(助からないことは)ないです。
さて、昼ご飯というかブランチみたいになっちゃったご飯も終わりましたし! ハイツレギスタの仕事は全部イヴとユキに頼んじゃってますし! 私は自分の仕事をしましょうか!
スタンおじ様と会ったカフェから本社ビルに帰り、自身のラボに火を入れる。
イブはこのビルの中すべてに目と耳を持ってるようなものだけど今は通常業務を進めてるユキのサポートをしてもらってるからここにはいない。まぁ呼べばすぐ来るけどね? 帰ってきてからずっと後ろをテクテクついてくるゲデヒトニス君を抱き寄せ膝に乗せる。
「ファイル24とGPの3、さっき考えてたのもあわせたいからスペース開けて。」
『かしこまりました。』
彼のボディは原作アニメ一期と同じ、そのぽこっと飛び出た目から歩兵用銃器のホログラムが複数映し出される。ラボの機能を彼の投影装置で中継して動かしている感じだ。
トニーのガレージみたいなラボは実家にあったけど今のはそんなのじゃない。ちな実家の方は危険性を考えて全部撤去して親の会社のラインに変えてしまったし、それでも余ったスペースはファイアボールから出向中の警備の子達が詰めている。
今の私のラボは白を基調にした部屋。私のカラーに合わせて無駄に近未来的なラボにしている。ほら変に丸っこい部屋とかあるでしょ? 部屋の隅にある角が全部なくなってるような部屋、あんなの。
機能性を聞かれると最適化されてないんだけど私の一日の時間、その大半を過ごすのがここだからちょっとおしゃれにしてみたってわけです。イヴの教育が良かったのかそれともゲデちゃんの成立した性格がたまたまそうだったのかは解らないけど、ゲデちゃんによって常にきれいになるようお掃除されてるから今日もピカピカ。
そろそろこの子のボディも刷新してあげた方がいいかなぁ? と思いながらいつものお礼代わりに彼の顔部分を撫でてやる。元々イヴのサポート用として作ったAIだけどイヴが仕事任せないからなんかもうペットみたいになってきてるよね君。イヴちゃんさぁ……!
「まったく誰に似たんだか。……いや私以外ありえんか。となると母親になった私は溺愛しちゃうのか? 子離れできない親? おふ、考えるのやめよ。」
イヴの思考プロセスとかそこら辺は大体私を参考にしている、というか近くに付きっ切りで彼女の成長を促せる存在が私しかいなかったからってのが理由なんだけどね? となるとイヴは私の生き写しみたいになるわけで。私にも子供ができるとかそういう未来があるのなら見本のような子煩悩になるというわけだ。イヴ、ペアレンタルコントロールしまくってるし。
……にしても子供かぁ。子供ってのはまぁワンダレベルにぶっ飛んでなけりゃ男女がくっついて産まれてくるものだけどねぇ? 私にはかなり遠い存在だよなとしみじみしちゃいます。
この世界に女として生れ落ちてからすでに22年。ここまで突っ走ってきたわけだけど色恋に現を抜かす暇はマジでなかったからなぁ……。
幼少期から高校までは見えない脅威に怯えながら『科学と結婚するから!』を地でやってたし大学入ってからはニンジャやヤクザ、あとアベンジャーズ案件とかで飛び回ってたからそんな暇もなし。異性の数は会社作って組織作ったおかげで接点は増えたんだけど……、どうしても“保護対象”か“養う対象”になるからそういう感情はわかないんですよね……。
まぁ私TS者だしそういうこともあるんかもしれんけど。
「おっと、変なこと考えすぎたな。仕事しよっと。」
今やるべき案件としてはファイアボールの方で使う戦闘用装備開発に付随したチタウリの研究、あと新スーツに導入している反重力システムの更なる強化、ヒドラ及びザ・ハンドの監視の三つってところですかね?
