忍びが転生したら〝異世界珍道中〟になった件 作:にゃんころ缶
ツキハとコハクの隠れ家の周りに、次々と『空間転移』して来る魔物の気配が漂う。
空間を揺らしながら、それらは続々と姿を現していく。
猫、猫、猫、猫、猫、猫、猫っ!!
様々な種の魔猫達の、集団。
それは、総勢九百匹の〝忍魔猫達〟。
隠れ家の入り口前に、並ぶ忍魔猫達の集団。
隠れ家の家からツキハとコハクが出てくると、皆を代表してイチコが前に出て告げる。
『ツキハ様、コハク様。ロモコ達別任務の〝忍魔猫〟百匹を除き、総勢九百匹。ここに、集結致しました』
告げ終えるとイチコはその場に伏せ、それに合わせて残る〝忍魔猫達〟も次々と伏せていった。
「皆もご苦労さんやね。この間集まってもろたばかりやけど。皆、あんじょうやってますか?」
『『『『『はい! 我等一同、変わりなくお役目に励んでおります!』』』』』
一斉に答える忍魔猫達の『思念伝達』が響く。
「さよか。うちら〝傭兵商会・ルヴナン〟は、今から
『コハク様。では、お手当が出るのはロモコ班だけでしょうか?』
コハクの告げた言葉に質問をしたのは、百番目の眷属
「せやな。でも、あんたらにも特別手当位は出しますえ。ふふっ」
『そうなのですか。それは、とても嬉しいです! コハク様』
モモコはにこやかに尻尾を揺らしながら、首に下げたガマ口タイプの財布を右前足でポンポンと軽く叩く。
すると皆が、首に巻いた飾り紐の〝空間収納〟からガマ口財布を取り出し首に下げ、誇らしげに同じようにポンポンと軽く叩いていった。
この財布は、最近コハクが権能〝幻創造〟で自分達の財布を、ガマ口財布に作り変えていたのを、ニコとサンコがそれを見て。
自分達にも欲しいと懇願して作ってもらった物を、更に他の眷属達が見て、自分達にも欲しいですと、次々に懇願して来たので、コハクが全眷属分のガマ口財布を作って与えていたのだ。
そう、〝忍魔猫〟達は今までは道中財布を持ち、仕事の成果に見合った報酬を貰っていて。
人間に幻術を掛け、その報酬で主に食べ物や酒などを買って来てもらったりしていた。
眷属達は〝
そんな訳で、〝忍魔猫〟達は意外にも小金持ちであり、普通に買い物もするのである。
雌達は、結構おしゃれさんなのである。
「戦うのはあたしだけだけど。あんたらも暇なら、見学がてら戦場に遊びに行ってもいいよ。但し、手出しは厳禁だよ。それと、皆はロモコ達の邪魔はしないように。特にニコとサンコは、ほいほいとクレイマンの配下を殺さないように、いいね?」
『『『『『はい!』』』』』
『それはぁ~ 向こう次第かなぁ』
『だニャ』
「あんたら、マジ手を出したら――お仕置きフルコースだかんね!」
『や、やりませんことよぉー』
『そ、そうニャ。いい子にしてるニャよ?』
こうして〝傭兵商会・ルヴナン〟は、クレイマンの戦争に加担する事は無くなった、が。
ツキハだけは、
元々は、〝番外魔王〟としてこの戦争に介入し、引っ掻き回して漁夫の利を
理由はもう一つあり、
動き出した〝傭兵商会・ルヴナン〟。
秘密裏に動くロモコ班百匹は、傀儡国ジスターヴの領地境界線ギリギリで息を潜め潜伏し、コハクの命令を待つ。
一方、会議が続いている
シオンの報告は続いていて、大方報告も終わったと、三人の捕虜の事も聞き終えたと思った。
けれど、リムルは何かを忘れている気がしていた……。
(ん? エドマリス王に、レイヒム大司祭……後、誰だ?)
暫く考えているリムルは、ふと自分の攻撃で生き残った者を思い出した。
「シオン、捕虜は三人だったろ? 俺の攻撃から生き残って奴だし、結構厄介じゃなかっのか?」
「え? あ、はい。ひどく怯えていた男ですね」
(は? 怯えていた? なんで?)
