「アーチャーに言われた事を考えつつ…私は布団に入ったが、結局…ほとんど眠れないまま、気が付いたら朝を迎えていた「あの、一つ良いですか?」…何かね?」
「アーチャーは…少し衛宮さんの事に詳し過ぎませんか?」
「そう思うかね?」
「…シロウ、もういっそアーチャーの正体について先に言っちゃっても良いんじゃない?何か、薄々勘づいてるみたいだし…」
「私としても、先に伝えた方がこれからの話も理解しやすいと思いますが…」
「…そうだな、では単刀直入に言おう…正義の味方を目指し、そこに人生の全てを費やして…最後は若くして命を落とした衛宮士郎と言う男…それが、アーチャーの正体だ。」
「!…やはり…じゃあここに居る衛宮さんも何れ「いや、それは違うな」…え?」
「奴は正義の味方としてその生涯を駆け抜け、加えてとある裏技を使って英霊もどきになった存在だ…既に正義の味方としての看板を下ろしてしまった私とはほぼ別の存在になるだろうな…」
「つまり、衛宮さんの辿る可能性の一つがアーチャーと言う存在で有ると…?」
「概ねその理解で間違いは無いだろう…先も言った通り、既に私は奴とは違う道を選んだ事になるだろうがな…」
「…そう言えばシロウ…裏技で思い出したんだけど…」
「何かね?」
「話を聞く限り、当時のシロウは魔術の扱い以前に…途中で死んじゃいそうなくらい弱いって感じるんだけど…結局どうやって生き残ったの?」
「…聞きたいかね?」
三人が頷く…ふむ、そうか…どっちみち順番的には話すタイミングか。
「…取り敢えずこれからの方針として、キャスターに会う事を決めてはいた私たちだったが…当然どうやって会うか、そこについては結論は出ない…まるで纏まらない会話をしつつ朝食を食べ…その後は学園に向かった…で、その日の午後の事だ…」
『衛宮!』
『え?…!』
「体育の授業が有ったんだが、昼食後の上…昨夜からの寝不足が祟ってな、加えてアーチャーの言葉をずっと気にしていた為にボーッとしていた私の顔にバスケットボールが直撃した…そのまま私は気絶したそうでな、慎二に保健室に運ばれてから目を覚ました…怪我の程度は大した事が無かったが、軽い脳震盪を起こしていた様でな…そのままベッドに横になり、その間も考えは纏まらないまま…私はいつの間にか眠りについたらしい…気が付いたら、私は外に居た…」
「…夢を見た、と言う話ですか?」
「ただの夢じゃない…あの時私は、どう言うわけか平行世界に来ていたらしい…そこで、有る出会いをしたんだ…」
「出会い…?」
「…アーチャーよりも更に歳を取った平行世界の私だ…恐らく、あの男もアーチャーとは別の未来を辿ったのだろうな…」
『…ここは、新都の辺り…か?』
あの時私は何かに誘われる様に、とある場所を目指して歩いていた…やがて辿り着いたのは…
『…アパートか……作りが新しいな。』
並んでる部屋の内…一つのドアの前に立って、私は何故かインターホンを押していた…ネームプレートも無く、一体誰の部屋かも分からない部屋のな…
『は~い!』
『っ!?』
その部屋は空室じゃなく、人が住んでいた…インターホンを押したのは私だが、さすがに狼狽えた…どうするか迷ってる内にドアが開いた…
『…えっと…どちら様…?』
『その、俺は…『ふぅ…何て、聞くのはさすがに意地が悪いかな?』…え?』
『とにかく入りなよ、シロウ…シロウの会わないといけない人は中に居るから…』
「…え…?私が出て来たの…?」
「どういう訳か大人の姿だったが…今考えるとアレはイリヤだったな…そして、部屋の中で私は出会ったんだ…」
『…良く来たな…ッ…悪いな、こんな状態で…』
『…それは構いませんけど…貴方は一体『おいおいつれねぇな…つか気持ち悪いし、敬語は要らねぇよ』…いや、そんな訳には…』
『俺が誰か分かんねぇのか?相当鈍い奴らしいな…コレで分かるか?』
『っ!…その剣は…じゃあアンタはまさか…!』
『全く…こっちに来るなんてどんな奇跡なんだかな…まぁいい…良く来たな、衛宮士郎…時間はあまり無さそうだが質問が有るなら…俺は何でも答えるぜ?…普段は基本的にやらないが、今回だけは人生相談も受け付けてやる…』
「平行世界の衛宮さん、ですね…」
「性格的にはアーチャーどころか私にも似てないと感じたからな…老化のせいも有って、パッと見アーチャーに似てるとすら分からなかった…まぁ、目の前で宝具…干将莫耶を見せられればあの時点では生前のアーチャー本人としか思えないがね…」
そう、当初はそう思っていた…あの時は、まだ私は何も知らなかったからな…