少し間が空きましたが私は元気です。
それではどうぞ
「よ~し!着いたぞ!海だ!!」
夏休みに入ってから暫くして、俺と慎吾と麻衣、唯は海に来ていた。
というのも夏休みに入ってすぐに慎吾から連絡が来て海に行くことになったのだ。だが男二人だけで海に行くのはキツイということで麻衣や唯をダメもとで誘ってみたのである。まさか来てくれるとは思わなかったな……
海か……
『憐れなる、老いた赤子に救いを…ついにゴースの腐臭、母の愛が届きますように…』
い、嫌、考えすぎだっての
『…ああ、ゴースの赤子が、海に還る…呪いと海に底は無く、故にすべてを受け容れる……』
……
「うん?なんか血生臭いないか!?」
「ほんとね!何この匂い!?」
「……多分近くで肉の解体をやっているんだよ」
「そ、そうかな?」
「絶対そうだよ(早口)」
「お、おう、そうか。てか狩夜大分疲れているけど、大丈夫か?」
「あ、あぁ、久しぶりに外に出てきたからな……」
「運動しなさすぎなんだよ!お前は!!」
……鎮静剤を持ってきて正解だった。これ以上は考えないようにしなくては……
「それにしても、狩夜……なんか荷物多くね?」
そう今の俺の荷物は、水着や着替えにタオル、飲み物等の海に行く際に必須となるアイテムの他に輸血液や仕込み杖と、青い秘薬に鎮静剤、そして
なぜガラシャなのかって?流石に人目が多い場所に銃は持ってきてお縄に付きたくないんでね。え?他にもやばい奴があるって?……さぁ、なんのことやら
「ソンナコトナイヨ(棒読み)」
「お兄ちゃん、返答適当すぎない?」
「唯ちゃん、諦めなさいこいつはそういう奴よ」
「理解が得られてうれしいような、悲しいような」
早速場所を確保して、準備運動をする慎吾と俺、女性陣は日焼け止めを塗っているようだ。
「じゃあ、俺が一番乗りだ!」
慎吾が、いの一番に海に入っていった。俺も入るか……
慎吾と狩夜が海に入っていったの見ながら私たちは日焼け止めを塗っていた。
(狩夜は誤魔化していたけど、たぶんあの血の匂いの発生源は狩夜よね……)
血の匂いがする前、狩夜が見たことないラベルが貼られた飲み物?を飲んでたけど、あれからあの匂いがした気がするのよねぇ……
(それにあの荷物、絶対あの道具が入ってるって私に言ってたのよね……たぶんその内の一つだろうけど、絶対碌な物じゃないのは確かよね)
図らずもこの考えは間違っていなかったことは後々知った。
「麻衣さん!ありがとうございます!!私ちょっとかき氷買ってきます!!」
「いってらっしゃい、気を付けてね」
さて、私もそろそろ混ざりに行きますか……って
「狩夜!!?」
視線の先には、力なく海に浮かぶ狩夜がいた!嘘!?泳げなかったっけ!?あいつ!?
「大丈夫!?」
すぐさま駆け寄ると
「ぷはぁ!!!」
「きゃあああああ!?」
狩夜に近寄った瞬間、声を掛けようとしたタイミングでいきなり顔を挙げてきたから驚いちゃった……
聞いていたところ。久しぶり過ぎて泳ぎ方を忘れていてただボーっとしていたらしい
(紛らわしいのよ!!)
「なんかごめん」
「良いのよ(怒)気にしてないから」
「じゃあ何で俺の頬に季節外れのモミジが出来てるんですか?」
「もう片方もお望み?」
「申し訳ありませんでした」
心配させた罰としてはまだ軽い方よ。……本当に心配させたんだから
少し遡り
(やっべ、泳ぎ方忘れた)
この男狩夜は、海に浸かってさぁ泳ごうというタイミングで泳ぎ方を忘れていたことを思い出したのである。
(ていうかそもそもこうして泳ぐこと自体いつ振りだったっけか……)
途方もない時間をヤーナムで過ごしていた彼にとって泳ぐとは無縁の事だったのだ
なにせ唯一海らしきものがあった漁村においても
『ゲームでは、この先落ちて死んだはずだったけどこっちではどうなんだ?』
『あっ、思ったより深いッ!!ッボボボボボボボボボ!!!』
(あの後何度も試したが、結局泳ぐに至らなかったな。終わったらすぐに聖杯ダンジョンに行っちゃうし)
そんなことを考えながらボーっとしていると海の音が耳に入ってきた
(あぁ~癒されるなぁ~海のお…と……は)
(ぴちゃぴちゃと滴るように……まるで、俺の底から、ぴちゃぴちゃと……ぴちゃぴちゃと)
(……!!あっぶな!!!)
