トランスフォーマー:Alternation of Cybertron   作:pova

6 / 23
オートボット-地球編⑤:CONfrontation,Part2

 

D

 

エネルギー強奪のため工場を襲撃したディセプティコンと、それを防衛するために出撃したオートボットらの戦いは激しさを増し、尚も続いていた。

大まかに長方形の敷地のうち、主戦場はその西側だったが、東方面にも二体、オートボットが展開しつつあり、その片割れであるホットスポットは焦っていた。

彼は水色に彩られた消防車の姿で奥へ奥へと進みながら潜伏しているはずの敵の位置を探っていた。

「どうするよ参謀殿!工場棟、燃料タンク、駐車場、倉庫…あちこちから火の手が上がってる」

 

辺り一面彼らの目に入るものはどれも燃えているか薬品や高熱で溶けだしているか、さもなくば焼け落ち崩れ落ちて黒煙を上げているものしかなく煌々とした色彩が周囲の全てを包み込みつつあった。

「アラート!そっちはどうだ!?」

 

「今逃げ遅れた何人かを運んで避難してる最中だ!言われた通り、丸腰でな!」

大声で問いかけるホットスポットに対して通信越しにも不服そうと分かる調子でアラートは叫んだ。

 

「それはぼやいても仕方ないだろ、今は人数分の武器も揃わないんだし」

ホットスポットは歯切れ悪くそう言い含めた。

 

「だからといっ_」

 

「後だ」

鋭い声でそう遮ったプロールは、不満に腹を立てたといった様子でもなく、ただ強い警戒心を露わにした口調でそう言った。

「より優先的に対処すべきものが他にある。悪いがアラート、通信は終わりだ」

口早にそう告げたプロールは変形を解いて立ち上がり、前進するホットスポットを手で制した。

プロールは姿勢を低くし、両の目を閉じて瓦礫が崩れる音や建造物の燃え盛る音の中に紛れる走行音を捜した。

 

その様子を見つつ、ホットスポットも瞬時に通信を切ってロボットモードとなると周囲を訝しげに見回した。

ふとその赤い双眸が真正面から爆走する重機を捉える。

「あっと…なんか見えてきたな、黄緑と紫の_」

「この星で目にしたくはなかったカラーリングの…ミキサー車が」

 

「ボッツども!酸の海に溺れたことはあるか?」

そう叫びながらミキサー車は加速したままぐんぐんと距離を詰めていき、その勢いのままに人型へと変形する。

段差から跳ね上がった車体は一瞬にしてその姿を崩し、車体の外壁だったパーツはそれぞれが剥がれ落ちるように形を変えながら、人型の四肢を形作る。

落下しつつ手足が、続いて頭が露わになったそのシルエットは宙返りの体勢となりながら一回転し着地する。

両足で地面をスライディングしつつ、雄叫びとも取れる奇声を上げた。

 

「しかもハイだぜありゃ!」

半狂乱に迫って来るミックスマスターを見るやいなやホットスポットは呆れざまにそう言いつつ、タイヤではなく今度は足を使って逃げ出した。

 

「まだ自分が巨人の左足だとでも思い込んでいるんだろうが…ここの廃油でも吸い込んだとみえる」

プロールもそれに続いて走り去りつつ、そう毒づいた。

 

「どう対処するよ」

背中から武装を取り出そうとしつつ、ホットスポットは走りながら訊いた。

 

「お得意の酸の大波が来ると見ていいだろうが、対処法…はまだないな、周囲の状況が不利過ぎる」

建物に囲まれた通路は尚もあちこちから火の手が上がっており、もはや車の姿を取って移動することは困難なまでになっていた。

 

「俺のシールドに耐腐食性能があれば良かったのに」

そう冗談めかして言いつつ、ホットスポットは盾を素早く構えると崩落してきた柱を受け止め、はね返した。

「この通り耐火機能なら自慢の逸品なんだがな」

 

「ホットスポット、改めて訊くが今所持している武器は?」

プロールは後ろを見やり、ミックスマスターから名状しがたい色合いの液体が彼らに向けて大量に放たれたのを確認しつつ口早に訊いた。

 

「さっきの消火活動でほぼすっからかんの放水銃と、いつもの盾と斧と…ん、あと何だっけ持たされたこの…」

 

「火炎放射器だろうな」 

 

「消防士に何てモン持たせてんだあの連中は!!」

「俺は炎や爆風の出る武器は使わない主義なんだが…プロール、あんたもほぼ丸腰だったろ、これ持っててくれ!!」

そう言い、ホットスポットは火炎放射機を投げ捨てるように渡した。

 

