投稿間隔に間が空きましたが私は元気です
今回は狩人くんのトラウマを掘り返していこうと思います(無慈悲)
それではどうぞ
「…あなた、だぁれ?」
とある民家の窓から少女のものらしき声が聞こえてくる
「知らない声、でも、なんだか懐かしい臭いもするの」
懐かしい臭いと言われても、特に臭いはしないがと思いつつ少女の話を聞く
「もしかして、獣狩りの人かな?」
どうやら狩人について知っているようだ
「だったら、お願い、お母さんを探してほしいの」
少女の会話から察するにどうやら家族を探しているようだ
「獣狩りの夜だから、お父さんを探すんだって…それからずっと帰ってこない」
獣狩りの夜に出てから、少女の父親が返ってこないまま母親も探しに行っているらしい
「私ずっと…でも、寂しくって…」
少女の口から本音が飛び出ている
よほど長い期間両親が家を空けているようだ…
…この少女の両親を探すと告げた
「本当?ありがとう!」
嬉しそうに少女は話す
「お母さん真っ赤なブローチをしてるんだ」
少女が母親の身なりについて話し始めた
「大きくて、すっごく綺麗なんだから、きっとすぐに分かると思う」
少女がブローチについて話す
…すぐにわかるだろう…すぐに分かる
ここまでは自分の記憶通りの出来事だ…
それから俺は少女から父が好きだと言っていたオルゴールを預かり、少女の家を後にした
そして俺は『オドンの地下墓』へと足を運んだのだった…
ザシュッ!グチャグチャ ザシュッ!グチャグチャ
地下墓にて肉を裂くような音と何かを叩きつけるような音が響き渡る
地下墓の中心にいる大男が斧を振りかぶっているようだ
「…どこもかしこも、獣ばかりだ…」
男が独り言のように話してくる
「…貴様もどうせ、そうなるのだろう?」
…それと同時に男から殺意が向けられる どうやら自分を獣と思い込んでいるようだ…
そういう彼から正気の類を感じない…どうやら彼は獣を狩っているうちに獣になり果ててしまっているようだ
…分かっていても避けたかった現実に辟易しながらも俺は右手の『ノコギリ鉈』と左手の『獣狩りの散弾銃』を構えた…
ガキィイン!
俺のノコギリ鉈とガスコイン神父の『獣狩りの斧』がぶつかる
「…匂い立つなあ…堪らぬ血で誘うものだ えづくじゃあないか…」
男はとっくに正気を失い、血に酔っている…
俺は彼の振るう斧と銃弾に対処しながらも徐々に追い詰めていった…
そして…
「ぐはぁ!!!」
ノコギリ鉈がガスコイン神父の体を切り裂いた…しかし彼の様子がおかしい
血が一瞬にして止まったかと思いきや突如体を震わせ頭を抱えると…彼はただの獣になってしまった
「ぐっ!?」
獣となった彼には今までの理性はなく、力任せに腕を振るってこちらを殺そうとしてくるその有様はまさに『獣』であった
回避しようとしたが、破壊された墓が破片となってこちらに飛んできてしまい仰け反った
その時自分の狩装束からとある物がこぼれ落ちた
俺はとっさに零れ落ちたものを確認する
「…これは」
それはあの少女からもらったオルゴールだった…
このオルゴールの音色がもう獣と化したガスコイン神父に聞くとは思えなかった…これはゲームではなく現実であったからだ
これまでの道中でゲームと同じような挙動をする獣もいたが、異なる挙動をする獣もいたのである
それを踏まえて俺は果たしてこのオルゴールの音色でガスコイン神父を止められるのかが自信が無かった
「やるしかないか…」
今の俺は神父との度重なる戦闘におけるダメージが蓄積しており輸血液を使用しなければならない状況に追い込まれているのだ
俺は墓石を前にしながらオルゴールを鳴らすことにした…!
