忍びが転生したら〝異世界珍道中〟になった件   作:にゃんころ缶

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 お待たせしました。三十話です







30話 我 完全復活!!

 翌日の朝。

 

 大会議室に集まった錚々たる面々が集結していた。

 

 

 集まった幹部のは以下の通りだった。

 

 まず、リムルの臨時秘書のシュナと正式秘書のシオン。

 

 政治部門からは、リグルドと、その他人鬼族(ホブゴブリン)の長老達。

 警備部門からは、リグルとゴブタ。

 軍事部門からは、ベニマルとハクロウ。

 生産部門からは、カイジンとクロベエに、ガルムとドルド。

 建設部門からは、ゲルドとミルド。

 管理部門からは、リリナ。

 諜報部門からは、ソウエイとソーカ他四名

 ペット枠からは、ランガ。

 

 そして今回から新設された、開発部門からガビル。

 後、新人の第二秘書から、ディアブロ。

 

 更に、魔国(テンペスト)以外の参加者として、ヨウムとミュウラン、グルーシスにその仲間達。

 それから、獣王国ユーラザニアから、三獣士。

 

 三十名以上の者達が、この大会議室に揃った。

 

 そして、会議が始まる。

 

 リムルの会議前の挨拶が終わると、新しく仲間になったディアブロの紹介がなされた。

 

「先に皆に紹介しておこう。今回、俺を窮地から救ってくれたディアブロ君だ。かなり強くて頼もしい仲間だから、皆も仲良くするように!」

「ほう? 隙がないのう……。これは、かなりの手練れのようじゃ」

 

 リムルの紹介を受けてハクロウが太鼓判を押したことで、皆がすんなりと仲間と認められたのだった。

 

 続いて、ガビルの名が呼ばれた。

 

「それと、ガビル!」

「は、はい?」

 

 幹部達が揃う中、今回の会議に呼び出されたガビルは落ち着きがなくソワソワしていて、名を呼ばれた瞬間緊張しつつ、勢いよく起立した。

 

「今日からお前に、開発部門を任せるよ。役職は暫定的だが、今日からお前も幹部だ。よろしく頼むよ?」

「は、ははーーーーっ! このガビル、身を粉にして働きまする!!」

 

 いきなりの幹部昇格にガビルは、感涙に咽びながらそれを喜ぶ。

 意外にもガビルは開発や研究が性に合っていて、それを見抜いたリムルの抜擢だったのだ。

 

 

 そして、本題に入るリムル。

 

「俺、魔王になることにしたよ」

「「「「「はい」」」」」

 

 意外にも皆のそっけない返事に。

 

「だから、魔王にね――」

「――ええ。もう、なってますよね?」

 

 シオンが首を首を傾げながら、自分が復活出来たのはそのお陰ですよね? と聞いてくる。

 

「いや、そうじゃなくてだな。世界に向けて、俺も魔王だと宣言しようと思ってさ!  つまりだ、他の魔王に喧嘩を売る。――というより、相手は魔王クレイマンだ」

 

 リムルの言葉に、ヨウム、ミュウラン、グルーシスが、そして三獣士までもが一斉に頷いて、賛意を示す。

 

「なるほど。自分から魔王の席を奪うってわけですね。面白い」

 

 ベニマルが不敵な笑みを浮かべ賛同し他の者も同意なのか、誰からも反対意見は出なかった。

 

「そうだ。今回、シオン達を襲撃した影で、ミュウラン達を操っていたのがクレイマンだった。俺はコイツを許せない。その上、獣王国ユーラザニアへ魔王ミリムや魔王フレイをけしかけた。この裏にもクレイマンが、いる可能性がある。叩くには、十分な理由だろう?」

 

 リムルの言葉に全員が頷き、これからの具体策をリムルが披露する。

 

 まず、西側諸国との、今後の国交について。

 ファルムス王国との、戦争の後始末について。

 そして、西方聖教会への牽制について。

 

