忍びが転生したら〝異世界珍道中〟になった件 作:にゃんころ缶
昼の休憩時間も終わり、
貴賓席には、リムルやミリムをはじめ、ヒナタに子供達、それにルミナスやエルメシアなども来ていた。
そして、ガゼルを含め、ブルムンド王や各国の重鎮達が顔を揃えていた。
観客達は、一体誰が戦うのか、それを予想する声で
「おい、あれじゃないか、魔王様の幹部達の誰かとか?」
「いやいや、特別な試合なんだから、魔王リムル様自身が誰かと戦うんだろうよ」
「うーむ、まさか、〝暴風竜〟ヴェルドラ、とか?」
「いやいやいや、それはないだろう。会場内がパニックに
「そうそう。それはないって、あってたまるか!
様々な憶測が飛び交う中、ヴェルドラの名前が出た途端に、ピタリと
そして、それを待っていたかのように、ソーカのアナウンスが会場内に響き渡る。
『さあさあさあさあッ! 決勝戦の興奮も醒め切ってはいないでしょう、皆様方! テンペスト武闘大会第一回記念エキシビジョンマッチの始まりの時間が来ましたぁーーーーッ!! この後には、
「「「「「うおおおおおぉーっ!!」」」」」
力強いソーカのアナウンスに、観客達の歓声が会場内の空気を震わすように響き渡る。
『さあ、それではっ! 今回のエキシビジョンマッチに出る御方に、登場してもらいましょう―ッ!!』
西と東の、選手入場の入り口の辺りで、ドーンと花火が上がり、もうもうと煙が立ち込める。
会場内に設置された巨大魔力式スピーカーからは太鼓の音がドンドンドンと大きく響き、ゴワァーーンとドラの音が鳴り響く。
そして、両入口の煙の中に、小柄な人影が見えて来た。
サーッと煙が晴れたその中には、朱色の半小袖に黒のスパッツにも似た
一人は背中の真ん中まで伸びた黒髪で、もう一人は肩上くらいまでの黒髪のショートカットの少女。
そして二人とも、人間の耳はなく、頭の上に猫耳を持ち、黒毛短毛の尻尾をふわりふわりと動かしていた。
『そうです! 今回だけの最初で最後のガチバトルを見せてくれる
ソーカのリングコールに、会場内にどよめきが走る。
番外魔王、この世界の住人にとっては、恐怖の象徴でしかない二人。
まさか、番外魔王の二人が出て来るとは誰も予想していなかったのだ。
「「「「「!? ……」」」」」
どよめきの後、一斉に言葉を失う観客達。
「マジ? 何でアイツ
流石のリムルも、予想外で変な声が出そうになっていた。
だがしかし、その隣のミリムは――
「リムル。お前、何を考えているのだ?」
と、真顔でリムルに問うて来た。
「え? いやあ、俺も本当に誰がエキシビジョンマッチに出るか、教えてもらってなかったんだよ。ほんとだぞ。というか、あの二人が戦ったら、何か
とりあえず言い訳をしてみるリムル。
すると、ミリムが今からの会話を他者に聞かれたくないのか、『思考加速』付きの『思念伝達』をリムルに送って来た。
『不味いだ、と? リムル、ツキハとコハクが本気で戦ったら――』
『戦ったら?』
『この闘技場が、跡形もなく消し飛ぶかも知れぬぞ?』
『え!?……』
ミリムが真顔で言い放ち、リムルは絶句する。
『ところで、リムルよ。ここの結界は万全なのか?』
『あ、ああ。万全だ。二重三重に安全策を講じている』
『そうか。なら、あの二人がガチギレしないのを、祈るしかないのだ』
ミリムは、真剣な顔付を崩さずに静かに言う。
『なあ、ミリム』
『何だ?』
『いくらエキシビジョンマッチだからって、キレるってありえなくないか?』
『あの二人は、ヤバイのだ。こういう場所で絶対に戦わせたらダメなヤツなのだ』
『え、何で?』
『それはな、コハクが原因なのだ』
『あ……それ、何となくわかるわ。もしかして、寝技主体の攻撃をなさるとか?』
『うむ、よくわかったなリムル。それで最後は、ツキハがガチギレして、周囲が大惨事になるのだぞ』
『あぁ……それ、その光景が目に浮かぶわぁ……』
『リムルよ。防御結界は、本当に万全なのか?』
『ああ。それに関しては、最大の安全を考慮して、最大の防御結界を張っているよ(俺の最大防御、『絶対防御』があるからな)』
『そうか。なら安心なのだな。でも、あの二人の攻撃は時折、ワタシの考えもつかないような事をしてくる時があるのだ。本当に危険になったら、ワタシの防御結界もリムルの結界に重ねよう』
『え? ああ、そうか。その時は頼むよ、ミリム』
『うむ、任せるがいいのだ』
そこでミリムは『思考加速』付きの『思念伝達』を解除し、闘技場舞台に立つツキハとコハクに視線を向ける。
何故ツキハとコハクが、このようなエキシビジョンマッチに出る事を了承したのか?