「グァアアア!ヴォォォォォ!!」
音色がなり始めるとガスコイン神父の動きがぴたりと止まったかと思うと、急に頭を抱え叫び始めた
…獣となり果てた彼にもどこか記憶の奥底に残っているものがあるのだろう
こうして現実で彼が苦しんでいるところを目の当たりにすると果たしてこの選択はあっていたのかと思う
オルゴールを鳴らして自分の態勢を整える時間を作ること自体は悪いことではない、そうしなければ自分は殺されるかもしないからだ
いくら自分が何度でも死ねるからと分かっていても死にたくないという思いがあったのも事実、その結果がこのざまである
救えるかもしれない正気を取り戻せるかもしれないと淡い期待を抱いた結果が結局ゲームのシナリオ通りに物事が進んだという事実だけが残ったのである
「…結局こうなるのかよ…」
正直心が折れそうだった、この世界に来てから本来の悲劇的な末路を辿ることになるNPCたちを何とかして助けてやりたいというどうしようもないほどの夢物語を描いたのが間違いだったのか
目の前でもだえ苦しんでいるガスコイン神父の姿を見ながらそんなことを考えていた
「でも…あいつをどうにかしなくては…!」
今ここで彼を取り逃がせばどうなる?ヤーナムの街に出てもっと被害を出すかもしれない…この近くにはオドン教会がある…被害が出るのは猶更だ…
もしくは…今オルゴールの音色に苦しんでいるみたいにかつての記憶を辿って自分の娘の所に向かい、娘をその手で殺すかもしれない…!
ゲームではありえない話だが、この世界は現実だ…ガスコイン神父がここを離れないという確証は限りなくゼロに近い…!
…だったら猶更
「ここで殺さなくては…!」
そう決意した俺は自分の態勢を立て直してからすぐにガスコイン神父の下へ向かい、彼を狩るためにノコギリ鉈を振り下ろした
その瞬間、あの少女の嬉しそうな声と寂しげな声が頭に響く
「ッ!?」
一瞬、ほんの一瞬ためらいが生じた、何をためらう必要があるんだ
今ここで彼を狩らなければ大勢の犠牲が、何より彼の娘が新たな犠牲者となるんじゃないか
そう思いなおした俺は…再びその手に持ったノコギリ鉈でガスコイン神父を…彼を切り裂いた…
「オオオオオォオオ!!」
彼の断末魔が聞こえる…その声が俺に少女の父親を狩ったという事実を突きつける
だが、その時俺の耳はある言葉を聞き逃さなかった
「…オリヴィエ」
「え?」
今確かに名前らしきものが…いやそれよりもその名前はもしかして…
…もとのゲームにおいてガスコイン神父の死に際に誰かの名前を言っている…という考察があった
それを確かめる意味も含めて俺はあの時少女に名前を聞いていたのだった…
『名前…?私の名前はオリヴィエよ』
同じだった…彼女の名前と彼が残した名前が同じだった…他の媒体がどうであったかわからないが少なくともこの世界における彼女の名前はガスコイン神父が残した名前と同じ…つまり本当の親子だったわけだ
その事実が猶更俺を締め付ける だが、俺にはまだやるべきことがあった…
「…真っ赤なブローチ…」
俺の足元の死体には真っ赤なブローチが掛けられていた…
そしてその死体は女性の物であることからもこの女性が少女の母親であったことを物語っている
「…」
俺は迷った
このまま少女に渡すべきか、渡さずに少女に来もしない迎えを待たせ続けさせるか
…迷った挙句俺は、
「あ、狩人さん、お父さんとお母さんは見つかった?」
「…いや、見つからなかったよ…」
「…そう、そうなんだ」
少女が落胆するように告げる
結果として俺は嘘をついた、しかしこのままでは少女は親を自分で探すというだろう
「じゃあ、私が探しにいこうかな?」
「…1人は危ないよ?」
「うん…だけど探しに行きたいの…」
まずい、このままでは…
「…お母さんもお父さんも僕が見ていないだけで、家に戻っている最中かもしれないよ?」
少女を安心させるためとはいえなんて嘘をついているんだと我ながら思うのだった
…この少女の父親を殺したのは俺なのに…
「そう?…でもお父さんが怪我してて、お母さんが大変かもしれないかも…」
…
「…君のお父さんがどんな人かわからないけど…君が信じていれば帰ってくると思うよ…」
俺は何を言っているんだ…いくら少女のためとはいえこれはあんまりだろう…なによりこれは少女のためというよりは俺の自己満足でしかないだろうに…
「…そうかな」
「そうだよ…だから君は安心して家にいるんだ…君のお父さんとお母さんに合ったら僕が話しておくから…」
「…わかった、ありがとう、気を付けてね獣狩りの狩人さん」
!!
