忍びが転生したら〝異世界珍道中〟になった件 作:にゃんころ缶
フフフ ハッハハハ ヒャアッハハハハハ
急に冷静さを取り戻したように、突如クレイマンが笑いだした。
「クックック、やれやれです。策を弄して自分の手を汚すのを嫌ったばかりに、余計に面倒な事になってしまった。本当に失敗でしたよ」
笑いながら話すクレイマン。
クレイマンは何か吹っ切れたかのような、薄く酷薄な笑みを浮かべリムルを見る。
そして――
「出番ですよ、ミリム」
静かにミリムの名を呼ぶ。
場は一瞬で緊迫し、魔王達にまで緊張が走る。
しかし、ツキハとコハクだけは、呑気に小さい欠伸を噛み殺していた。
奥の手――それは、ミリムを操っているという自信。
それを今、クレイマンは躊躇わずに使用した。
(ミリム……やっぱり操られているのか……)
「よく言うよ、お前。それだけ言っておいて、結局は他人頼りか? 魔王の名が泣くぞ?」
リムルはそう言ってクレイマンを挑発するが、流石にクレイマンは乗ってはこなかった。
「下らんな。勿論だが、私も戦うさ。それに〝番外魔王〟の二人に追加の依頼を出す。ギィよ、文句はあるまいな?」
「構わないさクレイマン。ミリムが自分の意思で君を手伝うと言うのなら、オレが止める事はしないさ。それに、〝傭兵商会・ルヴナン〟への依頼ならオレの範疇外だ、好きにすればいい」
(非常に不味い! クレイマンはともかく、ミリムはヤバイ! そして、〝番外魔王〟の二人もとか反則だろ、それ!)
ギィがあっさりと許可を出したので、クレイマンがすぐさまツキハとコハクに依頼を出す。
「ツキハ、コハク、貴女達に追加の依頼です。この戦いに加勢しなさい!」
「むり」
「むりおすな」
「はぁ!?」
即答で拒否られてクレイマンから、変な声が飛び出す。
「貴女達、契約に――」
「ねえぞ、クレイマン」
「な、何を――」
「何眠たいこと言いますのや。追加の依頼は既に受けてますえ。あんさん、それを破棄してこれに参戦しろと?」
「追加の、追加です。四の五の言わずに受けなさい、〝番外魔王〟!」
「はあ? あんさん……けったいなこと、言いますなぁ」
カタリと椅子が音立て、コハクが席を立つ。
その両手は、小袖の
気付かれない様、一斉に魔王達がコハクに対して臨戦態勢を取る。
こうなった時のコハクは容赦がない。
袂に両手を入れてるという事は、間違いなく忍魔術を使って来る、そう予測した故の魔王達の行動である。
コハクから漏れ出る覇気と凄まじい
それは――紛れも無く〝真なる魔王〟の覇気。
《
(ああ、わかってるさ
コハクの顔から笑みが消え、スーッと細く鋭くなった眼光がクレイマンを射抜く。
「な、な……」
「ええか、クレイマン。うちらを今この戦いに、参戦させたいのなら――」
そう言うと、右手を袂から出し人差し指を一本立て、ゆっくりと机の前に出し、人差し指の先を机の上に当て立て、コンコンと机を人差し指の先で軽く叩く。
コハクが右手を袂から出した時、ほんの僅か魔王達の体がピクリと跳ねた。
「ええか? うちが言う金額の金貨を今すぐに、ここに持って
「い、幾らなのですか?」
「ドワーフ金貨で、五百万枚や」
「ご、ご、五百万枚だとぉー! そんな法外な金額払える訳ないだろうが! 無茶を言っ――」
「――無茶おすか? その無茶を
「何を……」
クレイマンの言葉を遮り、静かにゆっくりと言葉を並べていくコハク。
その今まで味わったことの無い、薄ら寒い殺気と
「まあええ、よく聞きや。あんさんとの最終契約は、
一瞬ザワリとする魔王達。
クレイマンは今更と言う様に開き直ったかの如く、平静を装う。
「それを更に追加なら、うちらもそれ相応のリスクを背負う事になるんや。あんさんそこのリムルはんを相当舐めてはるけど、ぶっちゃけミリム並みに相手をしたくない魔物なんやけどなぁ。恐らく、どちらかが完全に消滅せな、決着がつかへんと思いますえ? そんな相手と戦え言わはるんなら、金貨五百万枚でも安いくらいや。で、どうするんやクレイマン?――」
(へえー。アイツ、俺の事をそこまで買い被ってくれるのか? だけど、拠点はもう俺達が制圧したから、無理だよなぁ。知ってて言ってたら、アイツほんと役者だな、ククッ)
《告。個体名コハクは、
『え?
