忍びが転生したら〝異世界珍道中〟になった件   作:にゃんころ缶

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 お待たせしました。四十三話です


 作中で出てくる〝間者(かんじゃ)〟についての簡単説明です。

 昔に使われていた言葉で、現代でいう〝スパイ〟の意味です。
 戦国時代は忍びの意味だったりしたそうです。
 







43話 ギィと レオン いきなりヴェルザード

 

 時を少し戻し、午後を回った頃の……。

 

 ここは、氷雪吹きすさぶ極寒の大陸。

 

 

 永久凍土の氷原に囲まれ、マイナス百二十度を下回り、ほぼ全ての生物の生存を許さない大地。

 

 ツキハがここに住むなんて、アホか!! というくらい極寒の地。

 その中央部に、その城は屹立(きつりつ)していた。

 

 美しく幻想的な宮殿。

 

 

 想像を絶する膨大な魔力にて、この世に具現化された悪魔の城。

 

 その名は〝白氷宮(はくひょうきゅう)〟。

 魔王ギィ・クリムゾンの居城である。

 

 

 その城の廊下を悠然と歩く人物がいた。

 

 長い金髪に切れ長の目。

 その青い瞳は、整った顔立ちの中で異彩を放ち。

 透き通るような白い肌は、女性と見紛(みまが)うばかりの、美丈夫。

 

 魔王レオン・クロムウェル。

 

 〝白金の悪魔(プラチナデビル)〟、もしくは〝白金の剣王(プラチナムセイバー)〟と呼ばれる者。

 

 まるで自分の城であるかのように、自然に進むレオン。

 

 レオンの進む先に見えて来たのは、彫刻が美しく設けられた大きな扉が見えて来る。

 この城の主が待つ、謁見の間へと続く扉であった。

 

 レオンが扉の前まで来ると。

 

 大柄な悪魔が二体がかりで、扉を開く。

 

「魔王レオン・クロムウェル様が到着なさいました!」

 

 扉の内側に控えた美しき女性型悪魔が、声高らかにレオンの来訪を告げた。

 更に扉の内側には、力ある上位悪魔が左右に別れて列をなして控える。

 

 その数合わせて二百体以上。

 そして、魔王ギィ・クリムゾンの眼下に控える六柱の上位魔将。 

 

 これら皆、名前付き(ネームド)の悪魔であった。

 

 上位魔将の戦闘能力は、下手をすれば魔王に準ずる強さを持っていた。

 

 ――しかし……その上位魔将ですら、この場での自由な発言を許されていない。

 この場には、越えられぬ身分(じつりょく)の壁が存在した――

 

 レオンの来訪告げた緑髪の悪魔と、レオンを案内している青髪の悪魔。

 人の欲望を具現化したかのような、美しい容貌。

 

 しなやかで美しい肢体は、暗紅色(あんこうしょく)のメイド服に隠されていた。 

 

 緑髪のミザリー、青髪のレイン。

 彼女達こそが、代弁者であり。

 絶対的支配者である魔王ギィ・クリムゾンの、左右に控える二柱の悪魔なのだ。

 

 その階級は悪魔公(デーモンロード)であり、魔王にすら匹敵する。

 

 レオンは中央を通り、玉座の真下まで到達する。 

 ミザリーとレインはそこで一礼し、ギィの左右に並び立つ。

 

 同時に玉座の主が立ち上がる。

 この場にて動ける資格がある者は、二名の魔王だけとなった。 

 

「久しいな、我が友、レオンよ。息災だったか? よくぞ俺の呼び掛けに応えてくれた。礼を言うぞ」

 

 美しくも良く通る声のギィ。

 

 真紅の瞳に、燃えるように波打つ髪は、血の色より濃く深い赤色(ルージュ)

 

 背はレオンと同程度、そしてギィの美しさは覇者としての風格が漂う、妖しい美貌。

 レオンに声をかけながら、玉座の置かれた高みからレオンの下へ歩み寄り、レオンの胸に腕を回し抱きしめると。

 迷いなくレオンの顔に手をかけて、接吻をした。 

 

 レオンは嫌そうに顔をしかめ、ギィを押しのけると、いつもの様に文句を言う。

 

「止めろ。私は男と付き合う趣味はない。何度も言ってるだろう? ツキハに知れると、またド変態とからかわれるぞ」

「あっははは。相変わらず連れないな。お前が望むなら、女になってやってもいいのだがな。ツキハか、アイツはあれだ、コハクにでも襲われるといいさ、はははっ。まあ、ここではなんだ、場所を変えよう」

 

 ギィは愉快そうに言い放ち、返事も待たずに歩き出す。

 

 この極寒の地でギィの衣装は、異様だった。

 羽織るような衣装で、肌の露出も多いのだが、悪魔であるギィにとって何も問題はないのである。

 

