前世から愛をこめて   作:サイリウム(夕宙リウム)

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支援絵頂いたのであとがきに載せさせていただきました、みんなもみてね♡



ひっさしぶりの!

 

 

 

「ど、ど、ど、ドロッセル!?」

 

「わぁ! 私のこと知ってるんだ! ホンモノですよ~。」

 

 

そんなことを言いながら二つあるTailの両方を分離し簡易キャノンへと変形させる。私の外装はナノマシンをメインとしてないから古きよき変形形式。ガチャガチャと駆動音をまき散らしながら変化し、大男のカル君が攻撃する前に砲撃開始。吹き飛ばしてお時間の作成です。

 

昔イヴがちょっかいかけたのはさっきログを見て確認している。一応顔の部分だけ外装を剥がして中身に私が入っていることを見せてあげる。マスク越しにでも彼のテンションが上がっているのが解る。正直私のテンションも久しぶりに上がってるからお相子だ。うんうん、ほんとに。この世界で戦い始めたときから君のこと待ってたよスパイディ。

 

 

「ぼ、ぼくあなたのファンです! サインください!」

 

「おけおけ、これ終わったらいくらでも書いてあげるよ。」

 

 

後輩からのラブコール、それが前世から名前の知るヒーローにそれを言ってもらえるとはね、なんというかこのタイミングで出て来て良かったかもしれない。昔の彼らと会うだけで気絶しちゃうような私ではなくなっちゃったけど、彼らに対する敬意とか感情はまだ残っている。

 

彼にサインを書いてあげる約束をしてあげながら、ゆっくりと地面へと降り、彼を地面に立たせてやる。そして。

 

 

「久しぶりだね、トニー。」

 

 

二年ぶり、くらいかな。最後に顔を合わせたのは通信越し。私が本格的におかしくなる前のこと。大事な人も、何もかも失って諦めることも望むこともできなくて、完全に壊れるぐらいならせめて少しでもマシになる様にしてた時。……多分、とんでもない顔だったんだろうなぁ。

 

 

「ツグミ。」

 

 

確かめるように、彼の仮面が外される。私がこの眼で見た彼のスーツからは大分時間が進み、ナノテクノロジーによって作られたものになっている。溶けるようにその仮面が収まっていき、私の憧れの人で、友で、仲間がそこにいた。

 

 

「……ぁあ、本当に。無事でよかった。」

 

「うん、ごめんね……。」

 

 

そう、言葉を振るわせながら肩を抱きしめられる。

 

……彼にとってこの二年間はとても長いものだった。彼女が消え、世界が傾き、仲間たち同士で戦うことになり、チームが、居場所が壊れてしまった。初めて鉄の鎧を纏った時の彼とは違い、今の彼は仲間を信頼し、そして愛していた。大事な友であると。

 

それが、一瞬にして壊れた。戦う者として初めて会い、自身を慕う彼女はほんの少しの通信を最後に消息不明。皆の居場所だったそこは世論によって荒らされ、守ろうとしたが意見がそろわなかった。その後チームのリーダーともいえる彼と仲違いし、彼も行方不明に。

 

残ったもの、守れたもの、新しく得たものは多かった。だがそれ以上に失ったものが大きかった。

 

 

「本当に、本当にな……。ぁあ、いや、すまない。あまりレディを抱きしめるんじゃなかったな、ペッパーに叱られちゃうところだ。」

 

「あはは、やっと結婚したんだね。遅くなったけどおめでと、トニー。」

 

「あぁ、ありがとう。あとでちゃんとペッパーにも言ってやれよ? 彼女もとんでもなく心配してたんだからな。それにまだ式は挙げてない、絶対にこいよ?」

 

 

……悪いこと、しちゃったね。この時期、このタイミング、それしかなかった。いや私がこの状態になれるまで、まともにしゃべれるようにするまでどうしても時間は必要だった。私がみんなをほったらかしたことは事実、そのことに対して謝らないといけないことは確かだけど、背負ってるもののことを考えると後悔はできない。あの時間があったからこそイヴの妹たちが生まれた、そのことを後悔するのは違う。

 

