純白の流星、緑の空を駆ける。   作:フタバ ハクシ

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初勝利をあなたに

7月も最終週となり、暑さも本番になってきた。

私は今、相棒と共にメイクデビューについて語り合っていた。

 

「今のところ、メイクデビューは芝の1600。レース場でのレースは初めてだし、長距離の遠征は避けたい。だから札幌じゃなく、新潟のメイクデビューに出走したい。それでいいか?」

 

流石だ。そこまで考えているとは。

 

「さんせーい!」

 

「よし、じゃあそれで出走登録済ましておく。それでいいか?」

 

「ありがと!いや〜。私もいよいよデビューかぁ〜...」

 

ここまでかなり色々なことがあった。この世界に飛ばされて、右も左も分からないような状態だったのに、相棒に出会ってから、自分でもよく分からないくらい頑張れて。走ることはまだ好きではないけど、それでも、相棒のために、私は走る。

 

「ようやく一歩、と言ったところか。これからジュニア、クラシック、シニアまで一緒に駆け抜けるんだ。改めてよろしく、ミーティア。」

 

「うん!よろしく!」

 

私は相棒とハイタッチを交わし、ターフへ向かった。

 

 

 

 

 

 

「いいか、新潟のマイル戦はスタートして200メートル地点に坂がある。2メートルほどのかなり大きい坂だ。そこを乗り越えるためにはある程度のスタミナがいるぞ。そこは坂路で鍛えていこう。」

 

「りょーかい!!」

 

「まず坂路は足を上げながら走ること。効率よく速度を落とさずに坂を上がれるからだ。目安としては....」

 

しばらく坂での走り方の説明を受けた。

 

「あと、ミーティアは小柄だけど体が硬いからあんまりストライドはこれ以上大きくしないように。怪我につながるから当分は広げるの禁止。体を柔らかくしてからやろうな。」

 

「まああの走り方結構体力使うし今はいいかな...」

 

「じゃあ坂路一本行ってきて。ペースは普通でいいよ。」

 

「はーい!」

 

私は言われたことを意識しながら、坂路を走り抜いた。

 

 

 

 

 

 

「はあっ...はあっ....すごい疲れたぁ......」

 

坂路きつい!!なに高低差6メートルって!!殺す気か!!

 

「お疲れ様。タイムはいい感じ、これから少しずつ慣れればいいよ。メイクデビューだし気楽にいこう。」

 

「でも.....負けたくない、レースに出るんだったら、全部勝ちたい。」

 

「お、なかなかいい志だな。じゃあ負けないようにトレーニング頑張ろうな。」

 

「うん!!」

 

私は大きな夢を胸に秘めながら、もう一度坂路を駆け抜けた。

 

 

 

 

 

 

 

「...ミーティアは、どうしてトレセン学園に?」

 

トレーニングの帰り道、一緒に歩いていた相棒がふと呟いた。

 

「えっ!?わ、私?」

 

しまった。私はこの世界に飛ばされた時にはもうトレセン学園に入学していたから、ここにきた理由が分からない。なんとか誤魔化して、元々人間だったことを隠さなければ....

 

「え、えーっと.....」

 

走る理由...走る理由.....今の私が走る理由....

 

「...昔、私の走る姿が好きって言ってくれた人がいたの。私はその人を喜ばせるために、ずっと走ってた。そしたらその人が、『君の走りは人を笑顔にする』って言ってくれたんだ。私がここにきた理由は、自分の走りを色んな人に見てもらって、その人を笑顔にすること。」

 

半分はでっち上げだが、半分は本当だ。今の相棒を笑顔にしたい。助けられてばっかりだから、1つでも多くお返しをしたい。それが今、私が走る理由だ。

 

「...いい理由だ。流石は俺の担当ウマ娘。」

 

「いいように言っちゃって〜。あ、ちなみに相棒は?」

 

つい気になって聞いてしまった。相棒がトレーナーになった理由はなんなのか。親が神バのトレーナーだから?それとも他に理由が?

