前世から愛をこめて   作:サイリウム(夕宙リウム)

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再開を喜びましょう

 

 

 

 

「なるほど、これは……。またチタウリでも来たのかい? それともヒドラ?」

 

「そうだったらまだよかったんだけどね、ウチのニンジャです。」

 

「Oh……。こんなエネルギーを持って身体能力も常人以上な化け物が軍団単位で? ……この前も言ったかもしれないがこの国おかしくないか?」

 

 

だよね、私もそう思う。

 

今一緒に見ているのはたまたま生け捕りにできたニンジャくんを“ごちょごちょ”したときに発生したエネルギーのデータ。一応幹部級だったおかげでサンプルにできる程度にはデータ取れた奴、私にはちょっとこれが何か解らなかったから万能の天才である彼に見てもらったんだけど……。

 

両手を上げてお手上げのポーズをするトニー、まぁこればっかりは仕方ない。彼が冗談とかを言わない辺りガチで不明+ヤバいエネルギーだってことなんだよね。Ninjya is Yabai.

 

こいつはサンプルが少ないからまだ不明瞭なとこ多いけど、これまで発見したり研究したエネルギーとは全く違う未知のもの。彼らが言うには呪術エネルギーらしいが、どっからこんなものひっぱりだしてるのか解らん。

 

今把握できてる科学的に証明できるエネルギー(キューブやマインドストーン含む)とも全く違うし、トニーはまだ触れてないけどニューヨーク戦後すぐにサンクタムでデータ取らせてもらった魔術師たちが扱うエネルギー、多元宇宙から引き出しているそれとも違う。まぁそっちは門外漢だし事例もワンさんのしかないから把握できてないこと多いけど。

 

そんな感じで二人でうんうん言いながら謎エネルギーの解析をする。現状できそうなのはこれと同一のエネルギーを検知できるとかそういうことだけ、サンプルが少ないから完全ではないけどね? ヒドラがニンジャとも手を組んでたってことはある程度アメリカにも流れてるだろうし、情報の共有。出来たら更なる解明と思ってたけど無理そうか。

 

 

私のそんな雰囲気が出てしまったのか、休憩タイムが始まってしまう。比較用に出していた他エネルギーのデータ群ホログラムを跳ね除けこっちに置いてあったドーナツを口に運ぶ彼、ウチの優秀な執事くんが買ってきた奴だ。

 

 

「うん、コイツはいいな。ペッパーにも持って行ったか……、あ~。何だっけ?」

 

「ゲデヒトニス君ね? 持って行ってると思うよ、ちゃんとイチゴなしでヘルシーな奴。」

 

 

結構気に入ってくれたみたいですぐにペロリと食べてしまうトニー、喜んでくれてありがたい。ちなみに今回の来日にはペッパーさんも来ていて今はユキとお金のお話をしている。ニンジャも頭潰したし最近ある程度大人しい、だから二人をお呼びすることが出来たわけ。お仕事+観光+休暇って感じでね?

 

 

「これも?」

 

「もちろん、食にうるさい健康大国だからね。ウチは。」

 

 

アメリカで売られているドーナツと今日買ってきた奴とのカロリー比較をぱっと表示してくれるイヴ、揚げるのを止めたり砂糖以外の甘みを追求したおかげか大体半分くらいの熱量になっている。ちょうど最近ヘルシーブームというかダイエットブームが過熱してて、こういった砂糖マシマシの嗜好品も色々な企業努力をしている様子。

 

 

「なるほど……、ある意味これも魔法だな。土産にダースで送っておいてくれ。」

 

「りょ! 確か冷凍もあったと思うし定期便で送っとくね!」

 

 

何回かお邪魔した彼のお家、マリブのお屋敷は先日の襲撃でぶっ壊れちゃったから新しいお家の方に送らないとね。イヴ、冷凍の定期便をこっち持ちで。あと二人が帰るときに渡せるように予約オナシャス! あ、なかったら毎週お宅にドロッセルちゃんがお届けに参りますのでカギは開けておいてね!

 

 

「にしても、君もクリスマスは大変だったんだな。……まぁ僕の方はちょいとばかし夜空に花火が上がったくらいだが。」

 

「身体能力高くて高熱で爆発する人間もたくさん、でしょ? どっかでというか毎日見てるような気がするんだよねソレ。」

 

「……ほんと可笑しいなこの国。」

 

「いわないで……。」

 

 

はい! トニーに日本がヤバい修羅の国認定されたよ! ヤッタネ! もう酒開けるしかねぇ! 体で判断されるとまだ未成年に見えるらしいけどもう成人済みだよこちとらァ! イブ! 酒持ってこい酒ェ! ……え、悪酔いするからダメ? 麦茶でガマンしろ? しょんなぁ……。

 

 

「まぁなんだ? 僕は殻を破れたし、君は厄介ごとが一つ消えた。それでいいじゃないか、まだまだ問題は山積みだがこの調子でどんどん解決していくことにしよう! うん? あぁ、ゲデなんとか君ワインありがとう……、こりゃうまいな。」

 

「あ! ゲデ! なんで! イヴ~!」

 

 

ゲデヒトニスが勝手にワインを配膳してトニーに注ぐ、私にはプラスチックの容器に麦茶。しかもそのワイン貰い物で高かった奴だからいつか飲もうって置いてたやつじゃん! トニーに呑んでもらえるのはワインも嬉しいだろうけど私は! ねぇ私のは!

