アンケートのご協力ありがとうございました。
この結果を参考にしまして、主人公くんちゃんのお話を進めたのちにアベンジャーズに入らせていただきます。
「え~と? 電磁ステルスは表層の素材変更……、というか元々10層構造だったのを上から被せる形で完了。電波を反射しない上に一部吸収するようになりました。」
「その上から対赤外線用のステルスとして買ってきた塗料を塗りまして……、うん。これでレーダー関係からは見られないようになったかな?」
『各項目オールグリーン。電磁及び赤外線ステルスに関しては問題なしと判断できます。』
私の刺激的な就活から数日後、欲しかった情報が案外早く手に入ったのと使用する材料が父親のラボの方にあったので無断拝借して早速設計&製作。
ステルス関連の技術なんか触ったことすらなかったですけどある程度の完成形を見せられれば出来ちゃうもんなんですねぇ。さすが人類・戦争の歴史、発展が早いですタイ。『アイアンマン』の作中ではトニーアーマーが小さすぎてレーダーに映らなかったって言ってたけど私がいるのは驚異の変態技術国家日本だしね、変態技術で簡単にバレて捕まるのはご勘弁なのです。
あ、ちなみに勝手に使った資材は追加注文しといたので後日届くはずです。もし今すぐ使うヤツだったら……、素直にパパ上に怒られますか。
『ところでマスター、疑問なのですが何故表面塗装の色は白なのでしょうか? 今回の追加改装の目的が【発見されないようにする】のでしたら迷彩柄や夜間飛行時のために黒や灰がよいのでは?』
「まぁ確かにそうなんだけどね。」
私の偉大なる推し、トニーは市民に受け入れてもらいやすいようにエネルギッシュな色である赤色を使用している、本来のチタン合金の色は金色で成金趣味が過ぎる、ってのもあるけど。
それと同じ合金を使用している私のスーツだって何もしなければ金色。その所をわざわざ目立つ白色にしちゃってるわけである。
「建前は推しと同じ感じで表に出た時に受け入れられやすい、ってのが理由。きれいな白色ってのは清潔感あるし女性型だから受けもいいでしょ。こっちの世界の日本も平安時代から『ちっちゃいものはカワ(・∀・)イイ!!』って言ってるオタク国家だし絶対受ける。」
『なるほど、では本音は?』
「私の趣味だ!!」
正直それ以外ない。
だってね? 空気抵抗的に邪魔でしかないツインテールをスーツにくっつけるあたくしですわよ! それ以外に理由があるとでもお思いで!? 元々アイアンマンの舎弟のようなスーツ作ってたのに思いっきり変更してサブカルスーツ作ってしまったわけですからね。
ちなみに空気抵抗云々は問題のテール部分に仕込みしてるからダイジョブでっす。
「じゃ、肝心の光学迷彩の稼働試験していきましょうか!」
『かしこまりました、起動いたします。』
そして今日の実験大詰め、光学迷彩の実験である。
S.H.I.E.L.D.のデータベース、その技術関連の情報を集めた場所に先日“勝手に”お邪魔したんだけどまぁ出るわ出るわヤバイ情報の数々。欲しかったのはヘリキャリアとかで使われている表向きではまだ確立されていないはずの“光学迷彩”、でもそれを見つけるまでにトニー謹製ミサイル“ジェリコ”がかわいくなってくるような武器兵器がたくさん! 四次元キューブのエネルギーを無理やり引き出して爆発させるどう考えてもヒドラじゃんってものまであった。
あれを熟読すれば私の抱えている兵器問題が解決するのだろうけど……、正直さわりの部分だけでも血の気が引いてしまった。いつかやらねばならないことなのだろうけどやっぱり私の心はまだ一般人、人の命を軽く扱えるようになるのはまだ先のようだ。……いや軽く扱ったらただのヴィランだな、あかんあかん。
「……お、おぉ? 消えてるね! 消えてる消えてる! 胸と目の青い光がちょっとまだ残ってるけどクロマキーで透過したようになってんじゃん。」
『成功ですね、おめでとうございます。これでようやく夜間飛行実験に移れそうですね。』
