トランスフォーマー:Alternation of Cybertron   作:pova

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最近読んでばっかで久々の更新なTF好きのポヴァです。
ネタを盛り込み続けたらそのうち必要な予備知識が多過ぎるって言われちゃいそうだなーと思いました。
今回はファーストコンタクト編となります。


オートボット-地球編③:Human Alliance

地球_アーク落着地_2027年_9月17日_

 

 

地平線の向こうまでただ岩山が連なるだけの空間を三台の車が走っていた。彼らのライトはこの広大な荒れ地の中で、雲の向こうの月明かりよりも朧げに行く先を照らす。

並走していた三台のうち、最も大きく威圧的なシルエットを地面に落とす水色の消防車がサイレンともクラクションとも異なる音を発した。

「なぁプロール」

それは知的生命体が意思の疎通を図るための言語であり、またこの星のこの地域のものに高度に擬態していた。

 

「何だホットスポット」

個体名を呼ばれた白と紺のパトカー、正確にはそれに擬態している存在が短く問い返した。

 

「そもそもこの星の住民が平和的な種族でないとしたらその時はどうするつもりなんだ?」

水色の消防車はこの地域の言語に訳された今の個体名が内包する語義と自身の気質との間にある微妙な齟齬や、訳される過程で失われたいくつかの語義に不満を抱えつつ淡々とそう応えた。

 

「武装の類は持ち出して来ていない」

不規則な地形から来る断続的な振動や吹き荒れる風が体を揺らす感覚に早くも適応しつつ、プロールはどこか気楽そうに短く答えた。

「…まったく、我ながら不用心だったな」

そうつぶやくように言うと、プロールは押し黙った。

 

「注意深く策謀を巡らせてその上他人を信用しないあんたらしくないな」

ホットスポットはヒトがするようないくつかの侮蔑的な仕草にも似た表情の変化を見せたが、消防車に擬態したままでは誰に見咎められることもない。

 

「嫌われたものだな…だが不思議と、そういう気にさせる環境だと思わないか?」

並走する部下の反応を見抜いたプロールは吐こうとした多くの言葉を飲み込み、落ち着き払ってただ眼前の景色に意識を向けた。

 

「分かる気がするな。ここはかつてのネビュロンやフェミニアのように雄大な世界だ」

意図せずわずかばかり速度を落としていたことでいつの間にか二台の後ろに位置していたハウンドは、彼らの戦争に巻き込まれたためにとうに滅んだ星の名をあげしばし感傷に浸ろうとした。

「何世紀も続く地獄の内戦とは縁遠いだろう」

 

「それは疑わしいがな」

「ハウンド、お前のビークルは恐らく戦闘用の車輌だ」

 

「そうなのか?」

 

一転して冷徹にそう指摘したプロールに対して、ハウンドは雄大な景色にあてられてかなんとものんびりした調子で言葉を返す。

「言われてみるまで気がつかなかったが、そういえばやけに体が重いし装甲も厚い」

 

ホットスポットはその返答を聞くと速度と車高を落とした。

「となると融和的な種じゃなさそうだな」

「つまりこれから俺達は平和主義者のニュートラルどもよろしく丸腰で原住民とコンタクトを取った挙句血祭りにあげられる末路へまっしぐらって訳なのかね」

 

彼の辟易しきった口調に引っ張られプロールの物言いも精彩を欠いていく。

「そう悲観的になることもないだろうが…」

 

「目的地まであとどのくらいだ?」

ハウンドは自身の針路装置や測量計器がこの星に対応しきっていないことを思い出してから、短くそう尋ねた。

 

「このマップが正しければ_」

面倒そうにそこまで発言すると、プロールは訝しげに言葉を止める。

「…何だあれは」

 

正面からはいくつかの車が月明かりの荒野に朧げな影を落とし、列を組んでゆっくりと向かってきていた。

「俺がスキャンしたのと同じビークルか」

「それも武装している…逃げた方がいいのかもな、これ」

暗い緑を車体にまとい、白と赤のサイケデリックなフラワーペイントが施されているハウンドのビークルモードとは異なり、彼らを取り囲まんと向かってくる車輌群はどれも無機質なサンドカラー一色に染められ、車体の上部には黒々とした機銃が繋がれていた。

