「何時もすまないな。」
「……何だ突然?」
「こうやって私の我儘に付き合ってもらっていることについてだ…」
「良いさ。俺はお前に借りがあるからな。まあ人を救う為には人を殺さなきゃならないという不文律に取り憑かれていた頃よりずっと健全じゃねぇのか?」
「……」
「ここはそう治安は良くはないが…別に内戦の起きている国じゃない。最もここまで災害の被害がデカいと恐らくそれどころじゃないだろうが……」
「正直目からウロコが落ちる思いだったよ。君から人を殺さなくても人助けは出来るんじゃないのかと言われた時は…」
「被災地域のボランティアな。根無し草の頃と違い生活基盤は別の所にあると言う感覚もあるから長居はしない。変な情が移ることもない。身も蓋も無い言い方をすればそういう事だ……が、お前から与える善意は結局それくらいドライでも良いんだよ。お前は一々重すぎるんだ。しかも善意を受けた側がどう思うかなんて考えもしないからな。」
「……私の言う正義の味方とは単なる自己満足だった。」
「もっと言えば承認欲求の一種だな。……そんな独りよがりの善意……本当にキツイ連中にとって迷惑なだけだ。救われたと感じる連中もいるだろうが実際はお節介通り越してありがた迷惑だとすら思われてるだろうよ。」
「……だからこれくらいの距離感で良いのさ。お前は出来るわけもないのに相手の立場に立とうとする。その癖そいつらが本当に求めているものが分からず間違える。」
「……私はこれで良かったんだな。」
「あっさり納得してるが別にお前の命題は解決してないだろうに。」
「……いや。私はこう思っている。私は君に救われたとな。」
「大袈裟な奴だ。お前がそう思ってんならそれで良いんじゃねぇの?」
「……そうだな。」
「ところで一つ聞いて良いか?」
「何かね?今は機嫌が良い。何でも答えよう。」
「……お前、何で遠坂から距離を置いているんだ?」
「……どういう意味かね?」
「お前は一見すると遠坂凛を名前呼びし親しげだが……お前今朝遠坂凛を遠坂、と呼んだのに気付いているか?」
「……私が凛をそう呼んだと?」
「空港でお前が爆笑して座り込んでた時に既に復活していた俺が立たせた事があっただろう?あの時遠坂凛に謝罪しようとして素が出たんだろうお前は遠坂と呼んでいたよ……」
「……」
「……そもそもお前のその言葉遣い……外人部隊所属の頃はしていなかったよな?」
「……」
「なぁ、何でお前は遠坂から距離置こうとしてるんだ?」