忍びが転生したら〝異世界珍道中〟になった件   作:にゃんころ缶

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 お待たせしました。四十話です


 うーー早い、もう四十話とは……
 
 前作よりかなりハイペースな感じです。
 これからも更に勉強しつつ、少しでも面白い作品を書けるように頑張りたいと思います。

 それでは、引き続きこの作品をご愛読して頂ければ幸いです。


※作中に出てくる〝半幅帯〟の簡単説明です。
 手軽に巻ける帯の類で、浴衣、家で着る着物などに使われています。
 幅は約15から16cm位です。
 通常袋状の帯なのですが、この作中では単一、浴衣に使う一枚布の帯で表現しています。


※作中使用の特殊フォントは、〝ライム酒様〟作成の特殊フォントを使用させて頂いています。 
 特殊フォントの反映には時間が掛かる場合がありますので、ご了承ください。









40話 竜を祀る民

 

 

 魔王達の宴(ワルプルギス)を提案した、クレイマン。

 

 

 それは、驚くほどにアッサリと受理された。

 大義名分として、〝魔王カリオンの裏切り〟を挙げたのが大きいのだろう。

 

 ジュラの大森林への不可侵条約を破った罪。

 それを、魔王ミリムが断罪した――それが他の魔王達への説明だった。

 

 これが建前であるのは明白なのだが、他の魔王達は反論はしなかった。

 全ては、 魔王達の宴(ワルプルギス)で言及するつもりなのであろうか……?

 

 しかし、それは全てが終わった後、そうクレイマンは読んでいた。

 

 そして、最強の切り札、ミリムがいる。

 

 魔王達の目の前で、ミリムを従えて見せれば、それだけで彼等がクレイマンに対し意見を言う事が出来なくなるだろう。 

 

 クレイマンはそう考えていた。

 その為にも、この軍事作戦は何としても成功させねばならない。

 

 他の魔王達に感づかれる前に、迅速に作戦を完了させる。

 

 万全の準備を整え、クレイマンは行動に出た。

 

 指揮を任せたのは、クレイマンに心から忠誠を誓うヤムザ。

 クレイマンの真の狙いを知る者。

 

 魔王達の宴(ワルプルギス)が始める前に、万を超える魂を狩り集める事を目的とし、ヤムザ率いる三万の魔人軍は出立したのだった。

 

 しかし、その魂を狩る先兵三千が既に壊滅しているのを、クレイマンもヤムザも、まだ知らない。

 

 

 

「ええい、忌々しい奴等よ。何が協力しましょうだ、舐めおって!!」

 

 憤慨して叫ぶのは、禿げ頭の大男。

 ここ、竜を祀る民の住まう都に建つ神殿の神官長、名はミッドレイ。

 

「しかしミッドレイ様、ここは従わないと不味いですって。あのヤムザとかいう指揮官は、ミリム様からの勅令書を持ってたじゃないですか」

 

 へらへらとした態度で、側近の一人が進言する。

 神官長を補佐する神官団の一員で、名をヘルメスという。

 常に飄々(ひょうひょう)としており、不真面目に思われがちな性格をしていた。

 その態度にカチンとしたのか、更に怒鳴って来るミッドレイ。

 

「黙れヘルメス。貴様に言われなくともわかっておるわ!」

 

 そんなミッドレイを見て、内心やれやれと思う。

  とはいえ、ミッドレイが怒るのも理解出来ていた。

 

 原因は昨日から滞在している魔人達。

 奴等は、ここ忘れられた竜の都へ、我が物顔で侵入してきたのだ。

 魔王クレイマンの配下で、協定違反を犯した魔王カリオンの領地を調査に行く軍勢。

 

 断ろうにも断れず、ミッドレイがいくら激怒しようとも、どうしようもなかった。

 何故なら、魔王カリオンの支配する獣王国ユーラザニアを滅ぼしたのが誰あろう、ヘルメス達が崇める魔王ミリムだからである。

 

 彼等の主が関わってる以上、クレイマンの配下が証拠を集めるのに協力をするのは、当然であり。

 逆に証拠が見つからなければ、魔王ミリムの対場が危うくなるのだ、が……。

 

