前世から愛をこめて   作:サイリウム(夕宙リウム)

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新機能のお披露目

 

 

 

『これか、軍隊って。……行くぞ。』

 

「りょ!」

 

 

転がされて蜘蛛糸まみれになってるロキを放っておいて飛翔するトニー、私も急がないと。

 

急いでベランダまで移動してスーツを着用、電源は落としてなかったのですぐに戦える。とりあえずイヴ、ニューヨーク全域に避難警報とかそういうの出せる?

 

 

『各種機関に匿名で連絡を入れます。』

 

 

よし、それでよし。こっから先は乱戦になるから目の前の奴とか固まって行動及び隠れてる奴が襲われそうな時だけ助ける、それと助けた場合自身の継続戦闘能力が著しく落ちるときは最悪見捨てる。そういう方針で。

 

……本当にその場面に対面した時どうなるかは解らんけど悩んで何も成せないよりは先に決めといたほうがいい。大は小を兼ねてしまう、私にとってこのニューヨークで大切なのはアベンジャーズのみんなだけだ。それ以外は最悪ごめんなさいするしかない。無理なものは無理なんだ、全部助けることなど神にもできない。

 

 

「トニー! できるだけゲートの近くで数減らせる? 討ち漏らしは私に任せて!」

 

『了解だ、なら全部もらっていくとしよう。』

 

 

トニーは勇みながら空へぽっかりとあいたゲートに向かって突撃、リパルサーや肩の小型ミサイルで数を減らしてくれるけど如何せん元の数が多すぎる。

 

 

「イヴ! 弾薬使い過ぎずに討ち漏らしないように!」

 

『難しい注文ですがやって見せます。』

 

 

タワーの屋上あたりに陣取り、リパルサーを使いあの気持ち悪いチタウリ君を撃ち落とす。そのテクノロジーは個人的に大変興味あるけどその容姿と目的はノーサンキュー。第七、第八のTailを起動させてホーミングミサイルまき散らしてるけど避けられたり撃ち落とされたり。どうしても討ち漏らしはでる。

 

 

「……胸糞わるい。」

 

 

私が討ち漏らしてしまったチタウリの歩兵たちが無辜の民に襲い掛かっていく、この後にまだ控えているのは知っている。知っている上に私はあのゲートを閉じる方法も知っている。

 

でも、私の知識をここで活かしてしまったらこの世界は文字通り終わる。技術の進歩するスピードは確実に落ちるし、宇宙からの侵略者へ対抗するために必要な“成長”が出来なくなる。私一人で全部対処できれば問題ないけどそれができる力なんてもってない。

 

あぁ、本当に腹が立つ。

 

 

『権限一時借り受け。』

 

「っと!」

 

 

色々考えてたら直上からチタウリの砲撃、イヴが一時的に権限を奪い取って代わりに回避行動をとってくれた。……また私の悪い癖だ、考えるのは後だ。石のことも、最後の戦いのことも、すべて今目の前で起きる戦いを勝利してから。

 

せめてもの償いとして、原作よりも一人でも多くの人に未来を見せてあげないと。

 

 

「イヴ! ありがと! あと弾幕足りないよ、何やってんの!」

 

『では右舷から積極的に処理していくことに致しましょう。』

 

 

トニーはすでに人々が逃げる時間を稼げるように市街地に散った奴らを倒しに行った、あっちも大変みたいだから音声じゃなくてメッセージのログが入ってる。私の担当はこっちだ。

 

 

『マスター、ソー様を発見。またロキが既に拘束から脱した模様、最後にナターシャ様方が搭乗するクインジェットがまもなく到着します。』

 

「兄弟喧嘩は放置! クインジェットが無事着陸できるように進行ルート付近の数を減らすよ! あと後ろから追ってくる奴は速度で打ち払う!」

 

 

トニーのMark7にない私のMark2の利点は発電量の多さと補助ブースターの多さ、あともう少しあるのはあるけどそれは後で。Tail1と2にMark1と同じようにリアクター3つずつ、そして胸に一つと緊急用のTail9に1つ、合計8つある。それもトニーが認めた新型リアクター、新元素バットアシウムを使うリアクターだ。それを九つあるTailのブースターで爆発させるんだ。

 

 

「遅いわけないよねっ!」

 

 

青い流星ドロッセルちゃんとは私のことだ! ただし長続きしないことと急なカーブには弱いがな!

