忍びが転生したら〝異世界珍道中〟になった件 作:にゃんころ缶
※66話での、ヴェルドラとの戦いにおいて三日間戦えれば勝ちのところを、三日目の朝が来たら勝ちという日数間違いをしたことについて、ここにお詫び申し上げます。
まる三日間戦うという事は、四日目の朝を迎えなければならず、66話の方の三日目の朝を、〝四日目の朝〟を迎えるというように訂正しました。
こんな単純なミスをしてしまい、本当にすいませんでした。
ヴェルドラとツキハの戦い。
それは激烈な戦いであり、容赦なく周辺の地形を抉り破壊していく。
「あいたぁーーーー! ヴェルドラ、あんたあたしの技盗んだなー!?」
「クワハハハハ。それは違うぞツキハ。リムルの中にいた時に読んだ漫画にあったのだ、その技は!」
パンチとキックの応酬の中、ヴェルドラが密着した状態から寸勁を放ったのだ。
ベコンとツキハの腹部がへこみ、打撃の衝撃波が背中から抜けていき、それでもその勢いは衰えず。
ツキハの身体を吹っ飛ばしていた。
地面をバウンドしながら三百メートル程飛ばされたところで身体を捻り、地面に四つん這いの形で着地するツキハ。両手足を踏ん張りながら大地に四つの浅く抉れた線を描き止まる。
「あー、いてぇなーこのー! まんが? なんだそれ!?」
ヴェルドラが漫画から技を得たと聞いたツキハは、わけがわからず叫ぶと、既にヴェルドラが目の前にいた。
すかさずヴェルドラの打ち下ろしの右ストレートが放たれると。
「なに!?――オグッ!」
右ストレートを放った瞬間。
ズバン! 重々しい打撃音が轟く。
ツキハがヴェルドラの前から消えたと同時に、ツキハの右足の蹴りがヴェルドラの顔面に叩き込まれた。
一瞬視界から消えたように放たれる蹴り、それは――
卍蹴り。
右ストレートが放たれた刹那、ツキハは上半身を左下に捻り、地面に両手を付きながら右足の蹴りを放っていた。
そう、ヴェルドラにはツキハがいきなり消えたように見えていたのだ。
蹴りに打振を込められ、ヴェルドラの
「な、中々に効くなツキハよ。前より威力が増しておるな。我は楽しいぞ!」
頭を振りながら嬉しそうに言うヴェルドラ。
「そりゃどうも。くくっ」
ツキハもニヤリと笑みを浮かべ、両手の平を軽く開き、眼前に右手を上げ、左手を胸下に置く奇妙な構えを取る。
「くるか」
二人から少し離れた所で見ているミリムが呟く。
ヒュンッ。ツキハが瞬動法とは別の形態、〝瞬歩〟でヴェルドラに接敵する。
ヴェルドラも接敵された瞬間からパンチの連打をお見舞いするも。
ツキハがそのパンチ全てをいなしながら、鞭拳を放っていく。
手の甲、手の平をあたかも鞭のように振り、敵を打つ。
ババババババンッ! 鞭拳の連打が、ヴェルドラの胸、腹部、顔面へと、凄まじい速度で打ち込まれていった。
ドズン!
