えっと、石井っちにメール送って……、お。爆速レス、すぐに攻撃仕掛けるのか。内部から呼応してそのまま突撃ってわけね、おkおk。じゃあ私も仕事しないと。
『すぐ隣の部屋、熱源反応あり。おそらく襖開閉時に攻撃を仕掛けてきます。』
「ありゃ、もうバレてるのか。じゃ、早速!」
無理やり気分を上げて光学迷彩をオフ、リパルサーにエネルギーを集める。サーモグラフィで相手側が何をしようとしているのかは丸わかり、天井を伝って裏側から攻撃をしようとする輩がいることもだ。
「つまりこの向こう側にいるのは自ら捨て駒になった勇気ある奴ってわけだ、じゃあその男気に応えないとなぁ!」
まぁニンジャが男か女かは分からないんだけど、そんな変なことを脳の端っこに追いやりながら両手・胸部のリパルサーで襖ごと隠れていたニンジャを吹き飛ばす。
近接武器持ちが12名ほど、遠距離武器持ちが30名ほど。後ろを取ろうとしている集団あわせて50人弱、全員が覆面ニンジャだ。
私が吹き飛ばした後一瞬の隙があったがさすがはニンジャ、すぐさま遠距離の奴らが銃撃を仕掛けてくる。近距離、刀持ちもフレンドリーファイアを気にせずこっちに突っ込んでくるあたりやっぱりいかれてるねぇ!
「ハローニンジャ!&グッバイニンジャ!」
こっちに向かって大上段から刀を振り下ろそうとしてくる真正面のニンジャめがけてこちらも突撃、足のブースターとツインテールの補助ブースターも使った突撃。ニンジャくんから嫌な音が聞こえるがまぁ気にしない。君は私の大事な弾避けになるという偉業を果たしたんだ、ヴァルハラで誇るといい。
「誕生日でしょ!? プレゼントあげるね!」
遠距離ニンジャが構えている地点まで進んだ私は弾避けくんをそこらに投げつけ近接戦を開始。近距離持ち、特に長物の刀とかはアーマーの隙間を通して私にダメージ与えてきそうだから離れて戦いたいけど重火器は別。チタン合金くんはそんなへなちょこ豆鉄砲なんて効かないのだ!
ニンジャ相手に非殺傷武器は“意味がない”から使ってないけど……
「あぁ、もうリパルサーのチャージもっと早くならない!?」
『敵二時方向、刀。命中、無力化。チャージを怠ると威力の低下が深刻となりますので我慢を。』
銃をぶっ放す悪い子のお胸にリパルサーをぶっ放して、Uターンしてきたニンジャを殴り潰す。刀も一応注意して受け止めれば急所に至ることはない。私単体ならたぶんもうやられてるけどイヴに計算を任せれば無双できるって寸法。
「ッ! 危な!」
と、言っても相手は普通にニンジャ。50人弱、まぁ今は10強だけどそれでもイヴの計算を超えてクリティカルヒットの足元まで辿り着く奴がいる。ちょうどリパルサーを撃とうとした腕の関節部分を狙われた。エネルギー波としてでなくブースターとして放ったおかげで装甲で受けきることが出来たが……
「お返し、っと!」
スーツで強化された脚力で回し蹴り、そのまま壁に吹き飛ばされるニンジャ。ほんと50人程度でこれだからもっと数が増えるとまずいかも、というかかなりマズい。出来るだけ小分けにして殲滅しないと。
「おっと、忘れてた! 天井ね。」
手を天井向かって高く上げてマーキュリー。破壊された天井とニンジャが落ちてきたら状況終了だね♪
「イヴ~!」
『確認完了、6名レッド。それ以外はオールブラックです。』
「りょ、じゃあロックオンしまして……。エネルギーもったいないから、使いそうにないゴム弾でいいかな?」
『よろしいかと。……マスター、脳波の乱れが深刻です。』
「ん? あぁ、私のか。それは無視で、今はアドレナリン……、正確には違うんだっけ? まぁそれのおかげで何とかなってるし立ち止まるわけにはいかんしね。」
軽くパパパ、と撃ってあとしまつの方も完了。元気の前借りをして、次行きましょう。
「イヴ、全体の状況は?」
『挟撃は成功している模様、ですがこの部屋の奥に200ほどの集団が確認できました。屋敷内部の残存勢力はほぼ其処に結集しているようです。』
「……明らかに少ないよね。」
『上田氏からの情報ですと敵勢力は1500ほど、しかし現在確認できたのは400ほどです。石井氏の方は敵戦力が少なかったおかげか順調そうですが……。』
「襲撃がバレてたっぽい? となると逆にこっちが挟撃される可能性があるのか。」
私たちがしたのは内部にいる洗脳解除されたヤクザと外部にいる石井ヤクザとの挟撃。でも一回攻め込んで合流してしまえばそれは一つの団体になる。後は残り1000ぐらいのニンジャを使って包囲殲滅、残りの500は時間稼ぎかヤクザ集団を思いっきり引っ掻き回せばいいってわけか。
