「ねぇ?アンタさっき…ルヴィアが既に認識阻害の結界を張ってるとか言ったけど…それなら何でアイツ…」
「気付いたか。…実は彼自身は本当に魔術が使えないが…どういうわけか認識を誤魔化す系統の魔術がまるで効かないらしい…理由は分からんがな…以前フリーの魔術遣いに会った時にとても驚かれたと話していたよ。」
「アイツがこの店に働きに来たのって何か意味があるのかしら?」
「それは穿ち過ぎじゃないか?…とはいえ、この店には現在魔術関係者が四人…いや、彼自身も含めれば五人働いているわけだからな…関係無いとも言い切れんわけだが…」
「店主に至っては魔術の存在を認知してるしね…」
「戦場で長く傭兵なんてやってれば嫌でも知る事だ…それ以外の職業だと普通はまず魔術の存在に気付く事が無い…戦地で多数の行方不明者が出ても誰も気にもとめないからな…最も奴の場合、関わる回数が異常に多かった気もするが…」
「魔術師に護衛として雇われたり、逆に殺害や捕縛しに行ったり、恋人を攫われたりとかね…アンタに関わったのもその一つだったり?」
「というより、元はと言えば私が巻き込んでしまった気がしないでも無いが…」
「何よそれ?どういう意味?」
「部隊所属時代、奴以外の人間とも私は当然関わったが…除隊後に再会した者の多くが大抵魔術師や魔術遣いと何らかの関わりを持ってしまっているからな…」
「……一度でも魔術に関わってしまった一般人は魔術と結び付きやすくなる…?」
「私はそう考えている…」
「そんな事…」
「無いとは言い切れんだろう?…最も証明出来ない仮説だがな…普通の軍人以上に不測の事態に慣れている傭兵と違い、完全な一般人は普通魔術師に関わった時点で死んでしまうか、人では無くなるのがほとんどだからな…」
「生き残る方が稀、ね…まぁ魔術師は一般人使って魔術を極めようとしたり、そうでなくても神秘の漏洩を防ぐ為に普通に殺す生き物だしね…」
「そう考えると申し訳無くもなるのだよ…私が奴の人生を変えてしまったも同然なのだからな…」
「関わらない方が良かったって?馬鹿みたい…もし、アンタがアイツと関わらなかったとして…それでアイツがテロリストにならなかったり…アイツの恋人が今も生きててアイツと一緒に暮らしてたかどうかなんて誰にも分からないじゃない…そもそも忘れたの?」
「ん?」
「アイツの恋人は魔術師に攫われたのが原因で死んだんじゃなくて、行方不明者の捜索に当たっていた…他国から派遣された軍人に暴行されたからでしょ?アンタそう言ったじゃない。」
「……」
「気にし過ぎ。それこそアイツに言ったら殴られるわよ?」
「そうだな…」