 

 

 

『報告、先ほど通り過ぎましたバス内に熱源反応を多数感知。いかがなさいますか。』

 

「…………あぁもう! 見捨てるわけにはいかんよね! 逆噴射とフレア散布!」

 

 

私がイヴにお願いしてる民間人の捜索、それに引っかかっちゃったのならもう助けるしかない。……見も知らない人のためじゃないよ? 物語の進行を守るがゆえに助けられない贖罪でもない。見捨てると私の気分が最悪になるからだ。

 

 

「ほっんと! 私ってブレブレだよね! 今!」

 

 

Tailすべてを前面に向けブースターを最大出力、Gはすごいけど耐えられないほどじゃぁない。あとはフレアばら撒いたおかげで「すわ小型ミサイルか!」って回避してくれたチタウリ君たちを丁寧に小型ミサイルで撃ち落とす。……結構倒したけどまだ上から吐き出されてくるな。それにでっかいお魚さんもまだでしょ? 今から保険に入りたいぐらいだよ。

 

 

「イヴ、二手に別れようか。イヴは上で私は下。武装はミサイルを使い切る感じでミニガンも許可。ランチャーは後に取っておいて。ユニットはいつでも射出できるように。」

 

『かしこまりました。』

 

 

 

私のMark2、その最大の強みを世界にご覧入れよう。本邦初公開、ってやつだ。

 

私が初めて作ったスーツ、自身の技術力の低さとリアクターを多数乗せる必要性から巨大化したアーマーは私の身長よりもだいぶ高い2m越えのスーツになってしまった。

 

最初に作ってから三年ぐらい、私の技術力がまったく上がらなかったなんてことはない。……つまり作ろうと思ったらトニーみたいに体に密着するタイプのスーツだって作れたわけだ。それをなぜMark2からは実践せずに前作のMark1と同じような背丈にしたのか。

 

まぁ単純にデカさは強さだし威圧感とかの問題もあるっちゃあるんだけど……、正解はコレ。

 

 

 

 

 

 

『Tail9、分離完了。』

 

 

Mark2の背が開き、中に見えるのはスーツの中にあるスーツ。他のTailとは違い中折れする構造と先が細くなっていくデザインのTail9。内部にある別のスーツとTail9が結合。いや『アリさんと、アリさんが、ドッキング』と言うべきか。

 

 

『分機、“チャーミング”準備完了。御武運を。』

 

 

 

 

 

 

大阪での戦いの時にイヴが見せてくれた可能性、彼女一人でもスーツは動かせるということ。……つまり彼女の演算領域を増やして私が中に入ってるスーツと入ってないスーツ、その二つを用意すれば頭数は2倍、戦力は4倍(当社比)ってわけだ!

 

前世で見、同じ名を背負わせてもらったドロッセル。その二期での姿。二期のタイトルと同じ“チャーミング”の名を冠する分離スーツ、太ももが異常に太いというか性癖に刺さるあのスーツだ。

 

……恥ずかしくないのかって? 顔が隠れてるから大丈夫だ、問題ない。

 

トニーと同じように私の体にぴったりのスーツ、性能は親機との結合時と比べればまぁ劣るけどトニーのMark5よりはひどくない。チタウリとも十分戦える。

 

 

「よ、っと! 着地完了。さぁ~てお目当ての救助者君たちはっと。」

 

 

少し離れたところでニューヨーク市街バスを発見、付近には数十体のチタウリ。……ま、行けるっしょ。カラテイラだ!