「"ほぼ"な。だがいいのか…?」

それを片手で受け取りつつ、プロールは言った。

「ホットスポット!…後ろを見ろ、奴の流してる液体の成分を分析している暇はないが…引火しているようだ」

 

「油も混じってんのか」

「なおさら火炎放射器は使えないな…もし使ったら奴らが今ここでしてることの数倍の被害をもたらすぞ」

 

「それでも奴を焼き払うことは出来る」

にべもなくそう返し、プロールは接近する目標に狙いをつける。

 

「待てって!」

ホットスポットは慌てて火炎放射器を下に押さえつけた。

 

「本来の私の武器なら適切な効果範囲に火を放てたんだがな…まだ使える段階ではない」

「私がミックスマスターごと周囲を焼き払う。奴が燃えきってからお前が火を消せばいい」

 

「そんなの無理だ!奴のことだ、ここらで燃え上がってる炎もどうせ水ぐらいじゃ消えないものになってる!」

「もう俺達には化学消防車の知り合いだっていないんだぞ!?」

 

こちらを意に介さず揉めだした二人に業を煮やしたか、ミックスマスターは苛立ち叫んだ。

「うだうだ喚いてねえで…!さっさと消えろオートボットども!!」

 

彼がそう言い終えるよりわずか早く、その体にある変化が起きた。

ビークルモードに戻るかのような動きをして体の各部が収納されていくかに見えたが、変形の途中で脚部を構成していたパーツやミキサー部分が腕部に合体し、上半身全体が異様に肥大化した印象を与えるものに様変わりした。

対照的に両足だった箇所は養分を吸われたかのようにフレームのみになったアンバランスな形態と化し、その重みのままに前傾姿勢となった。

そして四分割されたミキサー部の中からは巨大な砲塔がゆっかりと起き上がり、静かに鎌首をもたげるようにして標的を見定める。

 

「こいつで吹き飛ばしてやらぁ!!」

彼の顔は胸部の間に沈み込み、ミックスマスターのその叫び声はくぐもった響きをもって辺りに伝わった。

 

「なぁプロール!ミックスマスターはいつの間に砲台に変形出来るようになったんだ!?」

頭部の真上に備えた砲塔をぶら下げつつのそのそと迫るミックスマスターを二度見してから、ホットスポットは驚きと焦りを隠しもせずに大声で叫んだ。

 

「私が知るかその拳で本人に訊け」

そう言いつつ、プロールは振り返りざまに周囲の状況を見渡し、ミックスマスターの前方に真新しい瓦礫と酸溜まりとが横たわっていることに気がついた。

「…奴の酸が溜まっている地点に留まったままでは奴がキャノンを発射すると同時に爆発が起きるな」

 

「…巻き込まれないうちに逃げるか」

そう言い終わる頃にはホットスポットは脇目も振らずに全力で走り出していた。

 

「ホットスポット」

プロールは後ろから踏み潰された瓦礫の砕け散る音が燃え盛る火の音に混じってゆっくりと近づいて来るのを感じつつ、口を開いた。

 

「あー、何だ?」

地面の瓦礫を飛び越しつつ、倒れてくる支柱は斧で切り裂きつつ走っていたホットスポットだったが、声をかけられ上半身ごと彼の方へ向き直る。

 

「これは推測なんだが、思うにミックスマスターは砲台に変形した訳ではないのだろう」

顎部に手を当てるようにして考え込みながらプロールは言う。

 

ホットスポットは思考に集中して躓きかけたプロールを軽く持ち抱えつつ、不思議そうに応じた。

「トリプルチェンジャーじゃないのか?12人目の」

 

「多分あれは一種のステルスフォースだ。ビークルモードのまま武装を展開出来る」

プロールは背部のパトランプを掴むホットスポットの手を不機嫌そうに払いのけながらそう答えた。

 

「レッドフットみたいにか」

ホットスポットは知り合いの特殊部隊長の名前を出した。

ちょうどその時、背後から迫っていた足音が不可解にも止まり、それを察知した彼が振り返るとそこにミックスマスターの姿はなかった。

ミックスマスターは後ろ肢を折り畳んでから大きく跳躍し、空中から二人に接近し、砲塔の射程圏内に捉えようとしていた。

 

「…彼らがビークルモードから武器を露出させるだけのただのトランスフォーマーと異なるのは_」

それに気づかずに話を続けるプロールの言葉を遮るように轟音と爆風が巻き起こり、二人の間を砲弾がかすめていった。

彼らのほんの数メートル先に着弾した砲弾は、けたたましい爆発音と爆炎を一瞬にして辺りに拡げた。

不安定な姿勢のまま行った砲撃の反動でのけぞったミックスマスターは空中で一回転し、四脚を地面に突き刺すようにして滑りながら着地するとすぐさま体勢を整え、続けざまに二発目を放った。