「……イヴ、石井っちに防衛戦の用意お願いしといて。私は屋敷内に残ってる200を何とかする。」
『かしこまりました。』
残りエネルギーは67%、リアクター6つ繋ぎの6GJ だけどやっぱり減るものは減るもんです。しかも初期のアークリアクターってパラジウム消耗するからその分発電量も下がるんだよね。つまり時間がたつほどどんどん不利になるってわけです。まぁこの戦闘終わるまでにエネルギーなくなることはないと思うけど。
「この200人集まってるところにグレネード全部……、いや残した方がいいか。エレキの方使うからイヴ用意しといて。」
『了、念のためスタングレネードの方もすぐに発射できように致します。光学迷彩再起動します。』
「ご報告! 上田殿討ち死に! 敵方が既にこの場を包囲しております! お味方ヤクザの洗脳もあらかた解けた模様!」
「はぁ?」
お、なんか騒いでますね。人集まってる部屋に向かってスニーキングしてたんですけど、もう伝達がついちゃったのかな? それとも外に残りのニンジャが全部集まっちゃったとか。ま、どっちにしてもさっさとやっつけちゃお! グレネード投げちゃえ!
『エレクトリックグレネード射出。』
「ッ! ふせッ!」
女性の声じゃん、ニンジャども全く話さないし苦悶の声すら上げないからしゃべらないと思ってたけどそうではないのね。あ、あとそれ電気流れる奴だから伏せても意味ないよん。
広範囲に高電圧の電流を長時間放ち続けるグレネード。いや~すっごくピカピカしてますし、何かお肉の焼けるようなにおいがしちゃってますね。スーツ越しに微かに香るってことはかなりでしょ。あ、この間にグレネード範囲外からリパルサー撃っちゃお。
ちなみにさっき撃ったグレネード自分が食らうとスーツ内部の回路が焼き切れる可能性があるので食らっちゃダメなやつです。電撃対策まで手が回らなかった感じですね、だってソーと戦う気ないもん。
「お~、びりびりした?」
電流が流れ終わった後、そこらへんに転がってる丸焦げを足蹴に部屋内部に乗り込む。残ってるのは大体140ぐらい? 結構残っちゃってマズいかも。最悪グレネード系で時間稼ぎするか……。
「ハァイ、ヤミノテのみんな! みんなのアイドル! ……あ、名前まだ決めてなかったや……。」
とりあえず那珂ちゃんだよ~! よっろしく~☆ って叫んでも良かったがそうなると私の名前が完全に恋の2-4-11になってしまうのでやめておく。自分から解体される名前にするなんてしないのだ!
「決めてないのか……、え、えっと? じゃあなんて呼べばいいわけ?」
たぶん私が名乗りを上げたらあっちも名乗りを上げてそっからバトル! って思ってたであろう相手さんもなんかあたふたしてますね。まぁ私もまだ名前決めてない人間なんですけど! 私のせいなんですけど! ニンジャ倒しちゃったことは謝らないけど空気ぐだぐだにしたのは謝る! すまん!
「つ、次会う時までに考えとくから今はその、ない感じで……。し、仕切り直ししてもらってもいい?」
「え、えぇ……。」
「ちゃんと! ちゃんと名前考えとくから! ね? ね?」
たぶん幹部っぽい赤髪の女性からあふれ出んばかりの困惑の感情、それは彼女の周りを固めているニンジャたちにも伝播しこの部屋一帯がなんとも言えない空気と化す。あれ、あなたたち殺し合いとかそういうのしてたんですよね……?
「え、え、え? ……こほん。おうおうおうぅ! いきなり入ってきてウチの奴らぶっ殺してくれるとは何しに来たんだテメェ! ココがこの私タイフォイド様の部屋と知っての狼藉かぁ!」
「! ……ふっふっふ! そのと~り! ヤミノテ幹部さんよぉ! この大阪で好き勝手しようとしていたらしいがそうは問屋が卸さねぇぞ! お前さんに名乗る前にブチ倒して追い出してやらぁ!」
「はッ! お前の名前なんか聞く必要ないね! どうせここで私に倒されるんだ! あの世で好きなだけ自己紹介するこった!」
両者が口上を述べ、全力でぶつかり合う。気分は時代劇の殺陣。
白きスーツを身に纏う少女は青い光を眩かせながら、赤き髪の女はその髪より赤き炎を刀にまとわせながら。
両者が、激突する。
◇◆◇◆◇
(タイフォイド! タイフォイド・マリー! やっぱこのユニバース頭おかしい! なんであんたがここにいるんですか! せめてX-MENとユニバース連結するかアイアンフィスト始まってからこい! あとお前ニューヨーカーだろ! デアデビルだろ! カエレ!)
