監獄施設レベル3。
バーチャルアイドル禁止法ができてからというもの、拘束する人々が多くなったことに加えて、バーチャルアイドル達の奇跡の力……アイドル
レベルは1~5まであり、低いほど脅威度が少なく、高いほど脅威度が高いという設定だ。
例えるならば、
そして、レベル3以降が、バーチャルアイドル達や俺のようなーー政府をひっくり返そうとしている人間が、収容される。
ちなみに、AZKIさんや確定ではないが……あやめなどの、特A級使命手配と言われている人達は、問答無用でレベル5だ。
そして、レベル分けによってどれほどの警備体制になっているかというと、これも上がるほど厄介になる。
レベル1なら、警視庁の警官が受け持っているレベルだがーーレベル2からは、軍警察のみになり、レベル5に至っては、七星剣の一人が常駐しているらしい。
そして、俺らがこれから突入する場所であるレベル3は、狩猟部隊の人間が、必ず一人は常駐している……という話だ。
自宅から走って向かった俺は、先についていたらしいスバルの手招きによって、入り口付近のビルの影へと入り込む。
「二時間ぶりくらいか? まったく、変な起こされ方されさたせいで、肩がいつもより痛い気がするわ」
「その割には、いい笑顔だなスバル。すいません。ちょこ先生まで、来てもらって」
「気にしないで。いつも座っているだけじゃ、暇だもの。たまには、身体を動かさないと」
「それで、何であくあが捕まったんだ?」
そうだった。
まだ、二人には話していなかったな。
なので、俺は、包み隠さず全て話すことにした。
俺が、軍警察の三人組を倒したこと。そして、その現場をあくあにみられたことで動揺し、三人の口封じを忘れてしまったこと……。
殴られても仕方ないと、覚悟を持って話し終えた俺だったが、スバルは拳を手の平に打ちつけると、憎々しげに舌打ちをする。
「軍のやつら……あいかわらず、腐ってやがる。人間のすることかよ!」
「そうね。魔界でも、そこまでしないわ。むしろ、私達は、同種を愛する思いが強いから……考えられないわね」
「あっ、あれ?」
まさかの予想と違い、二人とも怒りはしたものの、俺に対してではなく、軍警察に対して怒っているらしい。
なので、俺がすっとんきょな声をあげると、二人して不思議そうに首を傾げてくる。
「あぁ、いや……今回の原因は、俺だったからさ。二人から罵られる覚悟をしていたんだけど……それがなかったから、あれ? て、なってさ」
「はぁ? なんで執行人を罵らないといけないんだよ。お前は、悪くないだろ」
「大なり小なり、生きていれば、誰だって失敗なんてするものよ。私だって、この前実験に失敗して、スバルから小言いわれたもの」
「いや。あれは本当に臭かったんだって! マジで!」
などと、俺が悪いことなどなにもしていていないと言ってくれた二人は、何やら前の実験とかいう奴に関して、言い合いを始めてしまう。
その姿に、状況が少しのみ込めなかったが……そうか。
もしかしたら二人とも、俺が反省していることを知って、それ以上言う必要がないと思ってくれたのかな?
そう思うと、心が暖かくなりーーやはり二人に協力を依頼したのは、決して間違いではなかったと再確認できた。
すいせいさんの言う通りだ……これほど頼りになる仲間なんて、どこにもいない。
「もう。その話しはいいわよスバル。それより、内部の情報を教えてくれる?」
「たく。まぁ、そうだな。とりあえず先に言っておくけど、スバルも警視庁側だからさ。あまり、軍警察の方には、詳しくないんだよね」
よっと!