全部、背負わなきゃね。

 

ちゃんと結婚祝いにプレゼントもって挨拶に行かなきゃ、あと謝りにもね。そう口を動かそうとしたとき。私が敵を吹き飛ばした方向から瓦礫の崩れる音。おかげさまで遮られちゃった。

 

まぁ出力も大分絞ったからあの程度で殺せるとは思っていない、だけどタイミングが悪い。もう少し待っておけば次に進ませてあげたけど……、ごめんね。もう怒っちゃった。ちょっと早いけどもう退場してもらうとしよう。

 

 

「あっと、まだ仕留め切れてなかったみたいだなツグミ。」

 

「あはー! そうみたい。じゃ、久しぶりします?」

 

「ふっ! ソコヴィア振りか? ピーター、君は見学だ。チーム戦というのを見せてやろう。」

 

 

私たちの知らない言語を話す敵、大男がゆっくりと立ち上がり瓦礫の中から這い出てくる。ある程度のダメージは与えられたみたいだけど、致命傷には程遠い。ブラック・オーダーの彼らが持つサノスへの忠誠心を考えると完全にその息の根を止めるまで私たちの邪魔をし続けるだろう。本来なら原作通りワカンダ戦まで生かしておいてあげる予定だったけど……。

 

膝を曲げ、目線を低くし、片手を突き出す。みんなと戦うときはサポートメインだったけど今日は対等に。ちゃんとした2対1だ。……そういえば、昔はこれを目指してたっけ。

 

そんなことを考えているうちに、私と彼のサポートAI。ジュノーとフライデーの間で情報共有が高速で行われていく。二人とも二代目のサポートAI同士色々気が合うのか、結構個人的なやり取りもしている様子。いやどっちかというとウチのジュノーが初めての外部の友達を作ろうとしてメッセ送ってるって言った方が正しいか。

 

 

「ジュノー、わかったから画面いっぱいに履歴並べるのやめて? ね? お友達出来てうれしいのわかるけどね?」

 

 

履歴を見た感じお友達、というよりもこれはうまい具合にあしらわれてるって感じか。まぁジュノーよりもフライデーの方がお姉さんだもんね。仕方ないね。

 

 

「……ツグミ、君の新しい子供がこっちにも来てるんだがどうにかしてくれないか。」

 

「ごめんて、でも情報共有は出来たでしょ?」

 

 

実際この間で私たちの装備状況と取れる選択肢の模索、そして立案まで全部終わらせている。まぁ早々に仕事を終わらせちゃったわけだからジュノーが勝手に遊びに行っているわけで……、まぁその子外に出ずに家の中で私の相手してばっかだったから少しぐらいはね? それにウチの子の姿が画面にいっぱいに映ったらとっても幸せでしょ? オラ、幸せって言えよトニー!

 

ちなみにこれまで私のサポートをしてくれていたイヴは別件で月の方で作業中、猟犬と封じ込めの準備中だ。サノス君の処理は必須事項、雑兵の一匹たりとも逃がしてはダメ。最初は一緒に来たそうにしていたけど、持ってきた新しい小さめボディをお膝にのせて全力でわちゃわちゃしてあげたら許してくれた。

 

 

「全く、イタズラガールの性質は遺伝でもするのか?」

 

「そりゃぁ私の子供だしね、ッ! 来るよ!」

 

 

なんやかんや喋ってたら相手さんも体制を整え終わってたようで、私に向かってあの蛇のような遠距離攻撃が飛んでくる。同時にこっちに走って来ているあたり距離を詰めての近距離&短期決戦を決めに来る感じか。三人いるわけだから自身のスタミナが残るうちに数を減らす。まぁ定石だね。

 

 

「まぁ想定済みってね!」

 

 

突き出していた片腕の外装甲を一部格納し、内部装甲であるナノマシン部分を露出させる。同時にトニーが形成したようなシールド、スパルタ兵が使うようなラウンドシールドを形成。私を嚙み千切らんと大きく開かれた蛇の口にちょうど収まるようなサイズ。

 

敢えて、受け止める。

 

