その後のお話といつもの
「さて、後始末をしようか。」
『はいマスター、画面に各タスクの進行度を表示します。』
あの攻城戦から三日後、本来なら入院だったがハイツレギスタの普段のお仕事にファイアボールの指揮&運営やその他もろもろの作業がさすがに看過できないレベルまで溜まってしまったので無理やり退院して現在本社ビルの自室。
さすがにラボに入っちゃうとケガの事とか無視して研究しちゃいそうだからやめた。ただでさえユキに内緒で勝手に退院してるのだ、これ以上怒られる要因は減らしとかないとね?
「ンヌポポニク君冷蔵庫から野菜ジュース持ってきて~。……あ、なかったら私の財布からカード取って買ってきて? ボトルの奴。」
『マスター、彼の名前はゲデヒトニスです。それとゲデヒトニス? 冷蔵庫には入っていませんのでお使いの方よろしくお願いします、ルートのデータを送りますので寄り道しないように。』
ちなケガの容体は普通に病院抜け出してきている辺りそこまで深くはない。ちょっとお腹縫って左肩から腕までギプスでぐるぐる巻きって感じ。腹に刺さった苦無にはやっぱり毒がなかったみたいで内臓に刺さってはいたけど回復自体はできるみたい。左腕の方は骨折れてたしスリケン刺さったから包帯ぐるぐる巻きよ~! ってことらしい。ま、後遺症とかなくてよかったわ。
「今後に影響でそうなら無理やりナノマシンで治すか超人血清再開発プロジェクトだったからね、よかったよかった!」
『ナノマシンの技術はエクストリミスのモノと現在中国で提唱された論文での医療用ナノマシン構想ぐらいしかありません。失敗する可能性も高く私も安心いたしました。……超人血清は絶対にやらないでくださいね?』
「解ってるって、さすがに自殺趣味ないもん。」
イヴが結構強めの口調でこう言うのも訳があって、大体アベンジャーズ始まる前くらいかな? 実はお遊びの範囲内で超人血清の再現をしてみようと実験していたことがある。ほら大体マーベルのヒーローって放射線で強くなってる奴多いじゃん? キャップも血清+放射線だしハルクとかスパイディとかね? S.H.I.E.L.D.から拝借したデータやヒドラの研究データとかもあったから私も遊んでみてたんだけど……。
結果としてはマウスが謎の爆発。おそらくだけど体内にため込んだエネルギーが強化された再生能力を上回っちゃったんだろう。ガラスケースの中で実験したんだけど一瞬にして爆発、透明だったケースが真っ赤になっちゃった。さすがにこの時点で私も「他の案件抱えている時にやる実験じゃないな、チタウリ戦に向けてMark2改善しなきゃだし。」ということで現在までお蔵入りしてたんですよね。
ま、そんなことは置いときまして。
「え~と、今ファイアボール君は何してるのかなぁ?」
指示したことは崩壊したお城やその他もろもろの整理整頓と近隣住民の皆様への『なんか地震あって地崩れ起きましたけど市街地には何も問題ありませんよ~!』っていう通達。あと弔い合戦という名目を掲げて日本各地に散らばっている残党ニンジャの対処。最後にヒドラ君をパクパクですわ! の四点ね?
『元ザ・ハンド本拠地ですが現在も解体作業が続いております。おそらく歴史的価値もあるにはあるのでしょうが敵勢力に再利用される可能性、また本丸が完全に崩壊していることからあの土地自体を一度更地にする予定です。』
「おけおけ、一応文物っぽいのが見つかったら鑑定して然るべき場所に寄付ね?」
『心得ております、次に……。』
イヴによる説明、人的被害や死体の処理などについて説明がなされていく。まぁ私もユキも、あとファイアボールのみんなも結構ヤっちゃったからいつもより量が多い。さすがに全部ドラム缶に詰めてコンクリ入れて海に沈めるわけにもいかんし無縁仏として近くに入れるしかなさそう。死んだらみんな仏様だしニンジャだから怨霊化して呪われたらたまらんからね。そこんとこはいつもちゃんとしている。
あとツラヤバの死体だけどあの後念入りに細切れにしてガソリン掛けて焼いてもらった。私頭吹き飛ばしたし、ユキとの合体技で胸から下吹き飛ばしたけどそこは念入りに。石井っちが焼いてる横でタバコ吸ってたらしいけどまぁそこらへんは個人の問題なので省く。私としてはちょっとシュレッダーされてるツラヤバ見たかった。…………ネクロフィリアじゃないよ?
