忍びが転生したら〝異世界珍道中〟になった件 作:にゃんころ缶
7話 魔王たちの暗躍
とある大陸での
そこで突然進化の告知を、世界の言葉から告げられた。
転生して、およそ四千年以上経っていた。
進化を望まず、己の技量だけを磨き続けて来た二人。
魔王クラスと言われたツキハとコハクが、四千年を過ぎた今――突然の魔王への進化だった。
それは、〝真なる魔王〟への進化。
《告。
「はあ!? ちょっと、まちなさいよ! おい、まてって……あぁー うぬれー 『空間転移』で、ジュラの大森林……へ……」
「あ!? まちなは、れ……あふーー ね……む……いけ……忍魔呪、符……」
ギリギリでジュラの大森林奥地へ転移したツキハとコハク。
コハクの放った忍魔呪符に覆われて、進化の眠りについた。
眷属達も次々と進化の眠りに、落ちていた。
光も届かない深海よりも深い、闇の意識の中で、ツキハとコハクは。
《告。身体組成を再構成……上位種へと進化します》
《確認しました。種族:幻魔から真幻魔への超進化……成功しました。全ての能力が大幅に上昇しました。
《告。以前より拒否されていた能力進化を強制実行します……ユニークスキル『羅刹ノ者』が『
《続いてユニークスキル『痴レ者』が『
《以上で進化を完了します》
進化の眠りから覚醒した二人は、ぼーっとした意識下で進化した能力の確認を行った。
「あーー あたしの能力勝手に進化させやがってぇ~ うぬれ、世界の言葉――いつかシバキ倒してやんぞ! あぁー まだ、少しねむいなぁ。どーれ……進化した能力はぁ、と」
身長・スリーサイズ:153・B76/W58/H81
(ちっ! 変わってないし! そこは成長しろよ、特に胸! うにゃぁあああああ)
種族:
(あらら、種族がちょっと変わってるじゃない)
加護:奇人の抱擁
(うっ……痴れ者から、奇人って……変態が更に神がかってるんじゃないの? 誰かこの変態を、封印してくれないかな……一万年ほど)
称号:幻忍
(忍びから幻忍? うーん なんで?)
魔法:元素魔法 核撃魔法 忍魔術
技術:魔気闘法
固有スキル:神速再生、多重結界、万能感知、超変幻、魔王覇気、黒炎核操作 物質創造
(固有スキルが、若干変わってるわねぇ)
アルティメットスキル:
時空間操作 重力操作 解析鑑定 並列演算 空間迷彩 詠唱破棄
森羅万象 気動操作 並列起動
魔隻眼(相手の能力、その他を見抜く) 法則操作 思考加速
(あーあ。とうとう、究極能力に進化しやがりましたよ……せっかく四千年も進化させずに鍛えたのになぁ。どれどれ……んん? 法則操作とな!? あれが進化したのかな? あら? 時空間操作が完全に使えるようになってるじゃない。でも……うーーん、ギィみたいな事は、まだまだ無理かぁ、ってあれは流石に再現は、無理だね。まあいいか、他の使い方をゆっくり考えよう、そうしよう! 後は……はあっ!?)
番外権能:〝法則??〟用途不明
(にゃぁー 役立たず権能……健在じゃないのよ! ふざけんな! それに用途不明って、追加されてるし……まじシバくぞ世界の言葉ぁーーーー!!)
耐性: 物理攻撃無効 状態異常無効 精神攻撃耐性 自然影響無効
聖魔攻撃耐性 痛覚無効 耐熱耐冷耐性
(あれだ、これ――絶対、世界の言葉の嫌がらせだわよ!)