彼女の持つ発火能力で炎の太刀となった刀をギリギリで避けながら私の頭はいっぱいいっぱいである。まぁタイフォイドちゃんがなんかノリのいい性格に変化してくれてるおかげで周りのニンジャが同時に攻撃してこない辺りすっごく助かってますけど! けども!
このタイフォイド・マリーというヴィランは言わゆる超能力者、ミュータントと呼ばれる存在。X-MENに出てくるお化け超能力者と比べれば控えめな能力者だけど彼女の強さはその手数の多さにある。
自由自在に発火させその炎を操るパイロキネシス、比較的小さなものを自由に動かすテレキネシス、簡単な洗脳が可能なテレパシー。ユニバースの違いによって持っている能力に差はあるけど大体そんな感じ。複数持ちは珍しいし、汎用性高い上に攻撃力もある。今の私からするとちょっと厄介な相手。
そして、このユニバースの彼女はもっと厄介。
「ッ! 避けるのお上手ですね、タイフォイドさん!」
「はッ! そんな見え見えの攻撃当たるわけないだろ!」
このタイフォイド武術修めてやがる……! おかげさまで全然攻撃が当たらない! スーツでいくら筋力を強化されていても、リパルサーでビームを撃つことが出来ても、当たらなきゃ意味がない! 遠近どっちでも不利!
元々タイフォイドって存在は殺人者というか殺し屋というか用心棒みたいなヴィランだけどヤミノテパワーアップパッチか? コイツ剣術修めてるじゃんか! しかも発火してるからスーツ融かされる可能性あるし!
「よッとぉ!」
「イヴ!」
『ロックオン完了、ビーンバッグ弾で撃ち落とします。』
しかも攻撃の合間合間で投げてくる投げナイフがウザイのなんの! テレキネシスで方向修正とか方向変化とかしてくるし火を纏ってるしすっごい戦闘慣れしてる!
彼女のトレードマークである白いペイント、顔一面か半身全部にピエロみたいな白いペイントをなぜか目の前にいる彼女はしてないし、なんかすっごく戦闘慣れしてるし、どう考えても日本の剣術修めてるし……、やば、勝てなくね?
(やるとしたら接近戦で相手の両手抑えて胸のリパルサーでユニビームか? というか両手掴めるのか? こちとら武術も何も修めてないし、戦闘システムもまだ未完成だから対処されて終わる気がするけど……、遠距離じゃ当たらない、中距離は相手の刀の有効範囲、となると相手が長物を振り回せないインファイト! 拳で語るぞオラァ!)
タイフォイドが投げナイフを投げるために、私がビーンバッグ弾を補充するために両者ともに距離を取る。ここで補充を怠ると今後ちょっと面倒になりそうだけど、このままタイちゃんにスーツ潰される可能性
を考えると早めにノックアウトした方がいい。スーツのパワーを当てにして殴る。
スラスターをふかして近近距離へ、タイちゃんもおんなじことを考えていたのか投げナイフで距離を稼ごうとするけど無視して突撃する。右側のツインテールにナイフが刺さっちゃったけどダメージは無視、初発は避けられるかもしれないけど一発当たるだけでも常人なら吹っ飛ばせる。タイフォイドが超人血清とかモグモグしてない限りはいけるだろ!
「苦手で、しょ!」
「ッチ!」
二人とも向かい側の瞳の奥までくっきり見える距離。パイロキネシスが厄介なので抱き締めてパワーでぐきってすることはできない。タイちゃんの最大火力が解らないし、スーツが融けたら困る。なので殴るのが最適ってわけだ。
初発、右、軽いフック。
左手のナイフの腹で流される。
二発目、さっきのフックの勢いと補助ブースターで右回し蹴り。
重心を地面に、倒れるようにして避けられる。
三発目、両腕を振り落とす。
受け止めるように両腕を上に伸ばしッ! マズい!
「お前も私の下僕になりな。」
スーツ越しに、彼女の両手が私の頭を包み込む。
一瞬、走馬灯のようなものが見え、私の意識はブラックアウトした。