 

 

『お嬢様、混ざっております。』

 

 

脚部ローターで加速しながら姿勢は低く、チタウリ君たちもバカじゃないので迎撃してくるけど彼らサイボーグなので動きがどっか単調、イヴの予測とある程度の実戦経験がある私なら避けられないほどじゃない。

 

 

「お返しっと!」

 

 

それにこのスーツに遠距離武器がないわけじゃない。普通にリパルサーも打てるから反撃もできる。と、考えているうちに三体撃破、残り21。

 

 

「オクスリ、ノメタネッ!」

 

 

アルマーダから勢いをそのままにフォーリャ、足で頭を持ったままマカコ。カラテのいいところは技名をいうだけで何かカッコよくなるところ、ちなみに今のは後ろ回転蹴りからの勢いそのままにもう一度回転蹴り。+して両足で頭部を掴んでバク転。放り投げた先にもいたからこれで残り19。

 

 

『右後方、4時の方向。』

 

 

リパルサー照射、これで18。……ちょっと思ったより多いわね。いや数は解ってるんだけど実際対面したらね? こりゃ格闘だけで頑張るのは難しいや。

 

 

「イヴ! ベリンダ頂戴!」

 

 

上空で引き続きスターウォーズのスピーダーみたいなチタウリ君を引き付けてるイヴに通信、ちょうど上を通り掛かったときにTail1からユニットを放出してくれる。おっと、レディの会話中に複数人で殴り掛かってくるのは失礼ではなくて? 残り17。

 

降りて来たのは私の頭部に装着する補助ユニット、元々つけていたTail9が分割され背面、腕部、脚部の追加装甲になり降りて来たユニットが空いた頭部に装着される。展開されるのは耳の位置にリングと排熱機構、そして頭部を保護する追加装甲。これがベリンダだ。

 

 

「さぁチタウリちゃん、舞踏会のお時間よ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『スターク! こっちは三時の方向。』

 

「どっかで寄り道してたのか? こっちはもう始めてるぞ、っとぉ!」

 

 

おっと、遅れてたのがやっと来たか。ソーはいつの間にかやってきて、いつの間にか脱出したロキと楽しい兄弟喧嘩だ。飛行機って文明の利器に乗ってるんだからもうちょっと早く来てほしかったね。あとソーは僕のタワーをこれ以上壊さないでくれ、僕のファミリーネームが『STARK』からどんどん変化してるからな。今なんて壊されて『STA』だ。

 

 

「パークアヴェニューに行け、引き連れていく。」

 

 

 

 

 

「バートン、聞こえてたわよね。」

 

 

視点は変わりクインジェットへ、返事の代わりとしてホークアイが操縦桿を回す。私は操縦を彼に任せて攻撃を、キャプテンは……見守り。

 

クインジェットはビルの合間、高度を下げて攻撃準備。突き当りの左からスーツ、今。

 

放たれた弾丸はチタウリたちに襲い掛かりその数を減らす、が……。

 

 

『トニー様、まだ来ます。』

 

「それも、引き付けるぞ。ツグミ、そっちは何してる。」

 

 

 

『ほらこわくな~いこわくな~い、お願いだから集団でヒステリー起こさないで、もの投げないで、ね? 宇宙人怖いの解るけど近くに居たのは全部倒したし私中身人間だから、ほらこわくな~い。』

 

 

 

「……なるほど。もうちょっと頑張るか。」

 

 

 

 

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

「急げ! 行くぞ!」

 

 

 

ロキに攻撃を仕掛けたがセプターによる反撃を受けてしまったクインジェットは必死の操縦むなしく墜落してしまった。しかしながら中に乗っているのは第二次世界大戦の英雄キャプテン・アメリカに狙った獲物は逃がさない凄腕エージェントホークアイ、超人血清を打ってないのにそれぐらいの身のこなししてない? それ訓練でどうにかなるの? って動きをしてるブラック・ウィドウ。

 

飛行機が落とされたぐらいじゃへこたれない、普通ならそうだ。

 

 

 

しかし……

 

 

 

三人が墜落機から降り、四次元キューブがあるスタークタワーへと歩を進める。視線は皆頭上の大きく開かれた不釣り合いの穴。

 

徐々にそのサイズを大きくしていくゲートはすでに彼らが求めていたサイズまで拡大してしまった。……巨獣がその顔を現す。

 

 

チタウリの雑兵たちと出てくるのはまさに巨大な魚、日本ならば怪獣と呼ぶようなもの。機械の巨大な魚。それが次々とニューヨークにあふれ出てくる。

 

 

 