大地を揺らす重低音が鳴り響き、ベコンと地面が陥没し直径百メートルの深さが浅いクレーターがそこに形成された。
それは、ツキハが右足で震脚を踏み、右半身で右肘を付きだした体当たりをヴェルドラに見舞ったのだ。
八極拳にある肘での打撃技、
この技は肘打ちではなく、全体重を乗せた肘を付きだした体当たりである。
その威力は、ヴェルドラの身体をくの字に折り曲げ、数百メートルは吹き飛ばしヴェルドラは大地を抉りながら回転してそのまま地面に大穴を開け、深く地面にめりこんだ。
〝天牙影千流 柔術・打技
地面を抉った時に巻き上げられた大量の土砂が、ザーッと音を立て雨のように辺りに降り注ぐ。
この技は二人が人間だった頃に、大陸から来た初老の無手の達人が使っていた技の一つ。
ある事から死闘を繰り広げたツキハが、己の技の中に独自に解釈して取り入れた技だった。
尚、この達人との勝負は、痛み分けに終わっている。
(さてと。術式並列起動開始っと。気動操作でまず
ツキハの用意した二つの秘策が今、水面下で始動し始める。
一方臨時会議室では、ヴェルドラが吹っ飛ばされたところを見て、ベニマル以下幹部達は言葉を失っていた。
只一人ディアブロだけは薄い笑みを口元に漏らし浮かべ、映し出される映像を見ていた。
二人の桁違いの力に、大地は抉れ、樹々は薙ぎ倒され。巻き上げられた土砂が至る所に降り注ぐ。
そんな戦いを見ながらリムルが、ふと気になった事をコハクに尋ねる。
「なあ、コハク。さっきからツキハさんが――」
「――ツキハも、敬称はいりまへんで?」
「あ、そうか。わかった」
リムルがツキハの事をさん付けで呼んだら、そこへコハクが自分と同じように呼んで構わないと告げる。
「そのツキハなんだが。なんで痛いとか言ってるんだ? 『痛覚無効』はもっているよな?」
「ん? あぁ、そのことどすか。もちろんありますえ。んー、そやなぁ。『痛覚無効』を敢えて緩和してるんや。最低限の痛みは伝わるようにな。ふふっ」
「緩和!? そんな事出来るのか?」
『痛覚無効』を緩和する、それを聞いた時リムルは驚きの声を上げた。
それを見ながらコハクはクスリと笑みを漏らし、話を続ける。
「『痛覚無効』、これは便利なんやけど、諸刃の剣でもあるんやで?」
「諸刃の剣?」
「せや。身体の重要な器官がやられてしもうて、それに気付かなければ、それこそ命取りや。まあ、力あるものならば、
「ほおぉ。ある程度の痛みは必要ねぇ……センサーみたいに使う訳か、なるほど。
「ふふっ、リムルはん。あんさんは、ほんと変わってますなぁ。本当に平和な日ノ本からの転生者なんどすか?」
「え? あぁ、それは本当だ。嘘ではないよ」
コハクが含みのある笑みでリムルに問うと、リムルは慌てたようにコハクに答えた。
「しかし、この戦いは凄まじいな。お前達に恐怖はないのか? この世界最強の〝竜種〟と言われた一体、ヴェルドラとこんなにも戦えるなんて、恐怖すら克服しているんだな――」
「それは違いますえ」
リムルが恐怖すら克服してるんだなと言うと、それにコハクが真顔で否定した。
「リムルはん、恐怖は克服するもんやあらしまへん。あれは、飼い慣らすもんや」
「ええ? 飼い慣らすの? 何だそれは?」
「せやなぁ。恐怖を飼い慣らせれば、あらゆる危険に鋭敏に反応出来るんや。だから、恐怖は克服しないんや。恐怖を知る者は、あらゆることに敏感になりますさかいな。ただ、恐怖を知るだけではなんにもならしまへんけどな。昔から臆病者程長生きするていうやろ? それを逆手に取るんやで。ふふふ」
「それって、具体的にどうやるんだ?」
リムルは、コハクの言葉に興味津々で問い返すと、他の幹部達も同じような顔付でコハクの言葉を待っていた。
戦いに関しての事なら、ベニマル以下幹部達はその情報に貪欲なのであった。
そして、コハクは――
「そんなに聞きたいんどすか? ええで、こんだけ頂きましょかぁ」
言いながらコハクは右指を二本立てた。
「え? それって、もしかして――」
「せや、金貨二千枚や」
「「「「「な!?」」」」」
いきなり金貨二千枚と言われて、リムル達は軽く絶句する。
それを見たコハクはクスリと笑い、次の言葉を言った。