リムルは生き残っただけで、実は大した事の無い奴だったのかと思い、ディアブロにも聞いてみた。
「どんな感じの奴なんだ? 結構強かっただろ? そのまま野放しにしても大丈夫か?」
ディアブロは笑顔を崩さずに答える。
「いいえ、リムル様。なんの問題にもならぬ小物でした。ですが、人間しては、それなりに魔法を操れたようです」
(魔法使いか? たしか、いたな宮廷魔導師が)
「シオン、名前はわかるか?」
宮廷魔導師がいた事を思い出し、シオンに問うリムル。
「はい! ラーメンです!」
(あぁー ラーメンかぁ。もう何年も食べてないんだよなぁ……。懐かしいな、今度再現してみようかな、豚骨ラーメンを)
と、転生前の記憶に浸っていると……。
「ラーメン? そんな人物がファルムスにいたか?」
「記憶にないな……。魔法といえば、ファルムスには魔人ラーゼンが、いましたね」
「英雄ラーゼン、か。忘れてはならぬ男よな」
フューズ、エラルド、ガゼルがそんな事を言い出し、リムルがもう一度シオンに問い返した。
「シオン、そいつはラーメンで間違いないんだな?」
「は、ええと、多分そうか、と……。ですが、若造でした! この街を襲撃して来た一人でしたし、皆が言ってるような魔法使いではありません!」
前半は怪しいも、後半は断言したシオン。
リムルは、皆の証言からその男は、街を襲った男の一人だとはわかった。
しかし、思い出したようにハクロウが、その男を救いに来た手練れの魔法使いの男がいたと、報告をして来た。
(んん? どういうことだ……。街を襲った若い男なのに、魔導師の男? んんん?)
リムルがどういうことだと考えてると、そこへ――
《告。精神系魔法の秘技を用いれば、肉体を乗り換える事が可能となります》
それだ! とリムルは、もう一度シオンに問う。
「それって、そのラーゼンという魔法使いが、若造の身体に憑依してるんじゃないか?」
「え、え!?」
リムルの指摘に、シオンが慌て始める。
「クフフフ。名前ならすぐに判明するでしょう」
更にディアブロが追い打ちをかけ、涙目になるシオン。
結果、その男はラーゼンであった。
あのラーゼンを一蹴しただと? 信じられん など皆が絶句する。
悪魔族、ディアブロ。
リムルは、何で俺に使えたがってるんだろう? と不思議に思う。
(強さは間違いなく本物。しかも、あの〝番外魔王〟の二人と、何度も戦ってるみたいな感じだよな。しかも、名を授けた事で、更に強くなってるよな? あの〝番外魔王〟の二人がガチで怒ってたものな。まあ、シオンが勝手にディアブロをライバル視しなければ、問題は起きないだろう。残念秘書と有能執事という間柄が、嫉妬の温床になってるのだろうな。でも、シオンもそこらは分かってるから、大丈夫だろう)
リムルは心の内でぶつぶつと独り
「ヨウム、捕虜三名を連れて行動を起こしてもらう訳だが、ディアブロも連れて行け」
それを聞いたディアブロが、慌てたようにリムルを見る。
この役目はディアブロでないと、無理だとリムルは判断したのだ。
何故なら、リムルはクレイマン相手に戦争を起こす。
この街の守りは、ヴェルドラに任せる
ベニマルは総大将なので、除外。
シオンは、論外。
ハクロウは、『空間転移』や『影移動』が出来ないので、移動に時間が掛かる。
ガビル、ゲルドでは、その見た目から人間社会では目立ちすぎる。
その点ディアブロなら、全ての条件を満たしている。
何せ、リムルの役に立ちたがっているディアブロには、異論はないだろう。
それに、厄介なラーゼンを抑える事も出来る。
と、いうことで。
「頼んだぞ、ディアブロ!」
「おお、承知しましたリムル様」
リムルからの
リムルは「数年かかるかも知れないけど、気長にな」と告げるや、ディアブロは。
「問題御座いません。そのようにお時間を頂くまでも無く、さっさと終わらせて御覧に入れます」
ディアブロの頼もしい言葉にリムルは、大した自身だなと感心し。
だからこそ安心して任せられる、と思った。
こうして段取りの確認も終え、首脳達との会議は一応終了を迎える。
最後に何かないか確認を取ると、エラルドが挙手をして来た。
リムルが「なんでしょう?」と問うと。
エラルドは
リムルは、エラルドの意図を察し、工事や利権の打ち合わせを始める。
