忍びが転生したら〝異世界珍道中〟になった件 作:にゃんころ缶
お待たせしました。186話です
ツキハ
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コハク
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傭兵商会ルヴナン・真の紋章
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※〝打刀〟
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※作中使用の特殊フォントは、〝ライム酒様〟作成の特殊フォントを使用させて頂いています。
特殊フォントの反映には時間が掛かる場合がありますので、ご了承ください。
蒼白い閃光が走る。
ブオゥーンと、ツキハとコハクが手を振るたびに低い唸りを上げる
そして、それがぶつかり合うたびにバチッ、バチィッと閃光にも似た火花が散り舞う。
(あの技、プラズマジェットに似てるような、それともガスバーナーに似た、もの?)
リムルが、何となくそう思うと。
《解。あれは
『なるほど。それじゃあ、あれの温度は――』
《解。恐らく摂氏一万八千度から二万度だと推測します》
『ふあっ!? 結界ごと斬り裂くんじゃないのか?』
《解。生半可な『多重結界』ならば、結界ごと簡単に切り裂く事が出来るでしょう》
『ってかさ、何で戦国時代生まれの二人が、あんな電気の応用技を編み出すんだよ』
《告。それは、個体名:
『ああ! アレかあ。何かさぁ、アレってとんでもなくヤバイもんだよなぁと、今更ながらそう思うよ』
《告。個体名:
『ああ。それは俺も思ったよ、先生。ほんと、敵に回したらマジもんで驚異だよなぁ……』
《……》
リムルの疑問に答えた『
しかし、最後のリムルの
この時の無言は何を意味するのか?
この時リムルは、『
(先生も、アレには思うところがあるのだろうかねえ……。他者に、完璧な技術理論を与えられる
ちょっと複雑な思いのリムル。
そんなリムルの思いをよそに、視線の先ではツキハとコハクが激闘を繰り広げていた。
ツキハの右雷爪貫き手がコハクの顔面を狙う。
コハクは首を右に傾けそれを
と同時にツキハは右腕を瞬時に内に捻り、そのまま右腕をコハクの顔面に打ち付けた。
「ガハッ」
その衝撃に思わずコハクが声を上げる。
が、しかし、コハクは態勢を崩しながらもツキハの両手首を
すると、ツキハが自分の両手首を内から回し、コハクの両手首を掴み返し、いつの間にか素足になった両足のうち、右足親指をコハクの喉元に突き付ける。
そして――
ズンッと、重い衝撃音が
バンッ! いきなり闘技舞台の端で不可視の壁にぶつかり、ズルズルと地面に落ちていく。
これは、リムルが二人の闘いを見て、万が一の為に闘技舞台の四方にも新たな防御結界を張っていたのだ。
「あの技って、ミリムの技に似てないか?」
リムルが以前ミリムと闘った時に見た技を思い出す。
そこへ、『思考加速』をかけた『思念伝達』でミリムが返す。
『うむ。同じような技だが、あの技は相手の首を狙うものではなく、〝打震〟を打ち込む為のものなのだ』
『打振かぁ。あれって結構厄介だよな』
『そうだな。今ツキの放った打震が本当の威力なのだぞ』
『え? 打振だろ?』
『違うのだ』
リムルの問いに答えたミリムが、思考イメージで文字を送る。
〝打振〟と〝打震〟。
『〝打振〟と、〝打震〟?』
『うむ。あの魔闘気を込められた振動波は、二種類あるのだ。一般的に使用するのが〝打振〟。相手を確実に仕留める時に使うのが、〝打震〟なのだ。特に〝打震〟の方の固有振動波形はアノ二人の
