『えっ?シロウたちの事?…う~ん…もうちょっと私の事を信用して欲しいとは思うかな…』
「…っと、言われましたが…」
ホテルに戻って来た桜に事情を説明し学校の休み時間を迎えてるイリヤに電話で私たちの事を聞いて貰ったのだが…
「これは…どう判断すれば良いんだ…?」
「正直、これはイリヤさんの優しさだと思いますよ…?言葉自体はともかく口調はそれなりにうんざりしてるって感じだったんで…」
「……そうなのか…」
「…だから言ってるだろ?お前ら干渉し過ぎなんだよ。」
「今回は私も店主さんに賛成ですかね…」
「…分かった…使い魔を付けるのは止めないが監視は止める「後行く度に金持たすのを止めろ。あいつ余った金をどうしたら良いのか分からないってよりによって俺に相談して来たんだぞ。」…ん?君はまさかその金受け取ったりしてないだろうね?」
「…ここにあるぞ…返すぜ…何だよ、この状況で使い込む程終わってねぇよ。」
「…金関連の事で君を信用するのは難しいね…」
「…そもそも昔と違って金には困ってねぇ。無闇矢鱈に使い込む理由はねぇよ、せいぜい俺の使い道は酒くらいだ…ここにいりゃ尚更な。」
結局イリヤには専用口座のキャッシュカードが本人に渡された…向こうへ行く交通費や昼食代(私が弁当を作るので必要無い)授業料等以外の必要な金は自分で下ろさせるのが一番良いという奴のアドバイスだ…言われてみれば理にかなってる気がするな…
「…イリヤ、虐められたりしてないか…?」
「…いや、シロウ…何か兄というより父親みたいなんだけど…大丈夫だよ、皆優しいし。」
使い魔を飛ばしておりイリヤに危害が加えられればすぐに分かるがつい聞かずにいられなくなってしまう…
そうして一ヶ月が過ぎた…
「…漸く明日からこの仕事に復帰だな…」
私は元通りになった店のテーブルで奴と差し向かいで杯を傾けていた…
「…おまけが二人くっ付いて来るけどな…」
イリヤに加えてまさか、ルヴィアまでこの店で働こうとするとは私も予想外だった…余程奴にご執心と見える…
「…ここまでされてるんだ、少しは考えたらどうかね…」
「……そうするか。」
……ん?
「あれ程嫌っていたのにどうしたと言うんだ?」
「一ヶ月も同じ部屋で寝起きすりゃ印象も変わるさ、良くも悪くもな…」
「…そもそも彼女と何があったんだ?」
「…言っちまえば実は大した話じゃねぇんだがな…要はあいつは傭兵時代の俺の商売敵だったのさ…あいつ魔術師の癖に傭兵紛いな活動してやがってな、良く行った先で顔合わせんだよ、んで目的も被るから大体報酬の受け取りで揉める…当初はあいつも何度か俺を罵ってたんだが…気づきゃあんな感じだ…どうなってんだか…」
「…切っ掛けは分からないのかね?」
「全く思い当たらねぇ…恩がどうのってなら傭兵なら良くあんだろ、いがみ合ってる場合じゃない時が。助けた、助けられたなら俺にもあいつにも良くあったし、結果的にそうなったとしてもお互い一々礼も言わねぇしよ…実際、酷い時だと自分の戦いに水を差したってキレたあいつに追い回された事もあるぞ。」
「……」
「だから分かんねぇ…何が起きたらこの関係性で恋愛感情に変わるんだか…」
……いくら普段からいがみ合っていても生死を共にすればそういう事もあるんじゃないかと思ったが敢えて指摘はしないでおいた…恐らくそれ以上に決定的な理由もあるんだろうがそれはこいつが気付かないと意味が無いだろうな…