忍びが転生したら〝異世界珍道中〟になった件 作:にゃんころ缶
ツキハ
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コハク
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傭兵商会ルヴナン・真の紋章
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※〝打刀〟
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※作中使用の特殊フォントは、〝ライム酒〟様作成の特殊フォントを使用させて頂いています。
特殊フォントの反映には時間が掛かる場合がありますので、ご了承ください。
《了。
(どこか他人任せの俺だが、いや、そんな俺だからこそ、この瞬間だけは演じてみせよう。
失敗など恐れない。
絶対に全部が上手く行くんだと、リムルは、そう自分に言い聞かせる
そんなリムルとミリムに、子猫化ツキハがあるモノを渡す。
首に巻いてる朱色の飾り
そして、リムルの肩に乗りながらミリムを呼び寄せる。
「この紐だけど、二人ともちょっと小指を出して」
「おう?」
「ぬぅ?」
差し出された小指に、切った紐を巻いていくツキハ。
「この紐はね、この飾り紐の一部だから、どんなに魔素や空間が乱れても、あたしを追跡出来るんだよ。だから、ミリムも遠慮なくぶっ放しても大丈夫。リムルもあたしを見失わなくて済むよ」
ツキハは、自分の首に巻いてある飾り紐を前足の小さな爪でチョンチョンと指し説明する。
「おお、確かに。お前の
「凄いのだこれ! これならお前を避けて攻撃できるのだ!」
小指に巻いた紐から、『魔力感知』でトレースするよりも確かな感覚が伝わって来て、感嘆の声を上げるリムルとミリム。
「じゃあ、ツキハ、頼む!」
「頼むのだ、ツキハ!」
「あいよ、任されたッ!!」
ツキハは力強く答えると、リムルの肩を蹴って飛び、カオスドラゴンに向かって加速した。
子猫化の身体を分解してクワーッと輝く光球になり、その光球に巻き付く飾り紐。
カオスドラゴンが光球を払うように勢い良く右前足を振るが。
『当たるか、ボケェーッ!』
超高速で稲妻のように不規則軌道を描き、カオスドラゴンの口へ飛び込んだ。
そして、胸の真ん中辺りで止まり、『重力操作』で空間を
その間のカオスドラゴンの暴威を、リムルとミリムが抑える。
『どーこーだぁ、〝魂〟はぁ~』
…………
……
…
黒い
『おッ! 見つけたぁーー!!』
フォーン フォーン フォーン どこか
『そっか。悲しくて、悔しくて、憎くてたまらなかったんだね。アンタを殺し、ミリムを悲しませた奴らが』
ツキハの感覚に触れたのか、魂の中にある〝心核〟がフォ~ンと力なく鳴き。
〝憎念〟がカオスドラゴンの〝心核〟に蛇がとぐろを巻くようにツキハには視えた。
『大丈夫。その一番厄介なもんを、今からあたしが喰ってあげる』
ツキハがそう言うと光球がフッと消え、飾り紐に自身の〝魂〟を移した。
〝心核〟に絡みつく〝憎念〟の上から更に絡みつくように飾り紐が絡みつき、フォ~ンと低く唸りながら
『今楽にしてあげるからね』
そうツキハが言い、〝憎念〟を喰い始めると――
アラアラ マサカ コンナトコロマデ クルナンテ ウフフフフフフフフフ
ナンテ ワタシハ ツイテルノカシラァ~
と、チヨメの声がツキハの〝魂〟に囁いて来た。
『にゃ!? テメエ、チヨメかッ! 〝憎念〟の中に思念体を潜ませていたな?』
フフッ ゴメイトウ
セイカクニハ シネンタイヲリヨウシタ ワタシノ カゲナノヨ ツキハ
『じゃあ、テメエは今、この影と繋がってる訳だ』
ソウヨウ~
『その影ごと喰らって消化してやんよ、チヨメ』
ダメダメダメ ソンナブスイナコト シテハ ダメ
『うっせえよ。今急いでるんだ、邪魔すると、ぶっ殺すぞ!』
チヨメの声に、凄まじい殺気を滲ませ言うツキハ。
ホッ!?