 最後に魔王カリオンの救出についてを話し、皆に仕事を割り振っていった。

 

 

「リグルド、お前には西側諸国との交渉を任せる。今までの信頼関係を大事に、事を進めてくれ」

「御意! お任せください、リムル様」

 

 リグルド以下、長老たちの士気は高い。

 

「ベニマル。お前は、全員の進化結果を纏めろ。全戦力を以って、クレマンを叩き潰す。その為にも、自分達の持つ力を把握しないとな」

「了解です。リムル様」

 

 ベニマルは自信に満ちた顔で頷く。

 

「シオン! お前には、捕虜の尋問を任せる。ヨウム、ミュウラン、シオンを手伝ってやってくれ。出来る限りファルムス王国の内情を吐き出させて、国を奪うぞ。ヨウムを新たな王として新国家を樹立するには、あいつらの情報が必要不可欠だ。決して、殺すなよ? 今後も利用価値が、あるだろうからな」

「お任せを。リムル様!」

「任せてくれ、旦那」

「少しは恩返しになればいいのだけれど。出来るだけの事はさせてもらいます」

 

 シオンのやる気は、リムルを少し不安にさせた。

 何故なら、シオンの目の奥底に不穏な気を感じていたからだ。

 

 だが、リムルはシオンを信じ、万が一の為にヨウムとミュウランを付けたから大丈夫だろうと、その不安を払拭する。

 

「ソウエイ!」

「速やかに、クレイマンの情報を集めてきます」

 

 言うやすぐにソウエイ達諜報部門の者達は、その場から姿を消した。

 ソウエイ達が帰ってから本格的な作戦会議になるなと、リムルは判断する。

 

 それから、三獣士達に――

 

「三獣士の諸君。今言った通り、俺はクレイマンを潰す。その為には、獣人の皆にも協力をお願いしたいのだが?」 

「願ってもない事ですわ、ジュラの大森林の盟主様」

「何でも言ってくれよ。オレ達は今暫く、アンタの命令で動くぜ!」

「俺達は皆、心は一つ。獣人は、信頼には信頼で、恩には命を以って報いる。俺達は、貴方に返しきれぬ恩を得た。次は俺達の命を以って、貴方様に報いる番です!」

 

 三獣士もリムルの命令下に入る事を了承し、取り急ぎ三獣士と戦士団はきっちり休息を取る様に命じられる。

 

 これで一通りの命令が済み、リムルは仮面を手に取り被ると、椅子に座り。

 

「行け!」

 

 号令を発すると、一斉に皆が動き出した。

 

 会議室に残ったのは、リムルとシュナ、ディアブロの三人だけであった。

 

 

 そこへ、コンコンとドアをノックする音が響く。

 ディアブロがドアを開け、入って来たのはベスターだった。

 

「お呼びとの事で、参上しました。この度は災難でしたな。ですが、リムル様が御無事で何よりで御座います」

 

 リムルを見るなりベスターが挨拶をする。

 

「本当にな。それで聞きたいんだけど、人類の国家間での争いはどうなっているの?」

 

 リムルはストレートにベスターに問うた。

 

「ファルムス王国の件ですね。確かに、難しい問題ですな」

 

 そう言ってからベスターは戦争に関する事を話し始めた。

 

 まず、西側諸国の中でも評議会――西方諸国評議会に加入する国家間では、戦争はなかなか起こせないと言う。

 

 仮に起こしたとするなら、宣戦布告から始まり、厳正たるルールに則って行われるとの事。

 これを守らなければ、評議会を敵に回すことになり、ひいては西側諸国全てが敵になるとベスターは言った。

 

 ならば、評議会に参加していない国はどうなるか? 

