トランスフォーマー:Alternation of Cybertron   作:pova

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オートボット-地球編⑬:Flow My Tears,The Policecar Said.Part2

クイックシャドウの修復が終わったのを見届け、ホットスポットは無機質なリペアルー厶に戻ってきていた。

彼はそこの寝台に横たわっていた者を見るなり反射的に言った。

「久しぶりだなサイドスワイプ」

 

「お前にしてみれば大抵の奴が久しぶりだろうさホットスポット…おかげでこっちは酷い寝覚めになった。アイアンハイドの方がまだマシだったろうよ」

つんざくような彼の声に呆れながら、サイドスワイプは彼の生の中でも最悪の部類に入る目覚めの実感を覚えていた。

 

「声のボリューム調節を間違えた、悪いな。なんだか数サイクル寝てたような気分で…」

ホットスポットは手のジェスチャーで軽く謝意を示すと、恥ずかしげにそう吐露した。

 

「あぁ俺もほんの何日か寝てただけなのにそう思うよ」

サイドスワイプはそう応じながらふらふらと起き上がろうとした。

「人間達の慌ただしさと忙しなさに影響されてか生き急いでるんだよな。おまけによ、辛いことまでもがすーぐ通り過ぎていく…」

彼はそうこぼし、目眩のような感覚に襲われてまた寝転んだ。

 

「その、お前の兄弟は…ダウンシフトは本当に死んだのか?」

訊きにくそうにそう言い、ホットスポットは憐れむような顔をした。

 

「もう知ってるとはな。いや、俺もその現場は見てないんだ。途中であいつに撃たれたし…今日目が覚めたらいきなり死んだとそう伝えられてさ。俺も残骸を見るまで信じられなかった」

「あいつはバルクヘッド並みにスペースブリッジに詳しかったのを買われて蘇生させられたらしいんだ。昔から、妙に抱え込んじまう癖があってさ」

 

「…そのせいで?」

 

「細かい理屈は分からないんだが…要は頭に情報を詰め込み過ぎてパンクしちまったってことらしい」

「どんどん取り残されていくような気分だ。皆が俺を追い越して先行きやがる。レースじゃ抜かれることなんて滅多になかったのによ」

そう言い、サイドスワイプは疲れきった顔で下を向いた。

 

「…そうだ、ブロードキャストからもらったものがあったんだった。データディスクか?再生してみよう」

場の空気に耐えきれずに、ホットスポットは話題を変えた。

 

"兄弟達よ。私はアイアコンガード隊長・第四緊急即応部隊教官、オライオン・パックスだ。

改めて我々の呼びかけに応えてくれたこと、感謝する。

今、サイバトロンが、我々の生まれ育った星がかつてない程の苦境に…"

 

「音でかいな、ってかこれ何だ?オプティマスの演説?」

サイドスワイプは驚いたような顔をして、億劫そうに反応した。

 

「あぁ…オートボット宣言の記録映像か。ブロードキャストからの俺への励ましなんだろうか…」

ホットスポットはアークから持ち込んだリペアルームの機器に飲み込ませたデータディスクを吐き出させてからそう言った。

「せっかくだし最後まで見てみるか」

そう言い彼は音量を調節すると、ディスクを同じようにまたねじ込んだ。

 

"…苦境に立たされている。知っての通り6サイクル前、メガトロニックスの起こした運動に対してセンチネルは徹底抗戦を訴えた。

しかし彼が舞台を降りてから…いや、ゼータ・プライムが撃たれこの星に恐怖と暴力が広がりはじめたあの日から、我々は一つになりきれずにいる。

私の望みは卑劣なディセプティコン達を吊し上げ、メガトロニックス…いやメガトロンの首を獲ることなどではない。

たった一つの言葉を今日、現実のものとすることだけだ。

「宇宙を一つに」

かつてプライマスの眷属達がデルタ・レグルスをゼータ・プライムとしたその日に生まれたこの言葉を、私は今ここで深く胸に刻むとともにオライオン・パックスという古き名を捨て去り、オプティマス・プライムとして…我ら全てを一つとするため、このスパークの輝きがある限りあらゆる形で戦い続けることをプライマスに、そして諸君ら一人ひとりに誓う。

よって我らは今日から不揃いな民衆ではなく、自律した意思を持つ一個の集団として、"オートボット"として、ディセプティコンの暴虐に立ち向かうことが出来るのだ。

私はこの星に真の自由をもたらす日が必ず来ることを信じ、またそれ故に何物をも恐れない!オートボット、出動だ!!"