それは、ミョルマイルのある
その思惑とは、開国祭二日前に
ルヴナン支店の応接室に、ツキハとコハク、それにミョルマイルがいた。
今ルヴナン支店は、本店に移行する為の準備が行われており、表向きは支店だが、既に内部の人員は本店の人員と交代していて、魔人に人間、亜人や獣人など様々な種族が業務についていた。
そして、テンペストの住人である数人のホブゴブリンとゴブリナが、研修という名目で本店の者達から事務や受付などの教育を受けていたのだ。
応接室では、ミョルマイルが今回の開国祭における武闘大会の説明をしながら、第一回テンペスト武闘大会のエキシビジョンマッチに、ツキハとコハク二人が出てもらえないかと、交渉をしていた。
「――であるからして、是非
ミョルマイルは、少し緊張した
「へぇ。せやねぇ……。ツキハ、あんさんは、どないしますか?」
「えー、めんどい。あたしらの技は見世物じゃないしぃ。アンタと戦うと、すぐに寝技に持ち込んで来るから、却下だわ。ごめんね、ミョルマイル」
「まあ、そう言うと思ってましたわ。すんまへんな、ミョルマイル」
「あ、ええ……。それは何とも、はい……」
あっさりと断られ、言葉に詰まるミョルマイル。
(はぁ、なんや別の思惑でもあるんやろか? そもそも、うちらをあんなところに引っ張り出そうなんて、その真意はどこや?)
落ち込むミョルマイルを見てコハクは、その真意を聞き出そうとミョルマイルに言葉を投げかける。
「なあ、ミョルマイル。あんさんは、うちらをあんなもんに出そうとする真の理由はなんや? なにゆうてもかましまへん。本音を言いなはれ」
コハクは優しい顔でそうミョルマイルに言った。
それを聞いたミョルマイルは、チラリとツキハを見ると、ツキハは軽く
「では、遠慮なくワシの本当の考えを、述べさせてもらいます。一つは今、テンペストは一番大事なところに来ております。これの成功
そこまで言うとミョルマイルは、一度言葉を区切り、大きく深呼吸をする。
そして。
「二つ目は、この世界に古くから生きる人類の恐怖の象徴の一つでもある番外魔王コハク様、ツキハ様と、リムル様が対等の立場であるという事を、世界に知らしめしたいのです」
「ふーん。契約主という立場以上の姿を、人間達に見せたいと、いうことなの?」
「はい。そうであります」
「ふっふふふ。そこまで言わはるか、ミョルマイル。なんや面白い事を考えますなぁ、あんさんは」
対面に座るツキハがミョルマイルの考えを読み取り、コハクがスーッと足を組み、ソファーの
(こ、これは……。読めぬ、相変わらず表情からも言葉使いからも、感情が読めない……そう言えば……)
ミョルマイルは商売人という職業
しかし、ことツキハとコハクに至ってはその
だが、ある言葉をミョルマイルは思い出す。
そう、リムルが以前ミョルマイルに放った言葉を――
――『ミョルマイル君。ツキハとコハクなんだけど、何考えてるか、本当に読めないよね。でも、それを読み取るというか、感じられる方法が一つだけある。それはね、〝尻尾〟だ。ランガなどは嬉しいと、尻尾を盛大に振るけども、猫というか、猫種の魔物は、それと逆なんだ。盛大に尻尾を振る時は、凄まじく機嫌が悪いと思った方がいい。よくツキハがさ、会議の時に尻尾で、パシーンパシーンと何かを叩く音を立てるだろ? アレだよ。それで、嬉しい時や機嫌の良い時は、尻尾を上にピーンと立ててるかな。尻尾の振り方で様々な感情を表したりするんだよ猫は、ね。