プリプリ怒るツキハを余所目に、コハクも自身の能力を見てみる。
身長・スリーサイズ:160・B83/W58/H84
(ふふ、サイズは相変わらず、いい数字おすなぁ)
種族:
(あらあら、種族が上位種に進化どすな)
加護:羅刹の守護
称号:幻忍
(なんやけったいな忍びに、なってますなぁ)
魔法:元素魔法 物理魔法 忍魔術 核撃魔法 上位精霊召喚
技術:魔気闘法
固有スキル:神速再生、多重結界、万能感知、超変幻、魔王覇気、黒炎核操作
(固有スキルはツキハと一緒どすな。うふふふ)
アルティメットスキル:
森羅万象 詠唱破棄 重力操作 並列演算 法則操作 呪符操作
解析鑑定 時空間操作 空間迷彩 属性攻撃同時操作
気動操作 並列起動
忍魔眼(相手の能力やその他を見抜く)
(やってくれはりましたなぁ……四千年鍛えて、更に鍛えて進化させようとしていたのに……ほんま、はらたちますえ~ いつか、世界の言葉を、ドついたりますえ!)
番外権能:〝法則??〟用途不明
(……あんさん、いましたか……番外権能って、あれおすか? 番外魔王と掛けましたんか? なめてますんか? はぁ~ もう、いりまへん!――どこぞに消えなはれ!)
耐性:物理攻撃無効 状態異常無効 精神攻撃耐性 自然影響無効 聖魔攻撃耐性
痛覚無効 耐熱耐冷耐性
〝番外権能〟、今だに用途不明な権能。
これが覚醒した時に何が起こるのか?
それは――まだ、誰にもわからない。
しばしツキハとコハクはプリプリ怒りながら能力の確認をして、眷属の能力も見てみる。
「おぉー 基礎能力爆上がりだね。これ、Aランク級魔物でも――ネコパンチ一発じゃないの?」
「う~ん。流石にAランクはきついおすえ? Bランクならいけますなぁ。ユニークスキルはぁ……変化無しおすな。ん? あらま、魂の回廊を通じて能力付与で、魔気闘法を貸し与えられますえ」
「え? なに。それって、あの子らも魔気闘法使えるってこと?」
「ですな~。これであの子らの戦闘能力は、かなりえげつなくなりますえ。うふふふ」
「まーたギィがうるさいかもねぇ。魔王への進化してしまったし」
「なったもんは、仕方ありまへん。魔王に進化しても、うちらは永遠の〝番外魔王〟! それに変わりは、あらしませんのや。ほっときなはれ!」
「だねー 事後報告でいいよね。ってか、既に事後報告だしね。ふははは」
魔王に進化した〝番外魔王〟のツキハとコハク。
しばらくして、ギィに呼び出され。すぐに報告に来ない二人は、こっぴどく言われるのであった。
あまりに言われるものだから、ツキハとコハクが切れて、大暴れ。
あわやギィの居城半壊の危機に、ヴェルザードが介入し――凄まじく長いお話を喰らったのである。
ツキハとコハクが魔王に進化を果たして、三百年が経ち。
そんな時の流れで、新たな魔王が三人誕生していた。
獣人族の王、カリオン。
有翼族の女王、フレイ。
そして、妖死族のクレイマンである。
この三人が魔王になった時に、ギィがある事を告げる。
「お前達も噂くらいは、聞いてるだろう? 〝番外魔王〟の事を。あいつらには、出来るなら手を出すんじゃねえぞ? まあ、どうしてもって、言うなら――自己責任でな! かなりいかれた奴らだからな。くくくくっ。因みにこの間、ここをぶっ壊そうとして、ヴェルザードと派手にやらかしてな。その名残があれだ」
ギィが指差した窓の先に広がる、山脈の一部に大穴が空いていた。
どこをどうやったらそうなるのか? そう、ミリムならやれるであろう。
と言う事は、〝番外魔王〟はミリムに匹敵する力を持つことになると――それを理解したクレイマン、カリオン、フレイは息を呑んだ。
そこへミリムが止めとばかりに口を挟んでくる。
「ツキハとコハクは、ワタシとガチのガチで遊べるのだぞ! そして、ワタシの友達なのだ! わっははははは」