 

「ここにきた理由か?」

 

相棒が足を止める。その瞬間、風が吹き荒れ、夏に備え色を濃くしていた葉を揺らす。

 

「俺がここにきた理由は........いや、やっぱやめた。」

 

「え〜!教えてよ〜!」

 

私は小さな子供のように駄々をこねる。

 

「その気になったら教えるよ。いつかね。」

 

「本当に?忘れないでよ〜?」

 

言葉を濁した相棒の顔はどこか悲しげだった。

 

 

 

 

 

 

 

新潟開催4日目。この日の新潟の重賞はレパードステークスだ。ダートの重賞ということもあり、物珍しさで今日は客が多い。

そして私、ヴァイスミーティアは、この日の第6レース、芝1600メートルでデビューする。

 

「ふぅ.....」

 

私は体操服に着替え、5番のゼッケンをつけてレースの時刻になるのを待っていた。

 

「初めてレース、緊張するか?」

 

控え室で相棒が呟く。

 

「いや、考えてたほどではないかな。ようやくデビュー出来るんだから!すぐにみんなに追いついて、もっともっとレースで勝って、G1レースも...」

 

私は黄金世代よりもレースや走ることの経験が浅い。しかも、バ群を恐れるおまけつき。....でも、それを不安視はしていない。

 

相棒のおかげで私はとんでもない速度で成長している。相棒とならいつか、セイウンスカイやスペシャルウィーク、そしてキングヘイローにもきっと追いつける。いや、追い越せる自信がある。

 

「そう意気込むのはいいけど、気張りすぎるなよ。俺はミーティアが好きなように走ってくれればそれでいいんだから。」

 

本当にこのトレーナーは。いつか本当に惚れそうだ。いや正直もう半分くらい惚れてるけど。

 

「ふふっ、ありがとう!....っと、そろそろ行かなきゃ!」

 

時計を見た。時刻はレース開始の30分前。あと少しでパドックが始まる。

 

「ああ。楽しんでこい。」

 

「相棒に初勝利、プレゼントしちゃうぞ〜!」

 

「余計なお世話だ。ほら、さっさと行ってこい。」

 

そう言いながらも相棒は笑っていた。

 

「うん!」

 

私はいつもより軽い足取りでターフへと向かった。

 

 

 

 

 

近場を通ってパドックの裏へとつき、私は自分の順番になるまで落ち着きながら待っていた。

 

今回の私の枠番は3枠5番。内寄りではあるが、かと言って絶好の位置でもない。逃げを打つには最内が好ましいのだが。...まあ、決まったことに文句を言っても仕方がない。大丈夫、ここまで仕上げてくれた相棒と自分を信じろ。

 

私は両頬をパチンと強く叩き、パドックに姿を表した。

観客はG1レースなどと比べると明らかに劣るが、それでも重賞レースがあるためそれなりの人が私のことを眺めていた。

 

「注目の1番人気、3枠5番ヴァイスミーティアです。」

 

私は少し不器用な笑顔を作り、観客に向けて小さく手を振った。

 

「この子は故郷ドイツの選抜レースを大差で勝ったという記録があります。トレーナーはあの"神バ"シンザンを手がけたトレーナーの息子、一ノ瀬碧月トレーナーです。人バ共に期待が高まりますね。私イチオシのウマ娘です。」

 

「がんばれー!」

 

「うわ、めっちゃ可愛い!」

 

「仕上がり良さそうだな....イレ込むこともない、結果が楽しみだ。」

 

みんなの声が聞こえる。私のことを応援してくれているみたいだ。期待を無駄にしないためにも頑張らないとな。

夏特有の生ぬるい風が私の体を通り抜けていく。私と他の15人は向こう正面のちょうど中間にあるゲートへ向かった。

 

 

 

 

 

