忍びが転生したら〝異世界珍道中〟になった件   作:にゃんころ缶

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 お待たせしました。166話です


 ツキハ

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 コハク

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 傭兵商会ルヴナン・真の紋章


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 ※〝打刀〟
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166話 黒の守護者(ブラック・ガーディアン)

 

 

 迎賓館の周辺には、当然だが警備の者が配置されている。

 

 各国から来訪している要人達の護衛までいるので、会場の外は人で溢れかえっていた。

 

 

 そんな中で、問題があったとすれば、かなり厄介な事になっている可能性が高いと踏んだリムル。

 

「どうした、何かあったのか?」

 

 飛び込んで来た兵士を落ち着かせるべく、リムルはゆっくりと質問をした。

 走って外に行って確かめたいが、立場上それが出来ないリムルの、そう考えての質問であった。

 

 だがしかし、その兵士がリムルに答えるよりも先に、各国の護衛連中までもが、大慌てでこの会場に駆け込んで来たのだ。

 

(おかしいな……警備は完璧なハズ。あのルヴナン傭兵である眷属達が騒いでいないのも、おかしい。それに、ソウエイが俺のところに飛んでこない……)

 

 そう考えつつリムルは、一応周辺の気配を探るも、大きな妖気(オーラ)の接近も感じなかった。

 

(ミリムやカリオン達は遅れているようだけど、彼等が到着したとしても兵士が慌てる理由にならない。だとしたら、一体何が……) 

 

「大型の飛行物体が、街の外に飛来しました!!」

 

 思案を巡らせるリムルに向かって、別の兵士が報告をした。

 

 すると、その兵士の声に被せるように、他の国々の護衛までもが、それぞれの(あるじ)に報告を始める。

 

「報告します!! ま、ま、魔導王朝サリオンの守護竜王があ、その姿を現しましたぁ!!!」

「一大事です! エ、エッ、エルメシア・エルリュ・サリオン陛下その人が、この地に降り立ちまして御座います!!」

「今、エルメシア陛下の御一行が、この場へと向けて歩き出されましたぁ――ッ!!」

 

 騒々しいほどに大声で叫ぶ、各国の護衛の者達。

 

 リムルは焦りかけていたが、ただ単に、サリオンの皇帝が遅れて到着しただけの話なのかと理解した。

 

「ああ、ビックリした。何事かと思ったよ。全くもう」

 

 と、思わず呟くリムル。

 

 そこへ、わざわざ席を立ってリムルの隣に来たガゼルに、呆れたように溜息を吐かれる。

 

「相変わらず、能天気で世間知らずな弟弟子よ。あの天帝エルメシアが国を出たとなると、この騒ぎも当然の事。この俺に対してさえも、各国の連中は顔色を窺っておったのだからな。あの天帝が相手となると荷が重すぎるというモノよな。この場におらぬ者共も、今頃大慌てで本国に向けて使いを飛ばしておるだろうよ」

「どういう意味だよ?」

 

 リムルが詳しい説明を求めると、ガゼルは待ってましたとばかりに説明を始めた。

 

 ガゼル(いわ)く。

 

 魔導王朝サリオンは大国であり、武装国家ドワルゴンと並ぶほどの国力を誇る、と。

 

 西方諸国評議会(カウンシル・オブ・ウェスト)にも参加していない、完全独立国家。

 

 そして、王朝という名が示す通り、十三の王家が連なる連合国家である、と。

 

 勢力比を言えば、西方諸国評議会(カウンシル・オブ・ウェスト)が最大規模なのは間違いない。

 だがしかし、その意志決定は、評議制度を取り入れている以上、何をするにしても即効性に欠ける、と。 

 

 その点ドワルゴンは、ガゼルによる絶対王政なので、統合力としては劣るものの西側諸国に対して発言力も大きいのだと言う。

 

 そしてそれは、サリオンも同じだと。

 