(しかし、本当に困った事になったものだよ)

 

 ヘルメスは内心でそう愚痴をこぼし、昨日からの苦労を思い出していた。

 

 先ず、領内の通過を許可を申請して来た訳だが。

 それは高圧的で、完全に竜を祀る民を見下した態度だった。

 

 協力要請とは名ばかりの――

 それは、命令であったのだ。 

 

 竜を祀る民、総人口十万にも満たない。

 国家としての機能はもたず、全員で協力し合って暮らしている。

 

 武力も持たず、魔王ミリムの庇護下に入る事でその安寧を保っていた。

 

 ならば、この竜を祀る民達に戦闘能力が欠如しているのか? というならば、それは――

 

 否である。

 

 竜を祀る民は、個々人がとある理由で高い身体能力を有す。

 成人ならば、Cランク相当の強さを持つ。

 

 この平和主義ばかりの民で、普段から目立たないのだが……。

 その実、中々に厄介な武闘派集団でもあったのだ。

 

 その中でも神官団は別格で、たった百しかいない。

 それも優秀な者のみが集められた、百なのである。

 

 神官団は、日々ミリムへのお祈りという名の戦闘訓練をしていて、その戦闘能力は卓越していた。

 

 中でも、ミッドレイやヘルメスなどは、ミリム本人と組手が出来る程強いのだ。

 

 そして、ミッドレイと〝番外魔王〟の眷属イチコとの壮絶なる組手は、今も竜を祀る民の間では語り草であった。

 

 そう、竜を祀る民の神官団の中でも一部の者は、ガチで〝番外魔王〟の眷属、一桁番号とも戦える強さを持つのであった。

 

 一桁番号――

 

 〝番外魔王〟の眷属の中でも、別格の強さを持つ〝忍魔猫〟である。

 

 

 そんなヘルメスが、苦々しく思いながら一日が過ぎ、二日目。

 

 クレイマンの配下達は、好き勝手に食糧庫から、食べ物を漁る。

 

 ミッドレイは額に青筋を浮かべつつ、我慢を強いられていた。

 

「それにしてもミリム様は何故、お戻りにならぬのだ?」

 

 怒りの矛先を逸らそうとして、ミッドレイがそう口にする。

 

「さあ、なんでっすかねー?」

 

 適当に答えるヘルメス。

 先程から、何十回と繰り返して来た問答に、流石に面倒になって来ていた。

 

「せっかく御馳走を用意しておるというのに……。どこか知らない所で、お腹を空かしておるのではあるまいな?」

「いや、それはないっしょ」

 

 即答断言するヘルメス。

 

 これには、ヘルメスは自信があった。

 

 何故ならミッドレイが言う御馳走とは、〝自然の恵みの盛り合わせ〟という名の野菜盛りだからだ。

 

 それも、生のまま――

 ドレッシングはもとより、塩すらない、そのままの野菜。

 

 前にミリムと一緒に食事をした時、ヘルメスは見たのだ――

 感情が抜け落ちた様に、もぐもぐと口を動かすミリムを。

 

 一度ミリムが、〝番外魔王〟の二人を食事に招待して、この〝自然の恵みの盛り合わせ〟をミッドレイが自信満々に振舞ったのだが、結果は……。

 

 あたしゃ、兎かぁー!? 塩くらい持ってこいよ! とツキハが怒り、あわや大惨事となるところをコハクが宥め抑えたのだが。

 この時、ミリムが目論んで、〝自然の恵みの盛り合わせ〟を何とかやめさせようとしたのでは、とヘルメスは思っていた。

 その根拠は、〝番外魔王〟の二人は様々な国の酒を飲み、料理を食べ歩いていると、ミリムから聞かされていたからである。

 

 それに、焼いた肉などが出た時はとても嬉しそうにミリムは食べていたから、間違いないとヘルメスは確信していた。

 

 ミッドレイの信念――

 それは、この豊かな自然をそのまま頂く事こそ、最高のオモテナシだ、と。

 

(そんなだから、ミリム様が滅多によりつかなくなるんすよ) 

 

 そう本音をぶちまけたい、ヘルメスであった。

 