『近隣住民への説明ですが一部厄介な者がいたこと以外は何も問題はありませんでした、時間が経てば徐々に忘れられていくことかと。またニンジャの件を含めて情報の漏洩は“ありません”でした。』
「なるなる。」
イヴがわざわざ“ありません”を強調して言う。これは『漏洩しそうになったけど然るべき対処をしたので実質0です! 情報が漏れた事実なんてありません!』って言うこと。まぁいつもの奴だ、多分また某掲示板でハイツレギスタの黒いうわさが囁かれるがいつもの事なので気にしない。イヴによって逆炎上させられるし。
「ほい、次。」
『各地ニンジャの動向ですが驚くほど静かです。各地拠点から襲撃の報告もありませんでした、何かしらの計画が進んでいるのかもしれません。またヒドラの協力により電子化していたのは本拠地周辺のみだったらしくザ・ハンドの詳細情報の入手は失敗しました。』
「あ~、まぁそれは期待してなかったからいいよ。みんなにはいつも通り防衛頑張ってもらって? 私がある程度回復するか、ユキが参加したがったら攻勢掛ける感じで。まぁいつも通りね。」
『かしこまりました。』
まぁニンジャのトップ潰したわけだし新しいリーダーとか決めるのに時間かかりそうだよね。私もケガ治るまでは積極的に動くつもりはないしちょっとお休みの期間ができたかな?
『最後にヒドラですが、近場の海底にて魚を数える仕事をなされています。ヒドラのサーバーから名簿の確認もしましたが日本に派遣された構成員はすべて処理できたかと。……あ、それとハッキング対策部のヒドラメンバーを昨日三人ほど病院送りに致しました。』
「グレートですねぇ! ちな関係ない人は?」
『お一人様ご入院でございます。S.H.I.E.L.D.の正式な退職届用紙とスタークインダストリーへの推薦状、また入院費用やその期間中のご家族の生活費も送金いたしました。……一応ハイツレギスタへのスカウトも行いましたが絶対に来ませんよ?』
「なんでこないんだろうねぇwww」
まぁさすがに倒れるまでこき使われた原因のところで働きたいマゾなんかいないよねぇ? それにマゾだったら嬉々としてハッキング対策部で働いてるだろうし。まぁヒドラ君の情報引き抜いたり、彼らのサーバーにバックドア仕込んだり、S.H.I.E.L.D.からセキュリティに詳しいヒドラ君を排除するにはこれしかないから致し方のない犠牲って奴です。
「ま、こんなもんか。あとはハイツレギスタの方のお仕事っと!」
ファイアボールのトップとして今すぐやらないといけないことはまぁこれくらい、もう少し細かいところもあるけどそこはイヴに任せるか明日以降やればいい。それよりもハイツレギスタの方がヤバい。だって本社ビルにジャンボジェット突撃されたわけだしちょっと株価の方がね……、私が入院してるって情報がどっかから(特定して対処済み)洩れちゃったみたいで拍車かけちゃった。なんで広報の準備とか、提携してる国内の会社とかにも色々対処していかないとだから大変大変!
