「よぅ…衛宮…」
朝の仕込みをしている奴が厨房に私が入って来た事に気付き、声を掛けて来た…
「…ああ…おはよう…」
「おう…」
それ切り奴は何も言わないし、そもそも一切こちらを見ようとしない。私は取り敢えず自分の作業に取り掛かる事にした。
「衛宮…」
そこで奴がまた声をかけて来た…奴の方を横目で見れば今度はこちらに顔を向けている…作業を中断すると私も奴の方に顔を向けた。
「何かね…?」
「悪かった…」
……驚いた…主語が抜けている以上、普通はここで何に関しての謝罪か聞くべきなのだろうが、私は驚きの方が大きくそれを指摘する事が出来なかった…
「…何だよ…その顔は…俺が謝ったのがそんなに不思議か?」
「…すまない…正直に言うと非常に驚いているんだ…君がまさか一切の悪態抜きに私に謝るとは思わなかったのでな…」
「ケッ…そうかよ…」
…とはいえ奴が言ってきたのであれば…
「…では、私も言わなければならないな…本当にすまなかった…余計な事を言ってしまった…君の事情を一切考慮せず勝手な事を言ってしまった…」
私は頭を下げる…しばらくそのままでいると…
「頭上げろっての。お前はただ、それで良いのかと確認しただけなのに脅しなんてかけた俺が悪い…そもそも自分の経歴を家族に言えないのは結局俺の自業自得だしよ…」
…これは…
「…一体ルヴィアに何を言われたんだ…?」
「……内容は勘弁してくれや。ただ、あいつには正論を言われたのさ…全く…少しでも穴があったら反論してやったとこだが…何も言えなかったぜ…本当に面倒な女だよ…」
「…君はルヴィアが相手で良かったのだろうな……恐らくお前を支えられるのはアイツしかいないだろうな。」
「その言葉、そのまま返してやるよ…遠坂以外にお前を引っ張れる女は世界中探しても何処にもいねぇだろうよ。」
「そうだな…」
「余計な事、だとは思うがやはり言わせて貰っても良いか?」
「ああ…言っていいぜ?今ならよっぽどの事じゃなきゃ俺は怒らねぇ。」
「…では一つ…君の兄が君がそこまで言う程の傑物ならさすがにもう君の正体に気付いているんじゃないか?」
「お前もやっぱそう思うか?…実はルヴィアにもそう言われた。…一応心の準備をしておいた方が良いってな…もう良いさ…過去は変わらねぇ…自分から言う気はねぇが向こうから聞いてくるなら全部話すつもりだ…無論死のうとするなら全力で止める…」
「そう、か…それで良いんじゃないか…」
…もう私がこの件について気を使う必要は無いだろう…