といって、背中から何やら包み紙を取り出すスバル。
どうやら、二人の言い合いもとりあえずの休戦らしい。
……ここからは、突入作戦についての話しになるな。
「ロボ子さん。これからの話しは、聞いておいてくれ。もし、行動中に少しでも作戦からズレるようなことがあれば、一応報告を頼む」
『了解。ドキドキしてくるね』
「よっしゃ。まずは、入り口の数だけどーーここと、ここ。前と後ろの二つのみかな」
これから作戦ということあり、AIロボ子さんにも、一応参加して貰う。
まぁーーイヤホンから聴こえてくるので、俺しか聞き取れないのだが。
スバルがそう言いいつつ包み紙を開くと、その一つには、空中から撮影した写真を拡大した物と、何やら内部の見取り図のようなものがあり、空中から撮影した物の方に、二つの赤丸をつけるスバル。
「そんで、防犯カメラはーー多いけど、こんな感じか?」
キュキュと、青い小さい円をかくスバルに対して、俺とちょこ先生は、顎に手を添えて考え込む。
入口付近には、一つずつしかないが……そこ以外は、ほとんど死角がない感じだな。
伊達に、収容所ではないということか。
「入口付近は、少ないわね。なんで?」
「それは、あいつらのプライドかなー。軍警察の人間が、交代制の二人体制で、入口は守っているからさ。そこに、カメラは必要ないってことじゃね?」
「ふん。なら、そのプライドを、せいぜい利用してやるさ。世の中には、お前らよりも強いやつらなんて、星の数程いると教えてやるさ」
「シュバシュバシュバ! スバルも、それがいいと思ってたのよね~」
「もー、いけない子達。まるで、悪巧みしてる子供みた~い」
俺とスバルが同意見だった為、二人してニヤリと笑ってやれば、ちょこ先生もそれに乗っかってきてくれる。
「突入口は、これで決まりだな。で、次に内部だがーー」
「おう。内部の情報は、手に入らなかったんだけどさ。一応、これがレベル1の収容所の見取り図な。たぶん、基本的に変わらないと思うぜ」
まぁ、そうだよな。
さすがにそこまで揃っていたら、やつらの情報保護能力を心配するまである。
ばさり。
と、スバルが置いた見取り図は、確かにレベル3の外見と少し違う。
だが、何かしら利用はできるだろう。
「大きな部屋があるわね。ここが、収容場所かしら?」
「うん。で、ここの小さい部屋が取調室で、ここが管制室だったはず」
「セオリー的には、管制室の制圧だが……今回は、目的があくあの奪還のみだからな。まずは、あくあを見つけるのが先な気がする」
「スバルもそう思う。で、捕まったのがいつ頃かによるけど、もしかしたら、まだ取調室の可能性があるかも。警視庁の考え方だけど、基本的に5時間くらい話すからさ」
「そうね。もし、取調室にいるのなら、他は無視してもいいかも」
「なら、まずは取調室から探すか。それと、バラけるのは、基本的になしだな。敵の人数と強さがわからない。軍警察のみなら、バラけても問題ないがーー狩猟部隊が複数人いたら、各個撃破される恐れがある」
「なら、固まって動くとしてーーあとは時間との勝負かな~。それと、すいちゃんがどう動くか。か」
「すいちゃんと合流できれば、帰りの心配はないわね。でも、懸念があるとすれば、今回別行動をしていることかしら?」
そうだ。
俺も、そこが少し引っ掛かっている。
俺に大切なことを教えてくれたすいせいさんが、自ら進んで別行動する理由……。
本来なら、ここに混ざってくれているはずなのだ。
そして、それができない理由とは?
ーーおそらく、考えられる理由としては、二つ。
一つは、自身の自由度をとってのあえての行動。
一人ならば、それほど力を使用せずともよいし、自由に行動ができるし、それで、撹乱なんかをしてくれれば、成功率がぐっと上がる。
そして、もう一つの理由。
こちらは、あまり当たってほしくないのだがーーすいせいさん程の実力者が、抑え込まなければならないほどの敵がいることだ。
バーチャルアイドル達にも、一応力の強弱は存在しており、基本的に、年数が長ければ長いほど強さが増す……らしい。
その理由としては、やはり
長年推し続けている人と、そうでない人では、何やら貰う力が違うらしく、実際にスバルやちょこ先生も強い分類に入る。
そして、あのすいせいさんは、始まりのバーチャルアイドルと言われている一人だ。
その実力は、ハッキリ言って桁違い。
そらさんの能力もそうだったが、きっとAZKiさんもそうに違いない。
なので、すいせいさんが抑え込まなければならない敵など、出来れば居てほしくない。
「すいせいさんに関しては……まぁ。考えても仕方ない。あの人なりの考えがあって、動いているはずだからな。決して俺達にとって、マイナスの動きはしないはずだから、任せるしかないな」
「そうだな。それに、すいちゃんなら一人でも問題ないだろうし」
俺の言葉に同意したスバルは、広げていた見取り図を元に戻すと、両手を強く打ちつけーー。
「よし。それじゃ、そろそろ行くとしますか。あまり、時間もかけたくないしな」
と作戦開始のセリフを言ったので、無言で頷いたちょこ先生に続き、俺も頷く。
「正面入り口には、カメラ一台に二人の見張りがいるからーースバルが気を引く係をやるよ」
「それなら、一人はちょこがやる。絶対に失敗しない範囲だと、それが限界だから。任せてちょうだい」
「それじゃ、カメラともう一人は俺がやるよ。スバル。念のために、いつでも戦えるように心構えだけは、しておいてくれ」
オーケー。と笑ったスバルは、さっそく入り口付近へと、一人で進んでいく。
「ちょこ先生。まずは、俺が仕掛けるから、相手に隙が出来た時に飛び出してくれ」
「あら。いいの? 私から行こうとしたのに」
「一応、男ですから。先陣をきらせるわけには、いきませんよ」
「ふふっ。昔に比べて、可愛さよりも、男らしさが濃くなったわね。執行人くん。スバルには内緒だけど、終わったらお菓子作ってあげるわ」
やった! ちょこ先生の手作りだ!