 

「後のものに比べると若干荒削りではあるが、その分力強さのあるいい演説なんだ」

聴き終えると同時に、ホットスポットは雄弁にそう語った。

 

「詳しいんだな。俺はテトラヘックスがあんなになるまではニュートラルだったが…ホットスポットはこの頃からオートボットだったのか?」

 

「この時はまだ単なる消防隊員だった。そう…確か、この少し後にストリートワイズに誘われてオートボットに入ったんだ。ストリートワイズを誘ったのはハイウェイパトロールの上司だったプロールらしい。他のプロテクトボットのメンバーとはオートボットになってから知り合ったな」

眼を閉じて腕を組み、ホットスポットは記憶を辿りながら言った。

 

「そういやストリートワイズはアークに連れて来たのにファーストエイドはそうしなかったんだよな。なんでだ?」

思い出したようにサイドスワイプは疑問を口にし、首を傾げた。

 

「知らないのか?俺は部下に強制をしない。プロテクトボットであり、このホットスポットの部下である限り…選択の自由は常にある」

どこか誇らしげにそう言い、ホットスポットは自信に満ちた笑顔を見せた。

「ファーストエイドは医師が足りないからとサイバトロンに残ることを選んだ。グレイズはどうせ長くないなら母星で最期を迎えたいと言っていたな…その頃ルークとヒートロックはもう死んでいたし、グルーブはもっと酷い状態だった」

「皆の顔が懐かしいな…」

ホットスポットはそう続けたが、その声は徐々に勢いを失い、最後の方は消え入るように小さくなっていた。

 

「あー…その、こういう時ってどうも昔のことを考えちまうよな」

肩を落として顔を伏せたホットスポットを横目に、サイドスワイプはそう言葉をかけた。

 

「ファーストエイドはただの医学生だったのを俺が引き抜いてさ…戦地をあちこち連れ回したおかげで随分たくましくなったんだ。グレイズはシルバーボルトから引き取った。航空員を続けられなくなったあいつに救助ヘリとして飛んでくれないかって頼んだんだ。あいつは…アルファブラボーって前の名前を捨ててまでよく働いてくれたよ。皆大切な仲間だったのにな」

ホットスポットは俯いたまま、ゆっくりと語った。

 

「視界をシャットアウトすれば皆が一人も欠けずに笑顔でそこにいるってのに…まったく、時々現実と向き合うのが嫌になるよ」

小さくそう言い、サイドスワイプは己を嗤った。

 

「俺達、逃げることも出来たはずなのにな。サイドスワイプはなぜオートボットに?確かかつては名うてのレーサーだったろう」

ホットスポットはサイドスワイプの虚ろな顔を見ると、自分がされた質問を彼に返した。

 

「あーまぁ、色々さ。色々だよ。どうしても知りたきゃクリフにでも訊きな…楽しい話でもないが」

サイドスワイプはどこか照れくさそうにはぐらかし、ため息のような深い排気をしてまた眼を閉じた。

 

A

 

ベース217の司令室の一角に、黄色のコンピュータが設置された。

それはサイバトロニアンの標準的な背丈ほどのサイズがある本体と内蔵されている大型モニターの他に、操作パネルの脇に二箇所ある円柱状の台が設置されている形状をしていた。

「これがテレトラン1.5だ」

パーセプターを従えたスカイファイアは、集めた面々に向けてそう発表した。

「D.0.Cに当初搭載予定だった戦術思考プログラムをベースに二系統の疑似人格を搭載、基地の警備システムの管理や戦略の立案、及び部隊の編成を効率的に行う」

 

「よく分かんねぇな。そんなもん使えるのか?」

クリフジャンパーは不安げになりながらスカイファイアを見上げ、大声でそう問うた。

 

「これから我々がそれを確かめるのさ。では実際に起動してみようか」

スカイファイアはその大きな手で機器のコンソールを操作し、電源を入れた。

 

「テレトラン1.5:起動状態」

「ユーザー承認:スカイファイア」

無機質なシステムボイスがそう応じ、ボタンやモニターが一斉に点灯した。

 

「自己対話モードを起動」

スカイファイアが大きなボタンの一つを押し込みながら、慎重に言った。

 

「起動:自己対話モード」

 

「項目設定を…そうだな、我が方の戦力評価にしよう」

彼はしばし考え込むと、ひらめいたような顔をしてそう言った。

 

「…スカイファイアが過去一度たりとも失敗作や欠陥品を作ったことがないのはよく知っているが、こればかりはどうだろうな。私の補佐に使うならともかく_」

様子を見かねたプロールがそう口を挟んだが、その声はかき消されることになった。

 

敵の戦力が不明瞭な以上正確なことは言えへんけど、アイアンハイドとスカイファイア、それにオプティマスプライムをはじめとする戦闘部隊は全宇宙のオートボットの中でも精強なものと言えると思うで!

無機質なシステムボイスとうって変わって快活な合成音声がテレトラン1.5の右スピーカーから司令室に響いた。

そらもう宇宙に碌なオートボットは残っとらんからな。全盛期のレッカーズやエアリアルボットに比べたらカスや。そもそもヘキサティコンごときに手こずってるようじゃメガトロンに勝てる訳ないやろ

左のスピーカーから今度は暗く低い調子の合成音声が響いた。

せやから、グランドブリッジによる弾力的な戦力運用のみでは勝利の可能性は著しく低く、ゲシュタルトのような非現実的な戦略兵器の存在がなければ敗走は免れへん

まぁ敗走なんて言うても次に逃げ込む星なんてどこにもあらへんけどな

それでもC-Xが完成して量産体制に入ればまだ可能性はあるかも知れへん。人間との協力が勝つ鍵なんや

まだ一機も完成どころか動かせてもいないのに期待し過ぎとちゃうか。どのみち技術者のスペック通りの性能なんか実戦で出せる訳ないのはこの星の猿どもの歴史も証明しとる

せやけど諦める理由にはならへんよ。それこそスカイファイアの他にも助けが来るかもしれんやん…オメガスプリームとか

もともとワテらに勝ち目なんかあらへんし負けて死ぬだけや、戦争からも開放されるし万々歳やんけ。んでもって地球じゃ圧政による恒久的平和の実現や

そう言いきったきり、テレトラン1.5は沈黙した。

 

