hololive alternative -Another cherry blossom‐ 作:kaya@
初めて会ったはずの少年がまるで旧知の仲の私を見るようにこちらを見ている。
「初めまして、僕は谷郷といいます。本日からこちらの司令部で皆さんの指揮をとらせていただきます。」
少年はそう言った、私は初めてあったはずの少年に懐かしさを覚えつつも、突拍子のない質問をする。
「たに…ごうさん?YAGOOじゃなくて…?あれ、なんでみこそう思ったんだろう?」
自分でも初対面の相手に何故そんなことを思ったのかはわからない、ただつい言葉にしてしまったのだ。
そんな私の言葉に少年は続く
「はい、僕は谷郷ですが、みこさんが呼びやすいのであればYAGOOで構いませんよ。」
少年はそういって微笑み、話をつづけた。
「早速ですが、みこさんをお呼びした本題に入ります。まず僕がここに来た理由と目的、それから今この電脳世界に起こっていること、これからみこさんたちにお願いすること、順番に話していきたいと思います。」
「あ…そうだった。はいお願いしますにぇ。」
「まず僕がここに来た理由です。そうですねまず、僕が何者なのかという事もお話ししたほうがいいですね。まだ今は詳しく説明することはできませんが僕は電脳世界の住人ではありません、電脳世界の外からこの世界に来たという事だけ覚えておいてください。」
電脳世界の外?この世界の外の世界があるの?私は困惑した。その様子を察したのかYAGOOが話を続ける。
「急にこんなことを言われてもよくわかりませんよね、でも今はこれ以上お話しできないんです、納得はできないかもしれませんが、その時が来れば必ず説明します、それよりも今はこの世界の問題を解決しなくてはいけません。」
わからないことが多すぎる、電脳世界の外の世界なんて考えたことがなかった、それにこの世界の問題って?
納得はいかない、でも今外の世界について質問してもこれ以上は無駄だろう、まずはこの世界の問題からだ。
「…わかりました、謎は多いけど。まず、この世界がどんな状況なのか教えてください。」
私の言葉にYAGOOは頷くと説明を始めた。
まずこの電脳世界はいろんな電脳空間の集合体であるという事、元々は一つの空間だったという事、しかし【襲撃者】の干渉によりその電脳空間が分裂させられてしまったという事。
この桜神社の周りには結界が張られており【襲撃者】の手は届かなかったという事。
そこまでは私も知っていた。でもいま状況は悪化していた。
この桜神社にも【襲撃者】の手が迫っているという事、他の電脳空間の人々が【襲撃者】が発生させるアンチバグにより本来の役割からかけ離れていっている事。
「アンチバグって結界から、侵入してくる、あのアンチバグですか?」
私の桜神社での仕事は、結界のほころびから侵入してくるアンチバグを倒すことだった。
「はい、このままではアンチバグによりこの桜神社も侵食されてしまうでしょう。そこでこの第一特務隊に新たな指令が出されました。他電脳空間に渡り該当アンチバグを討滅、各空間を本来の姿に戻しこの電脳世界を元の世界に戻すという事です。」
YAGOOはそう言うがそんなことができるとは思えない。
「え、他の空間に渡れるの?そんなことできるんですか?」
私は言った、そんなことができるならもっと前からやっているはずだ。
「はい、だからこの空間を守ることしか僕たちにはできなかった、でもやっと、やっと完成したんです。他の空間への転移システム【HLS】が。」
YAGOOが指をさす、その方向には大きな機械があった。
「…あれが転移装置。でもあれって。」
あまりの大きさに私は息をのむ。でもその機械に私は見覚えがあった、そうあれは私が夢の中で配信に使っている機械によく似ている。こんなに大きくはなかったけど椅子の周りの機材がそっくりだった。
「このシステムで、異空間に行くのはみこさんだけではありません、他のエリアのバグ討伐に向かっている特務隊メンバーにも転移してもらいます。ただ結界の濃い桜神社周辺を担当してもらっているみこさんに最初に転移任務をおまかせしたいのです。電脳妖精の使えない僕には、みこさん達のサポートしかできません。お願いします、異空間にいって救ってください、この世界【ホロアース】を!」
ホロアース、それがこの世界の名前。何だか懐かしい気がする。私はその世界を知っている。知らないはずの情景が私の脳内に思い浮かぶ。妖精の舞うエルフの国、魔術の栄えた魔導学院都市、剣と錬金術が豊かな幻想世界、天使と竜が守る城、雪降る街の大サーカス、そして桜舞う神社に眠る歌姫。
―…そらちゃん?
私はこの歌姫を知っている、いや知っている確証はない、彼女はときのそら、断片的な記憶、私は彼女に…
「みこ!どうかしたのか?」
先程まで話を聞いていた金時が私の様子を察したのか声をかける
「ううん、なんでもないよ、ありがとうにぇ、金時」
そうだ、私は彼女に会わなくちゃいけない、会って話してみたい。それだけで私の想いは固まった
「YAGOO、わかった、みこいくよ!この世界を、ホロアースを救ってみせるにぇ!!!」
「ありがとうございます、みこさんならそういってくれると思っていました。」
YAGOOがそう言うと、モニターに向かって作業をしていたAちゃんが、話し出す。
「谷郷さん、第一世界への転送準備完了しました!いつでも行けます!」
並んでいる転送装置【HLS】の一つのライトが赤色から緑色にかわる、準備ができたようだ。
「みこさん、第一世界の名前は【幻想異世界シャル=イース】転移したらまずローゼンタール領に向かってくださいそこにローゼンタール領の姫君アキ・ローゼンタールさんが居ます。まずは彼女と合流してください。」
「アキ…ロゼ?わかったにぇ!ローゼンタール領、うん、うまくいく予感がするにぇ!」
そんな根拠のない予感が、私の心を奮い立たせた。私がそらちゃんを助け出す、これはそのための第一歩だ。
「では、みこさん【HLS】に座ってください、転送のサポートは私がします、転送が始まると、眠くなると思いますが、そのまま眠って大丈夫です。目が覚めたら転送が完了しています。」
Aちゃんが言う。私はHLSに座り準備を始めた。
「みこさん、第一世界を狂わせているバグは、鳥型のバグです、ご存知とは思いますがバグはいろんな種類がありますがこの世界では鳥型のバグがすごい力を持っています、鳥型のバグとの戦闘はアキさんと合流するまで避けてください!」
「わかりました!準備OKです!」
YAGOOの言葉に返事をしながら準備を完了する、私はそれにしてもこの装置本当に夢の中の装置とそっくりだと不思議に思っていた。
「転送開始します!」
Aちゃんの声と、共にHLSが起動する。
「…あれ、ほんとになんだか…眠く…」
私の意識が、睡魔によって消えていく。
今回は説明回となります。
なかなか、うまく書けないのですが楽しんでいただければと思います。
次回からはいよいよ異空間で初のホロメン、アキ・ローゼンタールに出会うのか?
乞うご期待ください!