 歩きながらレオンの唇を味わった感触を思い出したのか、真紅の唇をぺろりと舐め上げる。

 

 性別自在であるギィにとって、男も女も性欲の対象なのであった。

 

 そんなギィは昔―― 

 ツキハとコハクがあまりにも自由人で、ギィの呼びだしに中々応じず逃げまくっていたのに業を煮やし。

 

 何とか手懐けようとした事があった。

 

 それで、ツキハとコハクを無理やりこの居城に一泊させ。

 コハクの寝室に女の姿で、夜這いをかけた事がある。

 

 「なんや、あんさんは!? うちが、好きな〝おなご()〟はツキハだけおすえ!!」とコハクが切れ、大喧嘩に発展した。

 

 ならばツキハと、男の姿のまま寝室に行くと……。

 

 「あ゛あ゛!? あんたなにしてんの? 〝竜〟の姿で出直してこいやぁーー!!」と、大激怒。

 

 これも大喧嘩に発展し、更にコハクが駆け付けて来て、あわや大惨事。

 ヴェルザードが止めなければ収まらない程の、大喧嘩であった。

 

 で、結局これは無理だとギィは諦めた事があったのだ。

 それをレオンは、ギィから聞いて知っていた。

 

 彼――或いは、彼女――こそが、魔王ギィ・クリムゾンである。

 

 この城の主にして、最強最古の魔王――暗黒皇帝(ロード・オブ・ダークネス)の名の下に、永久凍土であるこの大陸を治める覇者なのだ。

 

 ギィはレオンを案内するでもなく先に進み、レオンはその後を当然のように付き従う。

 

 二人が謁見の間を出て行くまで、誰一人として頭を垂れたまま動く者はいなかった。

 それは、許されざる行為なのだ。

 

 ギィが退出し、レオンが退出したのを確認し、ミザリーとレインが立ち上がる。

 

 そして、一言。

 

「散れ」

 

 レインが端的に、配下の者達に命令を下した。 

 それからミザリーとレインは、客人にお茶を用意すべくその場を後にする。

 

 

 ギィとレオンは、最上階にある氷のテラスへと入っていく。

 そこは吹き抜けになってるにもかかわらず、氷雪の侵入が全くなかった。

 

 完全に環境を調節した空間になっている。

 

 ギィはあらゆる環境の影響を受けないので、これはレオンの為に空調を調節していたのだ。

 

 因みに、ツキハとコハクもあらゆる環境に影響は受けないのだが――

 人間の頃の冬……あの死にそうになる冬の寒さを思い出して心が凍えるので、二人して「「アホか!」」と、来る度文句を垂れるのであった。

 

 ギィに促され、用意された椅子に座るレオン。

 その椅子は氷で出来ていたが、冷たさは一切感じさせない。

 

 いつの間にか氷のテーブルが現われ、レインがお茶を並べ始めていく。

 ミザリーはテラス入り口のところで、静かに立っていた。

 

「それで、私を呼び付けた用件はなんなんだ?」

「ああ、お前も知る通り、魔王達の宴(ワルプルギス)が開催されるわけ、だが。今回は、無理にでも誘おうと思ってな」

「ほう? 私に強制するとは珍しいな。〝番外魔王〟でもあるまいに」

「ああ。今回はお前に借りを作る事になっても、参加してもらうぜ?」

「――で、その理由は?」

「ハハッ。相変わらず用心深いな。いいだろう、説明してやろう――」

 

 ギィは楽し気に笑い、説明を始める。

 

「今回の提案者は、クレイマン。小物だ。だがな、何故か賛同者にミリムの名前があった。しかも、クレイマンはツキハとコハクを雇ってるんだ、これが」

「――ほう」

「でだ、ミリムはオレと並ぶ最古の魔王、クレイマンの思い通りに動かんし。ツキハとコハクは、雇うだけならまだしも、利用しようと画策するなら――必ず報復される。アイツらの持つ〝傭兵商会・ルヴナン〟は、真偽のほどはわからないが、ガチの暗殺部隊があるらしいぜ」

「ふむ……。実態のわからない奴らの〝傭兵商会・ルヴナン〟は、暗殺部隊まで持っているのか?」

「さあな。なにせ、千年以上前、小国を一つ壊滅させた時はアイツら二人だけだったんだが。二つ目の小国を滅ぼした時、そこの軍勢を壊滅させたのは……影で動いていた――〝傭兵商会・ルヴナン〟の暗殺部隊と眷属達だという、話だぜ?」

「領地を持たぬアイツらが、本当にそんな戦力を持っているのなら……。 どこに、そんな戦力を隠しているやらだ、な」

「まあそれは、ヒ・ミ・ツ、というやつだろ? はっははは」

 

 ギィは、思わせぶりな含み笑いを見せる。

 ツキハとコハクの事を話す時のギィは、確信に触れる事は話さないで思わせぶりな事しか言わないのを、レオンは知っていた。

 