「…なぁ、今のは俺の聴覚がおかしくなったのか?出来ればそうだと言ってほしいんだが」

ひとしきり激論が終わると、クリフジャンパーが静まった場の中で遠慮がちに発言した。

 

「あぁ多少のバグが生じているのは無視してくれ、読み込ませる言語モデルを間違えたのかな…ダウンシフトのアイデアを完全に再現するには私は力不足だったようだ。まぁ人格プログラムともどもそのうち直すよ」

スカイファイアは苦笑いしながらそう応じ、テレトランの裏側を軽く叩いた。

 

「すぐ直せ」

プロールはスカイファイアを見やるとそう言い放ち、嘆息した。

 

このテレトラン1.5はそれぞれが正と負の感情を持ち対話によって最適解を導き出す別名"プロールいらず"だ

パーセプターは淡々とそう説明し、テレトランの分解を始めたスカイファイアとホイストを無感情に見下ろした。

 

「いい名前だ」

クリフジャンパーはそうつぶやき、若干の間を置いて笑いだした。

 

「そうか…私は構わんぞ、ようやく参謀の重責から解放されるというのなら何でもいい。作戦がどうなろうと知ったことか」

プロールはしばし思いつめた顔をして周囲を見ると、吹っ切れたような顔をして言った。

「面倒な仕事は後任のつまらん機械に任せて、私はペットとの時間を作るとしよう」

彼が投げやりに言い放つと、外から鳥ともドラゴンともつかないような生物が飛んできた。

 

「気に入ってくれたようだね、そのフリィトを」

じゃれるペットを鬱陶しそうにしながらも構ってやるプロールを見下ろして、スカイファイアは微笑んで言った。

 

「懐かれてしまったのでな、不本意ながら」

面倒そうに言いながら、プロールは小さく笑った。

 

「いつになく穏やかなツラしてやがる。らしくねぇな」

クリフは気色悪いものでも見たかのような調子で言った。

 

「だとさ。グリーン、お前もそう思うか?」

「…この際、生き方と自分自身を変えるべきなのかもしれないという気さえしてくる」

 

「パトカーの次は哲学者にトランスフォームする気なのかな?」

スカイファイアは愉快そうに彼を見下ろし、穏やかな顔でそう言った。

 

「…まさかな。私がそんな真似をする訳がないだろう、冗談だと思っていつものように聞き流せ」

諦観を滲ませたように笑い、プロールは億劫そうに言い放った。

 

「それと本題はこっちだ。"グランドブリッジ"の土台が完成した。アークのスパークを動力源にすることで課題の多くをクリア出来た」

スカイファイアは司令室にグランドブリッジの概略図を映し出した。

 

転送試験の被験者を募集する

パーセプターは短くそう言い、集めた者達を両眼で見つめた。

 

「ちなみにさっきそこらの適当な車を300km先の無人地帯に試しに転送してみたところ、左右にねじ切られた状態で発見されたそうだ。そして空間に干渉した反作用としてかこっちにはおおよそ同じ質量の土や石が送られてきた。実用試験はあらかた済んだから…後は生命体を運べるかどうかのテストが残ってる」

にこやかにそう言いながら、スカイファイアは変わり果てた車の画像を見せた。

「現状では、無事に済む確率は多く見積もっても二つに一つと言ったところかな。プライマスに祈りを捧げるといい」

 

「冗談だろ。そんなの俺でも嫌だぞ、直るのだって時間がかかるしものによっちゃあ直せない損傷だってあるんだからな!?」

頑丈さを買われてか、場の視線を集めることになったクリフジャンパーが周囲に言い訳するように慌てて言った。

 

「…私が、行こう」

プロールが何事か思いつめたような顔をして、静かにそう言った。

 

理解不能:聴覚回路に異常の発生した可能性を認める

パーセプターは想定外の現象に錯乱し、表情を変えて言った。

 

「…冗談だろ?」

クリフは苦笑を浮かべ、プロールを見ながらそうこぼした。

 

D

 

独房まがいの狭いスペースの中に、鳥籠のようなケージが置かれていた。

「ラットバット」

レッドアラートが部屋の扉を開け、薄暗い室内に光が射し込んだ。

 

名を呼ばれた蝙蝠はケージの中で眩しさに目を細め、逆さの視界で発言者のシルエットを見定めた。

「レッドアラートか…下っ端ごときでは話にならんな。何と嘆かわしい…私が元議員であることを知らんとみえる」

整然とした語り口で、しかし喚き散らかすように彼は乱暴に言った。

「相応しい扱いがあると言っているのだよ。プライムかせめてプロールでも連れて来ねば釣り合わんぞ」

 

