まぁ役割とは言っても…結局の所、ルヴィアの休みを増やす為に空く穴を埋めるだけになる上、私は出ずっぱりなのは確定しているし、イリヤに関しては元々無理はさせられないのでそもそも余り日程は増やせず(しかも教習所と定時制を掛け持ちしているしな)桜には毎回子供を預けて貰って出て貰う…なんて訳には行かない。
必然的に立候補してくれた慎二とバイト君の二人に多めに出て貰う事にはなる訳だ。だが…
「慎二、本業の方は大丈夫なのか?」
「…僕は所詮は自分の事務所も持たない雇われ弁護士だよ?時間は腐る程有るさ。」
「…抱えてる案件は有ったりしないのか?」
「…衛宮、仮に有ったとしても僕もこの場では言えないよ…フッ…何てね、実は今は特に面倒な案件は無いよ。」
「……本当か?」
「…コラ、念押しするな。お前がそういう風に言うとフラグになるかも知れないだろ…大体、ウチにそんな大きな相談は無いよ。もし有ったとしてもさっさと片付ける…じゃないと桜と芳乃だけで夜に帰らせる羽目になるからな。」
芳乃…二人の子供の名前だが、慎二は私たちの前では余り呼ばない(預けてていないせいも有るが)
「大丈夫なのか?」
「衛宮、忘れたのか?…僕は…天才だよ。」
「…フッ…そうだったな…」
そう…この間桐慎二と言う男には魔術師としての才能は無い…だが、確かに彼は一般人の中では突出している…
「元々、この仕事にそこまで愛着も有る訳じゃない。それなりに稼げてはいるけどね。」
「…そう言えば聞いた事が無かったな。なら、何故その仕事を選んだんだ?」
「稼げる上に僕のこの頭脳を活かせるから…他に有ると思うか?」
「何とも君らしいな。」
「褒め言葉と思っておくよ。」
褒めてない…皮肉だ、とは私もこの場では言わない(どうせ気付いているんだろうが)
「兄さん、そろそろ事務所に戻る時間じゃないですか?」
「ん?もうこんな時間か…じゃあ僕は帰るからな。行くぞ、桜。」
「はい。」
二人が連れ立って帰って行く…
「…こうして改めて話すと…何とも独特な方ですわね。」
「君の感性ではそう思うか。」
「…仮に無能であの態度なら言いたい事も有りますが…確かにあの方は一定以上の能力は有るのでしょう。」
「ああ…間違い無く一種の天才だよ、彼は。」
大体何をやらせてもそれなりに出来る…最も学生時代はその分飽きっぽさが目立つ上、結局中途半端で投げ出した、と言う結果ばかりが残るから完璧さを求めている凛には毛嫌いされていたな(理由はそれだけじゃないが)
「僕はどちらかと言うと苦手なタイプですね…」
「普通はそうだろうな…朗報が有るとすれば、君の後輩では無い事だろうか。」
「そうなんですか?」
「奴が一度だけ無理矢理厨房に入れた事が有る…」
そう言えば、慎二が初めてウチで雇い入れたバイトと言う事になるのだろうか…あの頃はまだ色々慎二も忙しかった様だから、その後は一度もウチで働いた事は無かったがな…
「腕の程は?」
「…料理なら私たちは元より君にも及ばないが、突き詰めればそれなりの段階にはすぐに達するだろうな…ちなみに接客そのものはウチの基準的には初めから完璧だった。」
「そうですか…」
「寧ろ君は接客の面では教わる事も有るだろう…最も、あの通りの性格だから疲れる事も有るだろうな…」
昔の私は味の有る性格などと評した覚えが有るが、客観的に見て決して性格は良いとは言えない…それでも私や凛に劣等感を抱えていたあの頃に比べればだいぶ変わったがな…
「…分かりました、仕事ですから私情は挟みません。」
「そう言ってくれると助かる…それで…」
「う~ん…私はやっぱり今も嫌いかな…聖杯戦争で初めて会ったあの時よりはマシになったと思うけどね…」
「アレよりマシ…ですか?」
「あの様な気取った言い方すら、私の知る限り久しぶりだよ…今でも多少の皮肉や軽い毒なら吐く事も有るが。」
「…昔は…どんな人だったんですか?」
「…気になるのか?それなら私や凛の事も含めて少し昔話でもしようか…店を開くまで時間も有る…イリヤ、今日は学校へ行く日か?」
「そうだけど…まだ時間有るから私も聞きたい。」
「ルヴィア、君は?」
「そうですね…私も興味が有りますわ。」
「では、話すとしよう…」
さて、何処から話そうかね…