忍びが転生したら〝異世界珍道中〟になった件   作:にゃんころ缶

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 お待たせしました。四話です。

 ※お知らせ
  ツキハのユニークスキル羅刹者(アバレモノ)を羅刹ノ者(ハメツノモノ)に変更いたしました。

 原作に出てくるショウゴのユニークスキル乱暴者(アバレモノ)と、もろ被ってるのを思い出しまして、誠に申し訳ありません。

 羅刹とは、破壊や破滅を司る神や鬼の主尊が羅刹天であり、他にも血肉を喰らう悪鬼の総称でもあるのですが、破滅をもたらす者として、これに変更いたしました。

 以後このような間違いを起こさない様、気を付けていきます。







4話 原初の黒と白と紫と黄なのよ(ツキハ視点

 あの一件以来、コハクとあたしは、気ままな魔物人生を歩んでいたんだ。

 

 魔王ではない、魔王とか……面倒なんだか、気楽なんだかよくわからないんだけど、あたしとコハクは魔王を名乗らない、〝番外魔王〟って呼ばれるようになったんだよー。

 

 

 それでね、あれから千年以上経った頃にね。

 

 厄介な原初に出くわしたんだよぉ。

 

 原初の黒にね。

 

 まあ、こいつがほんと、厄介極まりない奴でね。

 たまたまなんだけど、とある小国の宮廷魔導師がさ、召喚魔法・悪魔召喚を使って悪魔族を召喚したんだけど。

 そこに、奴が召喚されたんだよね。

 原初の黒、ノワール。

 

 後から思うとさ、狙って召喚されたくさいんだよ。

 

 それでね、なんかさぁ、召喚した悪魔族を従えて、自国の戦力に組み込む為だったらしいんだけど……。

 まぁ、無理だよねぇ、下級悪魔族ならいざ知らず。来たのが、なんせ原初だもの。

 たかだか、人間の魔導師にどうか出来るものでもないし。

 案の定、その宮廷魔導師と王宮にいた数百人の人間共は、あっさり命を刈られたんだけどね。 

 

 だってさぁ、召喚した原初に隷属の印を魂に刻もうとするなんて、無謀もいいとこだし。

 しかもだよ、あの原初の黒、ノワールとか……って、なんでそんな大物が、一介の魔導師如きの召喚魔法に応じたかと言うと?

 

 それはねぇ。

 

 どうも、あたしら目当てだったと言うね。

 

 あたしとコハクが、この小国の宮廷魔導師に金貨二百枚で、護衛を頼まれていたんだよ。

 なんで護衛してたかと言うとね。

 

 あたしとコハクは傭兵をやりながら、暗殺、情報収集、潜入調査、など忍びの頃にやって事を、この世界でもやり始めて、今では結構依頼が増えて来てね。〝忍びの傭兵〟として、あちこちに戦力として自分達を売ったり、仕入れた情報などを売って商売してるんだ。

 

 えっ? 人間と敵対してたのではって?

 

 ふふー それはだね。

 あれから、ヴェルドラと色々遊んでたらね……一度ヴェルドラとあたしとコハクで、めっちゃ切れて大暴れしたことがあってねぇ。

 そうしたら、ヴェルドラと同じ〝天災級(カタストロフ)〟頂きましたのよ、てへっ。

 

 てな具合で、人間共もあたしらと一戦交えようなんておバカはいなくなってね。

 で、そんな〝天災級(カタストロフ)〟が、戦力いりませんか~って来たら、買うよね?

 ヴェルドラと違って、あたしとコハクは交渉が出来るからな!

 うはははははは! そんなこんなで、傭兵業を始めたんだよ。

 

 まあ、〝変化〟とか、〝猫騙し〟とかで、本性隠してたり、たまに本性明かして、大金で契約したりとか、中々にいい商売になるんだ。

 

 あ!?