「言うと思ったよ。オプティマスはいないが、お前のためにサンストリーカーを連れてきてやったぞ」

レッドアラートは片手でケージを持ち上げ、顔を突き合わせて笑顔で言った。

 

「…笑えない冗談だな、まずその銃を下ろしてくれたまえ黄色い友よ」

彼の後ろに黄色い姿が見えた途端にラットバットは怯えだし、ケージの中でぶら下がっていた棒から落ちた。

 

「誰が友だ、今度は胴体とおさらばするか」

アラートからケージを奪い取り、サンストリーカーはその隙間に銃を差し込んで冷淡に言い放った。

 

「待て、待ってくれ。私には利用価値がある、この体は丁重に扱った方が身のためだ。私次第でお前達を原住民ごと塵にすることも出来る…」

止めようともしないアラートを助けを乞うような眼で見ながら、ラットバットは反射的な保身の手段としてそう脅しをかけた。

 

「ほう」

サンストリーカーは微動だにせず、ひどくつまらなさそうに言った。

 

「いやメガトロンにお前達と話をさせてやれることだって出来るし和平の橋渡しだって_」

 

「蝙蝠野郎ってお前のためにあるような言葉だな。ラヴェッジやレーザービークの方がよっぽど律儀だったよ」

アラートがそう嗤った。

 

「失礼な奴だ、あんな畜生風情と一緒にしないでもらおうか…生まれが違うのだよ生まれが」

ラットバットは分かりやすく苛立ちながらそう憤ったが。

 

「それが今じゃ落ちぶれたものね」

そう挑発し、サンダーブラストは扉の脇に寄りかかって哀れな虜囚を冷たく見下ろしていた。

 

「サンダーブラスト…そこらで野垂れ死んだものかと思っていたが驚いた。いや昔から信用できない奴だったよお前は」

嫌味たらしくそう吐き捨て、ラットバットは鳴き声混じりに彼女を非難した。

 

「あっそ。私は常に勝者の味方ってだけだけど」

 

「サンダーブラスト…連れてきた理由は分かるな?俺の指示通りに動いてもらう」

アラートはすっかり上機嫌になった彼女に改めて命じた。

 

「はいはい要はこいつに口を割るように仕向けろってことでしょ?私の能力で」

サンダーブラストは浮ついた足取りでサンストリーカーからケージをつまみ上げ、思いきり振り回した。

彼女は思いのままに腕を伸ばし、ケージをあちこち壁にぶつけながら何周も回転させた。

 

「…私に何を、訊きたいのかな…?」

突然ケージごと振り回され、その中で何度も何度も跳ね回る憂き目に遭いラットバットは忌々しげにそう尋ねた。

 

「まずこうやって思考力を奪った方が色々都合がいいの。さぁ私を見つめて…あっ目を逸らしたらサンストリーカーのお仕置きだから。そう、いい子」

顔を合わせ、愉快そうにそう言うとサンダーブラストは目を赤く光らせた。

 

「よし、ラットバット…通達しておこう。真実を話せばオートボットがこれ以上お前に危害を加えることはない」

「では訊こう…ディセプティコンは現在どこを拠点にしている?」

彼が発言すると同時に、アラートの触角のような突起から放電が起きた。

 

「とある国と協力関係にある、とでも言おうか。お前達と同じように居候の身さ。しかし彼らは随分と強欲で見下げ果てた存在でね…我々にエネルギー泥棒のような真似をさせるんだ。お前達の守ろうとしている人間どもは果たしてその価値があるのかな?」

薄ら笑いを浮かべるだけの余裕を見せながら、ラットバットはつらつらと答えた。

 

「…メガトロンが姿を見せない理由は?」

ラットバットと顔を合わせることはせずに、アラートは部屋の壁を見つめながらそう問うた。

 

「スタースクリームがとうに殺してしまったよ。休眠状態から目覚めることさえなかった」

彼は失笑するようにそう吐き捨てた。

 

「ショックウェーブはどこだ?」

 

「ご存じのはずだが?サイバトロンに置いてきたよ。留守を預かって忠臣ぶる奴に褒美として滅びかけの星をくれてやったまでよ」

首を傾げ、無感情にラットバットは淡々と答えた。

 

「ディセプティコンはあと何人残っている?」

 

「二十を切ってもう残り少ない、満足か?やったな。お前達のお手柄だよ」

 

「ヘキサティコンは誰が呼び寄せたんだ?」

 

「サウンドウェーブだ。削られた戦力の補充…というよりかは、幅を利かせていたスタースクリーム派の抑えとなる者を増やしたかったのだろうなぁ。まったく忠誠心もあそこまでいくと病的だよな?わざわざ招集を命じた通信の固有シグネチャーをメガトロンのものに偽装してまで…片腹痛い」

呆れるような顔をして、ラットバットはアラートの方を見て愚痴るように語った。

 

「で、お前達は今何を目的に動いている?」

 

「メガトロンに率いられ宇宙を野心の色に染め上げるなどと息巻いていたのも遠い昔、今のディセプティコンはただ生きるためだけに略奪を繰り返すばかりの集団だ。あの連中に私はほとほと愛想が尽きた。スタースクリームの統率力には感心させられるよ、心底なぁ」