高笑いしながらミリムは、数少ない友達を自慢していた。
「まあ、そう言う事だ。あいつらは魔王ではないが――魔王と同等の力を持ってる。因みに、原初とも
ギィの忠告を素直に聞いたのはフレイだけだった。
関わると碌なことにならないと、自分からは接触を避けていた。
カリオンは元来の闘争心が疼き、ツキハとコハクを自分の領地に招待して、手合わせを挑んだ。
ツキハが相手をしたのだが、凄まじい剣撃と、〝魔電粒子砲〟を喰らい。
ツキハが手加減しなかったら、あわや大惨事となるところであった。
ツキハの強さを目の辺りにし、四千年以上生きて来た〝番外魔王〟の強さに歓喜し、カリオンは自分の強さを更に上げる為ツキハとコハクに、獣王国への自由な出入りを許可して、時折手合わせを挑むようになっていた。
クレイマンは、別の形でツキハ、コハクと関わり合いになる。
〝傭兵商会・ルヴナン〟。
ツキハとコハクがこれを営んでる事は、独自の情報網で掴んでいた。
それからクレイマンは、しばしばツキハとコハクに様々な依頼を頼む様になっていく。
そうして……ヴェルドラが封印されて三百年。
新たなる魔王を生み出し、傀儡の魔王にする計画を企んでいた魔王がいた。
クレイマン、カリオン、そしてミリムの三人である。
オークロードを魔王にするべく、魔人ゲルミュッドによって名を与えられたのだが。
その目論見は、スライムの魔物、リムルによって防がれた。
クレイマンの暗躍。
傀儡魔王を作ることに失敗した魔王達は、次にジュラの大森林への不可侵条約の破棄と言う企みに出る。
不可侵条約破棄は、ミリムが言い出し初めで、ミリムに連れて来られたフレイもこの企みに参加することになった。
折しも先にテンペストへ向かったミリムが、何を思ったか――生来の自由奔放な性格が災いしてか、リムルと魔国を気に入ってしまい、居着いてしまったのだ。
それを気にもせずクレイマンは、兼ねてから計画していた事を実行に移し出す。
配下のミュウランをある一団に紛れ込ませ、テンペストへと潜り込ませた。
ミリムに警戒しつつ、着々とクレイマンの陰謀は進行していった。
そして……。
更に計画を確実なものにする為、ツキハとコハクに新たな依頼をする事に決めていた。
夜が深まり、濃い闇が夜を支配する深夜。
自室の、魔法ランプに映しだされたクレイマンがいた。
右手にワイングラスを持ち、思案に耽っていた。
(ツキハとコハク……依頼達成率は、高いのですが……。あの二人、あの情報網は一体何をすれば、あんな情報を掴んでこれるのか……怖いものですね。あの方も、依頼をしてる間は良いが、それ以外は刺激するなと言っておりましたね。下手に
少し忌々し気に心の内で言葉を吐くと、壁に飾ってある、仮面に目をやり。
暗く冷たい笑みが零れ落ちる。
(魔王はめんどくさいから、やらない……ですか。何ともふざけた魔物ですねぇ。しかし、お金を払ってる間は有効に使えるのです。力は桁外れなのですから、よしとしましょう)
一人納得をしたように頷くと、居室の窓の付近に気配を感じた。
その気配の持ち主は、道化師の服を着て仮面をかぶった〝中庸道化連〟の一人。
「来ましたか。早かったですね。ラプラス」
「なんやクレイマン。急ぎの用や言うから、急いで来たんやで? 何か面倒ごとでも、起きたんかいな?」
「いえ、少し君に伝言を頼みたくて、ね」
「伝言やて?」
ラプラスは訝し気にクレイマンを見ながら、居室に置かれてあるソファーにドカッと腰を下ろす。
「〝番外魔王〟の二人に、依頼をする件がありましてね。くふふ」
「なんやて!? またあの二人に頼むんでっか!? クレイマン、あの二人は――もう、やめとき! この間も、ティアとフットマンが殺されかけたやないか!」
「ふぅ……あれは、ティアとフットマンが不用意に、挑発したからですよ。私は、くれぐれも粗相の無いように、と。忠告したのですがね」