「ああ、ありがとう嬢ちゃん」
これで少女の命は守られるだろう…俺はこの少女を助けられてほっとした
だが、
「嬢ちゃん!?」
俺はあの後下水道に行き、あらかじめ獣を狩っておいたのだ、万が一あの少女がひとりでこの下水道を通らないように…
しかし嫌な予感がして少女の家に訪れたのだが、そこに少女の姿はなかったのだ…
「くそッ!!どこだ!!嬢ちゃん!!」
俺はあたりをくまなく探した、そして少女の残した書置きらしきものを見つけた
「これは…」
そこにはこう書いてあった
『ありがとう、親切な狩人さん、私を心配してくれて でも私はお母さんとお父さんを探しに行くよ もしお母さんたちが見つかったらお礼がしたいな』
「そんな…いや、まだ間に合う…間に合うはずだ!!」
下水道にいた獣は残らず狩ってきた、わざわざ獣を惹きつけるようなことをしてまで獣を誘い出してあらかた狩ってきたのだ、仮に下水道を通ったとしてもせめてあの墓地で足が止まるはずだ!
…墓地、墓地…俺は気づいた下水道の獣は狩ってきたが上はどうだ?
上の獣もあらかた狩ったが、下水道の時ほど多くを狩っていなかったのだ
「まずいッ!!」
俺はその場から急いで遠ざかり、あの墓地へ向かった
獣がいなければ良いが、そうでなくてもあの墓地には、少女の母親の遺体が…それを見つけたら少女はどうなる?
事態は一刻を争った
そして…俺は見てしまった
「あ」
何かに群がるように戯れる大量の鴉共
その光景はさながら鳥葬といった所だろう…その対象となっているのが幼き少女でなかったらの話だが…
「あ」
…俺の目には何かを啄んでいる獣の口には小さな子供らしき足が見えた、手が見えた、目が見えた、血に染まっていくリボンを見た…
そうして俺は一瞬のうちに激情に支配された そこからの記憶は無かった…
ただ覚えていることは、辺り一面が血だらけとなり、そこにたたずんでいたということだけである
「…」
呆然とする意識の中で俺は考える…俺は何を間違えた…これでは結局何も変わらないじゃないか…俺はどうすれば良かったんだ…
…あの少女と関わらないことが正解だったのか?だとすれば俺の行動は、最初から何もかもダメだったのか…
ははっ…こんなの笑えるか…結局残ったのは、このオルゴールと真っ赤なブローチだけか…
「俺は…何も出来なかったな…」
「…行かなきゃ」
俺は血だまりを後にして教会方面へ向かった …その目に獣への憎悪と絶望を携えながら…
…これが俺のヤーナムに来てからの最初に体験した現実、何かを変えようとして変えることが出来なかった者の末路…
はい(絶望)結局狩人くんは結末を変えるどころか、場合によってはよりひどい結末になってしまい結果としてトラウマを抱えることになったのでした
関係ない話ですが、投稿間隔がこれから少し空きますがしっかり投稿していくのでお待ちください
それでは閲覧ありがとうございました!