咄嗟に斧を投げ捨てて両手で盾を斜めに構えてプロールの前に歩み出たホットスポットだったが、半身を覆うシールドごと左腕を抉り飛ばされた。

「この火力か」

痛みに顔を歪めるでもなく、平然とそう言い捨てたホットスポットは足早に斧を拾い上げた。

 

当たりに酸の飛び散っている場所で弾を撃ったミックスマスターの体は砲撃と同時に黒煙にまみれ、それが晴れた頃には周囲の火が燃え移っていた。

「案の定奴に引火したぞ、取り残されて破れかぶれだな」

ミックスマスターが燃え移った炎に気を取られている間に、ホットスポットらは走り出した。

 

「彼らはその攻撃力を変則的かつ適切に行使出来る。体の一部としてな」

プロールはそう答えつつ、炎をまといながらゆらゆらとうごめくミックスマスターを見た。

 

「お前らだけは…逃しちゃおけねぇ…」

ミックスマスターは揺れる炎に身を焼かれ、ふらつきながらも、一歩一歩を静かに踏み出す。

 

「今のうちに隠れるぞ」

建造物とその残骸に囲まれていた通路も終わりに近づき、周囲にはうず高く積み上げられたコンテナが現れだした頃、ホットスポットが小声で言った。

 

「あの跳躍力と砲の射程を鑑みると、奴を倒さずに撤退は困難だな…」

「となれば待ち伏せぐらいしか手がない。ホットスポット、あそこのコンテナ群の上から斧で叩き潰せ」

 

ホットスポットはその指示を聞くやすぐさま片手で斧を持ったまま両足で器用に飛び上がり、配置についた。

「囮任したかんな」

「得意の弁舌でとにかく煽りまくれ」

 

「了解した」

プロールはホットスポットの顔を見上げると、かすかに顔をほころばせてそう返した。

 

「そこかぁ!!」

燃え盛る音と、機械の駆動音とを綯交ぜにしたかのような音を響かせながらミックスマスターが迫る。

前後の可動肢を慌ただしく動かしながら猛然と接近しプロールを射程に捉えると、すぐさま四肢を地面に突き立て体を滑らせながら急激に勢いを殺す。

その体躯が静止したまさにその瞬間、三発目が放たれた。

 

プロールは一射目と二射目の動作から発射のタイミングと弾道を見切り、最小限の動きで避けてみせた。

「動きが遅いな…怖気づいたか?」

 

「何だと…?」

ミックスマスターはわずかに後ずさり、戸惑いがちに呟いた。

 

「その距離では当たらんよ。出来るものなら捕まえてみたまえ」

両手を広げ、呆れた調子でプロールはおどけてみせた。

 

「…もっぺん言ってみろよ」

ミックスマスターはプロールの自信に満ちた顔を目にして静かに激昂した。

 

「聴覚にまでガタが来たか?」

「あの"嵐の巨人"の左足だったんだろう?もっとやるものと思っていたのだがな…」

ミックスマスターの近くのコンテナに移ったホットスポットと目を合わせ、プロールは彼への合図代わりに伸ばした両手を前に翻すようにし、動作も交えてミックスマスターの注意を引いた。

 

もはや何も言わずに静かにプロールへと迫るミックスマスターだったが、その過程でちょうどホットスポットの真下を通ってしまう。

「そぉらよっと!」

その瞬間、ホットスポットは右手に構えた斧を力強く振り下ろした。風を切る音ととも刃がミックスマスターに突き刺さる。

 

「やりや、がっ…たな」

オプティマスでさえ本来は両手で扱うサイズと重量の戦斧はモーメントと重力、そして高熱と振動によってその威力を増し、ミックスマスターを深々と切り裂いた。

彼の胸から下は切り落とされ、ほどなく燃え尽きた。

「許、さ…ねぇ」

 

「おっと。怒らせちまったらしい!…巻き添えに自爆でもしかねない勢いだな」

 

「消し飛べ!」

そう叫び前足だけで砲塔をホットスポットに向けようとするが、その動作を補助する後ろ脚をなくしたために鈍く重たい動きになり、ホットスポットはすぐさま飛び退いた。

 

「させん」

とどめとばかりにプロールは火炎放射器を投げつけて転ばせ、隠し持っていた唯一の武装であるハンドガンでそれを正確に撃ち抜いた。

 