《気のせいです》
『あ、そう(やっぱり何かおかしいよな、
《気のせいです》
『あ、はい』
リムルがやっぱり宝物庫三割強奪アイツらだよなと思うと、そこへ
「――わかりました、追加の依頼は無しです。怖気ついたのならそう言えばいい、〝番外魔王〟。私とミリムだけでも十分です。貴女達は、そこで私が勝利するのを見届けるがいい!」
「へぇ。ほな、そうしますえ。あんじょう気張りなはれ」
クレイマンは〝番外魔王〟をこの戦いに引き込む事を諦め捨て台詞を吐くも、コハクは覇気も
一方ツキハはというと、完全にクレイマンに興味を失い椅子に深くもたれ掛かって足を組み、何とは無しにミリムを見ていた。
(よし、〝番外魔王〟二人の参戦は無くなった。それでもミリム相手では分が悪いが、何とかして助けたい。いや、助けてみせる!)
リムルがそう決意した時。
人形のように動かなかったミリムが、拳を握り締めて小さくガッツポーズを取ったように見えた……。
「「プッ……う……く、くっ……」」
同時に、ツキハとコハクがグリッと顔を背けて、何か吹き出しそうな形相で必死に耐えていた。
(――え? いや、一瞬だったし気のせいだろう。すぐに解放してやるよ、ミリム)
「まあいいさ。俺としてはミリムを助けるつもりだったし、力ずくでもお前の洗脳を解くとしよう」
「ほざくなよ! 貴様は絶望して死ぬんだ、スライム!」
「死ぬのはお前さ、クレイマン。どうせお前相手じゃ、俺の部下ぐらいが丁度いい相手になるだろう。俺が出たんじゃ、弱い者
リムルの言葉に顔を引き
クレイマンが、ギリッと歯を噛みしめ鳴らすと、身体からドス黒い
そして、リムルがシオンに目配せすると――
直後にシオンは動いた。
リムルの長い髪が何者かが通り過ぎた風圧で、ふわりと舞う。
後ろにいたシオンが一瞬にして間合いを詰め――クレイマンに攻撃を仕掛けたのだ。
ズドドドドッ 「ウボアッ!」
拳に
「へぇー、あの配下戦い方をわかってるじゃん。やるねぇ」
そのシオンを見て、ツキハが感嘆の声を上げる。
シオンはすっきした顔でリムルに振り返り――
「宜しいのですか?」
と、リムルに聞いて来た。
「お前ね、普通は殴る前に聞くよね?」
「はい?」
シオンはにこやかに首を傾げる。
(俺がお前を見たのは、〝わかってるな? クレイマンの隙をつけよ?〟という、意味だったんだけど……。いきなりやるかね? 普通。まあ、やってしまったのは仕方ない)
リムルの思いも正解なのだが……。
だがしかし、相対した時点で戦いは始まっているのだ。
ツキハがシオンを見て褒めたのは、その戦いの始まりをしっかり感じ取っていた事にある。
ようするに、油断した者が馬鹿なのである、戦いは既に始まっているのだ。
「戦いはもう始まってるんやで。〝じゃあ行きますね〟とか、言うバカがどこにいますんや? フフッ」
コハクがサラリと言い放つと、他の魔王達も無言で軽く頷いていた。
クレイマンは殴られた衝撃でリムルの手前、円形の中心付近へと吹き飛んでいた。
「きさ、キサマ、貴様ーーーー!!」
そう叫びながらクレイマンは立ち上がり、体を覆うドス黒い妖気が濃くなると、クレイマンの怪我を瞬時に回復させる。
その回復能力は、以前リムルが戦った
「フフッ。望み通り、皆殺しにしてやる」
クレイマンの言葉で、足元に逃げていた妖狐が巨大化した。
《告。ミュウランの話にあった、
『ああ、そういえば言ってたな』
(やはりペットではなく、強大な力を持つ従者だったか。それに、もう一人――)
クレイマンの影から、黒ローブが湧き出てくる。
(この二人が、クレイマンの従者か。俺の方は、シオンは既に戦闘態勢。ランガは、よし巨大化してこちらも戦闘態勢に入ったな。あれ? ミリムが参戦したせいで、数で負けてるんじゃ……。いや、まだその為のベレッタが、って――あっ!?)