一瞬にして嚙み千切られる私の盾。だけどそれが目的、破壊された盾は瞬時に形を変え、ナノマシンの利点を十全に生かす。金属質で黒い装飾が成されていたそれが、白い私のカラーに染まっていく。蛇全体にまとわりつくように展開されたナノマシンによって、敵の持つ武器の所有権は私の手の中に。

 

私が受け止めている間に空に上がり、リパルサーでの攻撃を敢行するトニー。それを盾で防ごうにも彼の武器の所有権はすでに私に移譲されている。つまり丸裸ってわけ。

 

 

「あはー! それしかできないおバカさんかなぁ?」

 

「ナイスだツグミ!」

 

 

支配権を奪った武器に纏わるナノマシンに分解を指示し、私も空に上がる。

 

 

「対ハルク用戦術たくさん考えといてよかったね、トニー!」

 

「それブルースには言うなよ!」

 

 

膝などの関節部や足元を中心に、敵の周りを回りながら物量による封じ込めを二人で行う。リパルサーにミサイルにレーザー、なんでもアリの目白押しだ。トニーはもう一人の敵、あの魔術師みたいな奴用に若干武装の制限をしているみたいだけど私は全力。“もし私が時間渡航をせずにみんなと同じ時間を生きた場合に到達している武装”での全力だ。それに今日は補給用の子も連れて来てるしね~。

 

何とか反撃しようと徒手空拳で挑もうとする敵、カル君であったが如何せん武器がなければどうしようもない。近くにある植木や瓦礫を投げて攻撃しようにも、手に取ろうとした瞬間にリパルサーによって消し飛ばされる。

 

 

『ママ~、そろそろ!』

 

「あいよ、トニー!」

 

 

攻撃をよけられない程度に十分に弱らせたと判断し、とどめの準備に入る。あ、ちょっとグロテスクだから許してね? ジュノーは目をつぶっておきなさい。

 

 

「そらデカブツ、プレゼントだ!」

 

 

目眩まし用のフラッシュと追加してリパルサーを奴の全面で放射するトニー、少しでも受けるダメージを軽減しようとしたのか。それとも目つぶしを回避したかったのか、両手をクロスさせ防御をしようとするカル。だが、それが命取り、元々二人と戦ってたのを忘れちゃいけないよね?

 

私が今装備しているスーツは、設計思想において私のMark2にちょっとだけ似通ってる。つまり二重構造ってやつだ。外装がこれまでと同じ固い装甲で覆われていて、見た目はいつもの“ドロッセル”。二つのTailに青い瞳と白い体。そしてその内装にナノマシンによって形作られるスーツ、思うように動かなくなってきた私の体を補助しながら一月という寿命を保証する延命機構が付いた肌にぴっちりと張り付くようなものを着用している。どっちか単体だけでもウルトロンのころに着ていたスーツを片手間に処理できる能力は持っている。つまり滅茶苦茶強いってこと。

 

さっき敵の武器を使用不可にするため使ったナノマシンを呼び戻し、スーツの外装からそのまま内部へと吸収させていく。ナノマシンの利点はその流動性とサイズだ、親和性さえ持たせてあげれば隙間が存在しなくても装甲を通り抜けることができる。

 

 

(……ま、見た目は最悪だけど、これが一番よさそうだしね。)

 

 

右手の指先、五本の指の先すべての外装を格納しナノスーツを外気に晒す。瞬時に私の意思をくみ取り形成するのは一本の刀。単純な金属の直刀ではなく、刃の部分に活性化させたナノマシンが稼働し続け理論上なんでも切れる剣の出来上がりだ。名前は……、ナノブレイドってとこかな?

