「また逸れてしまったな…そろそろ話を戻そう…とにかく、私たちは同盟を組む事になった…そして必然的に次の攻撃目標も決まる…」
「御三家の一つ…間桐家の破壊、ですわね…」
「そうだ…とは言え、作戦も何も無いレベルにはなるがな…ま、どちらにしろ立てる意味はそもそも無かった…向こうには全て筒抜けだったからな…」
「え?」
「間桐家は昔から蟲を媒介にした魔術が十八番だ…色々な使用用途が有るが…まぁ、要はこの場合…取り除けない盗聴器を慎二が持たされてる様なものだったと言う事だ。」
「…要するに…間桐さんの体内に居る蟲を通して話は全て聞かれていた、と言う事で合ってますか?」
「ああ…ま、慎二はそれを承知の上で私たちとの話し合いを望んだ訳だがな…とは言え、先程までの話が終わった後になってから慎二がそれを言うものだから凛が再びキレたんだが…」
「仮にお二人が断っていたとしても、全てを聞かされた時点で…向こうには排除すべき敵と見られますね…」
「と言っても、どっちみち敵に回すのは最初から決まってるんだから今更じゃないの?」
「まぁ、イリヤの言う通り…間桐家当主の間桐臓硯…いや、マキリ・ゾォルケンはそれこそ喉から手が出る程聖杯が欲しかったわけだから元より後になって敵対する事になるのは確実だ…ま、仮に当時の私がそこまで頭に浮かんでいたとしてもアレは止められないがな…」
「つまり…桜さんの事を聞かされた時以上に凛さんが怒ったんですね…」
「ああ…」
『なぁ?』
『何でしょうか?』
『…いや、止めないのか?』
『元々…私の主はシンジでは有りませんから…貴方こそ、止めたらどうなんですか?』
『……』
「…で、結局間桐さんはどうなったんですか?」
「……顔がパンパンに腫れ上がる程凛にぶん殴られた…その後は凛と一緒にそのまま慎二は早退した…先に私の家で待ってるとだけ言ってな…」
「…何か、当時真面目に参加してた私が馬鹿みたいに思えて来たかも…」
「…まぁ…あの時の私には戦争に参加してると言う自覚は愚か、まだ自分の事をハッキリ魔術師として定義してすらいないし…凛もあくまで遠坂当主としての実力証明が参加理由で…元々、凄惨な殺し合いをやってると言う意識は欠けており…慎二に至っては桜を助ける為に聖杯戦争と言うタイミングを利用するつもりでしか無かったからな…結果、全員緊張感が無いのは仕方無いとも言える…」
実際…慎二はともかく、凛に後になって聞いたら…『あの頃は若かったから…』そう苦い顔で話していた…
「…と言うか、衛宮さんは帰らなかったんですか?」
「普通に午後の授業を受けてから帰った…さすがに部活は休んだがな…」
「…敵が白昼堂々仕掛けて来る事も先ず無いとは思いますが、そこはすぐに三人で帰って色々話を詰めるものでは?」
「当時の私に全ての授業をサボると言う選択肢が選べなかっただけさ…もちろん、二人とも呆れていたがな…」
まぁ言い訳するなら…そこで私も帰ったら、藤ねぇへの説明が面倒になると言う理由も有るには有るがな…
「ところで…間桐さんはその時顔が腫れていたわけですよね?何事も無く帰るのはさすがに無理なのでは?」
「どうやって誤魔化したのかは分から……いや、誤魔化せてはいなかったな…授業中こそ全員自重していたが、休み時間や放課後は私のクラスどころか…他のクラスでもその話で持ち切りだった様だからな…」
「?…そもそもリンなら治療魔術は使えたのでは?」
「…恐らく、治すのを忘れたんだろう…」
「またうっかり?」
「だろうな…」
まぁ、イラついていた所為で余計にそこまで頭が回らなかったのかも知れないが…