「まあ、そこは対価が必要な情報という事なんやで。これをあんさんらに教えたなら、配下の質が上がりますやろ? なんで敵であるうちが、そこまでしますかいな。どうしても聞きたかったら、金貨二千枚ここに持って来なはれ」
「あぁ、そうだな。武術の秘伝という事か。うん、確かに対価は必要だな」
「秘伝という事ではあらしませんけど、そういう事や。うーん、せやなぁ、ヒントを一つだけ教えましょか。恐怖を感じた時に、その感じた事に素直になりなはれ。恐れず受け入れるんや。後は、自分で考えなはれ。ふふっ」
このコハクの言葉に一人深く頷いている者がいた。
それは、ハクロウである。
朧流の達人であるハクロウならば、このコハクの言葉に何か頷けるものがあったのだろう。
そのハクロウの視線に気付いたコハクは、口元に浮かべた笑みで返す。
朝から始まったヴェルドラとツキハの戦いも、昼を過ぎ日も傾き始め、西の地平線に夕日が沈みかけていた。
二人の戦いを、右肩に浮かべた水晶球で戦いを中継するミリムは、空中に浮いたまま
自分が参戦出来ないので飽きて来ていたのだ。
それでも立会人として来た責任はあるので、このようにいねむりをしながら頑張って? いたのである。
『おいミリム。寝ていないよな?』
『!? な、ななな、何を言っておるのだリムル? ワタシは寝てなどいないぞ?』
『そうか。頼むよミリム』
『うむ。任せておけなのだ! ワ、ワッハッハッハッ』
リムルに『思念伝達』でいねむりを指摘され、慌てたように笑って誤魔化すミリム。
日も完全に沈み、闇に覆われたジュラの大森林。
戦いは地上から、空中戦に移行していた。
漆黒の闇に浮かぶ月明かりの中、闇の中に眩い魔力弾の連続爆発が連なっていく。
まるで花火のように闇の空を照らし出し、轟音が大気を震わせる。
お互いの魔力弾が空を裂き、対象に向かって撃ち出されていった。
それは、互いにぶつかり魔力爆発を起こし、闇の中に激しく輝く火球を作り出す。
魔力弾の威力ではヴェルドラに分があり、ツキハが押され気味であったが、それを持ち前の鋭い加速力と『重力操作』を併用した、不規則軌道飛行で
「クワハハハハ! これを躱すかツキハよ! 本当に腕を上げたな、我は嬉しいぞ!」
「そう? 伊達に五千年も
激しく魔力弾を連続で撃ち出しながらヴェルドラは嬉しそうに言い、ツキハもそれを躱しながら同じく嬉しそうに言う。
ヴェルドラは、自身の
しかし、ツキハはそれをギリギリで回避していたのだ。
月明かりが照らす闇の空をジグザグに飛び、時折あらぬ方向に飛んだりと、迫る魔力弾を躱していた。
何故ヴェルドラの確率操作で撃ち出された魔力弾がツキハに当たらないのか?
それは、権能『猫騙し』による、による
この権能『猫騙し』は、あらゆる事象を騙し、自身の
そう、未来予測や確率操作も妨害出来るという事である。
権能『猫騙し』、この能力はとてつもなく厄介でいて、〝番外魔王〟を〝番外魔王〟としてたらしめる力の一つであった。
だがしかし、そこはヴェルドラの
完全には騙し切れずに、何発かはツキハに掠り、近接で魔力爆発を起こす。
(あいったぁーーーーッ。流石はヴェルドラだわ。『猫騙し』の妨害をもすり抜けて来るのかー! 一瞬でも気を抜いたら、一気にもっていかれるね。ほんと、これだからヴェルドラとの戦いは、楽しい!!)
追い込まれているのに、どこか楽し気なツキハ。
大好きなヴェルドラとの戦いは、ツキハに取って
こんな戦いを、知り合った日から延々と繰り返して来たのだ、ツキハは。
そんな戦いをリムル達は、シュナ達が用意した料理を食べながら見ていた。
用意された料理は、
コハクが用意された料理に、「リムルはん。こんな時によくこんな豪華な食事を出せますなぁ」と呟くと。
「コハク、こんな時だからさ。戦いはヴェルドラに託したんだ。だから、俺達はヴェルドラを信じて待つだけなのさ」
そうニコリと微笑みながらリムルはコハクに返す。
「ふふっ、そうどすかぁ。なら、頂きますえ」
ヴェルドラを信じる、その言葉を聞いたコハクは、どこか嬉しそうに笑みを零し、出されたコンソメスープをスプーンで一口のみ、思わず目を見開いた。
「なんやこれ……? めっちゃ美味しいやないか!」
出されたコンソメスープは、
あっさりとし過ぎず、それでいて深みのある味わいに声を漏らしたのであった。