「魔導王朝サリオンは、皇帝エルメシアが絶大な権力を持っておる。神の末裔であると称し、自らを天帝と定めておるのだ。その真贋(しんがん)までは俺も知らぬが、エルメシアという風精人(ハイエルフ)が興した国なのは、紛れもない事実なのだよ。つまりあの大妖(オンナ)は、サリオンの歴史より長命なのだ。それにな、あの大妖(オンナ)の影には、何かとてつもないモノが潜んでいる気がしてならぬ……」

 

 リムルにしては、同じどころの話ではなかった。

 

 千年の歴史を持つ、武装国家ドワルゴン。

 

 かたや魔導王朝サリオンは、二千年以上の歴史を持つと言われている。

 

「だからな、リムルよ。あのエルメシアには、この俺でさえも頭が上がらんのだ。まして、寿命の短い人間達であれば、会う事さえも叶うまいよ」

 

 苦々しく言うガゼル。

 

 それを見てリムルは、皇帝エルメシアというのは、とんでもなく厄介な人物だと理解した。

 

(うーん、エラルド公爵だけ招待したつもりだったんだけど……とんだ大物まで呼び寄せてしまったか)

 

「あれだね、招待状には、ちゃんと名前を書かなくては駄目だったね」

「リムルよ……そういう問題ではないのだがな」

 

 リムルがそう言うと、ガゼルにジト目で睨まれた。

 

 そんな会話をしていると、入り口がざわつき始めた。

 

「どうやら、到着したみたいだね」

「うむ、油断するなよリムル。相手は海千山千の化け物だと思え」

 

 ガゼルがそこまで言うのだから、相手はよっぽどだと覚悟を決めるリムル。

 そして、了承の意を込めて力強く頷き返す。

 

 会場は大騒ぎとなる。 

 

 普段は絶対に会えない、それどころかその姿を見せたのが数十年ぶりだという、超大国の皇帝が姿を現したのだから、それも当然であろう。

 

 皇帝、エルメシア・エルリュ・サリオン。

 

 その堂々とした歩みで、会場に姿を現した。

 

 それは美の化身ともいえる美しさであり、会場にいる誰もが言葉もなく、皇帝エルメシアに見蕩(みと)れていた。

 

 リムルですら、そうだった。

 

 美少女ともいえる姿に、新雪のような真っ白な肌。

 サラサラの銀髪に、先端の尖った長耳と、全てを見通すような翡翠(ひすい)の瞳。

 

 その姿に一瞬、目を奪われるリムル。

 

(ほおぉー。ガゼルがオンナと言っていたから、間違いなく女性なんだろう。ハイエルフ、純潔の妖精という事か? もしくは、限りなく純潔に近い血筋なんだろうな)

 

 皇帝エルメシアを見て、そんな感想を抱くリムルであった。

 

(ガゼルが警告してくる訳だ。一緒にいるエラルド公もそうだけど、あの守護者達は……) 

 

 皇帝エルメシアの後ろに控える、深い緑色のフード付きローブを着る五人の守護者達。

 フードは目深(まぶか)に被り素顔はわからない。

 

 そんな守護者達を見て、リムルは更に警戒を強めた。

 

(一人一人から、凄まじい力を感じる。あのフード付きマントの下には礼服を着てるみたいだが、あれもまた魔法武具みたいだね。うーん……多分だが、その品質は伝説級(レジェンド)だ。当然ながらその実力は、アルノー達聖騎士(ホーリーナイト)に匹敵するだろう。いや、武装の質から考えると、皇帝の守護者の方が上かもしれないな。それよりも、あのフード付き黒のローブの二人からは、桁違いの力を感じる) 

 

 リムルは、皇帝エルメシアを挟むように並び立つ、顔を晒さぬようフードを深く被る二人の守護者に目を付けた。

 

 深緑のローブを纏う守護者達と違い、黒のローブを纏う二人からは、明らかに異質な雰囲気が漂っていた。

 

 何故なら、いくら守護者といえど、このような場で皇帝エルメシアを挟むように並び立つのは、普通なら許される事ではないからだ。

 

