錬鉄の英雄の居る店   作:三和

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冷蔵庫からミネラルウォーターのボトルを取り出し軽く振ってからやかんに入れ、コンロに乗せて火を着ける…

 

紅茶に良いとされるのは軟水だ。日本は軟水の地域が多く、冬木市もその例には漏れんから普段は水道水を使うのだが…ホテルの多くは貯水タンクを使用しており、もちろん業者の仕事を疑うつもりは無いが、衛生面は良くても飲料水として適してるかはハッキリ言って微妙だ。

 

…と、自然とかつて教わった知識が頭に浮かんで来て苦笑する…まぁ誰かに披露する事もあまり無い知識では有るがな…

 

壁にもたれて腕を組み、さっきの話について思考を走らせる…聖杯戦争時代の頃の記憶は…もう最近では子供の頃の事と同じくこちらも薄れつつある…あの槍に刺された事など印象的過ぎてこれから先も永遠に忘れないだろう事柄も有るには有るのだが…

 

今の私にとって本当に忘れられない記憶と言うと…そう、奴と会ってからの事になるか…

 

 

 

外人部隊に入ると言うのは実はそこまで難しい事じゃない。まぁ、最も…こちらも切嗣の知人のツテが有った為スムーズに事が運んだ様な物だが…

 

基本的には前科が無く、ある程度の体力さえ有るなら一応は入る事は出来るのだ(言葉の壁は厚いが)

 

そして、部隊に入ってすぐに出会ったのが奴だった…

 

「qu'e…何だお前日本人か。そこで何してる?」

 

「あ、悪ぃ。手際が良いと思ってさ…」

 

アーチャーに比べたら決して洗練さは無く、寧ろ無骨とも言えるやり方で料理の手を進めて行く…だがそれは不思議と美しさすら感じた…無論、本人にそう言った事は無いがな。

 

「用が無いなら向こうで待ってろ。俺は料理の邪魔されんの嫌いなんだよ。」

 

「…一人でやるのか?」

 

その頃、私と奴のいる部隊だけにしてもそれなりの人員が居た。

 

「俺がそうしたいって言ったんだ……もう良いか?そこに突っ立ってられると邪魔なんだよ。」

 

「…何か手伝える事は「失せろ。二度は言わねぇ」……分かったよ。」

 

……奴の為に敢えて凛には語らなかったが…当時の奴は始め、今の姿がある意味可愛く見えるくらいには荒れていた。特に今の私がやった様に料理の時に話し掛けたりすると機嫌は一気に急降下した。ただ、私もどう言う訳か不思議なくらい奴の料理に惹かれていた…何せあれだけキツい態度を取られても私は奴に会いに行ったのだからな…そうして何度か奴の所に足を運んだある日の事だ…

 

「テメェもしつこい奴だな…何がしたい?テメェが来る度に気が散って、こっちは集中出来ねぇのが見てて分かんねぇくらい馬鹿なのか?」

 

「悪かった…でも本当に俺はお前の手伝いがしたいんだ……ダメか?」

 

「…チッ。好きにしろ…だが、俺の言う通りやれ…それ以外の事をしたら消えて貰う…んで、二度と来んじゃねぇ。」

 

「分かった!何を「うるせぇ、喋んな。こっちの指示通り動け…お前がするのはそれだけで良い」……」

 

……結局奴と共に料理をする様になっても、しばらくは会話らしい会話はまるで無かったな…今だと寧ろ奴の方がとにかく騒がしいのだが…まぁこの場合は私の方が落ち着きが出たのか。

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