 

 そこへ、イライラの原因であるクレイマン軍の総指揮官が歩み寄って来る。

 

「チッ! ヘルメス、我慢するのだぞ」

「了解っす」

 

 ヘルメスは、こっちの台詞っすよとばかりに返す。

 

 二人は口を(つぐ)み、その男――

 

 ヤムザを待つ。

 

 中肉中背であるも、身ごなしは軽く、速度を重視する剣士ヤムザ。

 剣と魔法を操る、A⁺ランクの魔人。

 

「やあやあ、ミッドレイ殿。食糧援助、とても助かります。何しろ三万の軍を養うには、どれだけあっても足りませんからね」

 

 人当たりの良さそうな笑みを浮かべるヤムザ。

 だが、その目は笑ってはいなく、用心深くミッドレイの反応を探る。

 

「はっはっはっ、お役に立てたのなら光栄ですな。ですが残念なことに、我等としてもこれ以上の援助は厳しいのです。民が食うに困ると、ミリム様が悲しまれますので――」

「――何を言うか! その魔王ミリムが、勝手に動いたのだ。その尻拭いをしてやっている我が軍に対し、礼を尽くすのが当然であろうが!!」

 

 ミッドレイが少し言い返しただけで、激昂するヤムザ。

 しかし、これは演技である。

 怒ったフリで、ミッドレイの次の出方を窺っているのだ。

 

 ここで、更にミッドレイが言い返すようなら、それを口実にヤムザは、この都市を滅ぼすつもりでいた。

 

「いや、これは失礼。ついつい自分達の事しか考えておりませんでした。我等に出来る協力は何でも致しますので、遠慮なく申し出て下され」

 

 ヤムザの怒りを鎮めるべく、下でに出るミッドレイ。

 それを見たヤムザは、あれだけ偉そうな態度を取られても、ミッドレイが微塵も怒りを顔に出さないので感心しきりであった。

 

 全く笑顔を崩さずに対処する、ミッドレイ。

 

「そうですか、その言葉を待っていました。我等だけでも獣王国の掃除は十分なのだが、貴方達にも協力する機会を差し上げよう。物資の運搬程度には役立つだろう?」

 

 そうニヤリと笑い言うヤムザに、ついヘルメスが言い返してしまう。

 

「ちょ、ちょっと待って下さいよ! 食料を奪われた上に、人手まで取られるのは――」

 

 反抗するつもりは全くなく、つい口走ってしまった言葉。

 

 チリリッ チリッ 

 

(この微弱な魔力……術? もしや……!?)

 

 ミッドレイが、何かを感知したような呟きを、内で吐く。

 

 次の瞬間、ヘルメスの左腕に激痛が走った。

 

 ザシッ

 

 斬られた左腕が眼前に転がっていく。

 

「痛っ!?」

「黙れよ、人間(ゴミ)め!」

 

 鋭利に目を細め、ヘルメスに向ける視線は冷酷であった。

 斬られた左腕を右手で押さえながら、歯を喰いしばってヤムザを睨むヘルメス。

 

「ほう、身の程を知らぬか? 死にたいようだな」

 

 残忍な笑みを浮かべ、血が滴る剣の切っ先をヘルメスに向ける。

 

(この野郎、調子に乗りやがって――)

 

 ヘルメスが、激昂仕掛けた時。

 

 ドズン!

 

 重く激しい衝撃が、ヘルメスを襲った。

 

 それは、蹴り。

 ミッドレイの抉るような蹴りが、ヘルメスの腹に見舞われたのである。

 斬られた左腕を抱えながら、その場に膝を付くヘルメス。

 

「いやはや何度もすみませんな、ヤムザ殿。この馬鹿には良く言い聞かせて教育をしておきますので、ここはワシの顔に免じて許してやって下され」

「フンッ。馬鹿な部下を持つと苦労するものよ。一度だけ許す。明日の朝には出立するので、貴様等神官共全員、速やかに準備せよ!」

 

 ミッドレイの取り成しにより、ヤムザは剣を納め、用は済んだとばかりにその場から去っていった。

 

 

 ヤムザが去った後、ミッドレイはヘルメスに小声で話し掛けた。

 