 これは色々あると説明しながらも、基本勝っても負けても評議会は関与しないらしい。

 ただし、余りにも悪逆非道な真似をしたら、評議会の中での信用を落とす結果になると。

 

 しかし、逆に攻められた場合は話が別で、その時は評議会へ救援要請を出せるとの事で、そういう利点があるからこそ小国が多数加入しているわけだと説明する。

 

 武装国家ドワルゴンや、東の帝国――ナスカ・ナムリウム・ウルメリア東方連合統一帝国などは当然、評議会になど加入せず、関係ない。

 

 万が一にも、その大国と事を構える事態になったなら、評議会は一丸となって対処せざるを得ないだろうが、自分からその大国に喧嘩を売ったなら話は別らしい。

 むしろ、大国からの怒りを買うのを恐れ、その喧嘩を売った国を評議会から追放する事もあるのだと、言った。

 

 なら、加入していない小国はどうなのだと、聞くと?

 

 もし、評議会加入国が、加入していない小国に攻め入ると、嬉々として出てくる組織があると、ベスターは先程より真剣な顔付でリムルに告げた。

 

 それは、〝傭兵商会・ルブナン〟であり、攻められた小国に加担すると。

 小国には適正料金で請け負い、攻め入って来た大国に対して過大なる損害を与え、その大国から賠償金をせしめ、その三割を受け取り、残りを依頼国へ納めるそうだと。

 

「まあ、このような形で〝傭兵商会・ルブナン〟が劣勢な小国に商売に行くわけでして。資金に余裕のある小国は、いざ戦争になれば――〝傭兵商会・ルブナン〟に依頼を要請するのです。だから、全ての小国が加入とはいってない現状もあるのです」

「なるほど。その〝傭兵商会・ルブナン〟は、大国と渡り合えるだけの戦力を持ってるのか?」

「――いえ。それに関しては、未だに戦力は謎なのです……。ですが、出てくるのが〝番外魔王〟の御二人なので、他の戦力はいらないかと。それに必ずしも、〝傭兵商会・ルブナン〟が出て来るとは限りませんので。何しろ傭兵以外にも、手広くやられているみたいですから」

「確かに、なあ。しかし、アイツら他にどんな商売やってるんだか……。魔物が傭兵やるのはわかるが、傭兵商会を作り運営するなんてな。変わった魔物なんだな、アイツらは」

 

 その言葉にベスター、ガゼル王も同じような事を申しておりましたと苦笑い気味に答える。 

 リムルが、え? ガゼルは〝番外魔王〟と面識あるの? とベスターに問うも。

 それは、私が言うのもあれなので、王に直接お聞きくださいと返した。

 

 それではと、ベスターが話を戻す。

 

「それでファルムス王国ですが。勝つか、最悪でも戦況が拮抗していれば、西方聖教会の号令の下に諸国も動いたやも知れません。ですが……」

 

 そう、ファルムス王国軍は――リムル一人の為に消滅していた。

 

 文字通り、史上例をみない大敗を喫していたのだ。

 それも、ブルムンド王国との繋がりがある国家に対して。

 

 こうなると、そんな相手にわざわざ喧嘩を売るだろうか?

 

 答えは、否である。

 

 勝っても得るものがなければ、人は動かない。

 特に、勝つのが難しい相手には……。

 

 この例としてベスターは、西方聖教会が秘密裏に〝番外魔王〟へ三度討伐隊を差し向け三度とも失敗し。

 特に、聖騎士団・団長ヒナタが率いた第三次討伐隊が〝番外魔王〟との交戦で壊滅状態に陥り、それを重く見た西方聖教会は、〝番外魔王〟を――〝触れざる者〟認定をしたと、話す。

 

「なるほどな。あの、ヒナタすら退けるのか、アイツらは……。と、するとだ。西方聖教会がファルムス王国を見捨てれば、俺達への軍事行動を起こす国家はない、と見ていいのか?」

「ドワーフ王国は評議会に加入しておりませんが、その内情は把握しております。ですので、私の見立てでは、まず間違いなく動きません」

 

 リムルは思ったより状況が良さそうだと思った、その時。

 