 それでもたまに、確信に触れる事を匂わす事を言うのもわかっていた。

 

 ギィは、レインの入れたお茶を一口飲むと、「話しがそれたな」と言いクレイマンの話しに戻す。

 そこへレオンが、クレイマンの話しの確信を付いた言葉を言う。

 

「クレイマンの話しだが、カリオンが死んだというのも、妖しいという訳か?」

「なんだよ、わかってんじゃねーか」

 

 思っていた事を言い当てられ、ギィは不機嫌になる。

 レオンは、それを気にもせず言葉を続けていく。 

 

「クレイマンはやり過ぎた。証拠を残さぬよう私に嫌がらせを行ってきたが、今回は見過ごせん。ミリムに、あのツキハとコハクが動いてるとなると、厄介過ぎる」

 

 レオンの言葉にギィは、嬉しそうに頷く。

 

「ふむ、オレも同じ考えだ。ミリムにとってはいつもの遊びだろうが、アイツらは違う。金が絡み、そこに戦争があると、喜び勇んで飛び込んでいく。それで、魔王間のバランスが崩れようと、お構いなしにな。それは面白くないし――オレの仕事が増えるだけだしな」

 

 ギィの機嫌が直ったのを見計らい、レオンは一番肝心な質問を放った。

 

「それで、ギィ。ミリムはクレイマンに操られていると思うか?」

 

 その質問に、ギィは素っ気なく答える。

 

「ミリムとツキハ、コハクの事を考えても無駄だ。オレの様に賢き者には、バカの考えは読めん。それが、数少ないオレの弱点だな」

 

 肩を竦めそう言い、ニヤリと笑い更に言葉を繋げた。

 

「ふむ……そうだな。ミリムとツキハ、コハクは存外に仲がいい。あの二人が騒がないという事は――そういう事だ」

 

 ギィはククッと笑いを漏らしながら言い、レオンもその言葉の意味を読み取る。

 

 それから最初の話しに戻る、ギィ。

 

「で、あれだ。それだけ気になってるという事は、お前も参加するって事でいいんだな?」

「ああ、そのつもりだ。私は馴れ合いは嫌いだが、今回は参加するしかないだろう」

「ほう、良かったよ。お前にオレを――」

「――私は男は相手にしない。相手が女でも、望む者以外遠慮するがね」

「なんだ、先に言うなよ。お前が望むなら、女の身体になってやるんだがな……」

「私より、もう一度あの二人を手懐けるのに、挑めばいいんじゃないか?――」

「――それは断固拒否だ」

 

 ギィは妖艶にレオンに絡もうとしたのだが、レオンはそれを予期し綺麗に回避し、レオンが返した言葉にギィは、即答で返す。

 これは時折二人の間で見られる、攻防であった。

 

 そんな攻防も飽きたのか、ギィはもう一つの話題に入った。

 

「ところでレオン、ラミリスが意見を提示するなど滅多にないんだが、〝リムル〟という奴について何か知っているか?」

「クレイマンが言うには、魔王を僭称(せんしょう)してるそうだな。そのリムルとやらに実力があれば、何も問題はないと思っているよ」

「ほう。お前の考えでは、リムルには魔王の資格があるという事か」

「そうだな」

「ふむ。オレとしては、ラミリスが絡んでいるって点が気になったのさ。アイツが興味を持つ者なら、オレも楽しめるんじゃないかってな」

「ギィ。興味を持つ対象が増えると、頭が痛くなる事案が増えるのではないか?」

「くくっ。それはそれ、これはこれだ」

 

 今回の魔王達の宴(ワルプルギス)の提案者がクレイマン。

 そこへラミリスの追加案件で、当事者リムル参加の流れ。

 

 だからこそ、今回のクレイマンの行動に対して、ラミリスにも思うところがあるのだと推測出来た。

 

「ラミリス、か。あの妖精は苦手だ。会う度にからかわれる。何度殺してやろうかと思ったか……」

「はっはははは。止めておけ。ラミリスを殺すなら、オレはお前の敵になる」

「だろうな。本気で言った訳ではないよ。私では、貴様に喧嘩を売っても勝つ見込みがないしな」

 

 レオンの言葉に嘘は無かった。

 ラミリスにからかわれるのが嫌なだけなので、本気で危害を加えるなど毛頭ない。

 

 そして、レオンがギィに勝つ見込みがないのも本当であった。

 魔王として同格であっても、その力は天と地ほどの開きがあるのだ。

 

 そのギィに何度も喧嘩を売り未だに生き残っているツキハとコハクの事も、魔王でもないのにあの力は、異常な魔物だとレオンは常々思っていた。

 

 そう、レオンは二人が〝覚醒〟したのを、まだ知らない。

 これを知るのは、ギィとミリムに、ヴェルザードとラミリスだけであった。

 