「あれは、悪夢や……〝番外魔王〟の二人が、気まぐれで手を止めたから、ティアとフットマンは助かったんやで! あの後、ワイがどれだけあの〝番外魔王〟を宥めたか……あんな事は――二度とごめんやで、クレイマン」
「ラプラス――君にしか、頼めないのですよ。あの二人を探し出すのは、容易ではありませんからね。正規で依頼するには、
「……まあ、あのいかれた情報収集能力は、厄介極まりないねんから分かるんやけど。戦力に組み込もうとするのは、やめとき、クレイマン。シャレにならん大惨事が起きるで!」
「ですね。しかし、〝番外魔王〟の戦闘能力は――戦争をするには、打って付けなんですがね。くっくくく」
「傭兵をやってる時は、それなりに戦ってるだけや! 忘れたんか……西の果ての大陸にある小国が、一夜にして焼け野原になったことを――」
「三百年前の、あれですね」
「そうや……どうやってるかわからへんねんけど、自分の本性を隠せるんや、あの二人は。だから誰も気付かへん。普通に傭兵やってる時は、ええねん。だがな、あの二人が本性を表した時が、一番やばいねん!」
クレイマンはラプラスの言葉に三百年前に起きた、とある小国が一夜にして滅んだ出来事を思い出していた。
隣国との戦争に傭兵として、その国に来ていたツキハとコハクの桁外れの力に、驚き。
小国の王はあろう事か、その力を永遠に自分の物にする為、ツキハを隷属化する制約を魂に刻もうとして、コハクの怒りを買った。
その怒りは、天を焦がし、大地を焼き、小国の軍勢全てを滅ぼし。
全市民は死なずには済んだが、帰るべき土地を失った。
何千年か前にも、ツキハとコハクは小国を一つ滅ぼしている。
その記実は今も文献に残っており、〝番外魔王〟は触れざる者として書かれていた。
しかし、月日が経ち、その記実も風化して来ると人は、同じ過ちを繰り返すのであった。
〝番外魔王〟の恐ろしさが再認識され、今に到るのである。
特S級の魔物、〝
西側諸国を束ねる〝西方聖教会〟。
その教会に、二人は最重要危険魔物に指定されている。
人間社会に溶け込み、活動をしている二人はある意味、魔王たちより危険視されていた。
過去に三度、秘密裏に討伐隊を差し向けられ、それを退けていた――と言うか、全滅させている。
三度目の討伐隊には、
激烈な戦闘の中、ツキハとコハクを追い込んだかに見えたが、ツキハの体が放電現象を起こし光り輝いたと同時に、凄まじい熱量の光線が放たれ、討伐隊の半数が一瞬で蒸発したのだ。
団長ヒナタは、即座に態勢を立て直し、追撃に移る準備を始めるが。
本国から、即時帰還命令が下る。
それ以来、西方聖教会は監視と言う名の元に、ツキハとコハクに手を出す事を、西側諸国に禁じたのだ――〝触れ得ざる魔物〟として。
一連の件を思い出しながらクレイマンは窓の外に映る月に、目をやる。
ふっと軽い笑いを浮かべ、ラプラスの方へ向き直ると。
「ラプラス。君の言いたい事は、重々承知していますよ。でも、あの二人を上手く利用できるのは、私だけです」
「そうか……(どうしたんや、クレイマン。魔王ミリムの事もそうやが――あの二人は、
「ありがとう、ラプラス。でも、私の計画に抜かりはないよ」
「さよか……ほな、いくわ」
ラプラスは仮面越しに少し心配そうな目を一瞬クレイマンに向け、掻き消すようにその場から去った。
クレイマンはラプラスが去った後、夜空を眺め、言葉を言い捨て、声高く笑っていく。
ふふふ ラプラス 私の計画は 着実に進行しているんですよ。
大丈夫です 〝番外魔王〟すらも抑える手立ては、もうすぐ手に入りますよ
最強の――〝絶対的な力〟が
それに、もう――時は動き始めたのですよ
くっ くくくくく はっ ははははははははは
七話を読んで頂き、ありがとうございます!
次回の更新も読んで頂けたら、幸いです。