 

 

「お命、頂戴。」

 

 

両肩から、斜めに。連撃によって、ブラック・オーダーの一人であるカル・オブシディアンの命はあっけなく消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ワォ! いつも通りグロテスクだな。バカンス中にソードマスターにでも転職したのか?」

 

「あはは! そんなとこ! 切れぬものなどあんまりない! ってね!」

 

 

頭の部分の装甲を収納しながらジェダイみたいな動きをしてふざけるトニーに言葉を返す。それをよそに、地球に降りてきている娘の一人に今殺した死体の処理を命じておく。エイリアン、しかも訓練されて銀河でも有数な戦士の体だ。悪用の仕方はいくらでもある、それを魔境ともいえるニューヨークの町中に放置しておくのはさすがに気が引ける。

 

いやまぁイヴが収集不可能なレベルで武器とか流しまくったみたいだから今更ではあるけど……。いや確かに私も地球全体の光と闇のバランスを整えるために、そういった裏市場に武器を流すとかの策は考えてたけどさ。実際にそれを行動に起こしちゃうのはちょっと……、ね? 自分がやるのと大事な子供がやるのはかなり違うわけで。

 

 

(セキュリティとして、すべての武器の機構をブラックボックス化して私たちが軽く指を振るだけですべての武器が使用不可になるあたりそこら辺は徹底してるんだけど……、ほんと似なくていい部分まで似ちゃってるんだよねイヴ。)

 

「よし、話はこれぐらいにして次に行くぞツグミ。あのマジシャン君が持ちこたえてくれるといいが。」

 

「お? もしかしてその人ストレンジって名前だった?」

 

「……知ってたのか?」

 

「うにゃ、その人のお師匠さんに教えてもらった。」

 

 

そのことも含めて私がいなかった時期何をしていたのかを教えてくれと彼が言いながら一緒に空に飛びあがる。一度高度を上げて町全体を見渡しながらドクターを探す。

 

 

「……あれ? トニーあの宇宙船高度上がってない?」

 

 

私の疑問が口から零れ落ちた瞬間、広域の通信が飛び込んでくる。

 

 

『スタークさん! 僕たち連れていかれちゃう!!!』

 

 

発信源は、徐々に高度を上げていっている敵の宇宙船、Qシップ。

 

 

「フライデー!」「ジュノー!」

 

 

ほぼ同時、両者ともにフライトスラスターを起動。さらに空へ。

 

 

 

 






お嬢様のスーツ紹介

〇Mark.LAST

大空つぐみが自身の着る最後のスーツとして設計開発された高機能スーツ。ナノマシンによって構成される内装、ナノスーツとこれまでのスーツと同じ強化チタン合金などが使用された装甲で覆われた外装の二層構造になっている。両者ともに彼女がこれまでに辿り着けた技術が組み込まれており、内装・外装単体でこれまでのスーツの性能を凌駕している。本人によると完全に武装を整えれば石を持つサノスともタイマン張って勝利できるとのこと。

外装はこれまで通り戦闘に重きを置いた設計となっており、リパルサーや各種ミサイル。レーザーなどこれまでと同様の兵器が大幅にグレードアップされている。他アベンジャーズメンバーなどと共闘する場合はフレンドリーファイアなどを警戒し全力が出せないほど。

内装は戦闘よりも生存に重きが置かれており、寿命が残り少なく、また体の自由が利きにくくなってきた彼女を補助するのが主目的。延命処置を行いながら行動の補助を行う。スーツの機能上、ナノスーツの上から服を着ても違和感がないように、常時着用できるよう色と質感を人類が持つ肌と同じものにできる機能が備わっている。

メインエンジンは改良型ブラックホールエンジン、暴走の危険性がなくなり破損した場合自動的に内部のブラックホールが消去されるようになった。もちろん出力はこれまでより増加している。二本のTailに内蔵されており、サブエンジンとして使用されているアークリアクターともに莫大なスーツの電力消費を補う。

メインサポートAIはイヴの妹の一人であるジュノー。経験が浅く精神が幼いため、戦闘中であれど余裕があれば遊びだす(トニーのスーツに勝手にハッキングし、ディスプレイに姉妹との集合写真などを張り付けた)癖がある様子。やることはしっかりやるし、後程イヴにこっぴどく怒られたようなので許してあげて欲しい。なおイヴからジュノーに変更したが、イヴがこのスーツのサポートができないわけではなく、むしろジュノーよりもうまくサポートできるらしい(本人談)。



この度、しらねぇよ様から支援絵としてAIイラストの方をいただきました。こちらの方に掲載させていただきます。とってもかわいいお嬢様です、しゅき


【挿絵表示】





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