 ギィが「お前なら、百万回に一回なら一度くらいは殺せるぞ?」と言うのを聞くと、尚更そう思った。

 

「話しにならん。私は勝てる戦いにしか興味はないんだよ」

「謙遜はよせ。そもそも、オレに傷を付けられる者は少ない。オレを殺せる可能性を持つお前は、十分に強者だよ」

「フッ、言われるまでもない。貴様とミリムが別格なだけだ。そして、ツキハとコハクは異常なだけだ。そうだ、別格と言えば――」

 

 レオンが思い出したように、ギィに告げる。

 

「〝暴風竜〟ヴェルドラが、目覚めたそうだぞ」 

「なに!? (アイツ等、そんな事一言も言って来てないぞ?)」

 

 そして、レオンが初めてギィを驚かせる事に成功したのである。

 ギィが報告が無いぞと心の内で毒づくも、ツキハとコハクにそんな義務はないので仕方のないことなのだが……。

 ――むしろ、そんな事は絶対に言わない、そんな二人なのだ。

 

 そこへ――

 

「あらあら。そのお話。とても興味深いですわね」

 

 二人の会話に割り込む、氷のように涼やかな声。

 その声に相応しい女性。

 

 白磁のように真っ白な肌、冷たく光る深海色の瞳(ブルーダイアモンド)に、真珠色(パールホワイト)の髪がサラリと流れる。

 

 ギィの許可も得ず、自由に歩き喋る女性――

 

 〝白氷竜〟ヴェルザード。

 

 この世界に四体しか存在しない〝竜種〟が一体であり、魔王ギィ・クリムゾンの友であり――相棒。

 そう、レオン同様、ギィと同格なのであった。

 

「ヴェルザードか。そういえばここにもいたんだったな、〝竜種〟が」

「あら? 相変わらず冷たい人ね。でも、顔を見せてくれて嬉しいわ。あの()達は、滅多に来ないもの。来ても騒ぎを起こす、困った()達なのだけども、ね」

「そうか? まあ、それには同意する。私も君の顔が見れて眼福だよ」

 

 白々しく言うレオンとたおやかに返すヴェルザードが、ひとしきりの社交辞令を交わす。 

 

「ふん。お前達は、相変わらず仲が悪いな」

 

 ウンザリした顔で、ギィが言い放つ。

 普段は、ここから嫌味の応酬になるのだが、今回は違った――

 

「それで、今のお話しですけれど……。〝弟〟が、目覚めたのですって?」

 

 レオンが放った爆弾発言の真偽を確かめんと、ヴェルザードが問う。

 

 ヴェルドラが復活したのなら、その巨大な妖気(オーラ)が荒れ狂い気象が変動するのですぐに気が付く。

 しかし、そんな兆候はまるでなかった。

 それにヴェルドラが復活したなら、間違いなくツキハとコハクがヴェルドラのところに来る。

 復活した喜びにヴェルドラと特にツキハが〝はしゃぎ回り(暴れまわり)〟、付近に甚大な被害が、必ず及ぶ。

 

 それが、ない。

 

 だから、ギィやヴェルザードが驚くのはもっともなのだ。

 

「ああ、間違いない。西側諸国に放っている〝間者(かんじゃ)〟からの報告だ」

「ほう……? だとしたら、何故あの邪竜は大人しくしている? あのツキハも、何故大人しくしている? ヴェルドラは、自力で魔素量(エネルギー)を回復出来ぬ程に弱っているのか?」

「それに、誰があの子の封印を解いたのかしら? あの子が自力で破れるとは思えないのだけれど……」

 

 ヴェルドラは〝勇者〟に封印されていた。

 

 ヴェルザードからすれば、好き勝手に暴れる弟と、それに加わり暴れるツキハとコハクを懲らしめる為に、敢えてその封印を放置していたという背景がある。

 

 特にヴェルドラとツキハは結構やらかしている、もうヴェルザードが怒るくらいには……。

 

 それでも、反省し大人しくなったならば、消滅する前に助けようと考えていたのだった。

 

 それからレオンは、クレイマンの謀略によりファルムス王国が動き、リムルが興した魔物の国を滅ぼそうとした結果、ファルムス王国軍は全滅、リムルが魔王を名乗る流れとなったと話す。

 

 そして、その激戦地にヴェルドラが眠っていたらしく、消滅寸前だったヴェルドラは大量の血を浴びて目覚めて、そこへ〝番外魔王〟が駆け付けたというのが真相だと言う。

 

「そういう事なのね。では、封印が解けたのは偶然? もしもだけど、あの()達が解いた?」 

「さあな、そこまではわからない」

 

 〝勇者〟のユニークスキル『無限牢獄』は、対象を虚数空間に閉じ込める能力(スキル)であり、現実世界への干渉を許すほど甘くはない。

 

 にもかかわらず、ヴェルドラは現世に影響を与える存在だった。

 