「さあ!いよいよ新潟5レース、メイクデビューの発走です!」

 

軽快なファンファーレが鳴り響く。私の気分は有頂天に達していた。ようやくデビューできるのだ。ついにあの世代に、キングヘイローに追いつくための一歩を刻めるのだ。

 

「芝1600メートルのデビュー戦、今回は16人で争われます!」

 

「芝のコンディションは良。自分の能力を遺憾なく発揮できるでしょう!」

 

私はゆっくりと歩き出し、ゲートの中に入った。

 

「注目の人気ウマ娘を紹介します。3枠5番、ドイツから来た期待の新星、ヴァイスミーティアです!現在他のウマ娘を引き離して断然の一番人気に選ばれています!」

 

一番人気と言われると俄然やる気が湧いてくる。他の子がどんなレースをしようが関係ない。勝つのは私だ!

 

「さあ枠入りが進んで最後に16番、テセウスノヴァが入ります!」

 

「ふーっ......」

 

深く呼吸をして、前を向く。

 

ーーー見ててね。相棒。ーーー

 

「スタートしました!!かなりばらついたスタート!!6番マークインアイは最後方からのレースとなりました!!」

 

私はゲートが開いた途端、誰よりも速く飛び出した。

 

「まずハナに立ったのはヴァイスミーティア!ヴァイスミーティアの逃げでレースは進んでいきます!!」

 

よし、とりあえず先頭に立つことはできた。あとは相棒に言われたことを守っていけば....!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「レースで気をつけた方がいい事?」

 

私はレースの前日、プチちゃんや他の子が寝静まったタイミングで相棒に電話をかけた。

 

「不安っていうか、緊張で眠れなくて....相棒に聞けば、気が楽になるかなって。」

 

「そうだな....逃げで注意した方がいいのは"掛かる"ことくらいかな。」

 

ゲームで見たことがある。レース中のウマ娘が掛かると焦ってスピードを上げてしまって、余計な体力を使ってしまう。掛かった逃げウマ娘は最終コーナーを回る頃には後続に捕まり、結果的に大敗することがほとんどだ。

 

「スタートしたらまず先頭に立って、2番手の子との差を2バ身で保つこと。それ以上離すのも、縮めるのも良くない。その差さえあればいつでも相手の出方を伺うことができるから。」

 

「なるほど....先手を取ったら差は2バ身、そこがベストポジションと....」

 

「あとは...そうだな。初めてで緊張もするし、難しいかもしれないが....」

 

相棒が勿体ぶって言うのを躊躇っている。そこまで言いにくいことなのだろうか。

 

「....いいよ、言って。私に何が足りてないか。」

 

私だって本気で勝ちたいのだ。足りない部分があるのなら、そこを補うだけ。

 

「.....ミーティア、楽しんでこい。」

 

「....へ?」

 

意外な答えに、つい腑抜けた声が出てしまった。

 

「楽しくないことで競ってもつまらないだろ?だから、思いっきり楽しんでこい。」

 

本当にこの人は優しいな。いつも私のことを優先してくれてる。

 

「.....!...うん!!」

 

「大丈夫そうだな。とりあえず今日は遅いから早く寝て、明日頑張ろうな。」

 

「わかった!じゃあね〜!」

 

私は力強い返事をして電話を切り、明日へ備え布団を被った。

先程まであった不安は、まるで最初からなかったかのように消えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし...!」

 

私は2バ身ほどのリードをキープしながら最初の鬼門、スタートしてから200メートル地点にある坂に突入した。

 

「先頭は変わらず5番ヴァイスミーティア!リードは2バ身ほど!その後ろに8番テイキングマスターが続いていきます!」

 

「くうっ...!」

 

結構な急坂がこたえたのか、俺の脚の動きは先ほどより若干鈍っていた。でも、先頭を譲る気はない。このまま押し切る!