チタウリの研究は敵を知ることと普通にこの技術有用ってことから。ある程度研究も進んだし兵器運用も可能になったんだけどまだまだ未知の部分は多い。
トニーがトラウマを再発させるためあんまり敵死体からの研究ができない、S.H.I.E.L.D.もS.H.I.E.L.D.でヒドラ君がいるから何に使われるか解らないってことでどことも提携せずに私個人でやってるんだけど……。まぁそのせいであんまり進んではないよね。
一つの母船に制御系を集中させることで子機であるチタウリ兵やリヴァイアサンの兵器としての完成度を上げてる。思考プロセスを用意する機器類をあえて排除することで生産性と攻撃性を上げる、スターウォーズに出て来たバトルドロイドを強化した感じ。破壊されていても細かいところから技術の差を感じさせる物品だ。
んでその技術群を研究して開発したのが昨日の……、いや今日の深夜に東京方面の子たちが着てた装甲服。見た目としてはウルトロンの映画の序盤で、ソコヴィアのヒドラ基地の兵士たちが着ていたものを思い浮かべてくれるとありがたいかな? あれのカラーリングと細かいところを変更した感じ。
ウチが基本相手にしているのはニンジャ、どこにでも湧き出て拠点爆破なんてお手の物の化け物集団、そんな相手に一か所に軍の中枢を置くチタウリのシステムは相性が悪いしさすがのイヴでも軍団の運用は他の業務に影響が出る。故の装甲服としての開発だったんだけど……
「確かに生産性と総合戦闘力の向上は見られたけど実質チタウリの下位互換なんだよね。ニンジャ相手に有効でもたぶんサノスたちとの総力戦じゃ勝てない。」
まだ時代は2012年だけど先を見据えるのは悪いことじゃない。サノスだって言ってしまえば前座。この世界がどんな道をたどるか解らないので出来るだけ早くチタウリを圧倒できるような装備をみんなに配備してあげたいんだけどね……。
まぁ焦っても仕方がない。早足で大股で、一歩ずつ進むことに致しましょう。幸いまだ若いですから無理も効くしね!
んで次の反重力システムの話。実はこれの試作品はトニーのお父さん、ハワード・スタークが第二次世界大戦時に完成させている。そのデータはS.H.I.E.L.D.に保管されてたんだけど……、まぁいつものごとくハッキングして手に入れてました。その後私なりに近代化。
ニューヨークでの戦いのころにはラボ内で無重力飛行できるぐらいには開発が進んでたんだけど対チタウリを考えればあまり効果がないと判断してお蔵入りしていたもの。その後色々あって改良して、Tail一つ分まで小型化して作成したのがMark3に搭載されてる反重力機構。
出力上げて大体半径3m。私を中心に世界から重力を取り外すことができるシステム。消費電力が尋常じゃなくて飛行とかと並列起動はできないけど、おかげさまでいつでも宇宙飛行士ごっこできるようになったし、対人戦だとすごく有利なので便利です。
「あ、ここ無駄だな。いらね。」
日本各地に散らばる生産工場へ送る新型銃の設計図の最終調整をしながら、反重力システムのブラッシュアップを行う。朝風呂の時に考えてたやつだけど寝ぼけてたせいかリソースの割き方がおかしい。トニーに見つかったらため息つかれるところだったよ。あ、シュークリーム君その報告はしなくていいよ? 名古屋でしょ? 今あそこ石井っちが出張中だから全部任せてよし。
『ですからお嬢様、私の名前はゲデヒトニスです。』
そういえばこの前ウチで雇った技術者の人たちにこのラボ見せたけど『早さおかしい、ホントに人間?』って言われたんだよね。おかしいなぁ、トニーとか普通にこんな感じだけど?