「勇者の封印が不完全だった、可能性もあるわね……」

 

 それならば説明が付くと考えたヴェルザードに、レオンがとんでもない仮説を口にする。

 

「そうだな。それもあるだろうが、もう一つ仮説を立ててみた。何者かが創った亜空間に、封印ごと飲み込まれていたとしたらどうだ?」

 

 この仮説に、ギィが反応する。

 

「ははっ、面白い! それならば、何者かが封印を解いた事になる。あの封印は勇者の特異性も相まって、通常の能力(スキル)での解除は不可能だ。オレ達なら可能だろうが、後考えられるのはあの二人だ。それはつまり、その何者かがオレ達に匹敵するという事になるな」

 

 実に楽しそうに、ギィは言う。

 

「あくまでも、可能性、だがね」

「その何者かが〝リムル〟と睨んでいるわけだな、レオン?」

「ああ、その通りだ」

「なるほどな……。それなら確かに、見極めなければなるまいよ」

 

 ギィは、レオンが素直に参加を表明したのはこれかと、納得をする。

 

 クレイマンの暴挙。

 ミリムの不審な動き。

 更に、不審な動きをするツキハとコハク。

 リムルが魔王を僭称(せんしょう)し、ヴェルドラの封印が解けた。

 

 これらが全て、裏で繋がってるとしたら……?

 

 今回の魔王達の宴(ワルプルギス)は、楽しいものになるだろう。

 

 ギィは、そう考えうっとりと微笑みを浮かべる。

 

 しかし、そこでふと気になった事を呟く。

 

「それにしても、ヴェルドラが大人しいのは何故だ?」

 

 その呟きにヴェルザードが答える。

 

「弱っているみたいね。反応が以前と比べ物にならないほど微弱だわ」

 

 同じ〝竜種〟であるヴェルザードが、意識して探らなければ気付けない程に微弱な反応だった。

 弱っているという考えは妥当なのだが……。

 

「それにしても、暴れ出さないのは不思議ね。あの子の性格では、暴れる事こそ生きる意味といった感じだったもの。頭の上にあの(ツキハ)を乗せて、お互いに高笑いする姿が目に浮かぶわね」

 

 ヴェルザードも腑に落ちない様子で呟いた。

 

 そんなヴェルザードとギィを見ながら、レオンが席を立とうとする。

 

「もう行くのか?」

「ああ、私への用件はそれだけなのだろう?」

「まあ、待て。そう慌てることはないだろう? ところで、お前の本当の目的〝特定召喚〟の目処は立ったのか?」

 

 ギィは席を立ちかけたレオンを引き留め、実験の成果を尋ねる。

 

 それについてレオンは、〝不完全な状態での召喚〟を理論化して西側諸国に流したが、自由組合から横槍が入ったと言う。

 

「今後は、邪魔が入りそうだよ」

「邪魔だと?」

 

 ギィの問いにレオンは、召喚されて死を待つばかりだった子供達を引き取る前に、先に救われたと言った。

 

「なるほどな、結果が出る前に強制的に救われたのか。それなら、今後も邪魔されると見て、間違いなさそうだな」 

「多分、な。そいつは各国が子供達を召喚する事に、えらく憤慨したらしくてな。それぞれの国に対して、圧力を加える可能性がある。なので、この実験は仕舞いだよ。裏で私が動いているのを、感付かれてしまいそうでな。それに、既に嗅ぎ付けて動いている者の気配も、あるのだよ」

「ふむ。ならば、その邪魔者を消してしまえばいいのではないか?」

 

 お前なら簡単だろう? そんな目でレオンを見るギィ。

 

 しかし、そこでレオンは深い溜息を一つ吐き、告げる。

 

「その邪魔者こそが、今話題にしていた〝リムル〟なのさ」

「なんだと!? それは本当に偶然か?」

「面白いだろう? だから私も、一度見ておきたかったのだ」

 

 真面目な顔で頷くレオン。

 

「そうか、ますます興味が湧いてきた。こんな気持ちはアイツら以来だ。もしかしたらミリムの奴も、オレと似たような考えを持っているのかもな。アイツは馬鹿だが、妙に感が鋭いからな」

「かもな。ま、今夜の魔王達の宴(ワルプルギス)は荒れるかもな」

「荒れる、か。レオン、お前には先に教えておこう。今夜の魔王達の宴(ワルプルギス)には、ツキハとコハクも参加する。オレが今回だけ、特別に招待した」

「な!? よく、あの二人に参加を承諾させたな……。ますますもって、荒れそうだ今夜は」

「だろ? くくっ」

 

 レオンの驚いた顔に満足しながらギィは、次の問いに移った。

 

「そうそう、前から気になっていたんだが、アイツら以外にも情報を買っているよな? お前に情報を伝えているという協力者とは何者だ?」

「帝国の人間らしいが、詳しくは知らん。商人だとは、名乗っていたがね」

 

