「さて、イリヤは良く知ってるだろうが…私は今でも昔の様に藤ねぇと呼んでしまっているが…姉代わりの女性が一人居る。」
「タイガだね。」
「ああ、大体食事時には彼女は乱入して来る。」
「?…そもそもサーヴァントに食事を用意するのも分からない発想ですが、それならば五人分用意する必要が有るのでは?」
「意趣返し、と言った所かな…そもそもアーチャーの分を用意する気が無かったんだ……まぁそうも言ってられなくなるのだが…」
「何があったんですの?」
「……凛と共に霊体化してウチにやって来ていたアーチャーの気配に藤ねぇが気付いてしまったんだ…」
「……やっぱりタイガって、侮れないね…」
いや、あの時は本当に参った…ただでさえセイバーと凛の事について説明するのに知恵を絞ったのに…アーチャーの存在までバレてしまっては私にはとても手に負えん…
「セイバーが海外に居る切嗣の知人の娘でホームスティ先に選んだのがたまたまウチで、切嗣が亡くなっているのを知らなかった…アーチャーに関しては亡くなった凛の父親の海外の取引先の社員の息子で元々公私共に付き合いが有り、今回は出張先が日本で遠坂家に十数年ぶりに連絡を取ったら既に遠坂時臣が亡くなっていた…積もる話が無いと言う事も無いが、時臣氏が生きていて父に連れられて来ていた頃はともかく年頃の娘が一人暮らしをしている家に泊まるのは不味い…ビジネスホテルを取ろうとしていたアーチャーに凛が今更遠慮するなと言って半ば強引に屋敷に泊まらせようとしたが、やって来た当日に屋敷の改装の為業者を入れる予定なのを"うっかり"忘れていた…」
「自分自身もホテルを取る必要があったのにそれ自体忘れており、やって来たアーチャーと共に仕方無いから二人で改めてホテルを取ろうかと工事の手が入り、入れない屋敷の前で迷っていた所にたまたま私が通りかかり、ならしばらくウチに泊まれば良いじゃないかと提案したと…」
「……アルトリアさんはともかく、アーチャーのソレは…無いとも言い切れない話ですがそれでもどう考えても色々無理が有りませんか…?」
「そもそもの話…一応当時の私の交友関係について藤ねぇは大体把握している……そして、当然学校ですら私と凛はほとんど付き合いが無いのを藤ねぇは知っている…」
「初めから破綻しているでは有りませんか…いくら困っているとは言っても普段ろくに接点の無い異性のクラスメイトを普通は誘いませんし、仮にシェロがその辺を気にせず誘ったにしても異性で有る以上…リンの方から断る筈でしょう?」
「私もそう思う…が、あの時の凛は無理矢理それで押し通したんだ…何せ藤ねぇは暗示の類はほとんど効かないからな…最後は完全に力押しで納得させていたよ…」
お陰で家ではスーツ姿のアーチャーを良く見掛ける事になり、正体に気付く前ですら何とも複雑な気分になったものだ…ちなみにアーチャーのその姿は割とストライク気味だったのか何度か意味無く藤ねぇがアーチャーに引っ付いているパターンが多かったのもこちらの精神を削って行った…
「まぁ脱線した上に長くなったが…とにかく全員で朝食を取り、教師をしていて先に学校に向かう藤ねぇを見送ってから改めて同盟についての話を進める事になったんだ。」