色々な意見を交え、リムルが答えて来る。
「エラルド公の言い分はわかった。街道の件は、我々が引き受けてもいい。ただし――」
「ただし?」
エラルドはゴクリと唾を飲み、次の言葉を待つ。
「街道上の整備及び宿屋の運営も、我等に任せてもらいたい。当然だが、それに掛かる経費を乗せた通行税も、若干だが頂く事になる」
リムルは、そう言い放つ。
「なるほど……流石ですな。それは、当然の要求でしょう。ただし、その通行税に関しては、何年かに一度の交渉権は認めて欲しいものです」
エラルドもリムルの思惑に気付いたらしく、すかさず交渉権を出して来た。
リムルは、こういうのはお互いの合意があってこそ成り立つもの、そう考え。
エラルドの要求を承諾する。
「オッケー。それでいこう!」
「軽ッ!?」と、フューズが横で言うも、リムルは気にせずこの話を纏めてしまう。
そして、ゲルドに「次の仕事の予定が入ったぞ!」と告げ。
ゲルドは嬉しそうに、「御意! 有難き話です」とそれに返した。
さて、これで終わったかなとリムルは軽く息を一つ吐くと……。
もう一つ何かを忘れている気がした。
それは……。
ラミリスである。
まだ気絶しているのかなと、ヴェルドラのところへ行くリムル。
すると。
そこには熱心にマンガを読むラミリスの姿が……。
「おい、お前。何をやっているんだ?」
「ちょっと黙ってて、今いいところだから、後にして」
散乱する漫画の山。
ヴェルドラとも意気投合したらしく、何故かヴェルドラから給仕されているラミリス。
本当にやれやれである。
何しに来たんだ、コイツ? とラミリス見ながら、リムルはベレッタに目を移す。
「この度は、魔王への進化おめでとうございます」
と、恭しく一礼をし、進化のお裾分けを頂いた事にも例を述べて来た。
〝魔将人形〟から〝聖魔人形〟へと進化したらしい。
どうやら、獲得したユニークスキル『
そして、ベレッタの〝悪魔核〟は〝聖魔核〟へと変化していた。
聖と魔、両方の属性を操れるなんて、それズルいとリムルが思うと。
《告。ユニークスキル『
サラッと説明する
究極能力『暴食之王』の『食物連鎖』で、リムルは仲間達の
この力の一端が、後に最強の魔王の一人と呼ばれる事となるのであるが……。
一番の恐るべき究極能力は――間違いなく
ベレッタとの会話も終わり、再びラミリスに話し掛けるリムル。
「おい、ラミリス。一体何の用で、ここに来たんだ?」
「ウルサイわね! アタシは今、とても忙しいの!」
「あぁー……」
ピキッとリムルの額に浮かぶ、小さな青筋。
「おい、用件はなんなんだ?」
「だ・か・ら! アタシはね、運命の出会いをしたワケよ! このマンガという書物の中で、このヒロインの少女が一体誰を選ぶのかを、ね!」
「あ、えぇー……」
力説するラミリス。
それに呆れて、ジト目でラミリスを見るリムル。
ラミリスが何を読んでいるのかわかったリムルは、このままでは埒が明かないと、次の言葉を言い放つ。
「おい。そのヒロインが、誰とくっ付くかバラされたくなかったら、さっさと来た用件を言え!」
その
「はい!」
と、挙手しつつ飛び跳ねて、やっとここに来た目的を話す。
「もう一度言うわ! この国は、滅亡する!!」
またも滅亡と抜かしたラミリスに。
「な、なんだってぇーー」
棒読みで相槌を打つリムル。
それにラミリスは機嫌を良くし、更に言葉を重ねていく。
「でもね、ワタシもそれは望まないワケ。だから、ワザワザ知らせに来てあげたのよ。感謝しなさいよね!」
はいはいと、リムルは次の事を尋ねていく。
「で、何で滅亡するんだ?」
「そうね……」
そこで言葉を区切り、まだ残っている各国の要人を見渡し。
少し思案してから一つ頷き、言葉を続けた。
「まあ、人間にも関係ない訳じゃないか。いいわ、一緒に聞きなさい。魔王クレイマンの提案でね、
「
「ええ、そうよ。全ての魔王が集う、特別な会合なの」
「ほお。でさ、アイツらも来るのか?」
「アイツら?」
「〝番外魔王〟の二人だよ」
「来るわけないわよ。だって、ツキハとコハクは魔王を名乗ってないのよさ。だから、来ないワケよ」
「なるほどな(何か、コイツもアイツらと絡んでるような気がするな……)」