そのツキハの殺気に、ビクッとした声を上げるチヨメ。
ホントウニ アナタノ ソノ サッキハ カワラズ スサマジイワネ
モト ニンゲンノシノビ ワタシガ アイシタ イザヨイツキハ
シカシ アナタ アラアラ ドウシタノ ジャクタイカ シテナクテ?
ツキハの〝魂〟に、チヨメのニヤリと笑う感覚の声が響く。
『チッ、バレてるんかよ』
それに対して、ツキハが舌打ちをする。
アハッ
イタダクワヨ アナタノ タマシイ
『やるか、ボケエェッ!!』
チヨメはそう言うと、呪歌を歌い始める。
カコエ カコエ ヤミノナカノ タマシイ ヲ
トオリマセイ イキマセイ メイドノ クラキミチ
シバレ オトセ クラキミチヘト マヨイコンダ タマシイ ヲ
ウツセ ウツセ
カコッテ ミセヨウ ツキノカゲ
‶呪歌・
チヨメが呪歌を唄い終えると、‶憎念〟が飾り紐に
『あがっ! ちょ、クソ、やめっ、離れろやーーッ!』
‶憎念〟が黒く細い紐状になり、朱色の飾り紐を絡め捕る。
カンネンナサイ ツキハ
テイコウスルト カオスドラゴン ノ シンカクハ クダケルワヨ
ウフフフフフフ アハハハハハハ サア サア サア オイデナサイ
ワタシノモトヘ イトシイ ツキハ
『う、うがががっ、は、離れねえ……』
呪歌によって魂が縛られるのに抵抗するツキハ。
朱色の飾り紐と、憎念の紐がまるで蛇の喧嘩のように絡み合い、パリッパリッと火花のような魔素粒子を発する。
そこへ、あれが響いて来た。
チリ チリリリ ヂリッ チリリリッ ヂリリッ チリリリ チリッ
時空震ノイズが走り、バックンと心臓の鼓動のように時空間を叩く。
ナニ? ナンナノカシラ エッ?
チヨメには時空震ノイズは聞こえず、何が起こっているかわからなかった。
『ヤベエ、役立たずが、起きちまう。‶心核〟を守りながら‶憎念〟を喰らい尽くす、か。仕方ねえ、アレ使うかぁ。〝
ツキハはそう決断すると、残る
『よし、これで‶心核〟は大丈夫。で、お前は、起きてくんなッ!!』
バクンッ! ツキハの気合一発で時空間が揺らぎ、役立たずは沈黙する。
そして、
エト ツキハ? ナニシテルノカシラ? テイコウハ ダメヨ
イマ コチラヘ ヒキヨセテ テ? アラ アララ?
マダ コンナ テイコウスル チカラヲノコシテルナンテ
オウジョウギワガ ワルイワヨ ツキハ
チヨメが魂を縛る力を強めていく。
しかし、飾り紐から漏れ出る圧迫感に、憎念の黒い紐がじわりじわりと
アラ ドウシテ ドウシテコバムノ? ツキハ? ヤメナサイ
アナタ ナニヲ …… ナニヲスルキナノ?
ナンデ ドウシテ ワタシヲ ソコマデ コバムノ? コタエナサイ ツキハッ!!
『テメエ勝手にさ、押し付けられる好意はすっげえ嫌いなんだよ、あたしは』
ナンデ? コハクモ ワタシト オナジジャナイ ドコガ チガウノヨッ!!
『アンタとは全然違うよ、コハクはね。それがわからないから、アンタは駄目なんだよ』
絶叫するチヨメに、淡々と返すツキハ。
ツキハアァーーーーーッ!!
怒号のような思念がツキハに浴びせられた。
『よし、これくらい圧縮すれば‶憎念〟を吹き飛ばせるな。じゃあな、チヨメ。次会ったら、アンタの命、もらうから』
チョット マチナサイ ツキハッ!!