 

 

『今日はマスターがホストです、トニー様にご迷惑を掛けないように控えるのは当然の事かと。……それにマスター自覚ないかもしれませんが酔い方が酷いので当分お控えください。』

 

「えぇ~!」

 

「ははは! この酒に見合うような立派なレディに成り給え、ってことだ。ほら身近にペッパーとか君の友人もいるだろ? 見習ったらどうだ?」

 

「ぬぬぬ~! なんか納得いかない!」

 

 

 

 

 

 ◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

(いつも深くかぶるフードを降ろし、お気に入りの椅子に腰かけゆっくりとした時間を過ごす。やはりこういった文化的な行動は必須だと思うのですよ。それに毎日毎日鍛錬や実戦となると疲れも溜まるし発見される可能性も高くなりますよ?)

 

「うるせぇ。」

 

 

はぁ、なんでコイツなんかの話に乗っちまったんだよタイフォイド。完全にダメなやつじゃねぇか。たしかに金払いはいいし待遇も良かったかもしれないがよぉ……。

 

 

オオサカの昼間、夜に比べれば格段に治安がいいこの時間帯に私は呑気に一人お茶会をさせられている。

普段ならこの時間は鈍った体を元の感覚に戻したり、タイフォイドの時よりも強化された能力の習熟。感覚が鈍らないようにこの国だけじゃなく外にも飛び出して依頼を受けたりもした。最近脳内に住み着いたコイツから技術を盗んだり、右の小指に嵌ってから抜けない指輪をどうにかして外そうとしたり、まぁ色々やってる。今日もそのどれかをするつもりだったんだが……。

 

急に隠れ家からたたき出されてコイツが扱うジュジュツ? という奴で顔と髪色を変えられ陽気なお茶会だ。ったくどこのお嬢様だよ私は。

 

 

(まぁまぁいいではありませんか、せっかくの相乗りなのです。私の意向も汲み取っていただかないと。)

 

「お前が勝手に乗ってきたんだろうが……。」

 

 

そう言いながらも茶を口に運ぶ、こういった気取った店では茶葉とかにも大層な名前がついているんだろうが何も解らん。菓子も茶の注文も勝手にコイツがやった、……だが旨い。店の雰囲気も私が入るような場所じゃないのも理解しているが妙に居心地がいい。無駄にセンスが良くて腹が立つ。

 

 

(ふふふ、素晴らしい誉め言葉ですね。)

 

 

思考も読まれるし身体も好き勝手出来る、自分の体なのに後から勝手に入ってきた奴が優位だ。この世界同様本当にふざけているが……、この焼き菓子がうまいから怒るのは後にしてやる。

 

 

(でしょう? わざわざネットで調べたのですよ。前いた城はWi-Fiすらなくて色々不便でしたからねぇ……、おっと来ましたね。)

 

 

ツラヤバの話を無視しながら菓子に舌鼓を打っていると……、急にヤツの話が止まる。たまに丸一日ずっと喋り続けることもあるから珍しいなと思いつつ、このカフェの入口の方へ視線を向ける。

 

 

 

 

 

 いた

 

 

 

 

奴だ、ドロッセルだ。忘れもしない、海底に放置してこの体に決して無視できない傷跡を残し今の自分を目覚めさせた敵。私が殺すべき相手、獲物。

 

普段は白粉で隠す傷が疼く、全身のエネルギーが際立つ。殺す、殺す! 今ここで焼き殺す! 全身を火で包み、奴の顔に私と同じような傷を刻んでやる。思考するよりも早く体が反応したが……、動かない。

 

 

(……やはりこうなりますか。はいはい解りましたから不自然にならないようにお茶を飲みましょうねぇ?)

 

 

 

身体の行動権を奪われた、返せ! 私の体だ! 奴を殺す! 殺させろ!

 

 

(確かにあなたの獲物ですが、今はまだ時機ではありませんと何度も言っているでしょう? ……駄目ですねこれは。少し眠っててもらいましょう。)

 

 

 

「へ~、ここいい雰囲気だねユキ。」

 

「でしょ? 最近ネットで有名になってるらしくて……、この前お店選びちょっと失敗しちゃったから今日は気合入れて見ました!」

 

「いいね~。あ~、何だろ。フリーってすごいね。うん……、とっても大事。」

 

 

 

さて、彼女も寝ていただきましたし。茶も菓子も楽しみましたからお暇するとしましょうか。

 

生憎首から上を飛ばされた後はこの体の方に移していましたからね……、内部に潜ませた彼らを動かしてはせっかくの用意が台無しになってしまいますしこうして直に確認しておきたかったんですよ。

 

うんうん、とても幸せそうで何より。国内で憂うものはなくなったし、後は自身の技術を前に進めながらウルトロンを待つだけ。それまでは友との日常を楽しむ、いやはや素晴らしき青春という奴でしょうか?

 

世界の分裂はその分収まってしまいますが十分エネルギーは蓄えさせてもらいましたし、今は準備の期間。あなたが楽しそうで私も嬉しいですよ。そう思いますよねドロッセル。

 

 

 

あぁ、ついでにサインでも頂きましょうか。今日という日を忘れないように記念品としましょう。

 

……おっとその前に声も変えまして。

 

 

「あ、あの~、大宙つぐみさんですよね? あのドロッセルの! すいませんサイン頂けますか!」

 

「ん? 私? いいよ~。」

 

 

「ありがとうございます! ずっと前から“大ファン”だったんです!」

 

 

 

 





さいきんちょっとスランプ気味で短くて大変申し訳ない。頑張って戻します。

次回は眼帯おじさんが召喚されます。

その次はやっとウルトロンくんですね、もうちょっとだけ待ってくださいね。
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