それを聞いたシュナが嬉しそうに微笑んだ。
「有り難う御座いますコハク様。それは、自慢の一品でもあります。御存分に堪能してくださいね」
「あんさんが作ったんか? 強い配下をぎょうさん持っているのに、超一流の料理人もいてるんどすか。いや、あんさんもかなりの術使いやったな。ほんま、なんやのこの国は。かなわんなぁ、ふふふ」
コンソメスープに満足しながら、穏やかに問うコハク。
「あんさん、名前は?」
知ってはいるが、敢えて問うコハク。
「シュナと申します。以後お見知りおきを下さいませ、コハク様」
「へぇ。シュナ、どすか。良い名前をもらいましたな。まあ、次があるかはわからしまへんが、よろしゅうな、シュナ」
「はい、コハク様。でも、リムル様が信頼なさるヴェルドラ様が戦っておられるのです。次は、あるかと信じております」
「さよか。ほんま、
シュナの言葉にコハクがリムルを見ながら言うと、リムルは少し照れながら「ま、まあな」と言い、出されたワインを飲み干していった。
食事も終え、デザートを食べつつヴェルドラとツキハの戦いを見るリムル達。
そんなリムル達を見ながらコハクは。
(ふーん、皆余裕どすなぁ。最初は虚勢を張ってるかと思いましたけども。中々どうして、皆肝が据わってますなぁ。あのクロスケは別として。しかし、あのクロスケがディアブロとか名前をもろたとか、冗談にも程がありますやないか。原初に名付けとかリムルはん……あれが原初と気付いてますんかいな? ほんまに、厄介なもんに名付けしてくれたもんや。やれやれやで……。しかし、あのシュナといい、ベニマル、ソウエイ、ハクロウ、ゲルド、ガビル、ゴブタにランガどすか。その何名かはうちの一桁眷属と、ガチで良い勝負出来ますやろな。しかし魔王リムル、生まれてニ、三年の魔物の出来る事やあらへんで……異質な魔物、うちらとは別系統の異質差を感じますなぁ。まあ、あのヴェルドラはんが友達と言う程に目を掛けているから、何か他とは違うもんをもってるかも知れまへんな)
と、様々な考えを巡らせながら、リムル達と同じようにツキハとヴェルドラの戦いに目を移す。
時間も深夜になり、睡眠を必要とする者達は、それぞれの家に戻って行った。
そして、夜通し続く戦いも、二日目の朝を迎える。
(よし、二日目の朝を迎えられた。ここからが、本番だ。ヴェルドラが楽しんで戦うから、いつ本気であたしを倒しに来るか、だけど……)
空中を飛び回りながら戦うツキハの目に、東の地平線から顔を出す朝日が目に飛び込んでくる。
あちこちに傷を負ったツキハだが、朝日を浴びると同時にそれらを修復していく。
それを見たヴェルドラが空中で止まり、腰に手を当てながら口端をニィッと上げる。
ミリムが眠そうな目をカッと見開き、「ほう。そろそろ本気を出すのか、二人共?」と呟く。
一日目は二人共様子見の前哨戦。
二日目の朝からが本番。
三日目の朝を迎え、この一日を戦い切り、四日目の朝を迎えられたらツキハの勝ち。
だがしかし、三日目を戦い切るのはツキハに取っても未知数の一日。
秘策を二つ用意しているツキハは、この秘策をどこで使うのか?
勝負の分かれ目は、まだ見えてはこない……。
ツキハは猫耳をピコピコ動かして、尻尾をゆらりゆらりと左右に振りながら――
一気に零距離からの急加速超音速飛行を実行してヴェルドラに接敵する。
ドドンッ!! 大気が破裂したような大音響を轟かせ、ツキハの後ろで急減圧された空気が水蒸気の傘を作り出す。
まるで糸の切れた凧のようにキリモミ回転しながらあらぬ方向に曲がり、ヴェルドラに予測接敵位置を悟らせない様に、水蒸気の尾を引きながらかっ飛ぶツキハ。
いくら『重力操作』を併用してるとはいえ、生身で出来る飛行ではなかった。
魔素で作った
「うらぁああああああ!」
雄叫びを上げ、ヴェルドラ目掛けて急接近するツキハ。
それにヴェルドラは、大きく両手を広げ構え。
「こい! ツキハよ!」
同じく雄叫びを上げる。
キュキュンッ! ツキハはヴェルドラに迫りながらまるで画用紙に鉛筆でグシャグシャッと円と曲線を描いたよな不規則軌道を取り、ヴェルドラの眼前で急制動を掛けると同時に両手を思い切り叩き合わせた。
パァアンンンーーッ!!