『待たねえよ』
ツキハが圧縮した
《お待ちを、ツキハ!》
『えっ、ラファ?』
『俺もいるぜ。ツキハ』
『リムル?』
『守ると言ったろ? なあ、一人で勝手に決めて、自爆なんてすんじゃねえよッ!』
『ふにゃ! あ、うん、ごめん』
リムルの怒りに満ちた思念が、ツキハの魂に突き刺さる。
その勢いに
そう、万が一が起こらないように。
『全くお前は。これだから
辛辣に言いながらも、どこかお道化るように言うリムル。
そして。
《ツキハ。
『うん。頼むよ、ラファ。そして、ありがと、リムル』
《了》
『おう』
ツキハは、今の自分の状態ではカオスドラゴンの‶心核〟を守る事が精一杯であり、それをわかってるからこそ
己を知り、敵を知る、ツキハは決して敵を侮らない。
だから、勝つ為にはあらゆる手段を使うことに躊躇はしないのである。
《では、ツキハ。貴女の‶魂〟を『絶対精神防御』で保護します。それには、貴女の
『うん、頼む』
《『絶対精神防御』発動……成功しました。次に、個体名:チヨメの‶憎念〟に対しては……貴女の最強の相棒たる者が、今駆けつけて来ました。無理やりに……》
『あ~うん、エロ猫様が嗅ぎつけたのね……』
《是》
どこか、何とも言えない感じで言うツキハと
と、そこへ。
『当たり前やろ。うちがツキハの危機に気付かんと思うてはるんか?』
『エロパワー?』
《回答不能》
『あんたら、しばくで?』
『ごめん。助けてください、エロ猫様』
《……》
『誰がエロ猫やねん! ツキハへの愛に溢れた、美ニャンコやねん』
『自分で言うか、それ?』
《意味不明》
コハクの言葉にツッコミを入れるツキハと
『アンタらなぁ、揃いも揃って……まあ、ええどす。時間があらへんのやろ? ちゃっちゃとやるで』
『あいあい』
『ツキハ、返事は一回や』
『あい』
『ラファエルは、ツキハの‶魂〟を全力で守りなはれ。チヨメの‶憎念〟は、うちが跡形もなく
『了。しかしそれは、
『さよか。ほな、やるで』
そこで皆の『思念伝達』と『思考加速』は切れ、現実の時間が戻って来る。
ツキハ イウコトヲ キキナサイ
アナタノ タマシイハ モウ ツカマエタモ ドウゼンナノヨ カンネンナサイ
チヨメがいい加減諦めろと言うようにツキハに言って来ると――
『なーにが、観念やねん。ド変態女がッ!』
ハイ!?
いきなりコハクの思念に割り込まれ、すっとんきょんな声を上げるチヨメ。
コハク? ドウヤッテ ココマデキタノヨ!?
『どうも何も、うちとツキハは‶魂の回廊〟で、結ばれてるんやでぇ。ウフッ』
ハアアァッ!? ソンナコトキイテナイワヨ!!
『だから、今言うたんどす、アホ女。クスッ』
コハク イマワラッタ? コロスゾ ドヘンタイネコガ
ゾワリとした殺気をコハクの思念にぶつけ言うチヨメ。
『何とでも吠えなはれ。アンタの‶憎念〟は、そっくりそのまんまアンタに返したるさかい、大人しくしときなはれ』
コーハークーーーーッ! モウスコシノトコロデ ジャマヲスルンジャナイワヨーッ!!
チヨメは凄まじい怒号を上げ、‶憎念〟を激流の如く暴れさせる。
そこへ、パンッと乾いた拍手が空間内に響き渡った。
エッ!?
遠く離れた東の地の首都にある大きな屋敷。
その部屋の一室で座禅をするかのように座る、女性がいた。
女性の眼前には一枚の黒い呪符が宙に浮いて、赤い文字で書かれた梵字のような呪文がホワーッと点滅を繰り返していた。
そう、チヨメである。
黒呪符を介し、自分の影である思念体を飛ばしていたのだ。
そのチヨメの脳裏に、二つの金色に輝く猫目が浮かび上がって来た。
それは、コハクの猫目である。
サセルモンデスカ ギャクニゾウネンデ クイチラカシテ ヤルワヨ!
チヨメは素早く八つの印を結び、パンと両手を眼前で叩き合わせた。
だがしかし。
『遅いで』
チョット!?
