「え~っと…もっかい最初から説明して貰っていい?」
藤ねぇの言葉に溜息を吐きそうになるのを堪える…何度も説明してるが彼女が理解を示す様子は無い…いや、信じていないとかでは無いし彼女は彼女なりに何とか分かろうとしてるのはこっちも理解出来るし、納得もしてる…とは言え…
「…既に二十五回目だ…割と長い話だし日が暮れて仕舞うのだが…」
「だって~!士郎の話が分かりにくいんだもん!難しい言葉ばっかり使うし!」
「いや、これでも専門用語は省いてるし、かなり分かりやすく説明してるつもりだが「私は分からないもん!」ハァ…」
藤村組の人たちは概ね理解してくれたらしく皆苦笑を浮かべている…かなり荒唐無稽な話の筈だが、こんな話を信じてくれる辺り、やはり善人なのだと思う…自分の生まれ育った場所を時にどんな手を使っても守るという苛烈だけど不特定多数を守ろうとして結局失敗してる俺から見ればこの人たちこそ本当の正義の味方って気がしてくる…
「…と言うかさ、今更面倒な話し良いよ…別に士郎たちが悪いんじゃないでしょ?その戦争のきっかけを作ったのはあくまで遠坂さんや間桐さん、イリヤちゃんの御先祖様で、士郎に至っては巻き込まれただけでしょ?」
……全く理解してないのかと思えばこうやって本質を捉えてこっちを思いやる発言をして来る…全く…敵わないなこの人には…
「…んでそろそろ本題言ってもらって良い?」
「……」
そしてこっちが油断してると深く切り込んで来る…この辺のやり方は雷画さんの影響かな…?…あの頃から藤ねぇには隠し事が出来なかった…
「…もし…俺に何かあったら…姉を…イリヤを藤村家で匿って欲しい…」
俺は頭を下げる…横で動く気配を感じたのでチラリと見遣れば四人も頭を下げていた…お前らさっきまで黙ったままだったろ…まあ藤ねぇの理解力を考えれば長い付き合いの俺に丸投げしたくなるのは分かるが…
「え~…やだ。」
「!…頼む藤ねぇ…!」
やはり断るか…!だが俺には頭を下げる事しか…!
「頭上げてよ皆。あのね…私は士郎が自分に何かあるって状況で頼んでるのが嫌ってだけだから。」
「…それは、一体?」
「まずは士郎が守ってあげなよ。大事な家族なんでしょ?」
「…そうだが…」
「…取り敢えず戸籍はこっちで用意するよ。イリヤちゃんには申し訳無いけどその見た目で今の士郎の姉は無理があるし、士郎の妹って事で良い?」
「…うん。私はそれで構わないよ、タイガ…」
「…そうだねぇ…歳は自己申告通り十八って事にしとくから…大丈夫。身長が低くても二十歳越えてる人だっているし…取り敢えずこっちでお金出すから免許取っちゃいなよ、その方が年齢の証明しやすいし。」
「…うん。」
「待ってくれ藤ねぇ。イリヤはそう簡単に色々出来る状態じゃ「じゃあ士郎はイリヤちゃんをずっと家に閉じ込めておくつもり?」……」
「良く分からないけどイリヤちゃん、あまり長く生きられないかも知れないんでしょ?」
その可能性は高い。ホムンクルスは大半が極端に短命だ。
「だから生きてる間に経験出来ることはしておいた方が良いよ…それに…もしかしたら普通の人と同じ位生きる方法見つかるかも知れないし。」
「イリヤは狙われて「悪い人は士郎が退治するんでしょう?」……」
「士郎はさ、イリヤちゃんを嘗めすぎだよ。…人ってさ、そんなに弱くないよ。」
「シロウ、私は大丈夫。」
「…あんたの負けね。認めたら?」
「そう、だな…姉さん、俺はあんたを信頼出来てなかった様だ…」
「うん。大丈夫、見てて。私は一人でも立てるようになるし、どうしても一人で出来ない事があったら皆に頼るから…」
……強いな。あの頃の私にはそれが出来なかった…本当に彼女は強い…