 〝異世界人〟の召喚は膨大な魔素量(エネルギー)と特定の条件に複雑な要素が絡み合う。

 それ故、一度召喚を行うと、再び召喚が可能になるまで長い期間が必要になる。

 

 そこでレオンは、その商人と取引を行い、代行して召喚を行わせていたのだ。

 

「レオン、その商人とやらは信用できるのか?」

「信用? する必要あるまい。ただ利用しているだけだしな」

「そうか、お前がそれでいいなら、オレに文句はない。だが、油断するなよ? 勝手に死ぬなど許さんからな」

「フフッ。私を心配してくれるのか? 珍しいな、ギィ。安心しろ、目的を果たすまでは、死ぬつもりなどないさ」

「それはまた……。そんなに、大事なのか?」

「ああ、そうだ。私にとっては、この世の全てに優先するほどに、な」

「そうか、嫉妬しそうだ」

「心にもない事を言うな。忠告は素直に受け入れるさ。では、また今夜」

 

 そう言葉を残し、光の結晶が煌めくと『空間移動』にて、レオンはその場を去った。

 

 そんな二人を見守っていた蒼い瞳。

 

「相変わらずせっかちだな。まあ、レオンらしいが……」

 

 苦笑い気味にギィが呟く。

 

「しかし、慎重なレオンにしては迂闊過ぎますわね。協力者の正体も掴んでいない様子。こちらで探るか、もしくはあの()達に頼みますか?」

 

 凍えるようなヴェルザードの冷たい声が、ギィに問う。

 

「やめておけ。要らぬ手出しをすれば、レオンの不興を買う。友人に恨まれるのは、オレは御免だよ。それと、ツキハとコハクは駄目だ。アイツらは、オレだと盛大にぼったくるからな」

 

 なんの心配もせずに答えるギィ。

 

 ギィにとってレオンは信用のおける友人であり、その性格を熟知してるからこそ出た言葉。

 そしてギィは、レオンの有能さを誰よりも知っている。

 レオンが自ら協力者の正体を探らないのであれば、その必要がないのだろうと判断したのだ。

 

 ツキハとコハク、情報を二人から買う時はいつもぼったくられるからこそ、出た文句。

 だが、二人が持つ表、裏の情報については、正確性が群を抜いているので文句を言いながらも、必要があれば買っている。

 

「レオンが俺を頼ってきたら、その時に手助けをしてやればいい」

「わかりました」

 

 そこで、二人の会話は終わる。

 

 

 これで、魔王達の宴(ワルプルギス)に参加する者が確定した。

 

 提案者たるクレイマン、フレイ、ミリム。

 

 追加提示したラミリス。

 

 出不精なレオンも参加決定。

 

 出不精と言えばもう一人いる。

 どこにいるか不明な魔王がいるが、その者も魔王専用回線でギィが無理やり呼び付けていた。

 

 後は、古き友であるダグリュールと、もう一人……。

 その者については、ダグリュールが必ず連れて行くと約束をした。

 

 最後にギィ本人。

 

 生死不明のカリオンは除いて、久しぶりに十大魔王が揃う事になりそうだと、ギィは思う。

 

「今回は楽しめそうだな。お前も行くか?」

「そうですね……いえ、止めておきましょう。弟が参加するならともかく、私は魔王に興味はありませんし……。そうそう、あの()達に魔王達の宴(ワルプルギス)が終わったら、私のところに来るよう伝えてもらえるかしら?」

「そうか? まあいい。わかった伝えておこう(ご愁傷様だなアイツら。くくっ)。では、留守は任せた」

「ええ、お任せを」

 

 そう言い、ヴェルザードも席を立つ。

 

 後に残ったギィは、極寒の大地にかかるオーロラを眺めながら魔王達の宴(ワルプルギス)に思いを馳せる。

 

 

 小細工を弄して暗躍する魔王クレイマン。

 

 新参だったとはいえ、簡単に崩れる魔王の一角。

 

 引きこもりだった友人が活動を開始したのも、気になった。

 

 そして――新たなる魔王の誕生。

 

「実に、面白い」

 

 ギィは静かに、オーロラを眺めながら呟く。

 

 ツキハとコハクに初めて会った時のように、今胸の高鳴りを感じた。

 

 そう、今こそ大きな変革が必要なのだ。

 

 そもそも魔王達は仲間ではないし、本来相争う者達である。

 

 魔王の数には、制限などは無い。

 

 十人だろうが、百人だろうが何人でもいいのだ。

 

 どうせ実力がなければ、五百年周期の〝天魔大戦〟で淘汰される事になる。

 

 その〝天魔大戦〟を生き抜いてきた、ツキハとコハク。

 

 〝天魔大戦〟が起きるたびに新参が覇権争いをして、いつしか上限が十名と定められた。

 

 それが人の世に知られ、十大魔王などという呼称で同列に語られる事になる。

 しかしこれは、決してギィが認めたものでない。

 

 人間側としては、危険な魔王達が互いに覇権争いをしてその数を減らしてもらった方が、何かと都合が良かった。

 

 それがいつの間にか、暗黙の了解になっていた。

 

 しかし、それもそろそろ終わりだ。

 

 弱者に〝魔王〟の名は相応しくない。

 

 そろそろ本物の魔王達による、支配の時代が始まるべきではないのか?

