私は凛に言われた後でも、奴の兄を入院中ずっと警戒していたが…結局何事も起こらず…退院を迎える事が出来た…問題があるとすれば…
「おい!何でお前らが退院出来て俺は出来ねぇんだよ!?」
「仕方あるまい。」
発端は奴の兄からだった。お互い、生活リズムが不規則になりやすい仕事をしている事だし、せっかく病院にいる事だし、健診を受けてみるのはどうかと言われ、私は賛成した…ごねる奴も無理矢理連れて行ったのだが…
「共同経営者として情けなくなるよ…まさか奴の身体がボロボロなのに気付かなかったとは…」
溜息を吐いた私の肩に手が置かれる…
「まっ、どう見ても真っ当な生活送れてるようには見えなかったしね…四六時中一緒にいた訳じゃなし、アンタがそんなに気にしてもしょうがないでしょ。」
「おい!俺を無視すんじゃねぇ「貴方の相手は私がしますわ」おい!離せクソアマ!」
「しかしだな「良いじゃないですか。幸い、しばらく入院すれば良いとの事ですし…それにルヴィアさんにとっては接近するチャンスを貰ったようなものですしね」そうかもしれないが…」
「あいつには良い薬だろ。料理店の店主の癖に自分がまともな栄養摂って無かったのが悪い。」
「慎二…そうは言ってもだな…」
「あー!もう!面倒臭いわね!アンタのせいじゃないの!分かった!?」
「分かった分かった。分かったから病院で大声を出すんじゃない。」
「……」
私は横でさっきから黙ったままの奴の兄に声をかける。
「すまないな、私ももう少し気を付けていれば良かったのだが…」
「いや、君のせいじゃないさ。そう気に病むな…と、すまないが先に失礼させて貰う…あいつに宜しく頼む。」
「ああ。では店でまた…」
「是非寄らせて貰う…では。」
「…結局良く分からない奴だったわね…」
「君は何度か顔を合わせた訳だが…最終的な印象としてはどうだ?」
「…アンタやあいつが言う程の警戒が必要とは思えないけど、得体の知れない奴には思えたわね…掴み所が無いというか、何か会話すればする程…良く分からなくなるのよ。」
「私もそんな感じですね…悪い人には思えませんけど…」
「そもそも警察の人間だからな。最も、善人=警戒の必要が無い、とはならない訳だが…」
彼は魔術師を追おうとしてるからな…我々の様な人間には厄介極まりない。
「公の組織に所属している以上、何とかなるだろ。どうしてもヤバいなら声をかけろよ…何か手は用意してやるさ。」
「む…妙に協力的だがどうしたんだ?」
「別にお前らの為じゃないよ。ただ…桜の敵になるなら僕の敵だってだけさ。」
「……分かった。もしもの時はお前の力を借りる。」
「言っておくけど、あくまで僕は桜の邪魔になる時しか動かないからな?」
「ああ。分かっているとも。」