リムル達全員が戦いの舞台となる円卓があった場所に踏み入った瞬間、その場所が結界で隔絶された。
と同時に空間が拡張され、外周に在る椅子が見る見るうちに遠ざかっていく。
更に、魔王達に影響が及ばぬように、強固な障壁も張り巡らされていた。
まだ、応援のベレッタが入ってない状況なのに。
(やっべ、これどうす――)
リムルがヤバイと思った瞬間。
「ミリム、そいつを殺せ!!」
クレイマンの怒号が轟き飛ぶ。
その怒号を聞くや刹那にミリムが動く。
一瞬ミリムの姿がブレたように見えた時には――
既にリムルの前にいて、右拳を放つ。
それは紛れも無く必殺の威力が込められた、拳。
リムルはミリムが消えたと同時に『思考加速』を百万倍に引き伸ばし、その超感覚で回避する。
それでも余裕はなく――
凄まじい衝撃波を放ちながらリムルの左頬を掠める灼熱の拳。
左頬の皮膚が
その傷は瞬時に修復されるが、
「あらら、手加減無しとかミリムえぐいわぁ。一発もらったら、終わりじゃね? ククッ」
ツキハがミリムの全力パンチを見て、どこか楽しそうに言う。
(反撃しようなんて考えるな。アイツが言ったように、一発もらったら終わる。集中しろ、ミリムの洗脳を解く事だけに集中しろ。回避に専念して……くそ、不味いな)
リムルは回避に専念しながらも『万能感知』で、周囲の状況を読み取っていた。
ミリムの猛攻を
(シオンは……クレイマンと黒ローブと二対一か、有利とは言い難いな。ランガは、何ッ!? 妖狐の三本の尾が、二体の魔獣になっただとぉ? どうする……この不利な状況を、どう
最悪な展開。
この不利な状況にリムルは(俺の『解析鑑定』が終わるまで、皆生き残ってくれ)と、願うのみ。
その状況の中、ベレッタが速やかに動いた。
ラミリスに自分も参戦したいと、願い出たのだ。
ラミリスに否は無い、すぐさまギィに噛みついた。
「ちょっと、ギィ! アタシはリムルに付くから、
ラミリスが騒ぐ様にギィに申し出たが、ギィの返答は冷たい。
「駄目だ」
と、まるで取り合わない。
「なんでさ!?」
もう一度噛みつくも。
「駄目だ」
その返答にラミリスがウヌヌヌと唸り、次の言葉を吐きぶつけて来る。
「ツキハとコハク、アンタ達に発言を許可するわ! 言ってやんなさい!!」
ラミリスの必殺技、〝他力本願〟が炸裂した。
しかし――
「うち? そんなん知りませんわ。ツキハ、あんさん言いなはれ」
「えー? 言うの? うーん、無理じゃね? だって――」
「――何言ってんのよさ! ミリムも参戦してんじゃん!」
「ツキハの言う通りだ。それに、アイツはいいんだよ」
「何よそれ? なんでアタシは駄目なのよさ!?」
「ああん? あれはあのスライムとクレイマンの喧嘩だろ? お前がまざる理由がねえ。それにな、魔王同士の戦いに従者風情が参戦するなど許さねーよ」
キッチリ否定されても、一度騒ぎ出したラミリスは止まらない。
「そんな事はどーでもいいのよさ! アタシはリムルに付くって言ってんじゃん。だから、いいでしょーがー! ツキハ、コハク! アンタ達も参戦しなさいよ!」
「何なんぎな事言わはるんや。無理どす」
「いや、流石にギィがガチ切れして、ヴェルザードの姐御が出てくる羽目になるのは勘弁よ」
「キィーッ どいつもコイツもぉーー!――」
ヒートアップしたラミリスはギィからツキハとコハクにまで噛み付きだす。
ラミリスは、今まで一度も従者を連れて来た事がない。
そのラミリスが今回は従者を連れて来た。