「クフフフフフ、なるほど。では西側諸国の者共に、我等の力を見せつければ――」

「待て、ディアブロ。それに関しては、俺に考えがる」

「これは失礼しました」

「いや、いいさ。多分お前には、ファルムス王国を陥落させる仕事を頼むことになりそうだ」

「おお! それは是非とも、お任せを」

 

 リムルは頷きつつ、考える。

 

 西側諸国も西方聖教会も、ヴェルドラが復活したら動けなくなる、と。

 出来れば、〝番外魔王〟をも巻き込むことが出来れば、更に手出しが出来なくなるだろう、と。

 〝番外魔王〟に関しては、ヴェルドラの協力が不可欠になるなとも、考える。

 

 その間に、自分達が敵ではないとアピールすればいいと。

 

 そうすれば、ファルムス王国は間違いなく、評議会から切り離されるであろう。

 リムルはそう考え、判断した。

 

《告。その予測通りに事態は推移すると考えられます》

 

 『智慧之王(ラファエル)』もその考えに賛同した。

 

「参考になった、ありがとう。ベスターがいてくれて助かったよ」

「いやぁ、それほどでもありませんぞ!」

 

 リムルの労いの言葉にベスターは謙遜しながら返した。

 

「あ、忘れておりました。ガゼル王へ、この度の顛末を報告しても宜しいでしょうか?」

「ああ、問題ない。もしも何か意見があるなら言って欲しいと、伝えてくれ」

「承知仕りました。それでは、これにて――」

 

 ベスターが退室した後。

 

 そこへ――

 

《告。『無限牢獄』の『解析鑑定』が終了しました》

 

 智慧之王(ラファエル)からの知らせが入り。

 リムルは、ディアブロに街を案内してやってくれとシュナに命じ、会議室を出て封印の洞窟の最奥の間へと向かった。

 

 

 

 封印の洞窟、最奥の間に来たリムルは……。

 

 二年近くかかったが、待たせたな、今解放してやるよ――ヴェルドラ!!

 

 そして、リムルは智慧之王(ラファエル)に命令を下す。

 

 途端にリムルの『胃袋』内部に凄まじい魔素の嵐が巻き起こる。

 もし、リムルが進化していなければ、魔素の嵐に耐え切れず『胃袋』ごと拭きとんた事であろう。

 

 

『俺様、復活!!』

『いよぅ、久しぶり! 元気だった?』

 

 俺様って? 口調変わってないか? という突っ込みを抑えつつリムルは気軽に挨拶をした。

 

 それからは、ヴェルドラが自分のユニークスキル『究明者』でも、後百年は掛かる計算だったと言い。

 リムルがそれに、魔王に進化したと答えた。

 

『ほほぅ、そんな事が。というか、二年足らずで魔王になったのか!? 覚醒魔王はそこらの偽物と違って、我でも手こずる強さなのだぞ!』

 

 覚醒魔王とは〝真なる魔王〟の事で、〝魔王種〟が収穫祭を経て、覚醒するからとヴェルドラは説明した。

 

 それにリムルは、仲間達にも名付けしたら一気に進化してね、と言うも。

 

 アホか……無茶し過ぎだぞと、それを窘められる。

 ヴェルドラは、リムルのむちゃぶりが過ぎる名付けは、自分の魔素を抜き取ってたお陰と言い。

 足りない分を我から奪っておったのだぞと、聞かされた。

 

 そこでリムルは、自分がリスクも無く進化出来、大勢の名付けをしても無事だったんだと、気が付く。

 そう、魔王達が手っ取り早く配下を増やさない訳が、ここにあったのだ。

 

(やべぇー……。今後は、気軽に〝名付け〟るのは、控えよう……)

 

 そう決意する? リムルであった。

 

『そうかぁ……すまなかったなヴェルドラ。それとな、俺の祝福がお前にも届いてただろう? 魂の系譜に連なる者と言ってたからな』

『むっ……?』

 

 暫くの沈黙のヴェルドラ。

 

 

