我が店は基本年末年始は休みを頂いている。
…その代わりと言っては何だが予約制のおせちを毎年千食限定で販売している…ちなみに営業終了日は毎年十二月三十日であり予約終了もこの日までとなる。…必然的に休みの開始日である大晦日から正月にかけておせちの用意と配達に追われることになる……
「……あんたたち…毎年これ、二人だけでやってた訳?」
「……」
「何も言うな、凛。毎年の事だから我々は慣れているのだ。」
「……そこの馬鹿が上の空だけど「気にするな」気にするなって言われても「気にするな」…はいはい。まぁあんたらが良ければ別に良いけどね。」
「いや、僕からは言わせてもらいます。はっきり言って無謀です。大体今年は数を千食から千五百食に増やしましたよね?僕や遠坂さんがいなかったら多分正月過ぎてましたよ?」
「……」
「私からはノーコメントだ。」
「来年は予約終了日と店の営業日をずらしましょう。間に合いません。…後、千食に戻しましょうね?」
「…やだ。」
「あー…通訳しよう。割と高い額取っても注文が来るからせっかく儲かるのに販売数を減らしたくないそうだ…。」
「そもそも間に合わなくてキャンセルなんてされたら無駄になりますが?」
「……キャンセル料を取っている。」
「アコギ過ぎるわよ…。」
「…キャンセル料を取るのは勝手ですが、余ったおせちは完全に無駄です。…処分に費用がかかりますから結局赤字になります。」
「…嫌だ。」
「子供じゃないんだから…。」
「…やだったらやだ。」
「ねぇ、こいつ何か可笑しくない?」
「奴は疲れると駄々を捏ね始めるんだ。」
「良い大人が…。」
「やだじゃありません。ちゃんと聞いてください!」
「やだやだ!」
「…幼児退行してない?」
「正月は毎年こうだよ…。もう慣れた。」
「慣れちゃ駄目でしょ…。」
そうは言うがな、こんな姿を毎回の様に見せられば慣れるしかなくなる…。
「君もその内慣れる。」
「だから慣れたら駄目でしょ。良い大人なんだから…。」
「どうせこんな状態じゃ言う事を聞かないからな。」
「ちゃんと聞きなさい!貴方のためを思って言っているんですよ!?」
「いや~だ!」
「え~っと…。」
「そもそも彼自身も疲れて可笑しくなってる様だな…。」
「…どうするの?」
「さっさと眠らせよう…。今から二人とも気絶させるから…すまないが、バイト君の方を車に運ぶのを手伝ってくれ…。」
「まぁ、良いけど…。」
「すまないな、その代わりバイト代を弾もう。」
……そんな何時もより少し騒がしい正月。