「もう少し、そのまま痛がっておれ」

「え? もう少し?」

 

 ヘルメスは激痛の走る左腕を見ながら、不思議そうにミッドレイに問う。

 

「ちょ、ちょっと我慢出来なくなって、来てるんですが……」

「見事なものだな――来てるのであろう? イチコ殿」

「え? え!?」

 

 ミッドレイの言葉に、え? 何が、どうした? と疑問符ばかりのヘルメスの目の前に――

 

 空間を(ひず)ませながら、ある者が実体化して来た。

 

 『空間迷彩』を解除した、イチコである。

 

「お久しぶりです。ミッドレイ殿、ヘルメス殿」

 

 にこやかに姿を現したのは――

 猫耳をピコピコさせながら、長くしなやかなキジ模様の尻尾を揺らし立つ、亜人の美女。

 

 紺色の丈は普通の長さの小袖を着ていて、朱色の半幅帯を締め、肩より少し長い茶髪を揺らしながら二十代後半位の女性が挨拶をして来た。

 

 滅多に人化、亜人化形態を取らない眷属達だが、極稀に人化や亜人化形態を取る事もあった。

 

「ヘルメス殿、不躾をごめんなさいね。今、術を解きます」

「あ、え? はい」

 

 イチコは三つ印を結び、言霊(コトダマ)を発すると同時に、二本指を立てた右手を真横に切る。

 

 解!

 かい

 

 斬り落とされたヘルメスの左腕が、ブワッと霧のように崩れ去り青白い魔素粒子と化し、斬り落とされたはずの左腕が、何事も無く元の姿のままそこにあった。 

 

 そして、今までヘルメスの左腕に走っていた激痛が、嘘のように消えていた。

 

 〝幻遁・幻刺通(ファントムペイン)〟。

 

イチコはヘルメスの左腕が斬られる刹那、身代わりの左腕を作り、『空間操作』で本当の左腕は太刀筋から隠し、あたかもヘルメスの左腕が斬られたように騙し、ヘルメス自身には、本当に斬られたかのような激痛を疑似的に与えていたのだ。

 

 この術は元来、敵に幻の痛みを与え困惑させる術であり、尋問などにも使われていた。

 

 イチコは、それを応用しただけである。

 

 そのイチコが、『空間迷彩』越しにこの術をヘルメスに掛けたのをミッドレイは、感知していたのだ。

 

 僅かな魔力反応、大気、周辺の環境の僅かな変化をミッドレイは読み取り、見知った気配だと断定していた。

 

 術が掛けられた瞬間にミッドレイは確信した、その者は〝番外魔王〟の眷属で一を預かる者、イチコだと。

 

「相変わらずお見事な術ですな。忍魔術でしたかな? ヘルメスとヤムザを、ああも簡単に騙すとは。はっはっはっ」

「いやですわ、ミッドレイ殿。私など、まだまだですよ。しかし、配下の(しつけ)がなってませんわね。魔王クレイマンの配下は、〝悪い子〟です。ウフフ」

「さようですな。はははっ(ふぅ、流石はイチコ殿。あの刹那に術を仕掛けるとは……)」

 

 コロコロと笑うイチコを見ながら、一切の気配に気付けなかった自分の未熟さを噛み締めるヘルメス。

 

 しかし、A⁺クラスの魔人ヤムザですら気付けなかった術なのだ、ミッドレイもイチコが術を仕掛けるまでは、何者かがいる? といったようにしか気付いてなかったのだから、仕方のない事だともいえる。

 

 それだけで、イチコの実力が窺い知れる事だともいえよう。

 

「イチコ殿。先程はありがとうございます」

「いえいえ。大事無くて何よりです、ヘルメス殿」

「しかし、その姿。久しぶりに見ましたね。あの壮絶な組手を思い出しますよ」

「フフッ。あれは、大変楽しくも――本気にならざる得ない戦いでしたわ」

「そうですな。あれは、滅多に出来ない好勝負でしたな。はははははっ」

 

 イチコは、ミッドレイとの壮絶なる組手をした時、亜人化形態で戦っていたのだ。

 