その巨大な機魚は高度を下げ、キャプテンたちの頭上を飛んで行く。名はリヴァイアサン。その見せつけるような行為に圧倒されてしまった三人は口を開くことも行動を起こすこともできない。その腹から飛び出してくるチタウリの兵士たち、十や二十ではきかない敵がニューヨークのビルに飛び付こうとも。

 

 

「……スターク! 見てるか!?」

 

『見てるよ、目を疑ってる。』

 

『は!? ちょっとナニコレ!? サイズおかしいだろ! あれ私たちが何とかするの? は!?』

 

 

いくら前世で画面越しに見たからと言ってそれは現物を見たことにはならない。分離した後のスーツ、危険を顧みずディスプレイがおかしくなった可能性にかけ顔面のパーツを外すがサイズは変わるわけがない。

 

 

『バナーは、まだ来ないのか?』

 

「バナー?」

 

『来たら教えろ。……ジャーヴィス、弱点を探せ。ツグミ、僕があのデカいのを引き付けるから君は他を。』

 

 

『……了解、イヴ! 連携取るよ!』

 

 

 

 

 

イヴに命令を飛ばし、一時地面で合流を図るが空はチタウリだらけ。小型のホーミングミサイルはすでに使い切り残るは中型のミサイルのみ、だがそれだけ残れば殲滅は可能。

 

 

『マスター、指定の位置にスパイダーウェブで壁を作ってください。“チャーミング”に装填されているすべてを使い罠を。』

 

「了解、一網打尽ってわけね! 文字通り!」

 

 

殲滅後にもう一度集まってきたチタウリ。その一番近くのものを踵落としで叩き割り、そのまま空へ。指定位置、ビルとビルとの曲がり角。そこに帯状の蜘蛛の巣を設置する。

 

 

「出来たよ!」

 

『タイミングばっちりです。』

 

 

完了の声と同時に登場するMark2、後ろにはチタウリがたくさん。イヴは8つのブースターによる無理やりな直角移動、内部に人がいないからこそできる軌道を敢行し目の前に現れた蜘蛛の巣を優雅に回避、しかし小回りの利かないチタウリはなだれ込んでしまうという寸法だ。

 

 

「そして絡まったチタウリはミサイルで吹き飛ばして逃れた奴はリパルサーで処理。いい作戦。」

 

『感謝を。』

 

 

「よし、じゃあオブルチェフ頂戴。ベリンダは返す。今後を考えると放棄とかできないしね。」

 

 

残骸からヒドラやらそのほかのヴィラン組織に情報を抜かれるのはご勘弁願う。そう思いながら頭に装着していたベリンダを外し、Tail1へ、そしてTail2からオブルチェフ。飛行ユニットを装着しなおす。

 

お団子頭の補助ブースターに格闘ユニットの時は装甲として働いていたTail9が展開、今度は羽としてその使命を果たす。小型スーツ“チャーミング”の顔と同じぐらいの二つのお団子ブースター、両耳の少し後ろぐらいに結合され、羽が展開される。

 

飛行ユニットがなくても十分な飛行は可能だが手のリパルサーは飛行と攻撃の両方で使う、なら分けて使おうって言うことだ。お団子は軌道を修正し、お手手で攻撃。ま、トニーは背面のブースターでしてるけどね?

 

 

「さ~て飛ぶかぁ!」

 

 

キャプテンたちが市民の避難を行ってるのを横目に私は空へ駆け出す、警察も集まってきたしあの三人がいるならある程度は大丈夫だろう。私はその間に少しでも数を減らす。

 

 

『2時の方向から接近、数およそ40。』

 

 

そっちの方に目を向けるとスピーダータイプ、一つの船に運転手一人と砲撃手二人のってるお得用チタウリぞろぞろと。

 

 

「……ごめん、やっぱ帰ってもいい?」

 

 

『ダメですからねマスター』

 

 

 

 






詳しい見た目が知りたい方は『オブルチェフ』『ベリンダ』の後か前に『ドロッセル』を付けて検索していただけると画像が出てきますので是非。ついでにファイアボール原作四部作・ドラマCDとMCU全映画及びドラマ、最後にマーベルコミックすべてを呼んでいただければより理解でき楽しいかと。

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