 この状況から見てリムルは、あの二人だけは特別な守護者だと感じ取ったのであった。

 

 するとそこへ、ガゼルがリムルに小さな声で話しかけてきて、それに合わせてカウンター席で寿司を食べるコハクの猫耳が、ピクピクと微かに動く。

 

「リムルよ、気付いたか。あの黒のローブを纏う二人に」

「ああ。あれは、ちょっとヤバいな」

「まさか、アレが出て来るとはな」

「ん? あの守護者を知っているのか?」

「うむ。今から言う事は他言無用、良いな?」

「ああ、わかった」

 

 いつになく真剣な顔付でリムルに言うガゼル。

 それに同じく、静かに頷くリムル。

 

「あれはな、あの大妖(オンナ)個人のお抱えの守護者だ。皇帝のみを守り、皇帝の(めい)しか聞かぬ」

「なるほど。強いのか? あの守護者の二人」

「先代から聞いた話では、凄まじいほどに強いらしい。だが、その素性から何もかもが不明なのだ。千年以上前からあの守護者の二人は〝黒の守護者(ブラック・ガーディアン)〟と呼ばれ、皇帝直属であり、皇帝の為だけに動く、言わば影。俺もこの目で見るのは二度目だが、その恐ろしさは先代からよく聞かされていた。リムルよ、あの皇帝エルメシアは、本人だ」

「え? どういう事だ?」

「一度見たであろう? エラルドが最初に訪れた時に」

「えーと、あ! 憑依体の人造人間(ホムンクルス)か!」

 

 ガゼルの言葉に、ようやく合点がいったリムル。

 

「今回は、憑依体を使わず、サリオンから出て来たのだ。だから、〝黒の守護者(ブラック・ガーディアン)〟が出張って来たのであろう。アヤツ等が動く時は、皇帝がその身を晒す時だけだから、な」

「しかし、正体不明とはねぇ。まるで誰かさん達みたいだ」

 

 ガゼルの説明に頷きながら、チラリとツキハとコハクを見るリムル。

 

 しかし、魔導王朝サリオンの皇帝が来たにも関わらず、二人は握り寿司に夢中であった。

 

(まさかねぇ……。ちょっと、見てみようか)

 

 どこか気になったリムルは、黒の守護者(ブラック・ガーディアン)の二人を『解析鑑定』で見ると。

 

 …………

 

 ……

 

(え? 弾かれた、というより、妨害され、た?)

 

《告。あの二名は、『究極能力(アルティメット・スキル)』を間違いなく保有しています》

『そうだな。『究極能力(アルティメット・スキル)』には『究極能力(アルティメット・スキル)』でしか対抗出来ないからな。ま、手の内は見れなかったけど、『究極能力(アルティメット・スキル)』持ちだと判明しただけでも良しとしよう。しかし、世の中は広いな』

《……》

『先生? 何か気になる事でも?』

《……》

『うーん。俺、何も気に障る事は言ってないよな? ま、いいか』

 

 『解析鑑定』を妨害され、智慧之王(ラファエル)からの発言にリムルも頷き、とりあえずの詮索はそこで終わらせる。

 

 そして、智慧之王(ラファエル)がいつものダンマリとは違う反応を見せたのを気にしたリムルだったが、いつもの事だろうと、それ以上の追求はしなかった。

 

 

 そうしてる内に、皇帝がリムルの近くにまでやって来た。

 

 

 黒の守護者(ブラック・ガーディアン)の二人が皇帝の前に出ようとするの制して、皇帝がリムルの前に立つ。

 

(やっぱり、顔は見えないな。んん、意外に小さい? 女性か……?)