ヘリキャリア関連の技術をすっぱ抜いた後にちょっとした“置き土産”を置いて帰った私はこうして光学迷彩を完成させたわけである。ちなみに関連機器の収納場所はさっき言ってた“ツインテール”の中なんですよね。
「単にリアクターの収納場所ってわけじゃないんですよね! そもリアクター小型化失敗してるとは言えまだ小さいですし、手足以外での飛行補助としてブースター。表面に高圧電流を流すエレクトリック。あと高速飛行時及び大気圏突入を見越したカバーアーマーも収納してるしね!」
『テール内部だけでなくスーツ本体にもまだ余剰スペースがございますし、まだ発展の余地がありますね。』
「そうそう! じゃ、出来ちゃったし早速今夜飛行実験しようよイヴ! 飛行機の航路とスケジュール調べてお散歩コース調べといて! “時には歩くよりまず走れ! それより空へ飛べ!”だ!」
『かしこまりました。先日お伺いしたトニー・スターク氏の名言に余計なものが追加された気がしますがとりあえず“マスターのエセ名言ファイル”に追加させていただきます。』
「……イヴいつの間にそんなの作ってんの。」
◇◆◇◆◇
「と、言うわけで! 草木も眠る丑三つアワーに飛行実験、始めていきます!」
辺りに誰もいないこと&父親と母親が寝ていることを確認した私は資材搬入口からスーツを出して初めての外気に触れさせている。なんだか深夜に悪いことしてるみたいでテンション上がりますな。
言ってなかったことだけどMYスーツの着脱方式は原作『アイアンマン』登場のアイアン・モンガーに近い感じです。トニーのマーク2~4みたいにパーツパーツを機械で組み立てるようなスーツではなく、マーク5みたいに手足を固定することで展開するスーツでもない。
所謂乗り込み型、って感じかな? 胸のあたりからパカッと横に開きまして足と手を突っ込んだら上半身が閉まって装着完了。私の身長が低くてスーツが2m近いおかげでこんな形になりました。
「変身用の機器を作るのも二度手間だったからね、最初から強度と乗り心地の両立を目指した結果なわけです。」
『アメリカ遠征を予定していますからね、複雑な着脱機構は不要でしょう。』
「ホントはマーク7以降の飛んできたアーマーが私に纏わりつくように装着したり、それこそ二つのテールからパーツが飛び出てきて装着する……、あ、これいつか使えそ。イヴ、さっきの記録しといて。」
『かしこまりました、それとそろそろフライトのお時間です。ご準備を。』
「りょ!」
その声と共に開かれる私だけの搭乗口、乗りやすいようにしゃがんでも少し高さが足りない私のために差し出された手のひらを使って飛び乗る。脚がぴったり収まって下半身はOK、しゃがみ状態から立ち上がって腕部分の装着完了、あとは上半身が被さりまして下半身と結合。
『網膜及び脳波チェック完了、セキュリティ解除。バイタルサインオールグリーン、システムチェック開始します。』
私からは聞こえないが、今外から見れば全身の可動部分が目まぐるしく動いて魅惑的な音がなっているのだろう。後で見るように録画させときゃよかった。
目の前でディスプレイにどんどん表示されていく、リアクターの動作状況とか全身のパーツごとの状態、今日飛ぶ予定のルート+私が寄り道することを見越した『ここを飛ぶと発見されやすくなるため侵入禁止エリア』の表示まで。
『全行程完了しました、リアクター稼働率も99%。光学迷彩システムも正常に作動中。いつでも発進できます。』
「かしこま! リパルサー点火ァ!」
『点火了解、よい空の旅を。』
手の平を地面に向け両手足のリパルサーとテール部分の補助ブースターを起動、あとはそう。
飛ぶだけ。
「いっやふぅうぅうううううううううううぅうぅううう!!!!!!!!!!!!」
「お、おぉ? こうか? こうするんか?」
『徐々に地面に向かって直進してますね。このままだと墜落して近代アートの埋まったランドマークです。』
「インド人を上にぃ!」
『姿勢良好、その姿勢を維持してください。』