 

「各ウマ娘第3コーナーへと突入していきます!!」

 

高低差2メートルほどの大きな坂を乗り越えて、私は少しペースを落としながらコーナーへと入った。息を入れて相手がどう出るか、私はそれを確認するため後ろに意識を置いた。

 

....うん、大丈夫。リードは縮まってない。

どうやら他の子は私を捕まえる気はないようだ。最後の直線でかわせると思っているのだろう。

そっちがその気なら、こちらはマイペースで逃げさせてもらう。

そうして私はコーナーを楽々と駆け抜け、直線へと向かった。

 

「第4コーナーを回り直線へ向いた!新潟の長い長い直線を最初にゴールするのは誰か!?」

 

新潟は直線が長い、それに加えてさっき程じゃないけど坂がある。だからまだ仕掛けない。まだ抑えたまま。

 

「先頭は5番ヴァイスミーティア!!リードは2バ身!!3番バイオスデティッドが2番手に上がるか!?」

 

今だ!!!!

思いっきり地面を蹴って前に進む。それと同時に後ろから迫る気迫も増していく。怖さが自分にブレーキをかけそうになるが、それに恐るような私はもういない。

勝って、相棒に初勝利を。

 

「うあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

私は内にあった闘争心を爆発させ、獣のような声を上げる。もっと、もっと速く。もっと。もっと!!

 

「なんとヴァイスミーティア突き放す!リードを広げて3バ身ほどになった!!残り200を通過してヴァイスミーティアが独走体制に入る!!」

 

「4バ身、5バ身!!どんどんリードを開いていくヴァイスミーティア!!強い強い!!ヴァイスミーティア逃げ切り圧勝でゴールイン!!」

 

「はあっ......はあっ......」

 

走り切った後、すぐに疲れてターフに倒れ込んでしまった。息が苦しい。足が千切れそうだ.....でも、最初にゴール板を通過したのは私だ。

 

「1着はヴァイスミーティア!!2着にはバイオスデティッド!3着には...」

 

起き上がり、電光掲示板を見ると5、3、8という文字を映し出して確定の赤い文字が点灯した。

 

「勝った.....やった......!!」

 

「一着ヴァイスミーティア、トレーナーはあの一ノ瀬真一郎の息子、一ノ瀬碧月トレーナーです!!」

 

やっぱり相棒って人気者なんだなぁ...レース聞いててトレーナーの名前が出ることなんて滅多にないのに。

 

「とりあえず一勝、だな。」

 

観客席を見ると、優しそうに微笑む相棒の姿があった。

 

「相棒!見てくれた!?今のレース!」

 

尻尾をぶんぶんと揺らしながら、私は相棒を見つめた。

 

「ああ、ちゃんと見たよ。おめでとう。」

 

「んへへ....」

 

嬉しすぎて変な声が出てしまう。でも、これで一勝。セイウンスカイ、キングヘイロー、スペシャルウィーク、グラスワンダー、エルコンドルパサーに一歩近づいたのだ。たった一歩かもしれないが、確実に近づいているんだ。

....いつか、絶対に勝ってやる。

私はそんな闘志を持って、ウイニングライブの準備をした。

 

 

 

 

ウイニングライブでは、私がセンターになって踊った。相棒から事前にある程度振り付けは教えられたが、本番になると少し脚が固まってしまった。あとヘソ出し恥ずかしい。

 

 

 

 

「お疲れ様。よく頑張ったよ。」

 

ウイニングライブを終え、控え室で帰りの準備をしている私に相棒は言った。

 

「疲れたよ〜。坂がきつかった.....」

 

「脚は大丈夫?痛かったりしない?」

 

「うーん....痛いってわけではないんだけど、ちょっと動かしづらいかな。」

 

「見せて。」

 

「ふぇ?いいけど...」

 

私はハイソックスを脱ぎ、相棒に指示されたように見せる。

相棒は私の足を容赦なく手で触った。

 

「ひゃう!?」

 