何か理由があるだろうとは、ギィは気付いていた。
だが、ミリムに何か思惑がありそうな今、ラミリスまで参戦されては混乱が大きくなる。
それを避ける為にも、敢えて戦域を隔離したのだが……。
「うるせーな。ミリムにはミリムの考えがあるだろうからさ」
「それじゃあアタシは何も考えていないみたいじゃん?」
「違うのかよ? それによ――」
言いかけてギィは、ラミリスの従者であるベレッタを見る。
すると。
「そこの
「そう、二人を見てるよね? でもアンタ、アレだもんなぁ。はいギィ、後はどうぞ」
コハクの意味深な言葉に続いてツキハが意味深な事を口に出すも、いきなりギィに話を振った。
話を振られたギィはツキハに文句を言いながら、ラミリスを見る。
「ああ? そこまで言ったら言えよツキハ。いいかラミリス、お前の従者は、誰に忠誠を誓っているんだ? もう一人の方はお前を守る事に全力を注いでいるようだが、ソイツは違うな。お前にも忠誠を誓ってるようだが、完全じゃないみたいだぜ? そんな怪しいヤツを信用してもいいのかよ?」
ギィは見抜いていた。
ベレッタの忠誠が、ラミリスだけに向けられていない事を。
ギィの大切な友人であるラミリス。
その従者が主を天秤にかけるような真似を行うなど、ギィは許すつもりなどなかったのだ。
そして、ツキハとコハクは別の意味でベレッタの真意に気付いている。
ベレッタが誰の系統なのかを知っているから――
「確かに、ワレは主を天秤にかけております」
ギィの言葉を聞き、そしてツキハとコハクの言葉を聞いても、ベレッタに迷いは無かった。
だが、それとは別に主としてのラミリスがいる。
ベレッタは、このどうしようもなく楽天的で、無鉄砲で、好奇心旺盛で、それでいて――
臆病な魔王が大好きになっていた。
だから、ラミリスの無茶ぶりに振り回されるのは苦ではない。
〝
ベレッタもまた、ラミリスに仕える事を良しとしている。
だから、何も矛盾はそこには無い。
ただ、一つだけ。
ベレッタの思い――それは、リムルへ恩返しをしたいという思い。
「ワレが望むのと同様、ラミリス様もまた、
ベレッタはギィに対し堂々と言い切った。
「ほう? オレに対し臆面も無く物申すか。面白い。ラミリス、コイツの言葉に間違いはないか?」
ギィはラミリスに問う。
しかし、その表情を見て、答えを聞く必要はないなと悟った。
「うん! 勿論だよ! だからベレッタ、アタシの代わりに、リムルを助けてあげて!!」
「フウン、なるほどな。お前が望むからコイツも動く、か。いい従者を手に入れたじゃねーか、ラミリス」
「ううん。手に入れたんじゃないよ、仲間になったんだよ。ベレッタもトレイニーちゃんも、そしてリムルもね! ミンナいっぱい!」
ラミリスはそう言うと、幸せそうに満面の笑みを湛える。
「そうか。ま、いいけどよ」
ラミリスの笑顔を見たギィは、ラミリスの言いたい事が理解出来なかったが、ラミリスがそれでいいのなら文句はなかったのだ。
そのラミリスを見ながらベレッタは、自分がラミリスに仕える事になった時、ふらりとラミリスのところに訪れたコハクに、ある事を言われ、それを思い出していた。
『あんさんがラミリスに仕える事になった、従者おすか。ふーん。
(コハク様、貴女に言われた事……以外に早くに訪れてしまいました。だから、ワレは――)
チラリとコハクに目線を移すと、コハクが軽く微笑みながら何か〝
それを見たベレッタは、小さく頷く。
そう、ベレッタの中では既に答えが出ていたのだ。