 

 皇帝の後ろに下がった二人を見て、リムルは内心そう呟く。

 

 そして。

 

「招待、ありがたく頂戴した。(ちん)は嬉しく思う」

 

 涼やかな声が会場に、そよ風のように響く。

 

 この場にいた招待客達は、男性も女性も皆、それだけでウットリと夢見心地になっているかのようだった。

 

 魅了系の魔法かと誤解を招きそうだが、これは単に、皇帝の声がそれだけ魅力的であった、というだけである。

 

 

「こちらこそ、お会い出来て光栄です」

 

 正面から向き合うように返礼すると、エルメシアの翡翠の瞳がリムルを映す。

 

《告。『精神干渉』を感知――妨害しました。これは攻撃ではなく、自然に漏れ出る『英雄覇気』による影響でしょう》

 

(ふぁああ。ヤバイヤバイ。この人、ガゼルよりも高いレベルで『英雄覇気』を纏ってらっしゃる。もしかすると、もしかするとだよ、その実力はガゼルに匹敵するどころか、下手をすれば上回っているかも!? これって……もしかしなくても、魔王級? うん、決めた。この人と敵対するのは、絶対にやめよう)

 

 ここまでくれば、皇帝エルメシアの実力は計り知れ、リムルは、これからも友好関係を築いてくれるようにアピールしようと即断する。

 

「それでは、ささやかながら食事も用意しておりますので、今夜の一時(ひととき)を楽しんで下されば幸いに思います」

「うむ。リムル殿の気配り、朕は心地よく感じておる。明日からの祭りとやらも期待しておる故、せいぜい朕を楽しませてたもれ。それと――」

 

 悠然と微笑みながらそこまで言うと、エルメシアはリムルに顔を近付けてきて、リムルにしか聞こえない小さな声で――

 

「今日でなくてもいいので、時間を作って欲しいわ。堅苦しくない場で、本音で相談したい事があるのよ」

 

 と、囁いてきた。

 

(え? 口調が思いっきり砕けてる? もしかして、それが素とか……?)

 

 リムルはまだ不慣れながら、魔王を演じなければいけないので、どこかエルメシアに対して親近感が湧いてきた。

 

「了解。日時が決まったら連絡します」

 

 リムルは肩の力を抜き、そう答えた。

 

 それを聞いたエルメシアは、満足そうに頷き守護者の輪の中に戻る。

 

 そしてそのまま、エルメシアと(よしみ)を通じようと手ぐすねを引く者達に愛想笑いを振りまきつつ、料理が並ぶテーブルの方へと向かって行ったのだった。

 

 さっそく、強引な貴族がエルメシアの前に立とうとしたら。

 

 ズビシッ。

 

(あ、軽く頭ドつかれた。手刀、チョップ? 容赦ないな、あの黒の守護者。ってかさ、普通ドつくか? チョップされた貴族のヤツ、目を白黒させてるじゃねえか)

 

 今度は、後ろから来た貴族が声をかけようと手を伸ばすと。

 

 メキッ。

 

(あらら、あれ、軽く手首を捻って関節を()めてるな。マジで怖いな、あの黒の守護者。ハハ、ハハッ)

 

 エルメシアに群がる不逞(ふてい)な貴族を、次から次へと(さば)いていく黒の守護者(ブラック・ガーディアン)の二人。

 

 リムルはそれを見ながら、どこか乾いた笑いを漏らす。

 

 ちなみに、招待したハズのエラルド公爵の姿が見えないなとリムルが思っていたら、黒の守護者(ブラック・ガーディアン)の二人と何やら話している一人と目が合った。

 

(え、って。エラルド公爵かよ!?)

 

 あまりにも凛々しい表情だった為に、見落としていたリムルだったが。

 

(どうやらちゃんと来てくれてたようだ。それにしても、何か、気配の紛らわせ方が妙に上手くないか? 気を抜くとそこにいるのに、いつの間にか見落とすというか……。アイツ等の〝隠形術〟に似てるような、そうじゃないような。まあ、あれだ、メイガスでも指折りの実力者だとガゼルが言っていたから、それくらい造作もないんだろう)

 

 そんな事を考えつつもリムルは、エラルドと視線だけで挨拶を交わし、後でもう一度挨拶に出向こうと思ったのだった。

 

 