(
慎重に言葉を選ぶという選択を、完全に捨て去ったミョルマイルは、意を決してコハクとツキハに向き直る。
「この国の将来は、三日間の開国際に凝縮されてます。それも、ほぼ成功でありましょう。それで、後は――武闘大会におけるエキシビジョンマッチで、御二人の凄まじい戦いを、観客達の目に焼き付けて欲しいのです」
「ねえ、ミョルマイル。それだと、武闘大会を喰っちゃう事にならない?」
「いえ、それは問題ありません。武闘大会決勝戦の後に、エキシビジョンマッチを行ってもらいます」
「そうなんかぁ。決勝戦の興奮冷めやらずのところにもう一発ガツンと入れてくれ、そう
どこか楽しそうに口元に笑いを浮かべるコハク。
それを見たミョルマイルは一瞬
「それも問題は、ありません。リムル様が、万全の備えを
そう言うとミョルマイルは、高らかに笑う。
コハクとツキハはそんなミョルマイルを見て、益々妖しい笑みを深めていく。
「ワシの目的は、観客達に恐怖を味合わせた番外魔王である御二人を、我が国に住まわせ、
ここまで言うとミョルマイルは、いつしか
「ふふっ。ガー坊とエラルド公が〝描いた
「そだねぇ。めんどいけど、それも必要なら仕方ないか。契約の一環として、出てもいいよ。でもね、一つ条件があるかな」
「一つ、ですか?」
条件があるとツキハに言われ、ミョルマイルは身を乗り出すようにゴクリと唾を飲み込む。
「あたしとコハクが手合わせすると、ガチで戦う事になるから、それでもいいなら出てもいいよ」
「えーとですな、長年の相棒たるコハク様と、本気で戦う事になる、と?」
「うん。あたしは、ヴェルドラは勿論、本気の手合わせには、誰であろうと一切手を抜かない。それが相手に対する礼儀だと思ってるから。ミョルマイルが知るところでは、ディアブロかな。アイツとは、幾度もガチで殺し合いをして来てるんだ。決着は、未だについてないんだけどね。だから、コハクと戦うって事は、そういう事なんだよ」
「はい……」
いつもの
(こ、れは、言葉が出な、い……。これまでに
己の自由の為に、常に強くあろうとするコハクとツキハ。
その
内心ミョルマイルは、コハクとツキハを恐れていた、がしかし、今では少し違う感覚を抱くようになっていた。
(悪……最凶の悪……。フッ、見た目に騙されると、とんでもないしっぺ返しが来るのは、間違いない。
様々な事を思い考えるミョルマイルは、これからの事を
そして、静かに立ち上がると、コハクとツキハに深々と礼をする。
「コハク様、ツキハ様。宜しくお願い致します」
それを受けた二人は座ったままで、表情は一切崩さず言葉を返す。
「へぇ。よろしおす、出ましょ」
「いいよ、わかった。でも、今回だけだからね」
と、静かにミョルマイルの要請を、受諾した。
こうしてコハクとツキハは、エキシビジョンマッチに出る事になったのだ――
会場内にソーカのアナウンスが走る。
『今回のエキシビジョンマッチに出る御二人は、最初で最後の試合になりますッ! 観客の皆様、悪の
(おいおい、そこまで言ってもいいのか? まあ、言ってる通りなんだけど)
ノリノリでツキハとコハクを悪と称するソーカに、リムルは内心苦笑いを浮かべる。