『お、おおおおお!! これが能力(スキル)の進化か。我のユニークスキル『究明者』が、究極能力(アルティメットスキル)『究明之王』になっておるではないか!! 我の飽くなき探求心が願う、究極の真理へ至る力だな!!』

 

 進化した自分の能力(スキル)に大興奮のヴェルドラ。

 

『良かったな。案外簡単に進化するだろ?』 

『アホウ! 我でさえ、そういう事象を知らなかったくらいだぞ。そう簡単に起きるものではないわ!!』

 

 〝真なる魔王〟も滅多に出現しないらしいし、能力(スキル)の進化なども珍しい事とヴェルドラは話す。

 

 そこでリムルは、〝番外魔王〟の二人も〝真なる魔王〟に覚醒したと話した。

 

『なんと!? アイツらも〝真なる魔王〟に覚醒したのか。ふーむ……。こうも〝真なる魔王〟に覚醒した魔物が数百年もおかずして、三体も誕生するなど……。何か、見えざる力が働いてるようにも見えるな』

 

 それからはお互いに情報交換をしていく……。

 

 暫くして、そろそろ洞窟を出ようとリムルが切り出す。

 

『なあ、そろそろ外に出るか?』

『おお、そうだな。しかし、我の依り代となる肉体をどうするか……』

『それは何とかなると思う。だけど、約束してほしい事があるんだ』

『ほう、なんだ?』

『お前のデカ過ぎる妖気(オーラ)を抑えて欲しい。街には人間もいるし、弱い魔物もいる。そんな所に復活したら、えらい事になるだろ?』

『――ふむ、なるほど。お前は本当に王になったんだな。わかったぞ、約束しよう!』

 

 ヴェルドラが了承するとリムルは、『強化分身』を発動する。

 これをヴェルドラの依り代にするつもりなのだ。

 

『ほう、もしかしてそれを……?』 

『ああ。お前の依り代にしてくれ』

『クアハハハハハ! そうか、了解である!』

 

 ヴェルドラの返答と同時にリムルは自分の『強化分身』に、『胃袋』から出したヴェルドラの思念体――心核(ココロ)を移行させた。

 

 すると――

 

《告。重要な報告が発生しました》

 

 智慧之王(ラファエル)から報告が入る。

 

《告。主様(マスター)と個体名:ヴェルドラとの〝魂の回廊〟の確立を確認しました。個体名:ヴェルドラの残滓を『捕食』して『解析鑑定』をした結果、究極能力『暴風之王(ヴェルドラ)』を獲得しました》

 

 一瞬言葉を失うような報告にリムルは、すかさずこの新しい能力(スキル)を見てみた。

 

 究極能力『暴風之王(ヴェルドラ)』とは――『暴風竜召喚、暴風竜復元、暴風竜系魔法』この三つの権能から成っていた。

 

 暴風召喚――リムルの記録にある姿のヴェルドラを召喚する。

 暴風竜復元――これはリムルにヴェルドラの記憶が復元され、ヴェルドラが何らかの要因で死亡しても復元可能になる。

 暴風竜系魔法――〝死を呼ぶ嵐〟、〝黒き稲妻〟、〝破滅の嵐〟といった魔法が使えるようになり。

 しかも、どの魔法書にも記されていない――超絶魔法である。

 

 これにより、ほぼ無敵に近いヴェルドラが、完全不死性を得たのだ。

 だがこれは、リムルが生きているという事が前提なのだが……。

 

 そして、リムルとヴェルドラが〝魂の回廊〟で繋がった事で、ある変化が起きた――

 一瞬にして、星幽体(アストラル・ボディ)精神体(スピリチュア・ボディ)を再現し、完全体としてヴェルドラは復活を遂げた。

 

「ムッ!」

 

 ヴェルドラが呟いたと同時に『強化分身』の姿が変化し、みるみるうちに身長が二メートル近くに伸び、体格はがっしりとなり、しなやかで強靭な筋肉が付く。

 

 褐色の肌に、金髪。

 男らしく精悍な顔のヴェルドラ。

 

「クアハハハハハ! 我、完全復活!! 究極の力を手に入れたぞ! 逆らう者は皆殺しだぁ!!」

 

 完全復活出来て余程嬉しかったのかヴェルドラは、どこかの悪役みたいな台詞を言い放った。

 

 その台詞に、どこか聞き覚えがあるリムルは……。

 

(ん? その台詞どこかで聞き覚えがあるぞ? あれは~確か、俺の愛読書だった漫画のボスの台詞じゃね?)