「奴が燃え尽きるまで耐えきればこっちの勝ちだな」

「火事場は俺の独擅場よ」

ホットスポットは斧を掲げて意気揚々とそう言った。

 

「このペースだとあと十数分でお前のスパークは灼き尽くされるだろう」

ミックスマスターに迫り、プロールはそう告げる。

 

「ただで死ねるかよ…」

ミックスマスターの砲塔が四分割されたミキサー部と素早く合体し、ミックスマスターはそれを勢いよく上へ向けた。

 

「プロール!」

「また酸を出そうとしてる!」

ホットスポットが叫ぶよりも早く、粘着質の液体が周囲に放たれる。

 

溶岩流のようにも見えるそれはミックスマスターごとプロールを絡め取り、その動きを封じた。

「足を取られたか。私もガタが来たな」

そう言いながら持っていた銃でミックスマスターを撃った。

 

その残弾はたった二発だったが、プロールはそれぞれ的確に胸部と眼を撃ち抜いてみせた。

ミックスマスターは損傷で歪んだ体と顔を近づけてプロールに言った。

「無…駄だ、こいつは外気に触れると…ほんの数秒で全体が固形化する_」

「お前だけでも…」

 

「させられないな、そんな真似は」

ホットスポットは捨て身のミックスマスターを見ると声色に若干の憐れみと畏れを滲ませ、決然とそう言うと斧を構えて突進した。

 

「お前に用はない、先に向こうで待ってろ」

自身の右腕に深々と突き刺された斧にも動じず、ミックスマスターはそれを左腕で引き抜き、そばに投げ捨てた。

 

「ホットスポット!お前は撤退ポイントに向かえ、これ以上戦闘を継続するのは合理的ではない」

プロールはじわじわと身を焼かれながらも冷静に指示を叫ぶ。

 

「あんたの理論や計画性なんぞ知らん!」

ホットスポットは跳び上がってミックスマスターの上に乗って、全力で彼を殴り飛ばした。

 

あまりの膂力に固形化した酸ごとぶち抜かれ、ミックスマスターはプロールから引き剥がされるように吹き飛んだ。

だがミックスマスターはホットスポットに向けて、再度ミキサー部を向けた。

「ならお前には、こいつをくれてやる…!」

 

「ホットスポット!!」

そう叫ぼうとしたプロールの眼前で溶解液に直撃したホットスポットの右半身が消失して行く。

放出された液体の勢いのまま、彼はプロールの真後ろまで弾き飛ばされた。

 

「後悔…させんなよプロール」

小さくそう言い、力尽きたホットスポットの胸からは鮮やかかつ力強いスパークの輝きが漏れ出ていたが、プロールが彼を見た頃にはその光は消えていた。

 

「な…ぁ、ポリ公」

絞り出すようなミックスマスターの声が低く響いた。

 

「遺言を聞いてやる義理はない」

かつてない程の渋面を浮かべ、プロールは崩れ落ちるミックスマスターを振り返った。

 

「自分じゃ気づいてねぇだろうがよ…あんたは最高のディセプティコンだよ」

ミックスマスターは乾いた笑い声を発しながら、ノイズ混じりのかすれた声でゆっくりと言った。

「残忍で利己的で狡猾だ、そして何より…_」

「強烈なエゴがある。どうして俺ら、付けてるバッジの色が違うんだろうな?」

そう言いながら、ミックスマスターはぎこちない動きでゆっくりとプロールの胸のエンブレムを指した。

「もしあんたのようなワルが頭目だったなら、俺達はバラバラになんてならなかったろうに…」

そう言いかけた時、彼の片眼に大きくひびが入った。

 

「…付き合いきれん」

そうつぶやくように言い、プロールはかすかに俯いた。

 

「へっ…そ、うか…よ_」

炎に揺らめく視界の中、ミックスマスターはただプロールを見ていた。

彼の瞳は炎を反射して赤く染まり、辺りを覆う陽炎の中ではプロールの体は黒く、胸のエンブレムも紫に見えた。

彼はほんの一瞬存在したその光景を意図せず眼に焼き付けた。

最後に笑みを浮かべ、ミックスマスターは程なくして全身を炎に呑まれた。

 

「プロール!そっちの状況は?」

通信機から届く叫び声がプロールの意識を呼び戻す。

「このままだと全滅だぞ」

 

半ば唖然としたまま、プロールは思考を巡らせた。

「チャージャーか…」

「分かった、戦闘を放棄し合流地点へ向かえ」

ホットスポットの一撃のおかげで剥がれかけた酸を引きちぎり、体の火を払ってからプロールは力なくそう言い、自分の手足が動くか確かめた。

 