『へえ。じゃあ、前にゲルドが受けたのが打振〟だったんだな。殺すつもりがないから、〝打振〟だった訳だ。それにしても、結構な威力だったと聞いたけど』
『うむ。通常の〝打振〟でも十分に脅威なのだ。どちらにしても、真の〝打震〟は相手を
『え、って、まあそうだよな。アノ二人が直々に育てた眷属達だものな。しかし、本当に厄介というか、絶対に敵に回したくはないな』
『リムルなら大丈夫なのだ』
『え?』
『ツキハとコハクの自由を阻害したり、邪魔をしたりはしないのだろ?』
『ああ。そのつもりは毛頭ないさ。ルヴナンとは契約だけの関係だし、とは言っても、ガッツリ他の事でも協力関係を築いているのは事実だ。そこを否定するつもりはない。だから、アイツらが外でどんな悪事を働こうとも、それが俺の国に関わらなければ、俺の手が届く範囲以外ならば、与り知らぬ事だよ』
『そうか。ならば、問題はないのだ』
そう答えたミリムは『思考加速』を解除し会話を終え、ツキハとコハクの闘いに注力する。
リムルもミリムの問いに躊躇なく答え、ちょうどコハクが地面に倒れ伏すところであった。
「なあ、あの技。足でも打てるのか?」
「うむ。手足だけではなく、肩、背中、肘など、あらゆるところから打ち込めるのだ」
「ほお。それなんとも厄介な打撃だよな」
「そうなのだ。ちなみに、ツキハが言っていたけども、あの技は足の親指で放つ、
「なるほど。人間の頃の体術の技法を魔物用に落とし込んだということか。しかし、
人間の頃に身に着けた技を使う『転移者』は、この世界に多数存在している。
しかし、こうも見事にこの世界の
この世界の根源を成すモノ、〝魔素〟。
そう、個々が持つ
「ひどいおすなぁ。こんな大穴を空けてからに」
地面から起き上がったコハクが、首後ろに空いた大きな穴を修復しながら言葉を吐く。
そしてその目は、完全に
『なんとぉー。足の指を使い、何かを放ってあのコハク様の首を貫いていたあッ! あ、今、ディアブロ殿からの情報が入りました。あれは魔闘気という番外魔王独自の技で、魔力、
何を言っても良いと許可が出されているので、思った事の言いたい放題のソーカである。
しかし、それとは別に静まり返っている闘技場。
観客達は、伝承や記実でしか知り得る事が出来なかった番外魔王の闘いに言葉を忘れ、ただただ見入っていたのだ。
そう、エキシビジョンマッチという枠組みを超えつつある、この戦いを。
「チッ。首ごと頭を吹き飛ばしてやろう思ったんだけど、そうは上手くいかないかぁ」
ツキハも完全に目が据わっており、舌打ちをしながら言葉を吐き捨てる。
「ほんま、あんさんは戦いになると人が変わりますなぁ」
目だけが笑っていない笑みで、コハクがツキハに言葉を放つ。
コハクは
呪符はバサァっと音を立て、コハクの足元に広がり落ちる。
そして、一瞬で印を五つ結ぶと、パンッ! と眼前で両手を叩き合わせた。
まえ
(舞え)
地面に広がり落ちた無数の呪符が、ザァーッと木の葉が舞うようにコハクを中心にして回転を始める。
そして、コハクが叩き合わせた手を離し、右手の人差し指と中指指だけを立てて真横に切った。
かこえ
(囲え)
それを見たツキハは。
「それをここで使うかあ!」
叫んだと同時にその場から残像だけを残し、消えた。
「逃がしまへんで」
冷徹な笑みの中、
はりねずみ
(ハリネズミ)
「狂い刺せ。呪符忍魔術、
技名を告げると共に、コハクを覆い囲んだ呪符の一枚一枚の中心に赤い小さな魔法陣が浮かびり、クワーッと魔法陣が光り輝くと――
全方位に魔力光線が放たれた。
(クフッ。これは流石にまずいですね)
全方位に撃ちだされた魔力光線を
ソーカが座る特別実況席に転移したディアブロは、慌てず優雅に席に腰を