リムルは、ラミリスがサラッと二人の名を出した言い方がどこか親しげに感じて、ラミリスも何かしら〝番外魔王〟の二人と接点があると睨んだ。
ラミリスの説明では、
この発動には三名以上の魔王による承認が必要だとも、ラミリスは言った。
発動されたらかなりの強制力をもつらしく、不参加は許されない。
勝手気ままな魔王達を拘束可能な、数少ない魔王間の協定だと言う。
だがしかし、〝番外魔王〟の二人だけはこれに含まれず、太古の魔王ギィが強権を発動して呼び寄せない限り、絶対に来ないとラミリスは断言する。
そこへ。
「そういえば、資料にあったね。魔王が集い、大戦が起きた、と。そしてその日を、西方聖教会が
エラルド言うには、千年前の文献が残っていたらしい。
もっとも、ツキハとコハクからも聞いているので、詳しい事を知っているのだが。
ここでは文献に残った記実だけを話し、ラミリスの説明も知らぬふりをして聞いていたのだ。
「という事は、魔王が大戦を起こしていると?」
「違うわよ! アタシだって暇じゃないし、戦争なんて面倒な事したくないじゃん? それに、ツキハとコハクが言ってたわよ。戦争は起こすんじゃなくて、起こってる所に介入して――漁夫の利を掻っ攫うのが美味しいって、言ってたわよ? あの二人も昔からあちこちの戦争に遊びに行っては、お金を稼いでくるのよねぇ」
「ラミリス様、その事は駄目ですよ! 御二人に口止めされてるでしょう」
「そうだっけ?」
リムルの疑問はアッサリと否定され、〝番外魔王〟とも親しくしてるのが、ここでバレた。
一人焦り捲ってるベレッタだけが、本当に苦労してるなぁと、リムルが労わるような視線を向ける。
(しかし、どうみてもラミリスは暇そうだよなぁ。それにアイツらと親しいのも確定か)
そんな事を考えてると。
「魔王ラミリスの言葉には嘘はないかと。大戦、正式には〝天魔大戦〟といいまして、各種勢力が覇権を競うのです。とは言っても――」
エラルドの説明によると、大戦は五百年周期で発生するらしい。
それには理由があり、天の軍勢が地上に攻めてくるとの事。
天の軍勢とは――即ち
この
特に、発展した都市を優先的に攻撃すると説明する。
「俺達が地底から出ないのも、それが理由だよ」
そうガゼルが言い放つ。
魔導王朝サリオンも似たようなもので、巨大な神樹の祠に都市を築いているとエラルドがリムルに言った。
もっとも、魔導王朝サリオンは、天帝が個人的に〝番外魔王〟と永久契約を交わしてからは、襲って来た
しかしそれは、徹底した隠蔽工作により国内はもとより――諸外国にも一切知られては、いない。
大国であるドワルゴンとサリオン。
自国防衛に関しては、万全の備えを持っているようだった。
そして、西側諸国だが。
評議会――魔物に対抗する為であり、大戦を生き抜く目的も持っていたのだ。
「じゃあそもそも、
リムルは大戦と関係ないなら、何が本当の目的なのか? もしかして、魔王を勝手に名乗ると他の魔王から制裁されるとかか? 様々な思案が頭の中を巡り、ラミリスに疑問をぶつける。
それにラミリスは、次の返答を返した。
「うーんとね、先ず勘違いしてるみたいだから、先に言っておくね」
そう切り出したラミリスの言葉は、リムルの想像とは違っていた。
「
などと言いつつ、ラミリスの言葉は続いていく。
「つまり、
とラミリスは、
そこでリムルが、盛大な突っ込みをガツンと入れる。
「馬鹿野郎! そんなお茶会が開かれるだけで、なんでこの国が滅亡するんだよ!?」
「ああ、違うって! 問題なのは、
リムル怒りの突っ込みに、ラミリスが慌てて返す。
ラミリスが言うには、今回クレイマンの発議に賛同したのは二人。
魔王ミリムと、魔王フレイ。
クレイマンを含めた、魔王三名での発議なので受理されたとラミリスは言う。
その議題こそ――『ジュラの大森林に新たな勢力が誕生し、その盟主が魔王を
「アンタさ……魔王を名乗っちゃったワケ?」
「ああ、後悔も反省もしてないぞ?」
リムルは隠さず答えた。
「うーん。色々面倒が起きると思うけど、それだけの実力があるならいいんじゃない?」
他人事のように軽く言うラミリス。
「それで、やっぱり制裁目的か?」
それにラミリスは、ちょっと違うと説明する。