 

「おいおい、オッサン。なんでその台詞をしってるんだ?」

「クアハハハ! 実はな、あまりにも退屈だったんでお前の記憶を読み込んでおったのだ」

「おい、お前。そんなしょうもない事をしてたから、解析が遅れたんじゃねーだろうな!?」

「え!?」

「――え?」

 

 いきなり目が合い固まる二人。

 

 ヴェルドラは視線をツツーっとさりげなく反らし。

 

「それはともかく、ついに解放されたな! 礼を言うぞ、リムルよ!!」

 

 強引に話を逸らした。

 

 ヴェルドラから凄まじい妖気(オーラ)が漏れ出していく。

 

 

 そして、漏れ出る大量の妖気(オーラ)を感知した者がいた。

 

 クレイマンの居城に呼び出されたツキハとコハクは、壁にもたれ掛けたままクレイマンの話をつまらなそうに聞いていた。

 

 そこへ――コハクの尻尾がピ――ンと真上に立った。

 

 権能、『追跡神(ゴッドストーカー)』に捉えられた妖気(オーラ)が、一つ。

 

 これは………………

 ………………

 …………

 ……

 

『ツキハ! この妖気(オーラ)――』

『――え!? これは……』

 

 コハクから告げられた妖気(オーラ)の波長にツキハはクレイマンに、「急用が出来た!」と、それだけ言うと、テラスに出て空中にジャンプするや、いきなり急加速飛行に移り、音速を超えた衝撃音を残し飛び去った。

 コハクもすぐさまツキハを追う様に飛び去って行く。

 

 

 ヴェルドラはリムルに言われた通りに妖気を抑え、かなり小さくまで制御し抑え込んだ。

 

 そうしてる内に、智慧之王(ラファエル)が、ユニークスキル『無限牢獄』を基礎として、能力(スキル)の統廃合を行い、新たな究極能力(アルティメットスキル)――『誓約之王(ウリエル)』を獲得していた。

 

 驚くリムルを余所に、ヴェルドラは妖気(オーラ)も小さく抑え自分の完全復活に有頂天だった。

 

 

 そんな微弱になった妖気(オーラ)を捉えたまま、ツキハとコハクはテンペストへ急ぎ向かっていた。

 

 

 ツキハ、妖気がいきなり小さく(よわ)なりましたえ!?

 

 チッ! ヴェルドラに何が起こったんだよ!?

 クソッ 急ぐよ、コハク!!

 

 わかりましたえ!

 

 ドンドンドンッ! 超音速から、一気に極超音速にまで加速するツキハ、連続した衝撃音が大気を裂き鳴り渡る。

 

 

 いきなり感知したヴェルドラの妖気。

 それがすぐに小さくなった事にツキハは、ヴェルドラに何かが起こったと思い、テンペストへ飛び急ぐ。

 

 

 

 〝真なる魔王〟に覚醒しているツキハと、コハク。

 

 完全復活したヴェルドラ。

 

 

 ツキハとヴェルドラ、それにコハク――この三人が揃う時。

 

 

 テンペストの未来に災厄が振りかかるのか?

 

 それとも……。

 

 

 それは間もなく――そこに来る。

 

 

 ヴェルドラ 待っててね 今 いくからぁあああああ!!

 

 




 三十話を読んで頂きありがとうございます!

 次回の更新もよろしくお願いします!







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