 

 ――ギィは、そう思った。

 

 その雛型はある。

 ツキハとコハクが築いてきた、〝番外魔王〟という、人間にとっての恐怖の象徴。

 馴れ合いも無い、あるのは()るか? ()られるか? この二択で実にシンプルな生き方である。

 そして、ツキハとコハクは人間社会において、〝触れざる者〟として認定された。

 これこそが、本物の魔王の在り方ではないか? そうギィは考える。

 

 ギィが敢えて、監視下に置きながらも自由にさせていたのは、これが目的でもあった。

 そう、ツキハとコハクは〝真なる魔王〟の一人としてギィが認めた魔物であり、魔人なのだ。

 

 ギィの慧眼は確かだった。

 ツキハとコハクはに初めて会った時、この二人に自分には無い何かを持ってると、そう思った。 

 

 それから五千年の長き時を、ツキハとコハクという起爆剤を育てて来た、ある事を隠しながら。

 

 そして……。

 

 リムルという点火器がその起爆剤に火を付け古い今を壊し、新たなる変革の嵐を起こした。

 それはまだ、小さな小さな嵐だが――やがて世界を飲み込む嵐になると、ギィは思った……。

 

 

 最初に誕生した魔王――それはギィである。

 

 七柱いる原初の悪魔の一柱であったギィは、上位魔将として人の世に召喚された。

 名も無き原初の(ルージュ)は、この日世に解き放たれたのである。

 

 力なき分際で自分を召喚した者の望みを叶え……戦争中だった相手国を滅ぼし、続いて自分を召喚した人間の国も滅ぼした。

 

 そして……得た報酬が、その名。

 

 絶望を嘆く人間達の声の響きが、〝ギィ〟という、彼の名になったのだ。

 同時に、魔王として覚醒した事を悟。

 

 

 ギィが魔王として覚醒した後、僅かに遅れて真なる魔王に覚醒した者がいる。

 

 それが、魔王ミリム。

 

 この世界に四体しかいない、〝竜種〟その最初の一体が大地にて人間と子を成した存在――

 それが、ミリム。

 

 あろう事か人間と交わった〝竜種〟は、その大半の力を子に奪われてしまった。

 それ以来、〝竜種〟が人と子を成す事は、禁忌(タブー)とされてしまう。

 

 力を失ったその〝竜種〟は、その身を分散させて大地にて受肉を果たし、竜族(ドラゴン)の始祖となる。

 この事から、〝自然精霊の意思的存在〟は〝竜種〟と呼ばれる事になったのだ。

 

 その最初の〝竜種〟――〝星王竜〟ヴェルダナーヴァ。

 

 ヴェルダナーヴァは自分の転生体として、子竜を娘に与えていた。

 

 だが、愚かなとある王国に、その子竜が殺された……。

 愚かな者は、ミリム(暴 君)の逆鱗に触れた。

 

 そして、ミリムは〝真なる魔王〟へと進化する。

 ――その結果、理性を無くしたミリムが暴走し――

 世界は一度、壊れかけた。

 

 それを止めたのが、ギィ。

 七日七晩、戦闘は続いた……。

 

 その戦いは激烈を極めたが、結局決着が着かなかった……。

 しかし、ミリムに理性が戻った事で戦いは終結した。

 

 ミリムに理性を取り戻させた者――それは、ラミリス。

 その当時、精霊の主として君臨していた彼女が、その力と引き換えにミリムの怒りを中和したのだ。

 

 だが……その代償は、あまりにも大きかった。

 邪悪な魔と竜の妖気(オーラ)を浴びた事で、ラミリスは力の喪失に留まらず堕落してしまったのである。

 

 そして、今のように成長と転生を繰り返す妖精になったのだ。

 

 世界の崩壊は阻止された……。

 

 そして、この三名が最初の魔王となったのだ。

 

 目的は、三者三様であり――

 

 ミリム――力の極限を目指す者。

 ラミリス――自由奔放(ほんぽう)に生きる者

 ギィ――世界の調停を望む者。

 

 だが、それでいいのだ。

 

 同じ目的ではないからこそ、互いに認め合えるのだから。

 

 

 その後、天空門を守護する巨人や古き吸血鬼が魔王となり、天から堕落して落ちて来た者が六番目となった。

 

 ギィを含めた六名の内、巨人と妖精を除く四名が覚醒していた。

 幾度もの〝天魔大戦〟を生き延び、その力は研ぎ澄まされていく。

 