 

「…いや、向こうから来てくれたんだ。手間が省けたってもんだろ…元々燃料もそんなにないんだしな」

迫り来る異星の機械にホットスポットは少し戸惑ったものの、頭脳回路を駆使して懸命に考えを巡らせていた。

 

「一理ある」

「全部で八台か」

自身と同じ姿の装甲車を見やりつつ、腹を決めたハウンドは特にうろたえる風もなく言った。

 

「プロールは?どうするんだ?」

ホットスポットは普段のどこか鷹揚とした様子で指示を仰いだ。

 

「…分かった、停車する」

「だがトランスフォームはするな…車両の窓もドアも閉め切っておけ」

プロールは周囲を見渡し、静かにそう言いながらも苛立ちまぎれにエンジンを吹かした。

 

並んで停車している三台の周囲を遠巻きに取り囲み、全方位からライトの光を浴びせかけていた装甲車から、この星の住民が慌ただしく降車する。

小火器で武装した彼らは即時攻撃の体制に移りじりじりと距離を詰めていった。

三台の中央に陣取った一台からスピーカーに乗って怒号が飛ぶ。

「そこの装甲車!どこの所属だ!」

「なんで消防車とパトカーが一緒なんだ。乗員は全員ただちに車から降りて来い!」

 

三台に詰め寄り様子を見ていた兵士達のうち、パトカーの中を覗き込んだ一人が叫んだ。

「少佐!」

 

「何だ!」

 

「中には誰もいません」

「それと妙なエンブレムが…」

兵士が暗がりに目を凝らしよく見れば、そのパトカーにはボンネットの前部にあしらわれた真っ赤な紋様があった。

 

「紫の奴か!」

少佐と呼ばれた男は忌々しげな口調で問い返し、すぐさま車を飛び降りた。

 

「いえ!赤の…形も似てますが違うものです!」

兵士は彼に駆け寄り、パトカーのボンネットを指さした。

 

「…なんてことだ」

「まさかとは思うが…そこの三台!お前らも変形できるのか!?」

 

「どうするか…この際やむを得んな」

「あぁそうだ」

そう小さく返事をし、プロールは変形を解いて車の姿から頭と二つづつの手足を有する人型に転じた。

「撃つな。こちらに攻撃の意志はない」

プロールはそう言いながら両手を上げた。

丸腰であることを隠すためか彼は武器を装備していないとまでは言わず、じろと辺りを見回した。

「私はプロール。オートボットのプロールだ。こっちの二人はハウンドとホットスポット」

「我々は惑星サイバトロンからやって来た金属生命体だ」

あっけにとられる周りの人間をよそに、淡々とプロールは告げた。

名を呼ばれた二人も装甲車と消防車から人型へとそれぞれ変形し、その青く無機質な双眸で人間達を見下ろした。

 

「そうか…私はこの国に仕える軍人だ。カイル・ボウマン、階級は少佐」

「…貴様らに訊きたいことは山ほどあるんだ!」

 

「カイル、我々に返答する権限のあることなら喜んで応じよう」

 

「(権限ってなんだハウンド)」

 

「(察しが悪いな、プロールお得意の方便だ。お前も答えたくない質問が来た時に言ってみろ)」

 

「そいつは結構なことだな!いい返事だ。貴様らを蜂の巣にしないで済むだけの情報を期待するぞ、ブリキども」

横柄な態度のまま自身の数倍の体躯を持つ相手を睨みつけつつそう言い、周囲の兵士にも警戒は解かせなかった。

「それで…お前達は一体どこから湧いて出た?サンバだかなんだかいう星から歩いて来たか?」

 

「我々の乗ってきた宇宙船が谷に隠されている。我々はつい先ほど目覚めたばかりだ」

プロールは来た方向にある谷を指で示すジェスチャーを小さく行った。

 

「どうだか…なら次に、貴様らはこの星をどうする気だ」

「植民地にでもしに来たのか」

少佐はなおも高圧的に問いかける。

 