『出たあぁーーっ! コハク様の呪符忍魔術の乱れ撃ちだあーーッ!! おおーっと、審判であり見届け人のディアブロ殿も、あまりの馬鹿げた攻撃に、特別実況席へと移動してきました!』
三十メートル四方の闘技舞台を舐め回すように無数の魔力光線が、まるで生きている光の蛇のように縦横無尽に暴れ回る。
ゴガガガァ! 闘技舞台に敷き詰められている
ツキハは闘技舞台上を残像残すほどの速さで動き回り、自分に向かって来た魔力光線を手や足で弾き返していた。
「こんのエロ猫があ―ッ! こんなところでなんちゅう術を使いやがるのよ!」
ツキハは怒号を上げながら、呪符を展開しているコハクのところまで一気に
「吹っ飛べやあッ!」
ツキハの右足が真上に高く振り上げられ、それを一気に地面に向かって振り下ろす。
ドズン! 凄まじい重低音が鳴り響いた。
ツキハの
コハクが展開している呪符が衝撃波で周囲に飛び散り、コハクも吹っ飛んだかと思われたが、既にその場からはいなかった。
「クソッ。逃げられたか」
呪符の群れが舞い落ちる中、左横に顔を向けながら言葉を吐き捨てるツキハ。
「
左数メートルに
すると、吹き飛ばされた呪符が、ザザザァーッと紙が
そして、呪符が光り輝き魔力光線の束がツキハを襲う。
リムルは、うねりながらツキハを追尾する魔力光線を見て、不思議そうに呟く。
(光が屈折したり反射するならわかるけど、
《――解。あの魔力光線は、光線というより粒子ビームに近い性質を持っています》
『えっ、粒子ビーム?』
《粒子。すなわち、あの光線には質量が存在するという事です》
『質量って……理屈はわかるけども。どうやって曲げたり追尾したりしてるんだよ』
《告。恐らく
『ふーむ。『重力操作』に、思念による制御ねえ……。不思議力ってわけでもなさそうだし、意思……精神による粒子ビームの軌道操作とか、だろうか……?』
『
ここで思い出されるのがミリムの必殺技の一つ、〝
これは、ミリムだけが操れる〝星粒子〟を利用したモノであり、〝星粒子ビーム〟といっても過言ではないだろう。
そしてこれは、散弾状に放たれた後、ターゲットを覆い包むように追尾命中する。
ミリムはこれを、無意識化の中でやっているのだ。
それを意識した形でやっているのが、コハクの呪符魔力光線攻撃であり、無論ツキハもこれを使える。
何故二人がこれに気付いたのかは定かではないが、長い年月の中での試行錯誤の上に気付いたのであろう。
そう、これは魔力光線ではなく、コハクとツキハが体内で作り出す〝魔電粒子〟である。
「ヤバっ!」
ドドオンッ! ツキハを全方位から覆い囲むように魔電粒子ビームが、全弾命中した。
ピシッ……
舞台床の
だが、リムルはそれに気付いてはいなかった。
爆炎が上がる中、ツキハは爆散したと誰もが思った。
観客達は口々に、恐れの言葉を表す。
「なんだよアレ……」
「おいおいおい。下手をすると、ここまで被害が及ぶんじゃねえの?」
「番外魔王。伊達に魔王が付いてるわけではなかったのか。あれは、魔王そのものだ……」
「目標を追う魔力光線って、そんなの見た事ない。あれは、魔法なの?」
歓声は上がらず、皆恐怖に縛られているかのようだった。
だがしかし、一部のところは違っていた。
「なにしてるにゃーーっ! アチシのお財布が爆発するにゃー。頑張るのにゃ、ツキハさまあぁーーッ!!」
「ふっ。猫使いの荒い
「よしよし。そのまま寝てろツキハ様。起きるんじゃねえぞおっ!」
「死んだかな? 爆散して粉々になったかな? ウフフ。今日は豪遊よお~♪」
相変わらず暴言祭りの眷属達である。
もうもうと立ち昇っていた爆炎が薄れ、徐々に消え去ると、その中心に倒れている人影が見えて来た。
それは、左腕と右脚が付け根から吹き飛んでいて、派手に赤い魔素粒子を巻き上げていたツキハであった。