「ぷはぁ!!!」
「きゃあああああ!!」
(あっ、ごめん。ダメだ海の中にいるだけで発狂し兼ねない!……これも全部あの悪夢の所為だよ!畜生!!)
危うく発狂しかねないほどのトラウマが蘇った狩夜であった。
陸に上がった狩夜は、麻衣に心配されていた。
「本当に大丈夫なんでしょうね?」
「う、うん大丈夫デス」
「まぁいいわ、大事には至らなかったし あーあなんか食べたいわぁ(謎の圧力)」
「あ、なんか買ってキマス」
「はーい、私はイカ焼きね」
「ウッス」
そう言って狩夜はパシられていた。ちなみに慎吾は砂風呂を楽しんでいた。唯は、砂の城を作っていた
(あの圧には勝てん……)
「あっここか……」
少し歩いたところで海の家があった。香ばしい匂いが漂ってきた
(イカ焼き……あと1個、しかも今日はこれで最後なのか、危なかった)
「「すいませー……え?」」
反対側からも声がして、思わず視線を向けるとそこには、
「げッ!?狩夜!!?なんでここに!!?」
「それはこっちのセリフだ!?なぜお前こそここに!?」
(裕大……だったか、なんでいるんだよ!?)
恐らくいま最も鉢合わせたくない奴と鉢合わせてしまった瞬間である。
「お前……何しにここに来たんだ。俺はさっさとこのイカ焼きを買って食いたいんだよ。そこをどけ」
「何を言う……その言葉そのまま返してやる。そこをどけ」
二人の間に火花が飛び散る
「お前にはこれがふさわしくない。去れ」
「はッ!!相応しいとか相応しく無いとか勝手に決めつけないで頂きたいものだな!!えーっと、裕大!!」
「なんでお前そんなに名前があやふやなんだよ!!良いから俺に寄越せよ!!糞が!!!俺は海に来たら必ずイカ焼きを食うって決めてんだよ!!」
「ハッ!!知りたくもない奴の名前を憶えて何の得になるのだね!?良いからそれを俺に譲れ!!ファ●キン!!俺には重要な使命()があるんだよ!!」
互いに罵詈雑言が飛び交う中、この一連の騒動を見守っていた海の家の店主がある提案をする
「じゃあ、お二方さん」
「あ?」「は?」
「この前の祭りで使わなかった奴だけど……」
そういって店主が取り出したのは『型抜き』であった。
「これ。出来た奴が買えるのはどうよ?」
少し二人が考える……どうやらそれに賛成するようだ
「良いだろう……」
「……賛成」
「じゃあ、やるか」
それから二人はそれぞれ机に座り『型抜き』の準備を完了した。離れた場所に座っている二人だが、互いに殺気じみた物を出しながら睨み合っていた。
今この場に店主がいなかったら掴みかかっていただろう(そうなっていたら100%狩夜が勝つことになるが)
「ま、一応ルールだが、綺麗に取れた方の勝ちな」
「ふん!これくらいなんてことは無い!!」
「雑魚が……俺に勝てるとでも?」
「じゃあ、行くぞ……始め!」
こうして仁義なき戦いが始まった
互いのプライドをかけた戦い……とは言い難い何かではあるが、彼らの打ち込む姿勢はどこか狂気的ともいえる(店主談)
(馬鹿め……俺はこの型抜きが大の得意なんだよ!!俺に挑むことそのものが無謀「終わったぁ!」……)
「はぁ!?」
そう宣言した狩夜の手元には確かにきれいな傘の型が出来ていた
開始数秒の出来事である
「いやー凄いわ、この子、まさかこんな簡単にクリアされるとはな」
「だ……だとしても速すぎるッ!!!どうなってんだ!?」
「クハハハハハッ!!!(残念だったなぁ!!俺が技術99でなぁ!!)」
そう普通の人間ならこの記録は早すぎるだろう。普通の人間であれば……
ここにいるのは、全ステータスをカンストさせた
そんな彼にとって型抜きなど簡単すぎてあくびが出るレベルであったのだ
「じゃあ、これは君ので」
「ヨッシャア!!!」(歓喜)
「おのれぇえええええ!!!」
店主からイカ焼きを受け取ろうとした瞬間、
「ニャー」
「え?」
「あ」
「へ?」
どこからともなく来た猫がそれを搔っ攫って行ったのだ
「ま、待て!!止まれぇえええ!!!ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”ア”!!!(狩人の断末魔)」
「なんだったんだ、この争いは……」
「……まぁ、どんまい、お二方さん」
この後麻衣にまた無言の圧力を掛けられた狩夜と虚しく黄昏ながらイカ型の浮き輪を膨らませる裕大であった
閲覧ありがとうございました!
こっちはのんびり進めて行きますので気長にお待ちください