「航行中に偶発的な戦闘の影響で落着しただけだ。必要な補給さえ受けさせてもらえればすぐにでも発とう、可能な限りこちらも見返りは用意する」

プロールは膝立ちになり、両の手を広げ諭すように告げる。

 

「なら今地球を侵略している連中は何だ!」

「そのエンブレムによく似た紫のマークを付けた連中は!」

少佐は苛立ちを見せながらそう言い、彼の胸部となっている車のボンネットにある赤のエンブレムを指さした。

 

「そういうことか」

「…その特徴には心当たりがある。我々と同じ惑星で暮らしていたかつての同胞だ。遥か昔、政治的な対立によって我々の星は内戦状態に陥った」

プロールは彼らの刺々しい紫のエンブレムを空中に投影した。

「彼らは名を"ディセプティコン"といい、元は革命を志して立ち上げられた集団だ。だがいまや侵略・独裁をもくろむだけの組織に成り下がった」

自分達が眠っている間に彼らがこの星で暴れ回っている様子を想像し、プロールは重々しく鬱屈とした口調で言った。

 

「待て」

聞き入っていた少佐は通知音声を境に話を遮り、通信装置を手に取った。

「…はい、こちらボウマン。回収部隊ですが」

「えぇ…は、了解致しました」

彼は機械的な口調に憤懣と怒気を滲ませながら、会話を打ち切った。

「なんてことだ全く…!」

少佐はそう言い捨て、腕を組み直してプロール達の方に向き直った。

「この星を出て行くのは構わんが…少なくともまず連中を殲滅するまで出発は延期してもらうことになりそうだ。今、そうした決定を通達された」

 

プロールはふと呆気にとられたような顔をした。

「そうか…無論、他の星に彼らが被害を及ぼしているのなら止める義務が我々にはあると考えている」

彼の脳裏には今まで見てきた様々な星の最期の光景が浮かんでいた。

 

「今までの経験から言って避けられないだろうと思っていたさ、どうせな」

ハウンドは地平線を見やり、憂うような眼差しで星々に向けてそう言った。

 

「いいぜ。火消しは俺の専門だ」

ホットスポットは意気揚々とそう言い放ち、足元の兵士らにアピールするように右手の第一指を立てるポーズをとった。

 

少佐はプロールの周りを囲んだ兵士に目配せし彼らに武器を下ろさせた。

「…ついて来い、案内したい場所がある」

そう言いながらもプロール達と顔を合わせず、踵を返して車に向かった。

「……本意じゃないがな」

自身の車輛に乗り込む際小さく言ったその一言を、プロールだけは聞き逃さなかった。

 

A

 

プロールらが招かれたのは地下の大空洞に築かれた秘密の軍事基地とでもいうべき施設だった。

地上に密かに設置された入口から通じているなだらかなスロープを降りつつ少佐は説明した。

「ここはベース217と呼ばれている。もっとも、普通の地図には載っていない場所だが」

 

「しかしちょうどいいサイズだな、この通路」

"紛らわしい"という理由で装甲車に変形しないよう言われたハウンドはのそのそと歩きながら言った。

地下に掘られたトンネルの高さには余裕があり、オプティマス・プライムであろうと頭をぶつけずに済むほどであった。

 

「ところで、お前…プロールだったか」

「そろそろお前達の話を聞きたい」

「ここまでの経緯をな」

そう言うと少佐は車を降りた。

通路を見るとスロープはそこで途切れた。その前方には壁がそびえ立ち、左右には駐車場らしき空間への通路があるのみだった。

残りの兵士達を乗せた八台の装甲車はそこで止まり、左右の通路へと消えていった。

「ここから先は更にデリケートな区画でな」

「盗み聴きの心配なら無用だ」

そう少佐が言うと彼らの目の前に広がる無機質な灰色の壁は重厚な音を立てて左右に開く。その奥にはレールを通じて下層部へと繋がるリフトが待ち構えていた。

 