芝居がかった身振りでそう答えながらも、ラットバットはどこか複雑そうな表情を浮かべた。

 

「…次で最後だ。"カルペッサの大火"って覚えてるか?」

 

「突拍子もない…故郷の戦史を原住民どもに講義する準備でもしているのか?"オートボットが負けた"のたった一行で済むだろうに、殊勝なことだ」

 

「答えろ。元議員のお前から見て、あの事件にどういう印象を持った?」

 

「哀れなニュートラルが吹き飛ばされた、というだけの珍しくもない悲劇だな。それがオートボットのプロパガンダキャンペーンに利用されたという点を除けば、だが」

「忘れもせん…仕組んだのが誰にしろ大した手管だ。そのせいで我々は以降の志願者の採用競争において大差を付けられ、人工的な兵士の製造にオートボットよりも先に踏み切った」

 

「お前から見て犯人は誰だと思う?」

黙ってラットバットの弁を聞いていたサンストリーカーがふと、そう口を挟んだ。

 

「次は推理ごっこか?はてセンチネルか、あるいは内部の反メガトロン勢力か…見当もつかんな」

ラットバットがわざとらしくそう言ったのを合図に、アラートの放電現象は止まった。

 

「よし、戻るぞサンダーブラスト。じゃあなラットバット」

そう言い、アラートら二人は扉の外へと出た。

 

「ご満足いただけたならいいんだが」

わざとらしくそう言った後、ラットバットは一人だけ部屋を出る気配のない者がいることに気づいた。

 

「あぁ……十分だ」

アラートはそう言い、ケージとその鍵をサンストリーカーに手渡してサンダーブラストと部屋を後にした。

二人が去った少し後、閉じた扉の隙間からラットバットの甲高い悲鳴が漏れた。

 

A

 

以前オプティマスがグリムロックと戦った基地の奥底に、グランドブリッジは仮設されていた。

無機質な部品の寄せ集めのような、奇怪な風貌のブリッジは中央部の円筒型の転送装置とその制御盤に加えてそれぞれ両脇に位置する動力源と鉱物用の貯蔵タンクで構成されていた。

「転送準備、開始します」

この閉鎖的な空間の中ではスカイファイアは身を屈めて機器の操作をするほかなかった。

 

臨界到達まで残り312.8秒リアクター正常放射線量規定値の通り送電の安定を確認各部異常はない

パーセプターがブリッジの制御盤を素早く読み取り、秒ごとに変わっていく表示を確認していく。

 

「皆、集まったか。オプティマスは?」

プロールは転送装置の中で、そう訊いた。

 

「私ならここだが…」

くぐもった声に呼ばれて、オプティマスは前へと歩み出た。

 

「…では、皆に聞いてほしい話がある。これは懺悔であり、後悔であり、報告でもある」

プロールは通信を開き、ゆっくりとそう切り出した。

 

「なんか始まったぞ」

彼に外出を許されなかったハウンドが怪訝そうな顔をして、転送装置に備えられた窓からプロールを見ようとした。

 

「妙な…空気だな」

自分がかつて錆ガスで処刑されかけた際の光景を思い出しながら、ギアーズは戸惑いがちに言った。

 

「戦争に勝つ手の一つが、最初に敵に撃たせることだ」

聴衆の反応を気にする風もなく、プロールは続けた。

 

「オートボットの言うこととは思えないね」

スカイファイアはそう苦笑し、手を止めそうになった。

 

「コンズにでもなったつもりか?」

ウィンドチャージャーはつまらなさそうに問いかけた。

 

「当時私は何度もディセプティコンに勧誘された、無慈悲で効率的な戦略家として。確かに私は今まで戦いに勝つのがどちらかと問われ、それを外したことはない…だがどちらが正しいかと問われたら、きっとその時私は答えられないだろう」

 

これから発言する内容はグリムロックがプロールを嫌っていた理由に関係があるか?

 

「それそのものだ…"カルペッサの大火"という事件が大昔にあった。戦争が始まって間もない頃のことだ」

 

「あぁ、ニュートラルが3万体死んだってあれか?珍しくもない話だろうよ。ブロードキャストが通信で垂れ流してたから概要は分かってる」

ハウンドが話を聞き終える前にそう口を挟んだ。

 

「偶然というのはあるものだなブロードキャスト。お前の通信で忌まわしきカルペッサの名が聞こえてきた時は、とうとう戦場以外でも幻聴が聞こえるようになったかと思った…」

「あるいは寛大なプライマスもとうとう私を裁く気になったかとね」

「あの事件ではニュートラルを殺した爆弾は卑劣なディセプティコンの仕掛けたもの…そういう筋書きになっていた。私は素材を調達させ、クォーク達を使ってディセプティコン式の爆弾を仕立てさせたんだ」

 

「つまり…それって」

クリフジャンパーが引き気味に口を開いた。

「あの戦闘そのものがお前の仕込みだった⋯って訳か」

彼は腕を組んでうつむき、やがて納得するようにそう言った。

 