 暫しの談笑をミッドレイ、ヘルメス、イチコは楽しみ。

 不意にミッドレイが、真剣な顔付でイチコに尋ねる。

 

「イチコ殿。此度(こたび)の戦争、ルヴナンは参加するのですかな?」

 

 ミッドレイは、もし〝傭兵商会・ルヴナン〟がこの戦争に参加するならば、神官団としてもイチコ達が敵になった時の対応をしなければならないと、踏んだのである。

 

「今回の戦いには私達眷属は参加しません。戦うのは〝傭兵商会・ルヴナン〟の代表としてツキハ様が、魔国連邦(テンペスト)の代表と戦うだけです」

「そうですか。で、魔国連邦(テンペスト)の代表とは誰なのです?」

「ヴェルドラ様です」

「おお!? やはり、あの噂は本当でしたか。さぞかしツキハ様も、御喜びになられた事でしょうな」

「ええ、とても。フフフ」

 

 イチコ達が参加しないと聞き、ミッドレイは少しホッとするも。

 ヴェルドラの復活が本当だと知り、また色々と起こるであろう事を予感する。

 

「それで、今回は何故こちらにいらしたのですか?」

(あるじ)様から、見学がてら遊びにいってよいと許可を頂きましたもので。それでは、と。フフッ」

「さようですか。〝番外魔王〟の御二人らしいですな。ふはははっ」

「それでは、そろそろ行きますので、ごきげんよう」

「うむ。今度は、ゆっくりと遊びに来てくだされ」

「イチコ殿。本当に、ありがとうございました」

 

 イチコは軽く会釈をすると、また『空間迷彩』で姿を消しながら、ミッドレイとヘルメスの前から去っていった。

 

 その瞬間、ミッドレイ達周辺の空間が二重に揺らぎ、元の空間へと戻っていった。

 イチコは、自分の周りの空間を幻想領域で隔離していたのだ。

 その為、ミッドレイとヘルメスの姿は視認できても、他者にはイチコの姿は視認出来なくしていた。

 

 その鮮やかな術の掛け方にヘルメスが唸る。

 

「相変わらず凄いですね、イチコ殿は。いったい幾つの術を同時展開してるのやら……」

「味方であれば頼もしいが――敵に回ると、厄介ではすまぬからな……あの御方達の、眷属は」

 

 イチコが去った後に、ヘルメスとミッドレイがしみじみと呟く。

 

 

 そして、夜も更けた頃の魔国連邦(テンペスト)でのリムルは。

 

 獣王国に残る避難民が各地に散らばってると、報せを受け。

 リムルの指示で、ミリムの攻撃で広大な更地に変えた場所、獣王国首都跡地にゲルドの部隊を〝広域転送術式〟で先に送り込み、一時的に避難民を受け入れる野営地を設営させる。

 

 そこへ、残る避難民を全て集め、魔国連邦(テンペスト)での受け入れ準備が整い次第、一気に避難民を魔国連邦(テンペスト)へ送る事にしたリムル。

 

 

 着々と進む、避難民受け入れ準備。

 そして、戦士達の編成も同時に行われていた。

 

 時間との勝負の中、新たに開発した〝広域転送術式〟で、次々と避難民を野営地へ送るリムル。

 

 全ての避難民を転送し終えたリムルは流石にクタクタになるも、失った魔素量(エネルギー)智慧之王(ラファエル)の計算通り想定内に収まっていた。

 

 

 そこへ、リグルドから避難民受け入れ準備が終了したと報告が入り。

 リムルは、全避難民を一気に転送し、残る全ての避難民の救出を終える。

 

 空が白み始める頃。

 リムルはソウエイからの報告で、クレイマンの軍にまだ目立った動きが無いとの報告を受け、夜が完全に開けたら、次は軍の転送を行うとベニマルに告げた。

 

 

 さて ここからが勝負だ

 

 待ってろよ クレイマン

 

 

 薄っすらと差してくる朝日の光の中、リムルは明後日に迫る〝魔王達の宴(ワルプルギス)〟の事を思う。

 

 




 四十話を読んで頂きありがとうございます!

 次回の更新もよろしくお願いします!







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