細い梁に支えられたレールを移動するリフトに三台と一人とが乗り、微かな振動とともにリフトが動き出すとプロールとホットスポットも変形を解き、それと同時に喋りだした。

「どこから話せばいいんだろうな?」

「戦争が始まったのはおよそ四百二十万年前だし、俺達が母星を飛び出したのは四百年ほど前だ」

 

天井に照明の類はわずかであり、薄暗い空間の中で声が響く。

「俺も事情が呑み込めていないんでな、必要な所は一通り話せ。多少は端折りつつでな」

 

「難しいこと言いやがる」

ホットスポットの特徴的なくぐもった声が空間に満ちた。

「…いや、あれがあるだろコミュニキューブ」

「プロール、持ってないか」

 

その問いにプロールは素早く反応し、胴体部から薄い灰色をした立方体を取り出した。

「無論こうした事態に備え所持しているとも。これがお前にない計画性だ」

 

「そりゃすごいな。その計画性ってのは一体何人分の戦力になるんだ?」

当てつけのようなプロールの言い様に、ホットスポットはすぐさま皮肉めいた言い回しで返した。

 

「物の数にはならんだろうな、場も弁えられんようでは」

呆れるような口調で、少佐はそう言うと嘆息した。

「交渉に長けた奴じゃなく単に動ける奴が来ただけだったか」

 

「すまない、この二人はたまにこうなるんだ」

ハウンドはそうフォローを入れ、ホットスポットとプロールの脚を踏みつけて言外に諌めた。

 

「…では、記録映像の投影を開始するぞ」

その立方体の蓋が開き、上方に向けて青い光が放たれる。

それらはやがて球状の物体を中空に描き出し、デジタルノイズ混じりに少しづつ描画のディテールを増していく。

彼らの眼前に浮かび上がるそれは機能的な階層構造と精緻なテクスチャ、そして雄大な自然美を融合させたようなフォルムを持つ天体であり、彼らの宇宙では"サイバトロン星"と呼称されていた。

「金属と歯車の星、サイバトロンはかつて平和と繁栄の象徴だった」

「そもそもの始まりはメガトロンの起こしたクーデターだ」

その地表にある大きな窪みへと映像はズームインし、闘技場らしき建造物を背景に幾つもの瓦礫やスクラップとなったロボット達が転がっていた。

戦闘機や戦車らしき乗り物が入り乱れる中、その中心にいたのは幌らしき布きれをたなびかせ、亡骸を踏みつけながら剣を片手に敵の首級を高々と掲げた銀のロボットだった。

「最初に五つの都市が彼らの一派によって陥落した」

次いで映像はサイバトロン星全体を映したものに戻り、その地表の五か所では大きな爆発、そして衝撃波が広がっていた。

「次いで彼らはゼータ・プライム以下当時の為政者達を皆殺しにし星中に侵略を広げ、いくつもの大きな戦いが起きた」

メガトロンの掲げていた首へと映像が移り、その形状や派手な装飾が見えたかと思うと同じように高貴そうな装いの頭部が積み上がるイメージ映像が映し出され、それらはみな先程の爆風の中に呑まれていく。

「今の我々の組織はそのさなかに設立された」

地球を荒らしている侵略者達に備わっている紫のエンブレムと同じものが浮かび上がったかと思うと、今度はプロールの胸にあるものと同じオートボットのエンブレムがまるで裏表が入れ替わるように映し出された。

「リーダーはオライオン・パックス」

演壇らしき場所で力強く拳を握り締めた青と赤のロボットは口を大きく開け叫んでいるようだった。

「彼に率いられ終わりの見えない戦いを続ける内、やがてサイバトロン以外の星にまで戦火は拡大した」

そのロボットが両手に銃と斧を持ち、爆風の中先陣を切っている姿へと場面が変わった。

大勢の部下が後に続くが、先程と異なりマスクを着けているため彼自身の表情は窺えない。

「最終的に、資源の枯渇により我々は星を脱出した」

続いて幾つもの惨たらしい戦場の映像が目まぐるしく映し出された後、最初のシーンとは打って変わって荒廃しきった星全体が映し出されたところで記録映像は終了した。

 