これは、ミョルマイルからソーカに、ありのまままの、過去から現在までの番外魔王の姿を好きに言ってもいいと言われていたからである。
『さて、このエキシビジョンマッチにルールはありません。しかし、試合時間は一時間となります。勝敗は、その時間内に立っていた方の勝利ですッ! よって、審判のディアブロ殿は、この試合の見届け人となります』
一度アナウンスを区切りソーカは、円形の会場内をゆっくりと見渡しながら、アナウンスを続ける。
『さて、観客の皆様方におかれましても、もし、番外魔王の御二人が暴走したら、と、お考えでしょうがッ! 御心配には及びません。何故なら! 我等が魔王リムル様が、この闘技場内に安全策を何重にも
そう言うとソーカは、スーッと後ろに下がり、ツキハとコハクから距離を取る。
ディアブロも同じく距離を取って行く。
ツキハとコハク、既に相対した瞬間から、二人の戦いは始まっている。
いつ戦いが始まってもおかしくない状態だった。
お互いに手を伸ばせば届く程の距離まで近づき、歩みを止めた。
「何年ぶりやろな、こうやって手合わせするんは」
「うーん、数十年ぶり、かな?」
そう言い二人は、お互いの足を牽制し合うように蹴り合う。
ガッ ガッ バシッ ガガッ
お互いに足を払うように蹴ったり、
「ほんま、昔から足癖が悪いどすなぁ、ツキハは」
「いやいや、アンタもなかなか足癖悪いよ、ね!」
ツキハが語尾を強く強調すると同時に、コハクの右足の甲を上から踏み押さえた。
バシッ
「痛っ。なにすんねん」
鋭利に細めた目で、吐き捨てるように言うコハク。
それはまるで手でやる指相撲を、足でやるかのような足相撲であった。
会場内に設置された大型魔力式スクリーンに映し出されたその攻防に観客達は、何か拍子抜けしたような感じに
ツキハ何も言わず、ニヤリと薄い笑みを口元に浮かべると。
「シッ」
短く息を吐き、右手の
コハクはそれを右手で受け防御する。
ツキハの右貫き手はまだ、コハクの右手に触れたまま。
間髪入れずに、ズバンと重々しい衝撃音が響くと同時に――
コハクが両足を踏ん張ったままザザザーッと闘技場舞台を滑るように、十数メートルも吹き飛ばされてしまう。
コハクは右脇腹を左手で押さえ、やられたにも関わらず、薄気味悪い笑みを漏らしていた。
「ええ? 今のは、ただのパンチ?」
「いや、あれは縦拳だろう」
「俺には、正拳突きに見えたのだけど……」
観客達は一瞬何が起こったのかわからず、無防備にコハクが拳を受けたようにしか見えなかったのだ。
正確には、ツキハが左縦拳を見舞っただけである。
〝
ツキハは、右貫き手を〝実〟の攻撃とし、〝虚〟、つまり右貫き手を、防御したコハクの右手に触れさせたまま、そこにまだ攻撃があるという〝
〝虚〟、コハクの防御の空白地帯、つまり右脇腹に〝虚〟の攻撃である縦拳を打ち込んだだけである。
意識をしない攻撃、相手にそれを悟らせない、それが〝虚〟なのだ。
もし、ツキハが右貫き手を引いて左縦拳を見舞ったら、完全にコハクに
何故なら、右手を引いた時点で〝実〟がなくなり、〝虚〟が消え失せるからである。
そして。
「見たか、リムル。あれが、〝虚〟と〝実〟を交えた、ツキハの攻撃だ。そして、コハクもそれを使って来るのだ」
「ああ。あれを
前を見たままミリムが言い、リムルが呟くように返す。
無意識の中に、技を置く。
これは、