などと、スバルが聞いていたら「真面目にやれ!」とか言われかねない会話を終えた俺らは、互いに集中し始める。
さて……向こうは、スバルに対して警備の二人組が近づき、なにやら会話を始めたな。
しかし、美少女ってのは得だよな……スバルに夢中で、既にあの二人組は、周囲の警戒がまるでなってないぞ。
それが、命取りになるというのに……。
チラリと、一度だけちょこ先生にアイコンタクトした俺は、自身のトップスピードで入口に向かって走りだす。
その途中で、左手から吸盤を取り出した俺は、それをカメラへと投擲。
この段階で、二人組の視線が、ようやくスバルから俺へと移る。
その間に吸盤がカメラへとくっついたのを確認した俺は、力の限り振り抜くことで、カメラを壁から引き剥がすと、その遠心力のまま、分銅ーー鎖に重石をつけた武器のことだーーよろしく、一人の首へと巻きつかせ、こちらへと巻き取る。
「ぐがぁぁぁ!!」
突然の攻撃に、なす術がない軍警察の男は、首に巻きついたカメラつきワイヤーを取り除こうとするが、それができずに、俺の元まで引きずられてくる。
そして、足元へと来たタイミングで巻き取りを止めた俺は、顔面を殴りつけることで、強制的に意識を刈り取る。
「なっ、何者だ!?」
「キャー! スバル怖い!!」
俺の行動に対して危険だと感じ取ったのか、もう一人の男が、すぐさま拳銃を取り出してくる。
ーーが、それを何故か乙女らしい声で抱きつきつつ、さりげなく照準をずらして防いでくれるスバル。
「ちょっ!? 退きなさいキミ!」
慌てた様子で、スバルを引き剥がそうとする軍警察だが、その隙に背後へと接近したちょこ先生によって、小さめの注射器を太ももへと刺されると、面白いくらい簡単に倒れてしまった。
「ふぅ。少し緊張しちゃったけど、上手くいけてよかった。ありがとうスバル。……それにしても、メスバルなんて久しぶりに見たわね」
「メスバル言うな!」
「おい。なんださっきの可愛いの。もう一回やってくれない?」
「うるせー! 嫌なこった!!」
警備の二人を倒したことを確認した俺とちょこ先生が、先ほどの可愛らしいスバルに対して、各々の感想を言うと、何故か顔を真っ赤にしながら怒鳴り散らすスバル。
なんだよ。
本当に可愛かったぞ?
「やめろその顔! くっそ恥ずかしい! とっとと行くぞ!!」
「なに怒ってんだよ。可愛かったぞメスバル」
「おい。次言ったら、マジでぶん殴るからなお前!」
「ふふっ。可愛いなんて、言われ慣れてないから恥ずかしいのよ執行人くん。あまりからかうと、スバルがかわいそうよ」
次ぎ言ったらといった癖に、なぜかポカリと叩いてきたスバルに、俺が嘘つきって顔を最大限にしてやると、クスクス笑いながらちょこ先生がスバルの怒っている理由を教えてくれる。
いや。からかい始めたのは、ちょこ先生が先じゃないか?