「別にお前ならそのぐらいやりそうだなって思ってる俺がいるな」

チャージャーはそう言いながら、短く嘆息した。

 

「訊かれる前に言おう…後悔している」

 

「どうだろうな。ディセプティコンの卑劣な行いに仕立て上げたことで、オートボットの勧誘にも効果的だったろ?戦争継続の大義名分も出来た!」

もっともらしい顔をしたプロールへの憤りか、ギアーズはそう鋭く糾弾し彼を強く蔑んだ。

 

全くもって大した戦略眼であると言わざるをえない」 

 

「あの事態のどこまでがお前の想定内だった?いや…こう訊こう。何人までの犠牲が、お前の許容範囲内だった?」

ハウンドは慎重に言葉を選びながら、そう問うた。

 

「200名程度までは、覚悟していた。本来なら敵味方のみの被害はその程度の数だったはずだ」

 

「だがそうはならなかった…!最終的にはオートボットだけでも3000は死んだもんな、実行犯は誰だ?まさかお前が自分の手を汚したわけでもあるまい」

プロールの返答に憤りを見せながら、ハウンドは静かに質問を重ねた。

 

「爆弾を運んだのはバンパーとファストバックだ。グリムロックらダイナボットはあの時近隣の臨時基地で待機していたんだ」

「不自然な動向を見せた二人の後をスワープが追った。程なくして連中は全てを悟った」

 

「…なぜグリムロックはその事実を明かさなかったんだ?」

ずっと黙っていたオプティマスが、ゆっくりとそう尋ねた。

 

「相手の落ち度をこちらが握っている場合、交渉というものは常にやりようがあるんです。それに…もし明かせばオートボットという組織そのものが空中分解しかねないことぐらいは奴も⋯」

 

「…オプティマスは本当に知らなかったんですか?この事実を」

 

「手際と都合の良さにかつて自作自演ではないかと疑いを持ってしまったことはあった…プロール、お前の手引きだったとは……」

どこからともなく聞こえた誰かの猜疑と不信の滲んだ疑問の声に、呆然と立ち尽くしながらオプティマスは口元を手で覆い、言い淀んだ。

 

「"まさか"とは言ってくれないのですね。もっと驚いてもらえるとばかり⋯」

「後任も出来ることだし、もう私には何の価値もない。殴りたければここから引きずり出して殴ればいい。好きにしてください」

プロールは転送装置の小窓に近づき、オプティマスと顔を見合わせて言い放った。

 

「アークのブレインとスパークの件じゃ疑って悪かったと思っていたが、その矢先にこれとはな!」

クリフは我慢の限界に達し、転送装置に掴みかかろうとした。

 

「プロール、お前の口車に乗せられた奴の死体を集めれば…錆の海も埋まるだろうよ」

クリフの動きをマグネットパワーで止めながら、チャージャーはプロールを見下ろして嘲るようにそう言い放ち、去っていった。

 

「センチネルがお前を副官に命じたのも納得だ…!」

なおも暴れるクリフを静かに抑えたハウンドは窓越しにプロールの顔を見据え、頭突きする勢いで近づいた。

 

「待て」

見かねたように、オプティマスは声を絞り出して制止した。

 

「オプティマス…やるっていうんならあなたに譲りますよ」

二人はその場で逡巡した後、どちらかがそう言うと彼らは揃って拳を収めた。

 

「…」

オプティマスは黙って拳を握り、それを見つめた。

 

「今ここで私を殴ればいい。自由と調和を重んじる正義のオートボットの総司令官として、この謀略家を罰してください」

「⋯何を躊躇することがあるんです?私は大勢死なせた。よく尽くしてくれたバンパーとファストバックだってさんざん利用した挙句使い捨てた…爆弾はね、彼ら諸共吹き飛んだんですよ、不幸な事故だったんです。これまでの全部がそ_」

プロールがそう言いかけた時、機械の作動音が最大に達し、辺りに光が迸った。

 

A

 

サンストリーカーを残し、サンダーブラストとレッドアラートはリペアルームに向かった。

「サイドスワイプ、調子はどうだ」

レッドアラートは寝台に横たわる赤い影を見るなり、すぐさまそう尋ねた。

 

「アラート?尋問は終わったのか」

ラチェットの席に座りながらパッドの画面と向き合っていたオプティマスが声を聞きつけ、振り返ってそう訊いた。

 

「オプティマス…なぜここに?」

 

「…また腕を痛めてしまってな。ラチェットを待ちながらついでにC-X用のデータを確認していた。それよりラットバットの扱いについてだが…」

アラートとその後ろにいたサンダーブラストを見やり、オプティマスはそう説明した。

 

「えぇ、"真実を話せば危害は加えない"と尋問の前に通達しました」

 

「なんか…やっぱり俺のいない間にいろいろ進んでるんだよな」

呆けた様子で二人の会話を眺めながら、サイドスワイプが言った。

 

「あぁ。お前が取り残されてないか心配で見に来たんだ。目覚めた気分はどうだ?」

 