そうコハクの声が届くと、
おん あびらうんけん そわか
‶オン・アビラウンケン・ソワカ〟
ひかりあるところ やみあり
‶光あるところ 闇あり〟
なんじがはなちし じゃぞうのねんは
‶汝が放ちし
わがかがみにてかえさん
‶我が鏡にて返さん〟
げきどのほのおをもって
‶激怒の炎を
ちりはりに
‶塵は塵に〟
はいははいに
‶灰は灰に〟
やみはやみに
‶闇は闇に〟
ひとしくかえさん
‶等しく返さん〟
『忍魔術、呪詛返し・
術が完成し、術名が告げられる。
チョット ソレハ ラッパノヒジュツ!?
ナンデ コノセカイデ グゲンカデキルノ?
ナニヲシタ コハクーーッ!
『フフッ。何を眠たいこと言ってるねん。あんたも‶歩き巫女〟の秘術をこの世界に最適化してるやないか。アンタが考える事は、うちが五千年前に考え付いた事やねん。アホちゃいますかぁ、チ・ヨ・メ』
ハアアァッ!? アホハ オマデショウガアァアアアアアアアアアッ!!
コハクが煽る様に言った言葉に、声を荒げて叫ぶチヨメ。
『そないに怒らんでもええやん。フフッ。ちょこっと手を加えてこの世界に最適化しただけやで』
マサカトハオモウケド アンタ ラッパノニンポウヲ ジュフジュツヲ スベテ コノセカイデ サイゲンデキルンジャナイデショウネ?
『へえ、ほぼ出来ますで。こちらの世界の
……イマイマシイカギリネ ワタシトハベツノ ジュフツカイノテンサイト イワレタダケアルワネ
ヤハリ アンタハ ゼッタイニ コロスベキアイテネ カクゴシナサイ
ツギハ カナラズ コロスワ
『もうお喋りはええやろ。ほな、さいなら』
コハクがそう言うと、パンと拍手が一つ鳴り響いた。
マチナサイ コハクッ!
ユルサナイワヨ イツモ イツモ イツモ イツモ イツモ!
ワタシノジャマバカリ シテーーーーーッ!!
リリリ―ンッ
軽やかな鈴の音が鳴り、‶憎念〟が不可視の力でツキハの魂から引き剥がされる。
そして、‶憎念〟が渦を巻くように
バツンッ!
まるで、ブレーカーが切れるような音が鳴り。
一気に‶憎念〟がチヨメへと返された。
ウキャンッ!
思念体の影が叫び声を上げ、本体のチヨメが座禅を組んだまま後ろにひっくり返る。
コハクの呪詛返しによって増幅された‶憎念〟を一気に返されたチヨメ。
いくら憎しみの念を操るチヨメでも、カオスドラゴンの憎しみによって増幅された‶憎念〟はチヨメを卒倒させたのだ。
「つ、次、は、必ず、ころ……ふあ~……」
自分が放った強大な‶憎念〟が倍返しで返され、意識混濁の状態に陥ったチヨメである。
と、そこへ。
「チヨメ様。何をしてるのですか?」
カゲロウがチヨメの叫び声を聞いて、部屋に入って来た。
半分燃え尽きた黒呪符が床に落ちていたのを見て、盛大なため息を付くカゲロウ。
「カ、カゲ、ロウ、ちょ……っと……」
「はあ~。
どこか残念そうな目でチヨメを見下ろし、そっと抱き抱えるとベッドまで運び、静かにチヨメを寝かせて、そのままチヨメの自室を後にするカゲロウ。
その後、番外魔王にチョッカイを出したのが元帥閣下にバレて、こっぴどく説教を喰らったのは言うまでもない。
『ええで。‶憎念〟は片付いたさかい、存分にやりなはれ、リムル、ツキハ』
コハクの『思念伝達』が、リムルに届く。
『よっしゃ――ッ! 助かったよ、コハク』
『ありかどねー、コハク』
『へえ』
コハクは一言だけ答えると、すぐに『思念伝達』を切った。
と、同時にリムルはミリムに合図を飛ばすと、カオスドラゴンの頭上に飛び行き、真下に両手を広げ
「ミリム、いいぞ。やれッ!!」
「うむ! 行くぞ、友よ。星々の瞬きを、その目に焼き付けよ――
ミリムが雄叫びを上げ、凄まじい脳裏を焼き尽くすような、眩い閃光が走る。