『なんとおぉーっ! ツキハ様の左腕と右脚が吹き飛んでいるー! どうなるんだこの闘いは、もう終わりなのかあっ!!』
ソーカがガタっと席を立ち、魔力式マイクを握りしめ絶叫アナウンスする。
血こそ出てはいないが、巻き上がる赤い魔素粒子がまるで
「あー、いてぇ。本気で撃ち込みやがった、コハクのヤツ」
ツキハは
パッと魔素粒子が散ると、完全再生された左腕と右脚。
ツキハは軽く両足を開いたままむりくりと上半身を起こし、下を向いたまま薄ら笑いを浮かべる。
(フフフ。気味が悪いどすな。追い打ちを仕掛けたいどすが、防御に集中した方がよろしかもどすなぁ)
コハクは何かを警戒して動かずに呪符を展開したままであったが、追撃は仕掛けてこなかった。
「ククッ。いいねえ、そうじゃなくちゃ。流石あたしの相棒だよ、コハク。もう、あたしも本気でやらせてもらうよ。ウクククク」
小さな笑みを漏らしつつ、ツキハは立ち上がり、全方位結界を自分に張る。
すべてをまげろ
(全てを曲げろ)
「『重力結界』、グラビティウォール・
結界名を口にすると、黒い半球状の幕がツキハを覆い隠し、いきなりパッと霧散した。
しかし、結界の中心にいるツキハの姿が、どこかウネウネと曲がりうねってるように見えた。
「ん? あれ、普通の結界じゃないな。ツキハに向かっている光が、
《……》
『解析鑑定』で見たツキハの結界に、厨二心をくすぐられたリムルが思わず声を上げ、何故か
しかしコハクは。
「ふふふ、もうそれを使うんどすか。喰らいなはれ、
ブチキレ始めたツキハに、コハクが冷え切るような表情で術名を発す。
キュウゥンッ! 一斉に呪符から魔電粒子ビームが放たれ、ツキハの頭上十メートル程の空中に集まると、流星の雨のように降り注ぐ。
キュワン。降り注いだ魔電粒子ビームの雨はツキハに届かず、『重力結界』で曲げられ、あらゆる方向に進んでしまう。
地面や四方の結界に当たり、跳ねまわる魔電粒子ビーム。
(魔力の超高圧縮開始……臨界まで、三秒。続いて、魔電粒子に精神波と魔力、魔闘気、
内心で大笑いをしながら、新しい技を構築していくツキハ。
それは、〝
「コハク。見せてやんよ。あたしの考えた、新しい必殺技を、な」
鋭利な目付きで笑みを浮かべながら言い放つツキハ。
「なんやて!?」
それを聞いたコハクは、即座に展開していた呪符を
すべてをねじまげなはれ
(全てを
「なら、うちも新しい呪符結界を見せましょかぁ。
それは、重力結界符だった。
(ええ!? コハクも使えるのか『重力結界』を! って、ツキハも考えるのなら、同じ事考えるわな、コハクも。でも、新技って、何だ?)
一瞬驚いたリムルだが、どこか妙に納得をしてしまい、ツキハが言った新技に興味を引いた。
「なにっ、新技だと!? 一体どんな技なのだ? ワクワクするのだ!」
同じくそんな事には誰よりも好きなミリムも喰い付く。
観客達はツキハが何をしているのわからず、ただただ
ソーカもアナウンスを忘れ、ツキハの行動に目が釘付けになっていた。
ディアブロは、意味深な笑みを浮かべたまま、ツキハから視線を外さなかった。
ツキハは両足を肩幅より大きめに開き、少し腰を落とし、両拳を上に向けたまま両腕を少しだけ後ろに引き腰だめに構えた。
バチ、バチッと放電現象を始める尻尾。
そして、口を開くと、その中に
更にそれが輝きを増し、ツキハの眼前に、蒼白い直径五十センチ程の魔法陣型の重力レンズが五枚形成される。
焦点を絞るように、チィーッチィツと音を立て前後に動く重力レンズ。
キイィーーンッと
キキキイィンッ、
こうぼうほうこう
(
「
カッとツキハの口の中の光球が再び輝くと――
荒れ狂う、超高圧縮された〝超魔電粒子〟のビームが、打ち出された。
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