悪夢から目覚めたら前世まで戻ったのだが?   作:gnovel

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初めて書いた小説が評価されて感無量の極みです


今のところはほぼ日常系()ですが、
その内何か不穏な空気を漂わせるかもしれません

それではどうぞ

~追記~
まるで『中世』の人がきているような服は?!→『近世』へ

ご指摘感謝致します


*2 解放されたその先に 前途多難

「…あなた、獣の狩人ですか?」

 

「申し遅れました、私はアルフレート 今はローゲリウス師の教えに従い、穢れた血族を狩るものです」

 

「こちらこそよろしくお願いしますヤマモトさん」

 

「ところでどうです?狩る対象が違えども、私たちは狩人です これから協力し、情報を交換し合うというのはどうでしょう?」

 

 

 これがアルフレートとの最初の出会いだった。

 ゲームの中のNPCではなく現実の人間として話が通じることにとても喜んだ。そこからの流れはほとんどゲームと同じ。教会の横にいるアルフレートと血族についての情報交換次いでの世間話をしていた。このBloodborneの世界における一種の清涼剤となっていた。

 

 だからこそ、あのような結末は迎えたくなかった。

 

「師よ、ご覧あれ!私はやりました、やりましたぞ!」

 

 わかっていたわかっていたはずだった。

 アルフレートへカインハーストへの招待状を渡した時点でこうなることは。

 

「この穢れた女を潰して潰して潰して、ピンク色の肉塊に変えてやりましたぞ!」

 

 これまでのエンディングまではこのルートを意図的に避けてた。なぜならアルフレートはこのルートが確定した時点でこの後死ぬことも確定していたから。

 

 俺はこの殺伐とした世界においてアルフレートのような人たちを助けたいと密かに考えていたのだ。

 

 ゲームでは絶対できなかったこととしてゲームにはないNPCによる協力イベントや会話イベントを可能にしたのである。その事例を挙げるとすると狩人狩りアイリーンと処刑隊アルフレートとの協力の実現によるカインの流血鴉の討伐。ゲームではない、現実だからこそ出来た所業。

 

 他にも連盟員のヤマムラと故郷についての話や同じ連盟員であるマダラスの弟や連盟の長であるヴァルトールとゲームでは語られることとの無かった多くの事を語れたのは大きな収穫であった。生前そうした世界観を考察するのも好きだった俺としては答え合わせが出来たような気がして非常に楽しかった。

 

 この経験からこの調子で本来は救えなかった人物も救えるのではないかと期待したものである。

 

 しかし、この悪夢から解放されるには文字通り|やれること全部……喜劇も悲劇も、全て。

 意図的に避けていたイベントを悪夢から目覚めるためには必ず起こさなければならないことに行きついたときには絶望した。

 

「ハハハハハハ……はあ……」

 

「……おお、あなたでしたか!」

 

「見てください!あなたのお蔭で遂に私はやりましたよ! どうです! 素晴らしいでしょう! これで師を列聖の殉教者として祀れます!」

 

「ヒャハ、ヒャハッ……私はやったんだぁーっ!」

 

 血だまりの玉座の間に鳴り響くアルフレートの狂笑は、俺が振り下ろしたノコギリ鉈の刃で静かになった。

 

 

 

―――――――

――――

――

 

 

 

 あれから紆余曲折あったが何とかかつての我が家に戻ることができた。

 麻衣に送り届けてもらいながら病院に行くことを勧められたが、この体に流れる血を医者が見たら卒倒する可能性が有る上に、政府や裏社会の人間に目をつけられてもおかしくないのである。ヤーナムの血液なんぞ百害あって一利なしだ。国民全員が獣になるとか洒落にならん。

 

 そうこうしているうちに記憶の底から掘り起こされた景色が広がる一軒家が見えた。

 

「ようやく、戻ってこれた」

 

 こちらの世界に戻ってきた時と同じ感想が出てきた。

 

「……あっ」

 

 ふと立ち止まる。

 自分の家のはずなのにどう家に入ればいいのかというためらいが生まれてしまった。

 

 この世界にはかつての両親と妹が生きているのだ。最初の人生で別れを告げたため家に入ることが難しく感じてしまうものだ。その他にもあり得る可能性としてこの家にはこの世界の『俺』がいて、ヤーナムの『俺』が割り込むべき余地はない――――

 

「狩夜お兄ちゃん、何やってるの?」

「……はッ!?」

 

 懐かしい声とともにとっさに後ろを振り返る。ヤーナムだったらこのまま内臓攻撃をさせられてそのまま死んでいたかもしれない。どうやら自分でも気づかないレベルで考え耽っていたようだ。何時もだったら足音やら何やらで気づけていたのだが……。

 

