お前ら、みんな死んじまえ〟」
キララの絶叫が周囲に響き渡る。
「ほぉ。声を波長に変化して……脳に……」
そのユニークスキルの発動を見たコハクが、目を鋭利に細め言葉を吐く。
血と死が辺りに満ち溢れるはず、だった。
「なんで?……」
しかし、キララはいつまで経っても誰も死なない現状に驚き、周りを見渡していると。
「ん?……誰や。今、この波長に干渉したんは?」
コハクの眼下に、いつの間にか音も無く、キララ達に近付いてきた鬼人の娘がいた。
同じく、一人のスラリとした背の高い鬼人の女性を伴って。
「なるほど、これは……。声を波長に変換して、脳波に干渉する
優しく言うも、はっきりとした拒絶の言葉。
シュナであった。
そして、側に伴っているのはシオンである。
ゴブタの部下が会議室に飛び込んできて、状況を伝えた時。
シュナは嫌な予感に襲われシオンを護衛に伴い、この場に来たのであった。
『
ユニークスキル『解析者』によって、キララの
妖気を操り、波長に変換し同調させて『狂言師』の効果を無効化したのだ。
「嘘……なんで……」
その様をツキハが呆れたように、言葉を吐き捨てる。
「アホか? あの小僧ども。仲間の
ツキハは頭の中で鬼人二人を斬る様を描きながら、軽い溜息を付く。
忍びの頃、こう言う似たような場面がよくあった。
咄嗟の判断。
今、一番生かしていては危険な者。
その判断を誤れば、自分達が死ぬ。
危険な者を嗅ぎ分ける嗅覚、ツキハは特にこれに優れた忍びであり、
それは魔物になっても健在であり、その嗅覚は――
シュナがあの場にて、一番危険な魔物だと判断していた。
「やっぱりあんさんも、あの巫女装束の鬼人が一番厄介だと判断したんどすな。あの鬼人の娘、このまま進化したら末恐ろしい魔物になるで。ほんまに、スライムの魔物リムルは、只のスライムやあらへんな」
コハクもツキハの言葉に頷きながら、冷ややかに言葉を並べていく。
「申し訳ありません。貴方達はこの国に、相応しくはないようです。お引き取りください」
優しく微笑みながら告げるシュナだが、その瞳は冷たかった。
キララに殺意があったことは完全に見抜いており、ショウゴ、キョウヤ達にも悪意が満ちているのは見抜いていたシュナ。
「へえ、そうかい! そっちがそう言う態度なら、こっちも本気で相手してやらあ!」
シュナを舐める様に見、この鬼人をどういたぶり料理しようかと、下卑た視線を向ける。
「下種め! 下卑た考えが、顔に出ているぞ? 大人しくこの国を去るなら、生かそう。だが、従わないと言うならば、命は無い物と思え!」
シオンがシュナの前に立ち、怒りを目に称え一歩前に出る。
それを見たキョウヤは。
「ふーん。こうなったら、僕も好きにさせてもらおうかな。実は、まだこの力を、実戦で試した事無かったんだよ」
ニヤリと歪んだ笑みで剣を抜き、シュナとゴブタの前に立つ。
「これは、ヤバいっすね。ゴブゾウ、お前はシュナ様をお守りするっすよ!」
「わ、わかったダス!」
ゴブタは右逆手で小刀を抜き、それを眼前に構え、キョウヤと対峙する。
そこへ。
「どれ、ゴブタよ。お前では、あの者の相手はちと荷が重かろう。ワシが手を貸そう」
「え!? し、師匠!?」
完全な〝隠形法〟でゴブタの後ろから現れたハクロウ。
後ろ手に組んだ両手には、仕込み杖が握られていた。
「へえー、ジイサン。あんたとなら、楽しめそうだね」
現れたハクロウに、嬉しそうな嗤いを浮かべ剣をハクロウに向ける。
その時!