と、そんな感じで作業を進めていると……。
『マスター、ユキ様からお電話です。』
着信音と優秀過ぎるウチのAIからのご報告。
「あ~~~、ねぇイ『おそらく出ないと二週間は口をきいていただけないかと。』……つなげて。」
いつの間にかお使いから帰ってきていたゲデヒトニス君が携帯を渡してくれる。バレてないといいなぁ、って思いながら受話器のボタンを押すと聞こえてくるのはやっぱり怒ったユキの声。
「つぐみ~~~!!!!! なんで病院から抜け出してるの!!!!!」
「ユ、ユキ? もうちょっとボリューム下げてくん……、な、なんでもないです。」
「ねぇなんで! なんで勝手に抜け出したの! 絶対安静って言われてたよね!!!!!」
「い、いやもう処置おわったらしいから帰っていいかなぁって……。」
「いいわけないでしょ!!!!!」
あ、ゲデヒトニス君そっと逃げないで! 置いてかないでよ! ちゃんと名前覚えてるから! イ、イヴもなんで電源offにしたの! ねぇ! マスターの危機ですよ!
ねぇ! 置いてかないで!
「ねぇ、無重力シーンって私宙づりなの?」
そうなりますね……。あ、ちょっと機材の調整が立て込んでてもう少し待ってください。
「……グリーンバックに黒いCG撮影用黒スーツで吊るされてる。なんか無茶苦茶シュールだよね、うん。」
◇メイキング・オブ・ドロッセル◇
「「「その! に~~~!!!!!」」」
◇◆◇
「あ~、長いセリフですね。これを冒頭に?」
はい、ナレーションみたいな感じで入れる予定です。
「了解です、じゃあ気合入れてやらないとですね……。レディー? 読み上げの時に笑わせるの厳禁だからねぇ~!」
「ちょwww ドロwww 何その変顔www」
は~い、お嬢様は邪魔しないでくださいね~。イヴちゃんも今回長丁場だから気合しっかり。
◇◆◇
~CG映像閲覧中~
「え、何? 今回地球爆発すんの? マ?」
「私今回からスーツだけどスケール大きすぎ……。」
「……え? このスケールで私たちだけ? アベンジャーズなし?」
あ、これ単なるワンシーンでしか使わないのでスケールはそんなに大きくないです。それとドロさんにユキさん、CGスーツに着替えお願いします~!
「あ、了解で~す! じゃ、イヴwww 私らだけごめんねwww」
「ごめんねイヴちゃん。い、いってきます……。」
「……ねぇスタッフさん。イヴが肉体もって戦うとかないですか?」
あ~、ないですね。声だけで頑張ってください。
◇◆◇
「あのさ。スタッフさんさ……、ゲデヒトニスの声大御所すぎない? 私今から無茶苦茶緊張してきたんだけど……。」
あ、イヴさん大丈夫ですよ。あの方には先に音声だけ頂きましたので皆さんは後付けになります。
「あ、そうなんすね……。」
「いやイヴ、台本。私のセリフのとこ見てよ……、これ大丈夫かな。私らただの若造が無茶苦茶失礼なことやってない……?」
「ドロ……。」
「あとで一緒に謝罪用の羊羹買いにいこ……。」
「うん……。」
「あ! 二人ともここにいたんだ! そろそろ撮影始まる……、ってどうしたのこの沈んだ空気!」
さぁ? どうしてでしょうね? あ、それと羊羹買いに行くのなら他スタッフや共演者の方々の分もお願いしますね。
「「は、は~い。」」
◇◆◇
「おぉ!? 救急車きてるじゃねぇか……、何かあったんかね?」
「あぁ、石井さん。どうも、上田です。また共演出来て嬉しいですね。なんでも主演の子が原作のスタンさんでしたっけ? その方と握手していただいた時に気絶してしまったみたいで……。」
「それで……、まぁ気持ちは解らんでもないがそこまで役とリンクせんでも……。」
「まぁ入れ込んでる分いいんじゃないですか?」
あ! お二人とも今日は中止になりましたのでよろしくお願いします~! あとドロさんは無事だったみたいです~!