「別に…体がどうこうよりもよ、ヘキサティコンとの戦いに参加できなかったことの方が俺は辛い」

腕や足をしきりに動かしながら、サイドスワイプはそう吐露した。

「アイアンハイドも連中にやられたらしいな…道理で顔を見に来ない訳だ、そこのポッドに半分づつ詰められてたんだから。俺は最初てっきり嫌われたのかと思ったよ」

二つのポッドには黒と銀に変色したアイアンハイドの欠片が、それぞれの中で浮いていた。

 

「私も居合わせることは出来なかった。駆けつけた時には既にオーバーロードによって…」

 

「それで、オプティマスは結局奴を倒したんですか?」

 

「重傷を負わせることは出来たはずだ…しばらくは顔を見せることはないだろう。しかしこちらも深手を負ったし強化装備はなくしてしまった」

 

「顔を見せないといえば…あれ、サンストリーカーはどうしたんだ?」

 

「きっと遠慮してんだ、お前に合わせる顔がないってな」

言いにくそうに、アラートを眼を逸らして言った。

 

「あいつに落ち目はないさ…暴走したダウンシフトを不用意に追っかけて無様に撃たれたのは俺の責任だ」

 

「俺もそう言ったんだがな…今はラットバットの房で八つ当たりしてるよ、無論殺さない程度にだが」

 

「あいつ嘘ついてたものね」

サンダーブラストは思い出したようにそう応じた。

 

「お前は早めに気づいていたな。俺は案外いい相棒を持ったのかもしれん」

アラートは厭そうな顔をしてそう言った。

 

「褒めても何も出ないけど?」

悪戯っぽい笑みを浮かべ、サンダーブラストは彼の後ろでそう囁いた。

 

「お前から出るのは愚痴と嫌味と皮肉だけだからな」

 

「あら、そのうちキスでもくれてやろうかしら?"死を呼ぶキス"をね」

 

「その…レッドアラート。詳しい説明を希望してもいいか?」

オプティマスは二人の応酬に気圧されながら、遠慮がちに訊いた。

 

「あぁ失礼。サンダーブラストが出した指令でラットバットは発言を強制された状態になり、その上で俺が思考を読み取ったんです」

「あいつは口が回るのでとっさの嘘は吐けますが…思考と言葉を同時に偽れるだけの器じゃない」

「それでも…自分の吐いた嘘を自分で信じ込む傾向があるホットロッドみたいなタイプの奴はやはり余計な面倒と無駄な手間がかかって疲れますね」

「質問はブロードキャストと話し合って決めました。オプティマスにも確認してもらった通りです」

 

「なんか、すげーな…」

アラートの説明を半分以上聞き流しながら、サイドスワイプはそうつぶやいた。

 

「その結果から言って…ディセプティコンはネメシスを拠点としているとみて間違いないでしょう。メガトロンも単に眠っていただけのようです。人為的なトリプルチェンジャーであることが関係してるんですかね?」

「ショックウェーブについての質問には正しい答えを返していた。まぁもとよりそのつもりで混ぜた質問だ。おかげで他が嘘だと確信できたんです」 

「ヘキサティコンを呼び寄せたのも恐らくはメガトロン本人でしょう。多分スタースクリームを牽制するためという点については事実ですね」

「ディセプティコンの目的については…どちらでもない、というよりラットバット自身も理解していないような感触でした。半分は真実と見てもよさそうです」

「"カルペッサの大火"についてはブロードキャストたっての希望で入れましたが…こちらも誰が首謀者かは確信しているようでしたね。プロールです」

「今更驚きはしませんが」

 

「…待て、お前また能力を使ったのか。体に悪いんだろ?」

ふと気づいたのか、サイドスワイプは兄弟にそう尋ねた。

 

「これは俺の寿命よりも大事なことなんだ、少なくとも俺はそう考えている。ものにはなんでも適切な使い道と…そのタイミングがある」

レッドアラートは決然とそう言い、自分の頭の傷を指で軽く叩いた。

「以前アイアンハイドがスタースクリームから聞いた話と合致する部分も多いですね。ネメシスのステルス機能とトランスワープさえ攻略できればこの星の戦争は終わりそうですが…」

 

「それについては我らが白き巨人に考えがあるようだ。私はスカイファイアから彼の出発した時点…およそ200サイクル前のサイバトロンの状況を聞かされたが…その内容からしてほぼ間違いなく、地球がこのサイバトロニアン内戦の最後の戦場だろう」

「だからか彼はコズミックルストやヘッドマスター、ゲシュタルトも含めたあらゆる手を使う気でいるらしい。元ディセプティコンの彼ならじきにネメシスのステルス機能の対策を思いつくはずだ」

オプティマスはそう言いながら、パッドに次から次へと送信されてくる補給計画や作戦のデータに目を通していた。

 

A

 

電磁柵のほかは何もない暗い部屋に、クイックシャドウはゆっくりと入っていった。

「グリムロック。私が分かるか?クイックシャドウだ」

 

「蘇らされたのか」

声を聞いてからしばらくの間をおいて、グリムロックは驚きと悲しみの入り混じったような声色でそう発言した。

 

「不本意ながらな…後悔しているよ。かつてもう二度と逃げぬと誓った時、あの日以降の記憶を失った状態で最初は蘇ったのだが……そのままでいれば楽だったろうにな。部分的に記憶が曖昧なのがある意味、救いだ」