それを合図とするかのように、ミュウランの大魔法が完成した。
更にそれに重ね合わせる様に、ある秘術が発動、する。
〝
〝
結界内の魔素を浄化、
その劣化版であり、熟練度の低い神殿騎士団員でも、複数で協力すれば発動できるようにしたものである。
それでも、魔国内の魔物を弱体化させるには充分な結界だった。
結界内の魔素が薄くなり、苦悶の表情を浮かべ地面に伏す魔物達。
魔国に大混乱が巻き起こる。
慌てふためき逃げまどう商人達や、弱体化し碌に動けない魔物達を助けようとする、冒険者達。
そこへ、ショウゴ達と一緒に来てた騎士団の集団約百名が、街へ雪崩れ込んでくる。
「我が国の民が魔物により、被害を受けたと報告が来た! 敬虔なる神の御子なる、我が国民を守る為。西方聖教会の名の元に、武力をも持って救援に当たるものとする!!」
馬に乗った騎士団の先頭にいる、隊長と思わしき者が声高らかに剣を頭上に掲げ、宣言する。
その第一刀が、子を庇うホブゴブリンの親子を斬り捨てた。
それを皮切りに、血の惨劇がテンペストを襲う。
逃げ惑う魔物の悲鳴、上がる
惨劇の凶奏曲が――
奏でられていく。
「救援と称した、虐殺か。茶番にもならないね。しょせん魔物と人の共存なんて、夢物語でしかないよ。弱いものが殺され、強いものがそこに君臨する……それだけだよ。どうでる? テンペストの魔物達」
「どうでるも、なにも。その魔物を束ねる盟主が、絶賛ヒナタと戦闘中どすからなぁ。!?――」
繰り広げられる惨劇を見ながら、ツキハとコハクは淡々と言葉を重ねて言ってるとそこへ。
イチオから『念話』が入る。
『ツキハ様、コハク様。スライムの魔物リムルがヒナタを欺き、逃げ果せました』
『『!?』』
『欺くって、どうやったんだ?』
『詳細はわかりませんが……恐らく、凄まじく高度な『分身体』ではないかと』
『『分身体』どすか……なんや、スライムの魔物が出来る能力を、遥かに超えてますなぁ。イチオ、今からスライムの魔物リムルを、A級以上の魔物と断定。要警戒や』
『畏まりました。コハク様』
『ヒナタと戦って生き延びたか……もう、スライムの魔物とか言ってられないね。でも、ミュウランの魔法妨害領域があるから、すぐここには来れない、か。さて、この惨劇を見て……どんな、判断を下すんだろうな、リムル・テンペスト』
『魔物たるや判断をするのか? それでも尚、人間と共存なんて甘い事を言わはるのか、見物ですなぁ』
『あのヒナタとの戦いは……既に、スライムなどと言う枠を超えている、何かです。ツキハ様、コハク様』
二人がイチオとの『念話』をしてる間に、シオンが騎士団員に斬られそうになったゴブリナの子供を庇い、背中を一刀両断され絶命した。
『念話』を終え、二人が視線を戻すと。
ハクロウも弱体化の中、キョウヤの空間斬撃により深手を負い、ゴブタも地に倒れ伏していた。
ゴブゾウはシュナを庇い、槍の一突きを脊髄に喰らい即死していた。
目に付く魔物を粗方殺し終えた騎士団の一行は、意気揚々にテンペストを後にした。
ショウゴとキョウヤは満足気な表情を浮かべ嗤いながら、魔物の屍の中歩いていく。
その後ろを「魔物風情がウチらを舐めるから、こうなるんっしょ」と同じく満足気に言葉を吐き捨てていく。
「終ったね。いや、始まりか……戦争の。どう介入する? いきなり、横っ面を張り倒しにいく?」
「いきなり
「だね、依頼はここを攻めろだし、技術者の確保はぁ……めんどくさいし、知らんわ。そこまでは、遊びに付き合おうか。そこからは――」
「うちらの好きにさせて、もらいまひょ」
そう言い放ったツキハとコハク。
依頼とは別に動き出す、傭兵商会・ルヴナン。
一方、ヒナタから無事逃げ果せたリムルは、
何度試みても転移できず、異変に気付く。
元素魔法:拠点移動の魔法が発動しなかったのだ。
《告。転移先の座標特定が不明です。考えられる原因として、何らかの結界により、妨害もしくは外界と隔絶されてると推測します》
大賢者からの報告にリムルは、ヒナタが言った言葉を思い出していた。
『君と、君の街が邪魔なの。だから、潰す事にしたのよ』ヒナタから告げられた言葉を思い出したリムルは、急いで戻らないと〝俺の国が無くなる〟そう思い。
戻る手段を考えていると、『大賢者』が転移可能な移動先を検索で探り当て。
リムルは大急ぎで、その場所へと、転移した。
転移先は、封印の洞窟に敷設してあった魔法陣であった。
転移陣の前ではガビル達が、集合していた。
帰還したリムルの姿を見て、ガビル達は安堵の表情を浮かべ、リムルの側へと駆け寄った。
ガビル達から状況説明を受けている最中、大怪我を負ったソウエイとソーカ達が、リムルの影から飛び出して来た。
「リムル様、ご無事でしたか。何よりです――」
「おいおい、お前どうしたんだその大怪我は!?」
ボロボロのソウエイにリムルは、ベスターにすぐ
傷が回復し、ソウエイは現在の状況を話し始める。
街に入ろうとして、テンペスト全体に張られた結界に阻まれ、『分身体』は全て消滅、本体は大怪我を負ってしまったと説明した。