驚きすぎてほぼ悲鳴のような声が出てしまった。

 

「あ、ごめん。ひと声かければよかった。」

 

「いや.....大丈夫....びっくりしただけ....」

 

相棒は私の足をガラス細工を触るように優しく触れていた。

 

「特に外傷はないけど.....痛むなら駅まで背負おうか?」

 

相棒がスッとお姫様抱っこの体制に入ろうとしている。

 

「いや大丈夫!!自分で歩く!!」

 

ものすごく食い気味で私は拒否した。今そんなことをされたら羞恥心でおかしくなるからだ。

 

「でも....」

 

「いや本当に大丈夫だから!!心配しないで!!」

 

「...そうか....」

 

相棒は少ししゅんとした顔を下に向け、そう言った。ごめん相棒。

 

....でも、良かった。今日は本当に勝ててよかった。相棒の嬉しそうな顔も見れたし、何より、期待に応えられたのがすごく嬉しい。でも今一番思っていることはただ一つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

私を選んでくれてありがとうね。相棒。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帰りの新幹線の中、私は外の景色を眺めていた。

 

「ふぁ〜。今日は疲れた....」

 

相棒があくびをしながら言う。

 

「そうだね〜。もうヘトヘトだよ〜。」

 

でも、得たものはあった。相棒に初勝利をプレゼントすることができたし、私も目標に一歩近づいた。

 

「相棒はさ、私が勝った時、どうだった?」

 

疲れたのも相まって変な質問をしてしまった。取り消すべきか?

 

「ミーティアが勝った時か.....まあそりゃ、普通に嬉しかったよ。」

 

「それに、親父はいつもこんな景色を見てたんだなって分かった。」

 

こんな景色?

 

「どんな景色だったの?」

 

「言葉で表しづらいけど...すごく特別な雰囲気だった。全部が全部キラキラして見えて、まるで夢のようだった。」

 

「初勝利でそれなら、重賞やG1レースは本当に夢になっちゃうよ?」

 

「ははっ、それもそうだな。」

 

相棒は笑いながらそう答えた。

 

「なぁ、ミーティア。」

 

「どうしたの?」

 

「ミーティアは、この後どうしたい?今のミーティアなら、可能性は無限大だよ。」

 

私がどうしたいか、そんなのはもう決まっている。

 

「...あの世代に、キングヘイローに勝つ。そのためにはまずジュニア級の重賞を目指したい。」

 

「....その後は?」

 

「一生に一度の舞台、クラシックに向かおうと思う。皐月賞も、ダービーも、菊花賞も、誰にも譲りたくない。」

 

「....君を最初のパートナーにして、よかった。」

 

隠したつもりなのだろうが、私の耳はしっかりと聞き取っていた。パートナーって.....言ってくれた.....

 

「え!?....それって....」

 

「あっ、聞こえてた?」

 

「うん....」

 

「...ちょっと恥ずかしいな...」

 

頬を人差し指で掻きながらバツが悪そうにしている彼は、照れているのか目を逸らしながら言った。

 

顔中に体内の熱が全部集まったみたい....聞いてるこっちが恥ずかしいよ...

 

「でも、本当に君でよかった。ミーティアとなら、俺は何でもできる気がするよ。」

 

爽やかな笑顔で応える相棒は、まるで王子様のようだった。

んもー!!何でそんなに恥ずかしいこと言うかなぁ!?

 

「ソウナノ.....ヨカッタネ.....」

 

顔を隠しながら私はそう答えた。

 

「...え、どうしたの。どっか具合悪い?」

 

「イヤ、ナンデモナイヨ....」

 

「じゃあ何で顔隠してるの?」

 

「いや、それは.....」

 

「....いや、別に見せたくないならいいんだけど....具合悪かったらすぐに言ってね?」

 

「.....はい.....」

 

どこかずれているこのイケメンと、私はレース人生の第一歩を刻んだ。

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