「あ、了解で~す! ……じゃ、帰る準備しますか。」
「ですねぇ……、にしても最初ヴィラン役って聞いた時ゴテゴテのメイクとかすると思ったんですけどそうでもないんですねぇ。」
「あ~、確かに。俺らスーツか防具つけるかぐらいだもんなぁ。」
「いや一回ぐらい全身紫に染める感じの役とかやってみたいんですよね、用意とか絶対大変だけど楽しそうに見えるんですよ。」
「……わかる。」
◇◆◇
「最近のCGってすごいですよねぇ石井さん……、この飛行機すごくリアル。」
「だよなぁ……、にしてもユキちゃん。お嬢って長文苦手だったか?」
『ではすでにさせていただきましたがもう一度お悔やみ申し上げます、そして謝罪の言葉になりますがあなたのようなルールすら守れない方をこの場に呼んでしまったことを謝罪させていただきます…………、あぁもう忘れた! 長い! なんでこんな長いの! 脚本だせ!』
リテイクでーす。
「何回目だありゃ?」
「さ、さぁ……。」
◇◆◇
(ドロ、イヴ、ユキ役がニムニムナムナム言いながら謎ダンスを踊っている光景。)
◇◆◇
~セットの中で昼食中~
「ぬぬぬ……、なんでこんなにややこしいのかな三賢者の名前って……。」
「あ~、うん。『ユキ頑張れ~!』」
「『ユキ様、ファイトですよ。』」
「あ~! ドロは別に覚えなくていいし、イヴは台本読めるからって!」
ガシャン!
「……。」
「……。」
「……。」
「カレー、セットにぶちまけちゃった……。」
「私の自室がカレーハウス……。」
「『模様替えでございますね。』」
◇◆◇
それで、この小道具なんですけど……
「指輪ですか……、あ。このボタン押すと光るんですね。」
はい、一応紫に光るんですけどそれからCG追加する感じでして。
「あ! タイちゃんおひさ! 元気してた!」
「あぁ、ドロも元気そうで何より。またイヴとイタズラ三昧ですか?」
「あはは! さすがにしないって……、ちょっとタイ老けた?」
「……ちょっと早いですが燃やして差し上げましょう。」
「いや~! ホントに次回作決まっちゃたね! 最強の撮影陣に新しい物語にセット! タイはちょっとだけだったけど前回の仲良しメンバー大集結! 撮影の間? もちろん! 色々あったけどとっても楽しかった! ……まぁちょっとグロテスクなシーン多くてつらかったけど。」
「あぁ、その件ですね。たしかにドロは役と違ってそういったのはかなり苦手でして、CGや小道具のチェックの時も大体目をキュっとつぶってました。試写会の時とか両目隠して私の腕掴んで震えてましたもん……。かわいかったですね。」
「グロテスクなのはOKかって? 苦手なのドロだけですよ。というか前回までから今回まで私ホラー系出てたでしょ? それぐらい考えてくださいよ。……ユキ? あぁ、確か彼女もそんなに得意ではないみたいですけど隣で小動物みたいに震えてるのがいたんでwww」
「他にはですか……、あ! やっぱりセットが凄く豪華になってたことですかね! アベンジャーズがものすごく成功してくれたおかげでお金もたくさん出たみたいですし、監督さんも『おかね! おかねはすべてをかいけつする!』って叫んでましたもん!」
「確かにすごいですよねぇ。私も初めてスーツを着させてもらいましたし、とても楽しかったです。小道具や大道具とかも気合入ってましたし、このシリーズも三部作になったそうですし。やっぱり実績って大事なんだなぁ、って思いました。」
「三作目の話? いや聞かされてませんよ、脚本は進めてるらしいですけどまぁ他の作品へのカメオとか? あるか知りませんけどマーベルならそういうのもあるでしょうし役者としては何も考えてませんね。まぁ私声だけですけど。」
「というごっこ遊びを考えてみた。」
『二度目でございますね。』
「あ、つぐみ~! スタークさんそろそろ伊丹に着くって~!」
「ま! 急いで準備しないと!」