耳を
「ヌォッ!?」
感知系
そして、消えたツキハは――
ヴェルドラの背中に全力で抱き付き、両手で後ろからヴェルドラの背中を抱き抱え、両足も背中から腹部をロックする。
「ヴェルドラ。ちょっと、落ちてみようか? くくっ」
「な!? 背中に張り付いたのか? お――ウオッ!」
ツキハは笑みを浮かべながら言い、ヴェルドラが何かを言いかけた瞬間に、また零距離からの急加速で上昇していく。
音速を突破した音を残しながら、八百メートル上空から一気に三万五千メートルまで急上昇するツキハ。
「ここらでいいかな? 反転」
成層圏迄来たツキハは、『重力操作』でヴェルドラごと自分を反転させる。
二人共頭を下にした形で宙に静止していた。
「おい、もしかしてあれか?」
「うん、久しぶりにあれだよ。うふっ」
「なっ!? ちょっと待て、この高さは不味くないか?」
「いいんだよー 下の被害はミリムが何とかするだろうしねぇ」
「ん? そうであった!」
ヴェルドラは、ツキハのやらかし具合をうっかり忘れていた。
ツキハが下の被害を度外視した技を仕掛けて来るだろうとは、思っていなかったのだ。
そう、手合わせの延長線上だと、どこか軽く考えていたのであろうヴェルドラ。
ヴェルドラの発言をリムル以下皆がジト目で映像を見ていた刹那――
「天牙影千流 柔術絶技 超高高度・
ツキハが技名を言い、『重力操作』で落下速度を加速させ、大地を目指し真っ逆さまに落ちていく二人。
凄まじいソニックブームを起こしながら、一直線に大地を目指し加速していくツキハ。
マッハ2.0
マッハ3.0
マッハ4.0
マッハ5.0
極超音速到達。
マッハ6.0
マッハ7.0
マッハ8.0
マッハ9.7
空気との摩擦熱で真っ赤に燃え上がるツキハとヴェルドラ。
マッハ10.0
ものの数秒で極超音速マッハ10まで達し、みるみるうちに大地が迫って来る。
そして、マッハ15に達した。
その映像をリムルは見て、「冗談みたいな技だな。あれ、二人共無事でいられるのか?」と、ポソリと呟いていた。
「まあ、死にはしませんやろ。ヴェルドラはん、あの技は何度も喰らってるさかい」
「「「「「え!?」」」」」
ブランデーをシュナから注いでもらいながらコハクが事無げに言い、それにベニマル達の目が驚きで点になる。
何故なら、真っ赤に燃えながら隕石の如く落ちて来る二人が無事だとは思えなかったから。
しかし、一人ディアブロだけは、笑みも浮かべずにそれを見入っていた。
高度一万を切り、もの凄い勢いで迫る大地。
「ヌワアアアアアッ!」
ヴェルドラの絶叫が響く中。
「じゃあねヴェルドラ。さいならー」
「おい、ちょ――」
ドッパァアアアアアアアンッ!
ヴェルドラは凄まじい速度で大地に激突、した。
半径三百メートルものすり鉢状のクレーターが形成され、もの凄い勢いで噴煙がキノコ雲状に立ち昇る。
落下の衝撃波は、ジュラの大森林の一部を放射状に
一方ツキハは激突寸前に『重力操作』で自分を横移動の落下移動に切り替えヴェルドラから離れるも、その強大な落下スピードの膨大なエネルギーは相殺できずに、地面をバウンドしながら高速回転して地面に激突して尚、地面をまるで強大なサンドワームが移動したように抉り進みながら埋まり止まっていた。
その激突したエネルギーは周辺一帯に地震に似た揺れを起こし、臨時会議室も軽く揺れていた。
「あれ、死んだんじゃないっすか?」
ゴブタがポカーンと口を開けたまま、呆気に取られたように言う。
ヴェルドラが激突して出来たクレーターの真ん中は真っ赤に地面が燃えながら陽炎が揺らめき、高熱で黒くガラス化した地面が辺りに広がっていた。
「うーん。これは、ワタシが前に喰らった時より、威力が上がっているのか?」
空中から真下を見下ろし、呑気に呟くミリム。
(ミリムさん……お前もこれを喰らった事あるのかよ!? ってかさ、何でそんなに呑気なんだよ!)と、心の内で突っ込みを入れるリムルであった。
いまだ激突した地面から出てこないヴェルドラとツキハ。
まだ二日目の戦いは、午後を過ぎたところであった。
67話を読んで頂き感謝です!
いつも誤字報告ありがとうございます!
次回の更新もよろしくお願いします!