「名目はそれなんだけど、制裁するなら御自由にってのが、我々の業界での暗黙のルールなのよ。過去に、ツキハとコハクの悪さが過ぎるからって、制裁しようとした魔王がいたんだけど。それが先に二人にバレてさ、逆に領地に乗り込まれて〝核撃魔法〟をボッカンボッカン撃たれた事あったのよ。だから、制裁をするなら、割と入念な準備が必要なんだけどね。相手を見極めないといけないしね」
「業界って……業種なのか魔王って?」
「え? いいじゃないそんな事」
「あ、うん……」
後半はケラケラと笑いながら話し、リムルの突っ込みも軽く流しながら「あ、ちょっと話が逸れたわね」と話をクレイマンの話に戻すラミリス。
クレイマンが議題を発動した理由。
それは魔王カリオンの裏切りと、リムルに配下の魔人ミュウランを殺された事だと話す。
(クレイマンの、真の目的は恐らく……)
《告。魔王カリオンの領地及び、ジュラの大森林の制圧かと推測します》
(だよな。俺も、そう思うよ。それでクレイマンは軍を動かしていたんだな。先手を打たれていた、か)
リムルはこの先手をどうひっくり返すか、考えてると。
「アンタねえ! そんなに落ち着いているけど、これって大事なのよ!? アタシの所に届いた知らせでは、魔王カリオンはミリムに倒されちゃったらしいし。クレイマンもね、配下の魔人達を動かして軍事行動をもう起こしてるのよ。これはもう制裁じゃなくて、戦争なのよ! クレイマンはね、難癖付けてアンタ達全員を始末しようとしてるんだからね!!」
ラミリスは真剣な顔で捲し立てる。
ラミリスの発言に動揺を見せる、会議場の人々
大国の者達に取っても、魔王の一体が討たれたという事は大問題なのである。
何故なら、魔王間の戦力バランスが崩壊する恐れがあるからだ。
そして、その言葉に激しく反応したのは三獣士。
裏切りだと? 舐めた事を! 、許さんぞクレイマン! 、我が軍は無傷 クレイマンの好きにはさせないわ、などと怒りを露わにして来る。
リムルはラミリスに、ミュウランは殺していないし、生きてるぞと言い。
ラミリスは「ちょ、ちょっと、証拠はあるワケ?」と切り返して来た。
そこへ――
「あの、魔王ラミリス様。発言をお許し下さい。その殺された魔人ミュウランとは、私の事なのです……」
「はぁ? えっ!?」
リムルは、ミュウランを殺したと思わせた時点で、クレイマンは動くと踏んでいた。
エサに食い付いたのはリムルではなく、クレイマンがリムルの誘いに釣られたのだ。
そして――裏で密かに引っ掻き回し始めた、〝番外魔王〟の二人
ミュウランが名乗り出た事で激しく動揺したラミリスだが、直ぐに落ち着きを取り戻し。
「って事は……わかったわ! 犯人は魔王クレイマンで決まりね!!」
それ誰でも思いつくぞ、という突っ込みはせずに、リムルはその考えにフォローを入れるつもりで質問をする。
「なあ、その考えに俺も賛成なんだが。一つ聞きたいことがある」
「ん、何さ? この名探偵ラミリスに言って御覧?」
(やばいな、フォローするつもりが、調子に乗せてしまったか。多分、ヴェルドラが読んでるマンガをチラ見したな。全く、コイツと来たら……名探偵ってなんだよ)
フォローした事を少し後悔するリムル。
まあいいかと、気を取り直してから質問を続けていく。
「こういう場合、他の魔王はどう動く?」
リムルの質問に周りの空気が張り詰め、静けさが辺りを包んでいく。
「え? そこまでは知らないわよ。そういう内容で宴をするから参加してねって言われただけだし?」
のほほんと答えるラミリスの発言に、張り詰めた空気が一気に緩んでいった。
リムルはクレイマンを叩くにしても、絶対に知っておきたい事をラミリスに聞く。
「それでラミリス。
「うん、言ってなかったっけ? ええとね、確か、三日後の新月の夜だね」
「三日後か……思ったより早いな」
そう聞いたリムルは、三日で三日でクレイマンを叩き潰すのは難しいなと考える。
(うーん ちと厳しいかな。勝負は三日後、か? これは、皆と要相談だな。〝番外魔王〟のツキハとの勝負もあるしな)
聞きたい事を終えたリムルは、会議の終わりを宣言し、クレイマンとの戦争準備に入る。
まもなく開戦されるクレイマンとの戦争。
動き出した、ファルムス王国滅亡計画。
そして、
三十七話を読んで頂きありがとうございます!
次回の更新もよろしくお願いします!