 ほんの短いやり取りだったが、とても疲れた表情を浮かべるリムル。

 

 そんなリムルはガゼルに促されて、畳の間で寛ぐ事にした。

 

「いやあ、ほんと疲れたよ」

「さっそく飲まれそうになっておったな? 気をしっかり持っていなければ、あのバ――」

 

 と言いかけたガゼルは、そこで突然言葉を呑み込み、誤魔化すように、冷酒をあおる。

 

 エルメシアの方から凄い冷気を感じたので、多分それを察知したのであろう。

 

(ガゼルは何と言うかけたのやら。多分、バ――から始まる言葉だと、アレだろうな。エルフって耳がいいみたいだし、思っても口にしないのが正解だね。不用意な発言は、死を招く。俺も気を付けるとしよう)

 

 そんな事を思うリムル。

 

 すると。

 

「せやねぇ。気いつけなあかんな」

「だねぇ。まあ、厄介なモンに目を付けられたと、諦めないとだねぇ」

「「「「「うお!?」」」」」

 

 いつの間にかリムルの右後ろにコハク、左後ろにツキハが座っていたのだ。

 

 その場にいたリムル達が、一斉に驚いた。

 

「お前らなぁ、せめてこっちに来るなら、気配を隠し(いつわ)るだっけ? それやるなよ、マジでビックリするから! それにコハク、お前って人の心が読めるのか?」

「まさか。そんなん出来る訳あらへん。ただ単に、あんさんの顔に書いてましたで。ふふ」

「え? マジ。俺、顔に出て、た?」

 

 皆を代表してリムルが怒り口調でツキハとコハクに言うも、コハクにやんわりと返され、最後は気の抜けた声で自分の顔を触ってしまう。

 

「ほんま、こんなんでビックリしてどないしますのや。うちとツキハが本気なら、あんさんら皆、首が落ちてますで? ふふ」

「あのなあ……いくら宴の席でも、それは言葉が過ぎると思うぞ?」

 

 コハクがクスクスと笑い言うと、リムルが眉間にしわを寄せながらコハクを(たしな)める

 

 ガゼルなどは、額に手をやり「うーむ。この性悪(しょうわる)猫め」と唸ってしまう。

 

 ともあれ、先ずは一服しようとリムルが皆に声をかけ、それに皆が頷き、思い思いに酒や料理に手を付けていく。

 

「そうだ、お前達。皇帝の守護者である黒の守護者(ブラック・ガーディアン)について、何か情報はないか?」

 

 とりあえずリムルは、黒の守護者について二人に尋ねてみた。

 

「あれなぁ。ガゼル王が言った事と同じくらいの情報しかないで。あっこは潜入するのも、中々骨が折れるさかいな」

「そうかあ。お前達でも掴めない情報があるんだな。しかし、コハクの猫耳も地獄耳だな。あの会話が聞こえていたのかよ」

「そらそうやで。こんな場は、どこに銭の種が転がってるかわからんどすからなぁ。だから、耳は澄ましておくもんやでリムル。で、話を戻すけども、いくらうちらでも掴めない情報はあるさかいな」

「確かに、そうだよなぁ……。でも銭の種って、ほんとお前らはときたら」

「いいじゃん、そのくらいないと銭は稼げないんだぞ。まあ、あたし達でも知らない事はあるもん、万能じゃないからね」

 

 二人からガゼル以上の情報が聞けるかなと期待していたリムルだったが、それもなく、どこか残念そうにするリムルであった。

 

 この何気ない会話でも、自然に知らぬ存ぜぬを貫き通すツキハとコハク。

 二人もまた、海千山千の化け物なのだろう。

 

 それからは、リムルにガゼルやヨウム達と一緒に酒を酌み交わすツキハとコハクは、軽く世間話に花を咲かす。

 

 

 しかし、そんな寛いだ時間は長くは続かない。

 

 

 またもや会場の入り口付近が騒然となり、大物がやって来たとのだと知らせる。

 

 

 





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