翌朝、私たちは店のある筈の場所で足を止める…
「…店、有るわね…」
店はパッと見、何処も壊れた様子は無かった…。
「…特に物音は聞こえんな…」
「…結界は…無いわよね…」
「…当然、だ…仮に遠くから見て何ともないのに…客が実際に店の敷地内に入ったら店が火事になっていた…という状況であれば面倒な事になる…だから結界は張っていない……つまり、今、私たちが見ているものは正常だ。」
仮にも自分たちが、普段、普通に働いている場所でここまで警戒するのは可笑しいだろう…という冷静な考えを持っている自分がいるが…前日あの二人が戦っていたのならここまで綺麗に建物の外観が残っているわけない…だから何かある…それが思考の大半を占める…いや、そもそも前提が間違っているのだろう…
「……凛、これを説明出来る可能性が一つだけあるだろう?」
「…まさか…そんな事、あるのかしら…」
「…私は昨日ルヴィアに私と奴にあった出来事を話していない…だが、私も彼女が気付かなかった可能性は低いと考えている…つまり昨日二人は…」
「…冷静に話し合いが出来たって事…?」
「……どちらにしろここにいても分からん…入ってみよう…」
「おはようございます…シェロ、リン…」
店に入るとエプロン姿でテーブルを磨くルヴィアがいた…特に変化は…いや…
「おはよう、ルヴィア…少し、辛そうね。」
「…これぐらい問題ありませんわ…まぁ…店を開くまで時間がありますから…今やってるこれが終わったら仮眠を取らせてもらうつもりですが…」
「あいつと…冷静に話せたのね?」
「今回、私は彼と争う理由はありませんわ…お節介だとは思いましたが…昨日の様な状態が続くようなら困るのは彼の方ですから…シェロと一体何があったのか…お聞きしただけです…」
「すまないルヴィア、面倒をかけた…」
「お慕いしている殿方の事ですから…シェロ?」
「何かね?」
「…その様子だともうリンから似たような事を言われてるかもしれませんが…今回の話を聞いて私が感じた事を一応言わせていただきます…」
「人にはそれぞれ、踏み込まれたくない事情というものがあります…それは例え、家族や友人であっても…」
「間違っているのなら止めるのも、近しい者の務めかもしれませんが…やり過ぎ、という事も確かにあるのです…」
「線引きをきちんとしてください…それを怠れば、結果…何れはもう一人の貴方であるアーチャーと同じ運命を辿ってしまうかもしれません。」
「…以上。お節介では有りますが、貴方に友人として忠告致しました…彼は厨房にいますわ…行ってあげてください…彼なりに今回の事を気になさってた様なので…」
「…分かった…ルヴィア、ありがとう。」