「おいおい…俺も飲むのか?お前ら会うの久々だろ?古い付き合い同士水入らずでやれよ。」
「うわぁ…」
「……何だ遠坂、その顔は?」
「何か…あんたがそういう事言うと不気味だわ。」
「おう。喧嘩売ってんなら買うぞ。」
「くだらん事で喧嘩するな二人とも。今話してるのは我々の過去の話だ。君もいた方が話は分かりやすいだろう。」
「ハッ。別にお前の口から喋っても一向に構わないんだがな。……で、何処まで話したんだ?」
「私と君が二度目にあったところだ。」
「ああ、あん時か!あれは傑作だったな。俺の仕掛けた罠をほとんど突破した癖に一番構造的に簡単な逆さ吊りに引っかかったんだったな。いや〜あれは笑ったぜ。」
「……」
「ねぇ、士郎?あんたそれで負けたの?あんたなら普通にロープ切って脱出出来るんじゃ……」
「そりゃあ無理だな。」
「何でよ?」
「……この男は私が引っかかったと同時に矢じりに毒を塗った矢を放ってきてな……それで身動きが取れなくなったんだ……」
「…南米の先住民族から調合の仕方を習った特製の毒だ。普通なら三日はまともに動けん代物だ。最悪並行してでる発熱や下痢などの症状で死に至る代物だな……恐ろしい事にこの人外はしばらく意識があったんだが。」
「そんな事されてよく一緒に居られるわね……」
「あのなぁ……昔のよしみで即効性は無いがちゃんと解毒剤を置いていったし、三度目の時は俺も反撃されてんだぞ。」
「へー…何したの、士郎?」
「私が作った落としに穴に落ちた所に汚物を上からぶっかけただけだ。」
「汚物って?」
「……聞かねぇ方が良いぞ?」
「あー…何となく察しちゃったわ…」
「ちなみに四度目は組んだ。あん時俺は正規軍と連携してあるテロ組織の壊滅をする予定だったんだがたまたまこいつの標的がその追跡を逃れてそのテロ組織に合流した。その縁でこいつが共闘の話を持ち込んできたのさ。」
「一応聞くけどどうなったの?」
「…ほとんど俺たち二人だけでテロ組織を壊滅させちまったよ……おかげで正規軍の連中や同業者は皆機嫌が悪かったがな。」
「うわぁ……」
「失礼な想像してるみたいだがその時は俺らは誰も殺してないからな?」
「私が追っていた魔術師も含めてな。」
「まぁ死んだ方がマシな目にはあわせてやったがな。」
「……何したのよ?」
「身動き取れない状態にして顔に落書きしただけだぞ?」
「めちゃくちゃえげつないじゃない……」
「自分の目的の為に大量に人を殺しておいて、生きたままさらし者になるぐらいで済むならまだマシだろ?」
「最もその後は正規軍に引き渡したからしっかり裁きを受けた筈だがな。」
「……それなら結局死刑にでもなったと思うけど…ちなみにどっちのアイデア?」
「俺だぜ。」
「何で殺さなかったの?確かにこいつが居たなら制圧はしやすいとは思うけど…そっちの方が楽じゃない?」
「決まってる…その方が笑えるだろ?」
「うわぁ…」
「こら。そんな下らない事で嘘をつくな。」
「嘘?」
「あっ!衛宮テメェ…!」
「彼はな…アジトに籠城した奴らを殺す事を視野に入れる私にこう言ったんだ…『衛宮、お前の力なら殺さずに制圧出来るだろ?だったら殺すな。あいつらと同じになっちまうぞ』…とな。」
「同じって?」
「…自分の魔術の材料にする為、自由の為…そんな理由付けをして大量殺戮を行う連中と…そういう輩を平和の為に殺そうとする私…傍から見れば大差は無いんじゃないか…そう言われてな…だから私は殺さなかったんだ…それ以上に彼が上手い作戦を考えてくれた、と言うのもあるが。」
「へぇ…」
「チッ…余計な事を…」
「だったら意味の無い嘘をつかなければ良いだろう?」
「そういう事言うと遠坂が揶揄おうとするだろうが…おい、ニヤニヤするな遠坂。」
「え~…してないわよぉ?」
「うぜぇ。殴るぞ。」
「凛、その辺にしたまえ。何せ彼は本当に殴るからな。」