 

 話がそれたよね、ごめんごめん。

 

 そんな噂を聞き付けて、その宮廷魔導師が護衛の依頼をして来て、あたしとコハクは悪魔召喚に立ち会ったんだけど。

 どこでそれを聞き付けたか知らないんだけど、ノワールの奴がさ――

 

 あたしらを見る為に、その宮廷魔導師の悪魔召喚に応じたの。

 

 それで、その宮廷魔導師はバカだから、原初が来たと歓喜して、魂を縛る魔法をノワールに掛けようとしたんだ。まあねえ……井の中の蛙ってこわいよね? 理論だけで、強くなったと錯覚してるんだもん。

 で、そんな事とは聞かされてなかったから、あたしとコハクは目が点になったんだけど。

 

 効くわけでもなく――

 原初の怒りを買ったんだよー あたりまえだよね~。

 

「あぁー 人間如きが原初に手を出すとか……バカよねぇ」

「どうしようもない、馬鹿どすな……」

「おい! お前達、高い金を出して雇ってるんだ! この悪魔を滅ぼせ!」

「むり」

「むりおす」

「はあっ!?」

「原初に喧嘩売るなんて、めんどくさいしー そんな話し聞いてないし― 護衛だけど、悪魔族を隷属させようとするとか、聞いてないんだけど?」

「そうどすなぁ。悪魔族を召喚するから、〝護衛として立ち会ってくれ〟これが、契約内容おすな。隷属させるとか、聞いてまへんえ? 最初に()うた通りにしかやらしまへん。護衛として立ち会うが、それは以外は想定外に召喚した悪魔が暴れた時や、と。(みずか)ら原初に喧嘩売りはるなんて、バカどすか?」

「なんだとー この魔物の傭兵風情がぁああああああああああ!」

「あらぁー それ言うんだ」

「言いはりましたな?」

 

 こんな感じで宮廷魔導師が逆切れしてねぇ。

 ノワールも慈悲なく、宮廷魔導師に告げたんだ。

 

「くくくくっ。たかだか人間の魔導師如きが、私をどうこう出来るとでも、思いましたか? 私は少し、そこの魔物に用があって、あなたの召喚魔法に応じてあげたのですよ。もうあなた達に用はないので、消えなさい」

 

 パチン

 

 指を鳴らした音が軽やかに響くと。

 

 宮廷魔導師以下、城内にいた人間数百人が一斉に倒れた。

 

 ほんとこわいよねぇ。ギィと言い、コイツと言い、原初とか言う悪魔族はたち悪いわ~。

 

 うーん、なにしたかわからないけど、多分スキルか何かで命を狩り取ったんだと思うんだ。

 

 それからノワールの奴が、なんかギィと()り合ったあたしらに興味を持ったらしく、こっちに来る機会を伺ってたみたいでねぇ。

 

 あたしらと戦いたいと言ってきたんだ。

 まあ、あたしも原初の黒のことはギィから聞いてたし、興味はこっちもあったんで、戦ったんだよ。

 

 戦いは熾烈を極めてねぇ。

 

 なんとノワールの奴、あたしら相手に凌ぎ切ったんだよ。

 

 原初の黒、ノワール。

 ギィからその噂は聞いていたんだ。

 

 話の通り、おもっいっきり嫌な奴だったけど――

 強かった。

 

 二人がかりでも、殺しきれなかったんだわ。

 うん、結構ズタボロにはしたんだけど、こっちはそれ以上にズタボロにされた……。

 

 くぅー 悔しいぃ!

 

「くくく。やはり、この依り代では貴女達を殺しきれませんね。もう、体の崩壊が始まりましたか」

「なにが、この依り代ではだよ! 奴隷の死体だが、約千体だぞ! はぁ~ なんで原初ってこんなに、面倒なんだか。マジ、はらたつわぁ」

「ほんまなんぎやわぁー いいかげんに、しておくれやす」

「まあ、面白い魔物を見れたので、概ね満足です。次は、もっと楽しませてくださいね。くくく」

「概ねか……うぬれー 次は、確実にぶっ殺して、やるわよ!」

「次は、そっ首、刎ねてやりますえ!」

「ええ、楽しみにしてますよ」

 

 てな具合に、悪魔界に帰って行ったんだよ。

 それから、何度か()りあったんだけど、決着はつかなかったなぁ。

 

 あいつを追い詰めた事もあったんだけど、最後の一押しが出来なくて、引き分け。

 

 あいつも、あたしらをギリギリまで追い詰めたんだけど、やっぱり殺しきれなかったんだよねぇ。

 

 そんなこんなで、それからまた千年くらいたってね。

 

 今度は東の方で、原初の白、ブランと出会ってしまってさ。

 ある戦いで傭兵してたんだけど、そこにこいつが召喚されてねぇ。

 

 やっぱり……こいつも強かったわ。

 もう、原初って何者ってくらいにね!

 

 なんなんだ、アイツらは!!