「えらくスペクタクルだな」

少佐は腕を組みながら映像に見入っていたが、それが終わると片眉を上げてそう言った。

「そういえばなんだが、そもそもお前達はロボットなのかそれとも生き物なのか…」

 

ハウンドはお決まりの映像にさして興味を示さず未だ見えない終着点を見下ろしながら答えた。

「よく訊かれるが、その両方と答えるしかないな」

 

「そんなものか、次に…これは単純な興味からだが、なぜ他の星に戦禍を持ち出す前に戦いは終わらなかった?そもそも自分らの星を丸ごと滅ぼすまで戦いをやめない種族とはなんだ。お前達の種族ってのはそんなに血気盛んなものなのか」

 

「返す言葉もないな。あんたと同じように考えてる連中も大勢いたさ」

ハウンドがお手上げといったジェスチャーをとる。

 

「我々の種が他の星に戦禍を持ち込んできた歴史があり、またそれによって忌み嫌われてきたのも事実ではある」

「だが、我々の星が滅んだ以上は…戦いはこの星で結着がつく。ここにいる全員がその結果と無関係ではいられない」

「…どちらが勝つにしても地球が、最後の戦場だ。多くの星と住民の命運が我々の活躍にかかっている」

「我々に、な」

プロールは平静を保ちながら言葉を選んでそう告げた。

 

ホットスポットは前方に広がる光景が明るさを増し、移動が終わりを迎えつつあることに気づくと、少佐に向き直って言った。

「俺達は平和と自由のために作られた組織だ、元々はな。有機生命体の星だろうとなんだろうとその務めは果たすべきだと考えている」

 

「彼らはこう言っていますが、将軍」

少佐はリフトの終着点で待ち構えている人影に向けて、そう言い放った。

 

「あぁ…無論、聞こえていたよ」

「予期していた通りだ」

重々しく響いたその声の主は彼らに背を向けていた。

 

「あなたは?」

 

プロールに素性を問われると彼は振り返って言った。

「皆と同じように"将軍"とでも呼んでくれたまえ、よろしく頼むよ」

その姿は老い衰えているように見え、白い体毛と骨のような生気のない風貌であった。

「…ところで君らのようなロボットの場合は、製造番号で呼び合うのかな?それとも名乗るような名があるのだろうか」

将軍は基地の奥へと進み、彼らにもついて来るように手ぶりで促した。

 

プロールは動じずに言葉を返すが、どことなく気圧されていた。

「我々は皆が名前を持ち、工場の製造ラインからではなく、星に満ちるエネルギーから生命体として産まれ落ちたのです」

 

「君はプロールだったか」

 

「はい将軍」

 

「部下達があまり君たちのことを快く思っていないのはどうか許してやってくれ。ディセプティコンの侵攻によって失われたものも多いのだ」

 

「我々にその討伐に参加しろというお話だとか。そう聞いています」

 

将軍は黙して答えず、そのまましばらく歩いたのち、彼のものと思しきデスクにつくと机上に肘をついてから告げた。

「あぁ、そうそう…その前に、一つ…君に頼みたいことがある。ここに君達のリーダー…」

「"オプティマス・プライム"を連れて来てくれたまえ。私は彼と直接話がしたい」

 

「…一旦船に戻らせていただきたい。仲間達と話をしなければ」

プロールの鉄面皮に綻びが生じた。

 

将軍はその返答を予期していたというような顔を隠さずに言った。

「良かろう…少佐!」

「道中彼らを警護してくれたまえ」

 

「お気遣いはありがたいですが、その必要はありま_」

 

プロールが言い終わるのを待たず、将軍は強い語気で言った。

「いいや必要だとも。君達に"万が一のこと"があってはならんのでね」

両の手を組み深くうつむくその表情はその場にいた誰にも読み取れず、プロールらは将軍の値踏みするような視線を感じながら踵を返し、黙ってリフトへと向かった。

 

A

 

相も変わらず荒野を八台と併走している中、ホットスポットが不満げに漏らした。

「…やっぱりおかしい」

 

「何だいきなり」

 