俺は、それに乗っかっただけだが?
軽い会話を混ぜつつ、お互いの緊張をほぐし合った俺達は、入口から堂々と中へと侵入。
スバルを先頭に、俺とちょこ先生が並走するという三角形の陣形で、奥へと突き進んで行く……のだが、やはり中はレベル1の見取り図とは、だいぶ違うな。
まず、通路が少し広い気がする。
俺とちょこ先生が並走しても余裕があるくらいだから、大人五人分くらいは、並走できるかもしれない。
やはり、囚人を連行する関係上、これくらいのゆとりは必要なのか?
それと、建物の割に、部屋が少ないのも気になる。
かれこれ、突入から三分ほどたっているが、二部屋くらいしか見ていないぞ。
そのどちらにも、あくあがいなかったのは残念だったが……。
「そういえば、取調室ってどこら辺にあると思う? 二人とも」
「断然、奥っしょ!」
「ちょこもそう思うな~。ゲームとかでも、ラスボスは奥だもん」
「やっぱりそうか。愚問だったかな? 悪いな」
「ううん。ちょっとしたことでも、確認は必要な気がする。どうも、思っていたより中が広くて、変わらない景色が続いているから……。不思議なことに、人って変わらない風景が続いていたりすると、不安になるのよね~」
「わからなくないな~。先頭にいるスバルは、何だか先から同じ場所走ってる気になってくるもん」
「確実に進んでいるから、そこは心配するな。もうすぐ半周するはずだ」
「えっ? 何でわかるんだよ」
「AIロボ子さんが、俺らにはついてるからな。きちんと、衛星から詳しい場所を特定してくれている」
「……それって、ハッキングしてね?」
「なんの話だ? 黙って走れスバル」
余計なことを言わなくていいんだよ。まったく。
などと、三人で会話をしていると、ちょうど曲がり角から、タイミングよく軍警察の男が現れた為、先に気がついたらしいスバルが、間髪いれずに飛び膝蹴りを顔へと叩き込む。
「どけー!!」
「悪いなおっさん。先頭がスバルだったことを恨めよ」
秒で、地面へとのされた男を跨ぎつつそう言ってやると、何やらちょこ先生が、倒れた男を視線で追いつつ首を傾げる。
「おかしいわね。軍警察の人数が少なすぎない?」
「へっ。いいことじゃん。何か悪いことでもあるの?」
「悪いことはないけど……ここまでくるのに、彼一人にしか会っていないのよ? いくら侵入者を想定していないとしても、人数がおかしすぎるわよ」
……確かに。
レベル3なら、バーチャルアイドルが捕まっていてもおかしくないレベルだ。
だというのに、ここまでの間に会った敵といえば、さっきの男だけ……。
妙といえば、妙だな。
「すいちゃんが何とかしてくれたんじゃね?」
「すいせいさんが? それなら、もっと荒れてると思うぞ」
すいせいさんの能力は、敵にとっても恐ろしいからな。
仮に、すいせいさんの助力によるものなら、もっと、施設事態がざわついててもおかしくない。
などと、思考の沼に入りそうになっていると、突然の施設全体に、けたたましいサイレンが鳴り響く。
『警告。警告。複数の侵入者を確認。これより、イエロー対応からレッド対応へと移行。侵入者を発見しだい、生死を問わず無力化せよ。警告。警告ーー』
ーーどうやら、ついに俺達の侵入がバレたらしい。
しかし、イエロー対応からレッド対応だと?
俺らが入ってきてからというものの、この機械音やサイレンは、聞いたことがないぞ。
なのに、イエローになっていた……。
つまり、この施設は、俺達が入るより前からーー。
「イエロー対応なんて、言っていたかしら?」
「ううん。言ってないと思う」
「おそらく、俺達とは違う誰かが、先に侵入していたってことだろう」
三人して同じことを思っていたらしく、そして、おそらくーー三人して同じ、青髪のアイドルを思い浮かべる。
さすが、すいせいさんだな。
先手を打つにしても、早すぎる。
「いたぞ!! 侵入者だ!」
「ゲッ! こういう時は、軍の奴らって、仕事が早いんだよな~」
「五人以上いるわね。どうする?」
「もちろん。避けるの一択でしょ!」
すぐに行動へとうつしたスバルとは違い、拳銃を携帯した軍警察が五人ほどこちらに向かってきているというのにーーいつもと変わらない様子で言うちょこ先生の手をとった俺は、すぐにスバルの後を追う。
「きゃ! もう、執行人くんたら。強引なんだから」
「すっ、すいません。危ないと思ったんで」
「おい! こんな時にイチャつくなそこ!!」
乙女な声をあげつつ、なぜか頬を染めて俺のことを上目遣いで見てきたちょこ先生に、思わず俺も恥ずかしくなってしまい、視線をそらしてしまう。
なんだその可愛さ。
反則だろ。
などと思っていると、前を一人走っていたスバルから、怒声に近い注意がとんでくる。
そっ、その通りだ!