 

 

 でさ、今度は見た目はなんか大人のお姉さんって感じで、めっちゃ綺麗な美人なんだけど、冷ややかな殺意を纏ってるみたいだったわ。

 

 でね、ブランの時はなんかコハクがキレてさぁ……。

 

 あたしは、傍観者してたんだけども。

 

「なあ、あんさん。後から出て来て、うちらが狩った魂の横取りは、やめておくれやす。ぶっ殺しますえ?」

「あら、貴女たち? そう、貴女たちが噂の……。ふーん 千年以上は生きているのね。まあ、召喚者も貴方が殺したのだし、私にはもう、制約はないわよ? それに、この漂ってる魂の半分は、私が狩ったものでしてよ?」

「なにけったいなことを、いいますんや? 原初に制約を掛けれる魔導師が、いてはるわけないで。それに半分? あんさん、もう半分以上取ってはりますなぁ」

「あら、そう。フフフ」

「ほんま、かなわんなぁ~」

 

 あぁー コハクの目が完全に()わってますよ。

 だめだわ、これ。

 

 コハク完全にキレたね。

 

 いきなりコハクが核撃魔法:破滅の炎(ニュークリアフレイム)を、ブランに放ったよ。

  

 ゴウゥッ! 黒い火球がブランを包んだ。

 

 そうしたら、コハクも――

 黒い火球に包み込まれたよ。

 

 いやぁ、驚いたね。返し技に同じ核撃魔法:破滅の炎(ニュークリアフレイム)を噛まして来るなんてさ。

 

 コハクが上位精霊・炎の巨人(イフリート)を召喚したら、ブランは無詠唱で元素魔法:氷結地獄(コキュートス)で凍らせ砕くし、原初ってどのくらい生きてんだろう?。 

 

 あれだ、気の遠くなるくらい生きてるんだろうか……?

 ヴェルドラもそんな事言ってたしなぁ。

 

 〝竜種〟と言い、原初と言い、この世界のなんなんだろうね?。

 

 結局、激しい魔法の打ち合いで終わって、何食わぬ顔でブランは去っていきましたよ。

 

 後に残るは、ガチギレしたコハクのみ……。

 ああなったコハクを宥めるのは、大変なんだよぉ。

 

 しかし、結構なダメージを負っても、無駄に元気だわ、コハク。

 

「もう堪忍ならしません! 次あったら、地獄へ叩き落としてやりますえ!」

「いや、悪魔界が地獄みたいなもんじゃないの?」

「だまりや! 別の地獄へ叩き落とすんどす!」

「別のって……。そんなのないし、地獄の地獄ってどこって感じじゃん。とりあず、お酒でも飲みにいこ? あたしが奢るから、ね?」

「一晩中付き合ってくれはりますか?」

「うんうん。朝まで飲もうよ、ね?」

「朝まで飲んで、その後は添い寝してもらえるのん?」

「いや、添い寝はちょっと――」

「なら、今から腹いせにギィの所に殴り込みますえ?」

「それはやめて! この間呼ばれて、ヴェルザード姐さんに〝OHANASI〟喰らったばかりでしょうが! めっちゃ長いんだよ、ヴェルザード姐さんの説教は!」

「じゃあ、添い寝しなはれ。うふふふふ」

「ああぁー めんどくさい……手え出したら、ぶっ殺すかんね!」

「わかってますで。ツ・キ・ハ♪」

 

 まあ、こんな感じになるのよねぇ……わかってます言うて、隙あらば胸とか尻を触って来るから始末に負えないんだよ、コハクはさ。

 

 いい加減に諦めないのか? と思うんだけど、ほんと千年以上経っても変わらんのは、感心すると言うか、呆れると言うか、ほんと――

 

 頭痛の種だわ……はああああああぁ。

 

 でね、何百年かぶらぶらしてて黄金卿エルドラドで、またまた原初に出くわしたんだよ。

 

 もうなんか、ほんと迷惑だわよ。

 

 

 原初の黄、ジョーヌ

 

 でも、意外に面白い原初だった、ジョーヌは。

 美人系のはっちゃけたお姉さんって感じ?

 

 最初はボッカンボッカン、ジョーヌの繰り出す核撃魔法やら元素魔法、あたしの時雨から繰り出す空間斬撃やらが飛び交ってんだけど。

 

 そうしたら、何かさ、予想外に気に入られてね……。

 

「お前達、面白いな! 気に入ったぞ。たかだか二千年生きてる位で、私と張り合えるなんて。また遊びに来い! 次は、もっと派手にやろう!」

「え? あーーぁ、うん。次があったらね」

「へえ。縁があったら、またどすな」

「いいぞ、数百年位なら待ってやるから。また来いな! 約束だぞ!」

「ええぇぇ……はい、まあ、数百年後くらいに、また」

「堪忍しておくれやす。はあ~ もう、気長に待っときなはれ」

 

 それで、たまーーに、ジョーヌの所には遊びと称して、手合わせに行く事になったんだ。

 

 まあ、戦うのは嫌いじゃないし、むしろ好きだし、結局あたしもコハクも原初達と思考が一緒なんかな?