 そんな中、突如として五千年の時を遡り、二人の転生者がこの世界に生まれ落ちた――

 〝特殊な魔物〟として。

 

 その力は、最初は弱かった……。

 だが、この二人は死んでも再生復活をして来た。

 その度に、自らの欠点を克服し技量を磨き、めきめきとその力を増していった。

 

 技量を磨く――最初から強大な力を持つ者には、無縁のものであった。

 

 だが、この二人は最弱な魔物であっても、己の持つ能力(スキル)を磨き続けた。

 それは、人間であり忍びであった頃にそうやって己の技量を磨き、生き残って来たから。

 

 だから、魔物になっても己の技量を磨く事に日々を費やした、そして今現在もそれは続いている。 

 

 魂の『時空転移』。

 

 ギィは、この二人と出会い、何度も殺した――百年単位で復活して来るように。

 そんな目に合っても、二人は復活する度にギィに挑んで来た。

 

 そして、〝番外魔王〟の地位を二人に与えた時、ギィは二人の出生を尋ねた。

 転生者と聞いた時には驚いたが、それよりも――五千年も時を遡って来て転生したと聞いた時は、更に驚くと共に、信じられないと言った。

 

 何故なら、魂の状態で五千年も時を遡る『時空転移』など出来るはずもないからである。

 だが、その『時空転移』を魂の状態でして来た者が、目の前にいる……話を聞く限りそこに嘘は無く、最終的には二人の言う事を信じた。

 

 だが、その『時空転移』がただの魂の状態でなぜ出来たのか? ギィの知力を以てしても、解明はできなかった。

 

 それでは、なぜ二人の言う事を信じたのか?

 

 それは、二人の中に芽吹いた何かを見たから。

 

 〝星王竜〟ヴェルダナーヴァから託された世界の調停者とは別に、あるモノについて託された〝ヴェルダナーヴァの願い〟―― 

 

 それを、ツキハとコハクの中に見たのだった。

 

 そのモノを知る者……ギィ。

 

 後にギィは、全てではないがミリムだけにこの事を明かし、ある頼み事を一つした。

 

 ミリムはギィの頼み事を聞き入れ、二人を監視する事となるのだが、今では監視というよりも、一緒に遊んでいる事が多くなっている。

 

 そのギィは、ツキハとコハクを何とかして魔王の座に就かせたいと思うも――

 二人は頑として、いまだに首を縦に振らない。

 

  

 そして、ギィの親友にして七番目の魔王レオン。

 

 このレオンも元人間で、〝勇者〟で会った。

 ギィも認める、強者である。 

 

 今夜の魔王達の宴(ワルプルギス)で、果たして何名がこの七名に名を連ねられるのだろう。

 それを思うと、ギィは嬉しそうに口端に嗤いを浮かべていく。

 

 

 ――クレイマン。

 この愚か者は、ミリムを支配しているつもりでいる。

 

 それは、絶対に不可能な事なのだ。

 ギィにも出来ないのだから、クレイマンになど出来るはずもなかった。

 

 究極能力(アルティメットスキル)を持つ者に、下位の能力(スキル)は通用しない。

 これは、ツキハの〝猫騙し〟が最初にギィに出会った時に、通用しなかったのと同義である。

 

 この世の全ての法則など、ユニークレベルでしかない。

 魔法による支配など、一切合切を無効化出来るのである。

 

 究極能力(アルティメットスキル)とは―― 

 その名の通り、究極の法則制御装置。

 

 故に、究極能力(アルティメットスキル)には、究極能力(アルティメットスキル)で対抗するしかないのである。

 だから、試作品の〝支配の宝珠(オーブ・オブ・ドミネイト)〟を、コハクに試した時も抵抗(レジスト)されたのだ。

 

 これこそが、この世界における絶対的な法則(ルール)

 

 この法則(ルール)を敗れるものは、存在しないのである。

 

 仮にもしも、そんなものがあったならば――この世界は崩壊しかねない事態に陥るであろう。

 

 そう、クレイマンはミリムに対して何も出来ない。

 つまり、ミリムの手の平の上で踊らされている事になるのだ。

 

 そして、それに感付いているからこそ、ツキハとコハクは騒がないし知らない振りをしている。

 

(馬鹿な奴だ――)

 

 ギィは、薄い笑みを口元に浮かべ、クレイマンが辿る結末を見守る。

 

 

 弱者が魔王を名乗れる時代は、ここに終わりを告げ――

 

 偽物は淘汰され、真なる魔王の時代が幕を開け、大いなる変革が始まっていく。

 

 

 ギィは、そう確信し妖艶に嗤う。

 

 

 波乱に満ちた魔王達の宴(ワルプルギス)が、ここに始まる。

 

 

 

 

 




 四十三話を読んで頂きありがとうございます!

 次回の更新もよろしくお願いします!





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