「クリフとハウンドを引きずり回しながら逃げろって?」

「といっても連中が逃してくれるかは………訊いてみるまでもないな。少々いいカッコし過ぎたよ…!」

「で今そっちはどこで何してる?」

 

「私とホットスポットは今工場のちょうど反対側だな。敵を排除し終えたところだ」

残っている方の肩を抱き上げてホットスポットを起こしながら、プロールはそう返答した。

 

「ん…ならアラートは?」

 

「残った人間達を連れて合流地点へ避難中のはずだ、今から我々も向かう」

その言葉を最後に会話を終え、プロールは燃え続ける周囲の瓦礫も、その中に小さく残った焼け跡も振り返らずに去った。

 

A

 

行きと同じように輸送機に積み込まれた面々はようやく帰路につくことが出来た。

「それで?俺らの星での初任務はどうだった?」

操縦士があくび混じりにそう尋ねた。

 

「全滅しなかっただけマシと言えるな」

瀕死のハウンドは同じく死にかけのホットスポットとプロールとともに先行して帰還したため、ウィンドチャージャーが相変わらず不機嫌な顔のままそう答えた。

 

「不死身がどうとか抜かしてた赤い奴はどこ行った?」

副操縦士がふと思い出したようにチャージャーに訊く。

 

「「それなんだが…」」

揃ってほぼ同時にそう言ったアラートとチャージャーとが、機内の床に散らばる残骸を見た。

 

「呼んだか?」

雑多な破片の中からその声とともに右手が飛び出した。その腕は飛び跳ねるように這い回りながら胴体の右半分に近づき、すると磁極同士が引きつけ合うようにその肩口へと接続され、破壊される前の形へと戻った。同じように脚や腕がそれぞれの胴体へと結びつき、頭部ごと両断された胴体も噛み合うように接続される。

その瞬間、双眸とスパークには蒼の光が戻り、それと同時に痙攣するように手足が不規則にうごめいた。

 

「うわ…、生きてるんだな」

痛々しい傷跡を全身に残し、焦点の定まらない瞳のまま頭部の角を撫でているクリフジャンパーを見、操縦士らは気味悪げに言う。

 

「左右半分に引きちぎられたんだ、いくらサイバトロニアンとはいえ無事じゃ済まない」

「…普通はな」

チャージャーはそう言いつつ、呆けたクリフの方を見やって、その頬を強く叩いた。

 

「でもこいつはこうなんだよ、色んな意味でな」

アラートは軽く頭を抱え、怪訝そうな顔をして答えた。

 

「これもプライマスの加護ってやつかね」

顔を叩かれた勢いで数周した頭部の回転が止まり、何事もなかったかのようにクリフは意気揚々と大口を開けた。

 

「死神に嫌われてるだけなんだろうよ」

アラートは目をそらすようにしてそうつぶやいた。

 

「あれ、アラート…なんで一人増えてるんだ?」

クリフはふとアラートの足元に転がっているサイバトロニアンの姿に気がついた。

 

「合流地点に向かってる途中出くわしたんだよ、その後プロールに言ったらついでに拾っていけって言われたから」

アラートはそう答えながら、横たわる損傷のひどいボディを引きずり、クリフにその顔を見せた。

 

「誰だっけこれ」

灰色と紫、そして黄色で彩られた細く繊細なシルエットが彼の視界に映る。

「…おいおいディセプティコン連れて来ちゃったのか!?捕虜かぁ、やれやれ…面倒なのはここからだな」

クリフが足元のディセプティコンの顔を覗き込んでそう言いかけた時、彼女の眼に光が灯り…




この章は番外編を含めず全11話ほどに収める予定です(今出来てるのはそれぞれ2~3割程ですが)執筆の同時進行のせいで矛盾なり齟齬なりが生じている可能性が高いので容赦なく指摘していただけると幸いです
説明した気になってる設定も多いですしね
ちなみに拙作のコンストラクティコンは大半が故人なので六体合体出来ませんが、元々一個の独立した生命体が分裂しちゃったのが今の彼らなのでどのみち再合体は出来ないです。
さながら六等分の土建屋って感じですかねー

生存してほしいキャラ

  • オプティマスプライム
  • アイアンハイド
  • プロール
  • ブロードキャスト
  • ホイルジャック
  • パーセプター
  • ラチェット
  • ギアーズ
  • ホイスト
  • サイドスワイプ
  • サンストリーカー
  • レッドアラート
  • ウィンドチャージャー
  • クリフジャンパー
  • グリムロック
  • ホットスポット
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。