 

 

 そして最後の原初の紫。 

 

 ヴィオレに出くわしたんだよねぇ。

 

 こいつはさぁ、見た目はお嬢ちゃんってな、感じなんだけど。

 

 中身はね――

 

 ドSよ、超ドS!

 

 あたしもさ、大概だけど――

 

 原初たちはそれ以上だわ!

 

 陰険と言うか、超残虐と言うかね、容赦はないとか、全部ひっくるめた何かなのよおぉー!

 

 ある意味、コハクに通じるものがねぇ、あるんだわ! 

 まったく、あたしの周りにはこんな奴らしかいないんかい! 

 あぁーあ、今度ヴェルドラのとこで、愚痴ろうっと。

 

 うんうん、そうしよう。

 

 それで、やっぱり戦いになったんだよ……もう嫌だぞ! あいつらと関わるのはぁあああああああ!

 

 と、愚痴ってみても……レインとミザリー(いわ)く――「「ギィ様と、お関わりになった時点で必然なのです」」と真顔で言われたよ……ちきしょうー あたしはさぁ、気ままに魔物人生を送りたいだけなんだぞぉおおおおおおお! 

 

 はぁああああぁ~ ごめん、話し戻すわ。

 

 でだ、ヴィオレにもさ、言われたんだよ――

 お決まりの言葉をさぁ。

 

「うーん キミたちのこと、ボク気に入ったかも」

「あー いや、嫌ってもいいのよ? ってか、嫌えや!」

「どすなー あんさんも、おもしろいおすなぁ。気に入りましたえ」

「え? おいコハク、なに言ってんの?」

「また来るといいよ。今度はお茶を用意しておくから、もっと――苛烈に戦おうね」

「ですな~ 苛烈にやりましょか~ うふふふ、美味しいお茶、楽しみにしてますえ」

「いや、いいって! なに二人で意気投合してんの? やめてよね! あたしゃ、知らないわよ! おい、コハク、ヴィオレ、こっちの話も聞けよ!」

「キミ、生意気な口だけど、おもしろいから――許してあげる」

「え? あぁ、はい。すんませんってか、なんであたしが謝るんだ?」

「すんませんなー ヴィオレはん。よく言って聞かせときますので、堪忍え」

「うん、いいよ。コハクも敬称無しで構わないよ」

「いや、だから聞けよあたしの話。おい、二人とも」

「そうおすかー なら、また。ヴィオレはん」

「うん、またね」

「おい……あたしは置いてきぼりか? なあ、ってなに勝手に約束してるのよ、コハク! え? ええっ? 帰る? あ、え? おい、置いてくな! おいいいいいいいいぃ」

 

 何故か意気投合したコハクとヴィオレ、嫌な予感しかしないんだけど、気のせい? よね? ね?。

 

 結局、全ての原初に出会ってしまった、あたしとコハク。

 

 ついてないわ、ほんと……これからしたくもない長いお付き合いが始まるんだよ……原初たちとね! ええ、まじに……。

 

 もう、しばらくヴェルドラのとこでのんびりしたいわ。

 コハクを、数百年ほど寝かしてな!!

 

 

 

 そうそう、後で判明したんだけど、どうもコハクの好みにどストライクだったみたい、ヴィオレ。

 

 なにがって? 聞くなそんなこと! 

 

 しらんわぁー ボケぇーーーー 頼む、誰かコハクの性癖を正してくれる人いない?

 

 切実にお願いしたい……マジに。

 

 ねえ、ほんといない? 金貨百枚払うよ? 安い? なら奮発して五百枚出すよ!

 

 誰かああああああ、いないかねぇえええええええ!

 

 

 〝番外魔王〟のツキハとコハク。

 

 この二人の珍妙な関係は、何があっても変わらず、続くのであった。

 

 諦めろ、ツキハ。

 

 

 あ゛あ゛っ!? 誰だ、てめえ!? ぶっ殺すわよ!!

 

 

 




 四話を読んで頂きありがとうございます!

 次回、〝破壊の暴君と風精人の女帝〟、よろしくお願いします。


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