なにをしてるんだ俺!
「やだ。スバルったら、嫉妬? 自分は、素直になれないからって。お姫様扱いされたいなら、自分から言えばいいのに」
「はぁ!? いつ・どこで・誰に対して、素直になれてないって!?」
「おっ、落ち着けスバル! 今は、ケンカしてる場合じゃねぇ!!」
「お前のせいだろうが!」
なんで!?
俺が何したってんだよ、おい!
なぜか、突然ちょこ先生とのケンカを始めてしまい、それに巻き込まれる形となった俺は、とりあえず敵が来ている方向と、逆の方へと進む。
「だいたい、お姫様なんかに憧れてねぇから!」
「何よ。メスバルが可愛いって言われている時、嬉しそうだったじゃない」
「メスバル言うなっていったろ!」
「可愛いわよスバル。今でも、とっても可愛い」
「……ちょこ先に言われても、嫌みにしか聞こえないわ。ちょこめいとの大半男なの、何でか知ってるよね?」
「もー。わがままね。執行人くーん。スバルに、可愛いって言ってあげてくれる?」
「いや、状況見てくれません二人とも! 休日に遊んでるわけじゃないんですから!」
可愛いなんて、あとでいくらでも言うわ!
それより、俺がスバルと入れ替わって走ってる事実に、気づいてくれませんかね!?
曲がれど曲がれど敵が出てきて、結局大きな扉を開けて、そこに逃げ込むしかなくなってしまった俺らは、その部屋へと飛び込む形になる。
そして……あまりの光景に、呆気にとられてしまった。
円形でぐるりと人々が収容されており、それは、巨大な牢屋のアパートにも見える。
おそらくだがーー三階立てのビルくらいの高さまであるぞ。
しかも、防音対策の壁なのか、収容されている人々が何かを訴えてきているが、口をパクパクさせているだけで、一切わからない。
……あいつら。
これほどの人数を、捕らえていやがったのか。
怒りで、自然と奥歯を噛み締めてしまった俺だが、スバルに背中を押されたことで、意識を敵へと戻す。
どうやら、必死に逃げ続けていたせいで、相当数の敵を引き連れてしまっていたらしく、三人を捕まえるためにしては、過剰とも言える人数が揃っていた。
その為、中心点まで後退した俺達は、各々背中合わせになって、俺らを包囲してくる数十人の敵と対峙する。
「ロボ子さん。正確な人数を教えてくれ」
『ちょっと待ってねー。…………えっと、二十人かな?』
「二十人だとよ。どうする二人とも」
「逃げるのは簡単だけど、あとあと面倒になりそうだからなー。ちょうど、広い場所に出たことだし、全員ぶっ飛ばしていくか!」
「了解よ。ちょっと自信ないけど……やってみるわ」
「もしもの時は、俺とスバルでフォローします。それじゃ、背中は気にしないってことで、いきますか!」
ここで、二十人の軍警察を無力化するとすぐさま三人で決めると、スバルは、口角を上げつつ拳を握り、ちょこ先生は、少し緊張気味な顔で、両手の指の間に注射器を複数用意する。
それを確認した俺は、弾丸で収容されている人達に怪我をさせない為、あえて左脇からスパナイフを抜刀し、逆手持ちで構える。
そんな俺らの好戦的な様子を見てかーー軍警察らも、各々警棒を取り出してくる。
「やってやるぜ!」
「いくわ!」
「お前らの罪を、確認しろ!」
各々そう口にすると、示し会わせたわけでもないが、同時に目の前の敵へと向かって走り出す。
たかが、二十人……。
止められるものなら、止めてみやがれ!