「――感謝します、
「ああ。その呼び名は止めろ。貴様にもギィと呼ぶ事を許す。ただし、今後一切ラミリス以外の主は認めねーが、いいな?」
名を呼ぶ事を許す――それはつまり、ギィにとってベレッタも、認めるべき〝
だから今、主を決めろとベレッタに促したのだ。
もし、これに逆らうようなら、今この場で、ギィはベレッタを始末するつもりであった。
だが、ベレッタは――
「では、ギィ。ワレは今後一切、ラミリス様への忠誠を誓いましょう。なので一度だけ、リムル様のお役に立つことをお許し願いたい」
即答で了承した。
ギィは少しだけそれに驚いた。
それなのにこのベレッタは、強さを重要視してないように感じたのだ。
そう、基準がおかしい……つまり、それは――異端。
「それでいいのか?」
「はい。リムル様には、ワレよりも強き者がお仕えしておりますので」
なるほどな、とギィは理解した。
だが同時に、自分よりも強いとこれ程の者が簡単に認めるのか、という疑問も生じる。
そこへ。
「それに、ワレは研究が好きなのです。ラミリス様との研究の日々は――おっと、失礼。ワレがラミリス様に仕える事は、リムル様の願いでもあるのです。ですので、何も問題は無いのです」
ベレッタのその言葉に、ギィはふと、とある悪魔を思いだす。
自分の好きな事のみを追及する――異端の代名詞。
その系統ならば、ベレッタのような性格の悪魔が生じても、なんら不思議でもない。
その悪魔は、滅多に眷属を生み出さないので有名だった。
いや、知る者ぞ知る、という感じの存在だったのだ。
そして、ギィはツキハとコハクの方に視線を向けると、二人はニヤニヤと笑いながらギィを見ていた。
(チッ、知ってやがったな)
忌々しそうに呟くギィ。
「一つ聞く。お前の系統は――?」
ベレッタは、仮面に隠れた顔を歪ませ、笑う。
「――ワレは末端、
数の少ない系統、決まりである。
今のベレッタは、髪の色が抜け落ちて銀色になっている。
間違いなく元は……。
「そうかよ。道理でオレを恐れない訳だ。あの系統は、自分勝手で興味本位だからな。そんなお前が、自分より強いと認める者がいるのか?」
そう言いながらギィは、今戦っているシオンやランガに目を向け、またベレッタに向き直る。
確かにシオンやランガは強い、だがベレッタも負けてはいないと思ったのだ。
「そう言ってもらえるのは光栄ですが、ワレなどまだまだ。あの方がリムル様にお仕えする以上、今、この機を逃せば活躍の場などなくなりますので」
「フム、なるほどな。お前の気持は理解した。行っていいぜ」
そう言うとギィは結界の方に目を向ける。
既に結界には、人一人が
「それでは失礼」
ベレッタは優雅に一礼し、迷わず進んでいく。
それを見送るギィの口元は吊り上がり、笑みを浮かべていた。
ギィはさっきツキハとコハクを見た時に気付き、確信していた。
(――そうかよ。お前も動くのか、
太古の昔に決別した、知人。
異端が仕える者もまた、異端。
そして、ギィが面白い存在だと見出し、〝番外魔王〟の地位を与えたツキハとコハクもまた、異端。
異端が異端を呼ぶこの連鎖反応にギィは、殊の外楽しそうに顔を
(リムルという名だったか、覚えておくとしよう)
ギィはそう思い、
戦いを繰り広げるリムル達……。
それを見たベレッタは、銀色の長い髪を
戦いに参戦する。
五十七話を読んで頂きありがとうございます!
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