そして、一番重要な事をリムルに告げた。
「リムル様。ファルムス王国が軍事行動を起こし、
「そうか……ファルムス王国が動いているのなら。その結界も、ファルムス王国の関係者か?」
「恐らくは……」
「だとすると――街のみんなが危ない……!?」
リムルはヒナタに足止めされた事に焦りを感じ、街へ急ぐことにする。
「ん?……なんや、これ、は……」
死屍累々の中、コハクが空を見上げながら、何かを呟いた。
「どしたの?」
「この複合結界の中や」
「中?」
「せや。わからんか? ツキハ」
コハクが結界の中と言い、ツキハは重なり合った結界が揺れる空を見上げ、鼻をスンスンと鳴らし、それに気付く。
「あ? これ、魂の残滓が漂ってない?」
「せや、まだあの子らの魂は、拡散してまへんな。普通なら、とっくに拡散して消滅してるのに。この複合結界のお陰で、中に留まってるみたいおすな。現時点で、魔物の出入りすら許しまへんからなぁ」
魂を喰らう事が出来る二人は、結界内に漂う魂の残滓を、『万能感知』で嗅ぎ取っていたのだ。
「魂の復活の秘技。これがあれば、あの子らの蘇生は出来るかも知れまへんな。まあ……その方法を知ってれば、どすが」
「でも、それって――
「
「あ!? 今こっち向かってるあの三人って……あちゃーあの様子じゃ、あれしそうだよね?」
「あぁー。そう言えば、ニコから報告が来てましたなぁ」
「どうする?」
「はあっ……仕方ありまへんな。そこは、流れにまかせまひょ」
コハクはそう言いながら、印を四つ結び、眼前でパンと両手を合わせた。
すると、一瞬結界内の空が不自然に揺らぎ、直ぐに収まった。
「なにしたの?」
ツキハの問いにコハクは、フッと軽く笑いを浮かべ。
「ちょっとした、うちからのサービスや。あれな、少し不安定になってるさかい。うちがちょちょいと、この複合結界を補強しましたんや。これで、結界を解除とか馬鹿なことをしいひんかったら、あの子らも蘇生出来るかもしれんと、言う事や」
「へえー。信玄みたいな事、するんだ。くくっ」
「塩どすか? また、えらい懐かしい名前を出しはったな。ふふ」
二人して結界に包まれた空を見上げ、ほんの少しだけ昔を思い、顔を軽く
リムルはソウエイ達を伴い、街の外周近くに『空間移動』して来た。
『影移動』が『空間移動』に進化していたのを思い出し、それを使用して移動して来たリムル達。
リムルは街に張られている結界の前に来て立ち、右手を
結界の一部を吸収して、『解析鑑定』を掛ける。
それに『大賢者』が答える。
《解。広域大魔法:
『そうか。なら、問題ないな』
リムルは『大賢者』の言葉を聞くと、さっさと結界内に入った。
その時に、『大賢者』から、大魔法の術者は中にいて、結界を発動を発動しているのは外部で、四ヶ所に分かれ複数人で術を維持していると、聞いた。
「ソウエイ、お前達はすぐに、この結界を張っている者を探し出せ。いいか、一切の戦闘行為は、禁じる。全員で行き、相手の強さと規模を確認してこい」
「御意。して、連絡手段はどのように?」
ソウエイの問いにリムルは、『粘鋼糸』を出し、ソウエイの左手首に巻き付け、「どうだ? これで意思疎通が出来ないか? 」と言い。
試してみると、外と内でも『粘鋼糸』を伝って『思念伝達』が可能であった。
「よし、行け! 俺は、結界内の術者を押さえる」
「ハッ!!」
ソウエイがリムルの命令を聞くと同時に、消え、ソーカ達五名も消える様に続いた。
それを確認したリムルは、中央広場へと急ぐ様に歩を進めながら『大賢者』に引き続き、魔法不能領域と結界の『解析鑑定』を続けさせる。
『大賢者』は張られている複合結界に僅かだが、手が加えられている痕跡を見つけた。
《告。一部解析不能な術式を確認。複合結界を安定させるために、手を加えていると推測》
『なんだって? それは、この結界を完全なものにする為なのか?』
《否。むしろ、この複合結界を安定させ、崩壊しないようにする為だと推測します》
『崩壊?……確実に俺達を――潰す為なの、か?』
《否。この一部解析不能の術式の目的は、不明です》
『不明だと……『大賢者』、この術式は外部からか、それとも――』
《――告。内部からと推測します》
『内部だと……』
内部と聞き、リムルは大魔法は発動させた術者とは別に、第三者が複合結界内部にいると判断する。
(そうか、まだ伏兵が潜んでいるのか……『大賢者』ですら一部解析不能な術式を操る、者か)
コハクの放った術式を見つけだした『大賢者』、その『大賢者』にすら完全な解析をさせない、コハクの忍魔術。
ツキハとコハク、リムル・テンペストが相まみえる時、
中央広場に近付くにつれ、夥しい血痕や血溜まりが目に飛び込んでくる。
傷付き倒れ、冒険者達に解放される魔物達。
リムルの中の怒りと焦燥が渦を巻き、憤怒化し吹き上がって来る。
(くそっ……俺が……)
この惨劇にリムルが出す、答えは…………。
十四話を読んで頂き、ありがとうございますー!
次回の更新も読んで頂けたら、幸いです!