「玄関の前で立ち止まっているなんて……変なの」

 

 何もかもが懐かしい姿の妹を前にして言葉を詰まらせていると、妹が俺の服装に言及し始めた。

 

「それにどうしたの?その服装……コスプレ大会でもあったの?」

 

 よくよく考えたら俺はヤーナムに居た時の服装……すなわち狩装束のままだ。深緑の厳粛でどこか威圧感さえも与える雰囲気に包まれたこの装束は、現代に似つかわしくないだろう。……万が一全裸だったら終わっていた、と思ったが全裸でも大丈夫だったヤーナムが異常なだけだと気づいた。

 

 ともあれなんて言えばいいのかわからなかったため、取り敢えず適当に話を合わせることにした。

 

「交流会に参加していた」

「へぇ~自宅からあまり外にでない引きこもり予備軍のお兄ちゃんが? それに私、そんな服装をしていく交流会なんて見たことも聞いたことも無いけど?」

 

 不味い。俺の知っている以上に妹は疑い深く、そして各方面の知識があったようだ。

 

「最近できたからな」

「ふーん。そうなんだ」

 

 苦しすぎる。でもなんとか乗り切れた……ようだ。というよりも自分が引きこもり予備軍だったことに驚かされる。

 たしかに記憶の片隅では、この頃は外に出るより家にいてゲームしてた方が楽しかった感じがする。もしや俺という存在は、自分が思っているよりも引きこもりだったのか?

 

 客観的に見た自分について聞かされて心が揺さぶられていると妹に家に入らないのかと言われた。

 

「……入る」

 

 ドアノブを握る。手の震えが微かに起こり始め、心臓が激しく鼓動を打ち始める。

 家に帰るだけでこんなに緊張するのは初めてのことだ。テストの点がぼろくそだった時もこんなに緊張した覚えはない。

 

 震える手を必死に隠しつつガチャリとドアノブを引いた。

 

「「おかえり」」

 

 リビングから聞こえてくるのはどれも懐かしい声。今日だけで何度泣かされるのか。俺の涙腺はもうボロボロだ。

 家族仲が良かったことを思い出しつつ母が廊下に表れるや否や、目を仰天させた。

 

「どうしたの!?狩夜?!その恰好は!?」

「イベントに……」

「そ、そう?ならいいけど、とりあえず服着替えなさい 見てるだけで暑苦しいわ」

 

 暑苦しいとは。

 上位者エンドを迎えたからなのか、この体に流れる血がそうさせているのかわからないが暑さや寒さをあまり感じなくなっているのはヤーナムにいた時から薄々感じていた。そんな母のに続いて奥から父も様子を見に来た

 

「母さんどうした……って狩夜どうした!? そのかっこいいまるで近世の人がきているような服は?!」

 

 父がいったことはあながち間違いではない。というかよくこの服装から時代を推測出来たなと思うばかりだ。

 

「お兄ちゃんは、コスプレの交流会に行ってたんだって」

 

 妹がそう告げる。流石に苦しい言い訳だったか……と思っていると。

 

「狩夜が交流会に?!」

「イベントの類には参加せずに友達と遊ぶか家でゲームしてた狩夜が参加するとは珍しいな!?」

 

 俺は思っていた以上に引きこもりだったようだ。もはや自分に対する認識が根底が覆るかのようだ。ともあれこのまま何も言わなければと思い、流石に心外だと口にした。

 

「まぁ……それもそうね」

「ま、まぁ狩夜が外出ること自体はそこまで珍しくないしね」

「友達の家に遊びに行ってたりはしてたよね、お父さん、お母さん」

 

 その友達の家も下手したら忘れて……駄目だ頭の中に思い浮かんでこない。

 明日学校いったついでに聞く……いやそもそも学校に到着できるか怪しいレベルだ。麻衣に頼んでみる……携帯の使い方、忘れてないだろうか。

 

 不安しかない現状だが、一先ず自分の部屋に戻ることを告げ、そのまま廊下の奥を進もうとした。

 

「狩夜! そのブーツは脱ぎなさい! 外歩いたんだから汚いわよ!」

 

 ……前途多難すぎる。

 ヤーナムの習慣が抜けきっていないようだ。気を取り直して靴というかブーツを脱いで部屋に――。

 

「狩夜? そっちはトイレだぞ?」

 

 心が、折れそうだ。

 

 




[車輪の狩人証]
それは狂的な信仰と神秘主義に彩られた秘密の場所であり
処刑隊の正義を支える力となった


という訳で今作品における狩人君の名前が決定しました

名前は 山本 狩夜 です

名前のは単に
ヤマムラ→ヤマモト へ
狩夜→獣の「狩」人とヤーナムの「夜」で連想してつけました。
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