そう言いながらクイックシャドウは何かに駆り立てられるようにグリムロックに触れようと手を伸ばし、電磁柵に阻まれて指先を灼かれた。

 

「コデクサも星と一つとなってもう随分と経つな。伴侶を失ったサンダークラッシュの悲痛な顔は昨日のことのように思い出せてしまうが」

壁と向き合い暗がりを見つめたまま、グリムロックはそう返した。

 

「パックス…いやオプティマスはあの二人に育てられたのだろう?」

クイックシャドウは溶けたばかりの指先を見つめると、反射的に口に含みながらそう訊いた。

 

「そう長い期間ではない。アイアコンガードに入ってからはカップと私が引き継いだからな」

そっけなくそう応じて、グリムロックはまた押し黙った。

 

「しかしなぜパックスがリーダーになったのだ?アイアコンガードのリーダーとしてさえ十全に務まってはいなかったように記憶しているが」

つぶらな青い瞳をバイザー越しにのぞかせ、クイックシャドウは首を傾げて不思議そうに訊いた。

 

「…ゼータもセンチネルも消えた当初はウルトラマグナスが総指揮を執っていたが、奴一人では不十分だったのだ」

「その頃パックスはアイアコンガードの地下牢に籠っていた」

 

「…なぜ?」

 

「オライオンはセンチネルを殺した。その自責の念からだな」

嘆息するようにそう言い、グリムロックはしばし押し黙った。

 

「彼の行動の全てはその贖罪か。しかし動機は?」

クイックシャドウは慄然とし、声を小さく震わせて訊いた。

 

「"第四緊急即応部隊"を当時オライオンは教官として率いていた」

苦々しい顔をして、グリムロックは語りだした。

 

「お前が第一の隊長だったようにか?」

 

「私の隊とは違いオライオン以外はズブの新兵だ…バックストリート、ドッグファイト、オーバーラン。皆が訓練生だった」

 

「…その、それで彼らはどうなったんだ?」

クイックシャドウはその答えに勘づいていたが、やはり訊かずにいられなかった。

 

「無論死んだとも。センチネルの指示で孤立無援のまま敵陣に突っ込まされ、最後は…」

 

「味方の砲撃に巻き込まれ、か。奴らの常套手段だったな」

唾棄するようにそう言い捨て、彼女は反対側の壁を背に座り込んでグリムロックの背中を眺めた。

 

「逃げ延びたオライオンはアイアコンのオートボット本部に殴り込み、そのままセンチネルを上顎から引き剥がし、ブレインを引きずり出して踏み潰した」

「一部始終を映した映像が警備記録に残っていた。奴はセンチネルのコグを引きちぎり、最後にはスパークを握り潰して殺したよ。慣れない手つきの割に合理的な動きで、残忍かつ手際よく初めての殺しをこなす様に私は震えたものだ」

グリムロックは途端に饒舌になり、その光景を思い出しながら愉快そうに言った。

 

「魅入られたの間違いではないのか?しかし、なんとまぁ…メガトロンがゼータプライムを殺った時の手法が上品に思えてくるな。強きに従うのが信条のお前にしてみればいい主だったかもしれんが」

クイックシャドウは後ろからでも彼が笑みを浮かべているのが分かり、呆れたように言った。

 

「同時によい練習台でもあったがな。さて…お前は今何を望む?私は目覚めてすぐに奴と身が震えるような戦いをした。お前はその手を…いや顔と態度を見るにもうオライオンを殴った後だろう」

グリムロックは穏和な口調で、体ごとクイックシャドウに向き直って顔を見合わせ、ゆっくりとそう問いかけた。

 

「私の的外れな八つ当たりを、彼は何も言わずに受け止めたよ。それで心の整理もつけさせてもらったことだし今は…蘇らされた以上は、オートボットとして務めを果たすべきだと考えている…かな」

赤いひび割れた彼の眼を見つめながら、歯切れ悪くそう言ってクイックシャドウは渋面を浮かべた。

 

「そうか。で、あるなら…我々の中に道を踏み外しかけてる者がいる。俺の代わりにそいつの様子を見てやってほしい」

 

「プロールか?それともクリフジャンパーかギアーズか_」

クイックシャドウは彼の深刻そうな表情から思い当たる人物を羅列した。

 

「サンストリーカーだ」

彼女の言葉を遮り、グリムロックは重々しくそう告げた。




以前Twitterにて、現状における最終回の構想を形にしたものを投稿しました(https://twitter.com/pova_AlCy/status/1619392619653791745 )
当然ネタバレの嵐ですが、気になった方は読んでみてください。
あと、トチ狂ったテレトランの元ネタはお察しの通りいちごーといちまるです。

生存してほしいキャラ

  • オプティマスプライム
  • アイアンハイド
  • プロール
  • ブロードキャスト
  • ホイルジャック
  • パーセプター
  • ラチェット
  • ギアーズ
  • ホイスト
  • サイドスワイプ
  • サンストリーカー
  • レッドアラート
  • ウィンドチャージャー
  • クリフジャンパー
  • グリムロック
  • ホットスポット
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