あ~、それで思い出したけどトニーね。トニー。ちょうど12月だし『アイアンマン3』の時期だよね。一応事件の場所とか敵対組織であるニセ・テンリングスとA.I.Mの情報とかはすでに集めている。事件が起こるトニー邸やテネシー州などの各地に、一応人を派遣して緊急時には助けられるようにしている。
あの物語はトニーにとって区切りの物語だからあんまり手を出したくない、だけど“もしも”があるのでバックアップの用意だけはしている。
ちなみに今回の敵として出てくるキリアンだけど彼ヒドラから派生した組織であるA.I.Mのメンバーなんですよね。そしてヒドラはS.H.I.E.L.D.に潜んでるわけでしょ? Oh! ここで導線が出来ちゃいました! ハッキングのお時間デスワヨ! ってことで全部情報私に抜けてます。
超人血清を目指して作られたんだっけ? まぁ目指してなくてもそれを超えようとする意思はあったはず。まぁそんなエクストリミスの研究データとかも抜かせていただいたんでこれはこれで保存しておきますね? たしかに危険な技術ではあるけどナノマシン関連のテクノロジーは今後必須だし技術自体に良い悪いは存在しない。全部使う人間の責任。
あ、ちな敵さんが保有してるデータはストーリー終わったらクラッキングして消すんでご安心を。
「お、考えてたらちょうどあっちのチームから電話きたじゃん。スターク邸に張り付いてもらってたチームのか。」
スタークインダストリーと業務提携したことであっちの会社が挙げた人工衛星の秘匿回線も使えるようになったのでそれを使っての通信ですねぇ!
ペッパーが配慮してくれて旧型の奴を『そろそろ新しいのを飛ばす予定だから譲るわ、でもそれが壊れる前にちゃんと自分で新しいのあげるのよ? あ、対価にあなたのとこの介護機器、口挟ませてね?』といった感じで頂いたのを使ってる感じ。
『報告、スターク邸に向かう武装ヘリを多数確認。』
「あ~、来ちゃったか。武装的にどう?」
『厳しいかと。被害を考えなければ殲滅も可能ですが、被害なしだと一機が限界です。』
「……おk、じゃあそっちはトニーに任せてペッパーや付近の民間人の保護を優先で。無茶はしなくていいからね?」
『了解。』
うん、対ヘリ用の武装なんて持たしてないから仕方ないよね。……というか対人用装備で小隊規模の彼らが戦闘ヘリ無傷で一機は落とせるとかヤバいな。ウチの子の事だからウソは言わないだろうしマジでできるんだろうなぁ……。
アメリカにいるトニーの近くできな臭い動きがあるからって体で派遣した子達だったけど思ったより優秀でお嬢様ビックリ。そのまま見守ってあげててね?
そう思いながら通信を切り作業に戻る、日本全体の戦局も東京以外は落ち着いてきてるし出来たら『“クリスマスパーティー”に参加したいな、出来たらでいいけどあのスーツ爆破はもったいなさ過ぎるし出来たら何機かプレゼントとしてもらえないかおねだりしてもいいかも』と思っていると急に通信が飛んで来る。
しかも緊急時の警告音付きじゃん。え、なに? イヴから? どした?
『マスター! 本社ビルを対象にした無差別テロです! 旅客機がルートを変更しこちらに向かってきています!』
画面に映し出されるジャンボジェット、発見が遅れたせいでこのビルにぶつかるまで5分もない。イヴが集めた管制の音声データからわかる通り内部のパイロットからの通信はなし。
元々一般のお客さんを沢山乗せた旅客機だ、無関係の人がたくさん乗っている上にウチのビルだって無人じゃない。しかもこの辺りはオフィス街だからウチのビル以外にも被害が出る。
いやなんか日本にヒドラ君たくさん来てること把握してたけどここまでするんか……(啞然)。しかも私がこの襲撃を把握できてないってことはハッキング警戒してわざわざアナログでやり取りしてたってことでしょ? わぁ、もしかしたらこれヒドラとかにハッキングしてるのバレてるかもしれませんね。ちょっと一芝居うつか対策したほうがいいかも。
『報告! 未確認勢力から攻撃を受けています! 一階の防衛線が突破されそうです!』
続いてビルの一階で警備についてた子達からの報告、監視カメラの映像からニンジャにプラスして完全に武装した秘密部隊みたいなのが攻めて来た。あ、こいつらヒドラじゃん。合同作戦? わぁすごいねぇ~。これならビルの中の一般職員も組織員も逃げられないねぇ?
…………そこまでやるぅ?