幾条にも分かれた光の閃光が弧を描き、カオスドラゴンを包み込むように
ドン ドドドン ドンッと、轟音が空を震わせ鳴り渡る。
ミリムの放った膨大な力の
禍々しい力の障壁と、ミリムの拡散閃光がぶつかり合う。
拮抗する、力と力。
リムルはその力の流れを見極め、ツキハからもらった朱色の紐の導くまま、ツキハの魂とカオスドラゴンの‶心核〟を正確に探り当てる。
リムルの脳内イメージには子猫のツキハが、優しくカオスドラゴンの‶心核〟を抱き抱える姿が浮かんだ。
ツキハの魂とカオスドラゴンの‶心核〟を守るだけで、自分自身の
(くっ……なんて重いんだ、とてつもなく、重い、憎悪。ツキハは、コレを喰らってたのか。信じられないな、全く……)
初めて知る、闇より濃い、憎しみの感情。
(うくっ。気を緩めたら、一気に持っていかれそうだ。これが、感情を喰われるという、感覚なの、か……。うぐっ、ぐうぅぅ、うぐぐっ、ファ、ファルムスのヤツ等、よくも俺の仲間を、殺し、た、な……)
《いけません、
あまりの憎悪の激しさに、憎しみの感情に引きずり込まれそうになるリムル。
そこへ――
リムルの小指に巻き付けていた、朱色の紐がホワーッと
リムル ダメダヨ ニクシミノ カンジョウニ ヒッパラレテル
アンタノニクシミハ イカリニカエタジャナイ? シズカニ イキヲトトノエテ
コッチニ キテ アタシノ コエ ノ スルホウヘ ハヤク
(あ、あぁ、ツ、キハ、か、?)
ソウ セイシンヲシュウチュウシテ イカリデ ニクシミヲ モヤスノ
(い、いか、怒り……)
ソウ オコルンダヨ ニクシミジャナイ オコルンダ リムル
(……何か、無性に、腹が、立って、来た、かも……)
ヨカッタ イシキヲタモテタネ
(あ、あぁ……)
ジャア チョット オネガイガアルノ
サイゴニノコッタ アレハ リムル ガ ジョウカシテネ
アタシハ シンカクヲ マモルノデ テイッパイ ナンダ タノムネ
と、ツキハの声がリムルの‶心核〟に優しく響き、正気を失いかけたリムルの意識が正常に戻った。
『……うおっ!? ツキハか? ヤバイ、ヤバイ。スマン、助かった。危うく憎しみの感情に飲み込まれるところだった。しかし……マジで厄介極まりないな憎しみの感情は。そして、それを意のままに操る、東の帝国の‶忍び〟チヨメ。コイツは、マジに危険だ』
リムルは、改めて憎しみの感情の怖さを知った。
そして、気を取り直して、今やるべき事に集中するリムル。
(よし、ツキハの魂とカオスドラゴンの‶心核〟の保護は完璧だ。残るは‶強欲〟だけど。‶憎念〟に比べれば、浄化は容易いな。では、ん? んん? これは!?)
その時、最後の黒い霧みたいなものが、消えた。
ユウキがマリアベルを倒したのである。
「良し、これならいける!」
リムルはここで一気に勝負を決めるべく、『
「ミリム、ここで一気に勝負をかける。まだ、出力を上げられるか?」
「任せるのだ! ツキハの位置はちゃんと把握しているのだッ!!」
リムルの言葉に従い、ミリムも本気を出した。
ミリムの身体が激しく輝き、燃え盛る蒼炎のエネルギー粒子がミリムの両手に凝縮されていく。
やがて、それが最高潮に達すると――
ミリムは咆哮とも取れる声を高らかに上げる。
「いくぞ……うおぉおおおおお、
眼前に突き出した両手の平から、半径十メートルはある極太のエネルギー光線が撃ち出された。
グワァアアアアアアアアーーーー!!
まるで竜の咆哮にも似た、破壊の光閃は……。
カオスドラゴンを喰らうように、呑み込んでいった。
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