「さて…また少し脱線してしまったが、そろそろ話を戻そう…保健室のベッドで目を覚ました私は取り敢えず身体を起こしたが、目眩を感じて再びベッドに戻った…一瞬何故ここに居るのか分からなくなったが…すぐに思い出した。」
『…ああ、ボールが当たったんだったな…ハァ……ん?』
「…溜め息を吐きながら取り敢えず身体を起こした時私の身体に乗っていた何かが布団の中に滑り落ちたんだ…」
『…なっ…!?アレはただの夢じゃなかったのか…!?』
「…何を見つけたかはもう君たちにも分かるだろうが、さすがにあの時は驚いたな…」
「…このカードが出て来たんですね…だから、先のも夢では無かったと分かったと…」
「ああ…」
『…何、…!…ッ…』
「驚く私の耳にノックの音が聞こえて来てな…咄嗟に私はそれを着ていたジャージの上着のポケットにしまい込んだ…」
『…僕だ…衛宮、起きてるか?』
『…ッ…ああ、起きてる…』
『…やっとお目覚めか。随分ぐっすりだったらしいな…全く、こんな時だってのに良い身分だな。』
『…悪い…』
『…ハァ…あのさぁ、そんなしおらしくされてもこっちは調子狂うんだよ…疲れてたのは分かるし……あー…もう…まぁ、良い…お前の鞄と制服持って来てやったし、とっとと帰るぞ。』
『?…帰るって、授業は…』
『…まだ寝惚けてるのか?時計を見ろよ。』
『時計…あ…』
「…要するに、私は結局放課後まで寝ていた訳だ…向こうではそれ程長い時間が経過していた様には思えなかったがな…」
『取り敢えずもう許可は取ってある…このまま帰れるぞ。』
『えっと…藤ねぇは何か言ってたか?』
『…ま、今日は衛宮の早く帰るって言ってたから…その辺は自分で聞けよ。』
『…そっか。』
「その後は慎二とそのまま屋敷に帰ったんだ…カードについては、結局その場では何も言い出せないままな。」
『今日は飯は僕が作る…お前は取り敢えず部屋で休んでろ。』
『へ?でも『良いから。お前に出来て僕に出来無い訳……チッ、これじゃあ足りないな…買い出しに出る…部屋から出るなよ?』
「無理矢理押し切られた感が強かったが、必然…部屋に一人切りと言う瞬間が訪れた…セイバーは部屋の外に居るし、凛が帰って来るまでの僅かな間にはなるが。」
『…結局このカードは何なんだか…あ、そうか…』
「取り敢えず私はカードを解析した…その直後に膨大な情報が頭の中に叩き込まれた…」
『ッ…!…ハァ…ハァ…何だよ、コレ…英霊の力を宿せるカード…と言うか、このカードの英霊…アーチャーの正体って…!』
「そこで衛宮さんはアーチャーの出自を知ったんですか?」
「ああ…そして、全てを読み取れた訳じゃないが…それでもあの時の時点で…このカードを使った代償についても分かってしまった…その上で、これから先の戦いで生き残る為には…私は、それでも使うしかない…と言う事にも気付いてしまった…」
『…アーチャー…お前の力が有れば、俺は…』
『衛宮士郎…』
『!…アーチャー…』
『何だ、それは…貴様、そんな物を一体何処で手に入れた…いや、何処でも良い…寄越せ、それは貴様には不要だ…』
『…嫌だ、コイツが有れば…俺は…ッ…アーチャー…?』
『勘違いするな…コレは命令だ…寄越せ、そんな物はこの世から消し去ってやる…!』
『嫌だ!』
「アーチャーに首を掴まれながら、私はカードになけなしの魔力を叩き込み、光り出したそのカードを胸に押し当てた…カードが身体に吸い込まれて行き、自分の中の何かがて色々持って行かれ…文字通り置き換えられるその瞬間は…何と言えば良いのか、全能感と塗り替えられる苦しみ…それが、同時に襲って来た様な…複雑で、一言では言い表せないものだった…」
「私は実際に聖杯戦争の時にアーチャーの力を使うシロウの姿は見てないけど、そんな無茶してたんだね…」
「あの時は無我夢中だった…桜を助けるには他に方法は無いと思っていたからな…」
根拠が有った訳じゃない…それでも私は選んだ…いや、私はただ…垂らされた細い糸に縋っただけだったのかもな…それが文字通り、私にとっては悪魔との契約と同義だと…分かっていても…