ようやく客の捌けた店内にて私は古い友人と盃を交わす。
「あんたたちいつもこんな調子なの…?人雇いなさいよ、私がいても手が足りて無いじゃない…」
グッタリしてテーブルに突っ伏している凛
「そう言われてもだな…」
私は相棒の方を向く。先程からわざとらしく執拗に鍋を洗う彼は……
「俺らについてこれる奴がいねぇよ。」
「……この調子だからな。」
「まぁそれは分からないでも無いけど。そう言えばあんたはあいつとどうやって出会ったの?」
「むっ?話したことは無かったか?まあ話しても良いんだが……」
私はいつの間にかキッチンから出て来た相棒を見る。話の内容は聞いていたようで……
「……好きにしろよ。」
そう言うと私たちが飲んでいた酒の瓶を掴みそのまま瓶に口を付け残りを飲み干してしまった。
「新しいのを持って来る。」
そう言って奥に入って行く奴の背中を見送ると凛の方を見る
「さて、何処から話したものかな……」
「何よ?そんな勿体ぶるような話…?」
「あいつとの出会いは戦場だからな。そもそも私にとっても恐らくあいつにとっても愉快な話では無い。」
「……」
「……私が初めて奴と会ったのは私が外人部隊にいた時の事だ。……一応補足しておくと、そもそも私は切嗣のコネを利用しすぐにでも一人で活動を始めるつもりだったが出来なかった。……内戦をしている国は普通の方法では入れない。コネが必要だが利用しようとした切嗣のコネは先方が既に死亡していたりで使えなかった。……結局後ろ盾と実績を得るため私は雇われの身となった。」
「その時同じ部隊に所属していたのが奴だ。奴は炊事班で私は戦闘担当だった。」
「その場は意気投合した。……私より前から戦場を渡り歩いた彼の料理は斬新で素晴らしかった。朝から晩まで戦闘の無い日はずっと料理について語っていた。」
「そしてしばらくその部隊で経験を積んだあと私は部隊を抜けた。後から聞いた話だがその後少しして奴も部隊を辞めたらしい」
「……次に会った時は敵だった。……ある魔術師を追っていた時、その魔術師が雇った傭兵の中に奴がいた。」
「目を疑ったが友人と戦うことになろうと私のやる事は変わらん。私は他の傭兵を片付けるといち早く私の攻撃から逃れた奴を追った。……そして私は奴に敗北した。」
「はあ!?あいつ普通の人間でしょう!?」
「まぁその時は正攻法で負けたわけじゃないからな。」
「奴が逃げた先が森だったんだよ。……奴が仕掛けた即席の罠が思いの外効いてな……いや、あの時はさすがにヤバいと思った。」
「酒持ってきたぜ。」
「ふむ。では乾杯しようか。まあ私と凛は既に飲んでいるが。」
私は一旦話を中断し盃を掲げた…