現在飛行実験から飛行習熟訓練に移行中。いや私今何とか飛べてるけどやっぱこれイヴのサポートがないと墜落するわ。無茶苦茶難しいです、はい。
アニメかコミックスでの発言かは忘れたけどトニーがスーツでの戦闘や飛行が難しすぎて一輪車の縄渡りしながらお手玉するようなモノって言ってたの思い出したわ。前世の記憶だし何かと混じってる気がするけどホントに難しい、お手手開いて翼付けたいレベルだわ。
『では展開式の翼を増設しますか?』
「いや、安定するかもしれないけど急な方向転換とかが難しくなるし、大きな的になっちゃいそう。あと単純にダサくなりそう+それはファルコンなのでNG。真面目に練習することにします。」
それに今後戦いに自分から突っ込んでいくスーツの大事な武器スペースを減らすのはね。自分の技術で何とかなるのならそこは頑張るのが大事なのです。
「ふぃ、今大体3時過ぎぐらいだから大体一時間くらい飛んでたのかな? 日が昇る前に帰りますかね。」
『了解しました、でしたら帰りに固定翼機の最高高度チャレンジでもいたしますか? 確かマスターのやることリストの中に入っていたかと思いますが。』
「解っていってるでしょイヴ~! 氷結対策はしてるけど酸素の問題があるからそんなに高いとこいけないって!」
『でしたね、ではルートを表示いたします。』
“アベンジャーズ”でトニーのミサイルプレゼントが私のせいで、バタフライエフェクトか何かで失敗してしまった時のことも考えてこのスーツ開発の通過点に単独での大気圏突破及び宇宙空間での高機動戦闘ってのがある。だけどまだスーツ製作の扉を開いたばかりの私にそんなものすぐ作れるわけがないんですよねぇ。
酸素の問題にスーツだけ(補助パーツはアリとする)で第二宇宙速度まで到達しないといけないんだけど……、ま、今は関係ない話ですね。
「……ん? イヴ、ズームして。」
飛行速度を落として、スーツのズーム機能を起動。場所は大阪繁華街の裏の裏、まともな教育受けてれば普通近づかないように教育される場所だ。そこには血まみれで倒れた数人とそれ以外の現在戦っている十数人、みんな無個性の黒スーツ着てますね。
『日本刀の……、大太刀。それに自動小銃、銘柄はH&K G36でしょうか。一般的なヤクザ者の抗争のようですね。』
「うわ、マジでこんなのあるんだ。……ん? 今イヴ一般的って言った? デジマ?」
『出島が何を表すのかわかりませんが、一般的かと。』
そう言いながら検索結果をディスプレイに表示してくるイヴさん。いやまぁこの世界的には一般的なのかもしれないけど普通おかしいからね? ドスとハジキがとんでもなくレベルアップしてるじゃないですか! 大太刀なんて前世じゃ手に入れるのに許可いるし自動小銃なんか軍隊よ?
この世界で生まれて情報源が私か世間のネットにしかないせいでイヴが染まっちゃった、ヨヨヨ……。
『ここから製造番号などは分かりませんが、ヨーロッパ関連の紛争地域から流れた物でしょうか? かなり質が良いですね。』
ですって奥様。マーベル世界は地獄デスワヨ! 一般人に優しくないわ!
……あ~、でもイヴが調べてくれた感じ口径は6㎜ないのね。大太刀の方も……、チタン合金だし相手は超人兵士じゃないからどう頑張っても切断は無理。おっしゃ、ついでに戦闘訓練もして帰りましょ。
「イヴ~、近接格闘システムのデバッグと行こう。喧嘩両成敗ってことでオールターゲティング。光学迷彩のエネルギーは思ってたよりも大食漢だから着地時に一時停止。リパルサーの発射にエネルギー回して。」
『Yes,ma'am.』
戦闘の真ん中に降りてやろっと。急降下!
裏の路地にたまった埃が吹き飛ばされ、金属が叩きつけられる音があたりに響く。
「やぁお兄さん、そんな危ないもの振り回してどうしたの? みんなで大道芸の練習かな?」
『近接戦闘システム起動します。』
うっわ、やっば。これ訓練されたヤクザじゃん。着地してこっちを目視した瞬間に切り掛かってくるし、後ろから無言で小銃ぶっぱしてくる。怖すぎィ!