問い返したハウンドにホットスポットは語気を強めて続けた。

「招いた客をろくにもてなさずにさっさと帰したことも無論そうだが…」

「プロールは"オプティマス・プライム"なんて名前は出してない。そして"オライオン・パックス"の名前だって組織の創設者としか言わなかった」

 

「…我々が乗ってきた船に彼もいると確信しているかのような口振りだったな、今思えば」

「人間はどんな情報源を有しているのか…既に彼らはディセプティコンを何体か確保しているのかもしれん」

プロールはそう言いながら考えを巡らせ、納得がいったというような口ぶりになっていった。

 

「そもそも、あの基地はアークの落着地点から妙に近い」

「あんな僻地に秘密基地を建てて何になる?」

ハウンドはプロールの論に納得しつつ新たな疑義を唱えた。

 

「お前達の監視塔ってところか?」

少佐が話に応じる。

「思えば色々妙な事が多過ぎる」

口調は実に投げやりなものだったが、上司や情勢に対する不信の色が見え隠れしていた。

 

「なぁ軍人さん、付き添いはここまでにしてもらえないか?」

その言葉を受けたホットスポットは突如そう言ったがその口調におどけたものは一切なかった。

 

「いや…しかし命令は命令だ、それは承諾出来ん」

 

「隊長さんは隊員の命を守る義務があるだろ?」

そう言うとホットスポットは変形を解いて膝立ちになり、姿勢を低くして車内の少佐と窓越しに顔を見合わせた。

 

「それがどうした」

少佐は座ったまま、物怖じもせずに問い返す。

 

「俺達の船の防衛システムが動き始めたらしい」

「敵が接近したのを確認すると迎撃する仕様になってる」

アークの埋もれている谷間から緑の光が漏れていた。

 

「その車輛が敵だと認識されているんだ!」

プロールも変形を解き、周囲の装甲車を指さした。

 

「それがお前らのハッタリでないとどうして信じられ_」

その言葉を遮るかのように辺り一面が揺れた。

彼らがアークの方向を見やるとそこからは複数のミサイルが放たれ、まさに今彼らのいる地点へと接近していた。

 

「死にたくなければ、ここを去れ」

ハウンドはそう告げる。

 

「まったく…我々の土地だぞここは!」

少佐は忌々しげにそう吐き捨て、部下達に車を反転させた。

 

「心配はいらない、話がまとまり次第オプティマスをそちらに向かわせる」

プロールは走り出した彼らにそう約束した。

 

「…いいハッタリだったじゃないか」

反転して去っていく車列を眺め終えると、ホットスポットは二人の後ろで腕を組み、首を傾けそう言った。

 

「今のミサイルはお前のホログラムか…ハウンド?」

どこか機嫌の良さそうに見えるプロールがそう尋ねたが返答はなく、しばし気まずい沈黙の時間が流れた。

 

「……おっと」

風切り音とともに迫るミサイルの群れが、静寂を裂いてやって来る。

ホログラムではあり得ないはずの音や動きのリアルさを知覚し、事の次第を悟ったホットスポットは言葉に詰まった。

 

「やっぱり本物だな。あれ」

ハウンドは思考を巡らせることもできず、見たままのことを口にした。

「…どうする?」

彼は接近するミサイルから目をそらすかのように二人の方を向いて、そう尋ねる。

その直後、辺り一帯を爆風が覆った。




人の名前はなんかTFwiki見てて出て来た姓名をシャッフルして使ってます。
お話上彼らをあんまし表に出す気はないかもです、今のところは。
あと、旧版の頃からオプティマス以外のデザインは朧げにしか決まってないです(オプのデザインがそもそものスタート地点だったのもありますけどね)
次ぐらいには戦闘の一つも起きるかもです。

生存してほしいキャラ

  • オプティマスプライム
  • アイアンハイド
  • プロール
  • ブロードキャスト
  • ホイルジャック
  • パーセプター
  • ラチェット
  • ギアーズ
  • ホイスト
  • サイドスワイプ
  • サンストリーカー
  • レッドアラート
  • ウィンドチャージャー
  • クリフジャンパー
  • グリムロック
  • ホットスポット
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