ツキハは追撃もせず、舞台中央でコハクがやって来るのを待つ。
コハクに対して下手に追撃をしようものなら、確実にカウンターが返って来るのを知っているから。
「ようもやってくれはりましたな。追撃に来たら、しばいたろ思うてたんやけど、そうはなりまへんなぁ」
「アンタに追撃とか、確実に返し技を喰らうのはわかっているもの。それにさ、効いてもいないのに右脇腹押さえるとか、どんだけよ」
コハクは縦拳が当たった瞬間に、右脇腹に無意識に〝魔闘気〟を集中させ、打ち込まれた縦拳による打振を緩和していたのだ。
意識の外での攻防。
この二人が、ユニークスキルしか持たない頃からギィや原初、他の魔王に抗う事が出来たのは、この卓越した戦闘センスを持ち合わせていたからに
舞台中央に来たコハクが事無げに言った事に対して、ツキハはあっけらかんとした返しを言った。
『おおーーーっと、あれだけ吹き飛ばされたのに、ダメージがほとんどないのに驚きだあッ! 一体、あれだけのダメージをどうやって防いだのでしょうかあーーっ!』
一瞬の事で我を忘れていたソーカが、すかさずアナウンスを入れる。
「ほな、お返しをしましょかぁ。ツ~キ~ハ~」
そう言うとコハクは軽く両手を開いたまま、右斜め構えの右半身を取り、両手をスーッと上に上げる。
「ん、踊り?」
一風変わったコハクの構えに、リムルが、え? というような声を出す。
「来るぞ。コハクの鞭拳が」
「鞭、拳? (えーっと、なんか人間だった頃に……そう、あれって、確か大手動画サイトで見た、手の甲や手の平で相手を打つ拳だったよう、な……)」
リムルはミリムから鞭拳と聞き、元いた世界のとある武術家が使っていたのを動画サイトで見た事を思い出す。
「ド変態の鞭拳か、相変わらず似合い過ぎて笑いが出るよ、コハク」
そう言いながらツキハは、
ドンッ ズムッ パン パパパンッ
コハクの鞭拳が、あらゆる方句からツキハに襲いかかる。
「なっ、この、くそっ」
乾いた音を立て、手の甲や
肘の楔打ちで迎撃しようとするも、コハクの両腕がまるで柳の枝のようにユラユラと揺れながら、肘の迎撃をすり抜けて、コハクの両手が打ち付けて来るのだ。
コハクの右手の甲がツキハの顔面に打ち付けられようとするのをツキハは、左
ズガッ!
「ヤバっ!」
そう声を上げた時にはツキハの体は前のめりになり。
バギッ! 肉を叩く衝撃音と共にツキハの右顔面を、コハクの鞭拳が打ち貫いた。
そのままツキハは左方向に地面を派手に転がりながら舞台端まで飛ばされてしまう。
そして、場外へと転がり落ち、た。
『おおおーーっと、何が起こったあーーーーッ! ツキハ様は場外かあっ!!』
派手に転がり滑りながら舞台端まで行ったツキハ見て、ソーカが声を上げる。
そう、ツキハは、コハクの〝実〟の鞭拳を受け止めた瞬間に、〝虚〟の左下段前蹴りで軸足の右
そして、態勢を崩されたツキハは体が前のめりになり、無防備な顔面に鞭拳を入れられたのである。
エキシビジョンマッチルールに、場外負けはない。
それでも、ツキハが場外に落ちたのか確認に走るソーカが見たものは――
『こ、これはッ!?』
ソーカの驚愕のアナウンスが、会場内に響き。
それに合わせて、うおおおおおぉーっと、観客達の歓声が一斉に上がった。
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