「怖いなぁ、お兄ちゃん。女の子には優しくしなさいってママに教えてもらわなかった?」
切り掛かってくる刀を左手でキャッチ&ブレイク。間髪置かずに右手でリパルサー・ビーム! あとついでに剣客隊みたいに突撃してくるヤクザさんたちにもリパルサーをプレゼント、これで4キル!(殺してないです。)
「あと後ろで撃ってる君たちも一緒におねんねしようねぇ!」
くるっと一回転して私謹製のスーツに豆鉄砲飛ばしまくってたお兄ちゃんたちにもいい夢プレゼント。装甲は厚めなので破りたかったら列車砲ぐらい持ってきなさいってんだ!
「およ?」
リパルサー発射後の左手に違和感、視線を移すと鎖のようなものと分銅かな? 重りと鎖がグルグル巻き付いております。
「もしかして鎖鎌、それ? むっちゃ引っ張るじゃん。あと無言怖いしそろそろ喋ったらどうでっせ? 商いの大阪だし会話大事!」
鎖鎌って相手の武器とか体に巻き付けてバランスを崩すものなんだけど、このスーツ結構重いからね。ヤクザのお兄さんの筋力じゃあ私をひっくり返すことはできなかったご様子。彼もそれを理解したのか鎌で切り掛かってくる。
(あ~、なるほど。この人スーツの間を通して内部に刃を届かせようとしてるな。)
まぁさせないんですけどね。姿勢を低くして上半身と下半身を分けるスキマに鎌を差し込もうとしてきたヤクザさんを直前で蹴り飛ばず。残念でした。
『3名がこの場から逃げようとしています。ターゲティング完了済み。』
「はい、了解。」
腕をT字に開いて照準合わせ。リパルサーの起動音、発射音、人の倒れる音×3で戦闘完了。
「ハイおしまい、悪は滅びた!」
『彼らにとっては災難以外の何物でもなかったですが、戦闘データの収集およびリパルサーの威力設定が完了しましたので良しといたしましょう。』
「あ、やっぱ戦闘中に威力下げて行ったでしょ。最初のこの人は服の下に着ていた防弾チョッキまで貫通して焼き焦げちゃったけど後の人はそうでもない。」
『致し方のない犠牲、というモノです。酷いやけどになってしまいましたが命までは取っていませんので許容範囲かと。』
「ですな。」
会話中に色々このヤクザさんの持ち物漁ってみたけど……、みんなそれっぽいもの。この人たちが所属してるであろう組織に繋がるものがないね。おかげさまで二つの組織による抗争か内部分裂かどうかわかんないじゃん。見かけたついでに明日にでも本拠地襲撃してやろうと思ったんだけど。
「イヴ、ヤクザさんたちの顔覚えといて。帰ったら大阪一帯の監視カメラ漁って調べてみよう。」
『かしこまりました。』
「じゃ! 帰りますか!」
『光学迷彩システム起動、最後までお気をつけて運転なさってください。』
「あいあい!」
◇◆◇◆◇
「それでここが例の現場です、マリー先生。」
「その名で呼ぶなァ!!」
赤髪の女が激昂し、彼女を案内していた黒服が炎に包まれる。他についてきた黒服たちは仲間が急に燃え始めたのに何も動きを見せることはない。感情が抜け落ちたようにただそこにあるだけだ。
先ほどマリーと呼ばれた女性は急速に体を燃やされて悲鳴を上げる男を蹴り飛ばし、懐から取り出したナイフをその煩わしい音が二度と聞こえないように投げつける。刃物は最初からそこにあったかのように彼の脳天に突き刺さった。
「ハッ! 私の名前はタイフォイドだ! 二度とその名で呼ぶんじゃねぇ!」
「「「ウチのものが大変失礼しましたタイフォイド先生。」」」
彼女の怒りを収めるためか、それともそう訓練されているのか。彼女に従う黒服たちは息をそろえて謝罪する。
「チィッ! 気色わりぃ! ……にしてもこいつらはともかくウチのニンジャまで簡単に伸されるとはねぇ。最近テン・リングスのパチモンが鉄の男につぶされたって聞いたけど確かその兵器と今回の傷が似てるんだったよな。」
「はい、そうです先生。ですがかのアイアンマンが日本にやってきたという情報はありませんでした。」
「なる程ねぇ……。」
黒服の一人がそう答え、女は蠱惑的な笑みを浮かべながら思案する。
「まぁいいか。どんな奴かは知らねぇが、つまんねぇヤクザどもの相手をするよりは何倍も楽しそうだ。」