快楽主義者のテラ珍道中   作:じょうじょうじ

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8/4 前話最後の7行を加筆したので是非そちらも確認してください!



15歳、初陣前

 

成人

 

それはその地域、民族の風俗によって異なり20歳や18歳、12歳なんてこともある。

そして得てして成人、一人前の大人と認められる為に何らかの通過儀礼が行われる

内容はただ式典に参加するだけ、高所からの飛び降り、はたまた旅に送り出すなど属する共同体によって異なってくる

 

では極東の、武士の、戦闘によって地位を築いた共同体における通過儀礼とは何か

 

 

即ち、戦である

 

 

「初陣だああああああああああ!!!!!!」

 

もう我慢する必要はねえ!!戦!戦をするんだあ!!ヒャア!!

 

唐突に犬をぶっ殺された事件も今は昔

あれから9年の月日が流れシュテンは完全に武士に染まっていた

 

言葉を飾らずに言うならば…ぶっ壊れていた

 

 

9年の間俺は休まず鍛練を続けて軍略の代わりに犬殺しの試練の少し後から始まった政治や作法といったかったるい座学から逃げ続けてきた

その結果とても健康な戦闘狂(15歳)が仕上がった

 

「はは、若様は今日も無駄にお元気そうでなによりです」

 

「それほどでもねぇよ!え?無駄に?」

 

舐めた口を聞いた下手人はノリヨリ。俺と同い年の15歳で初陣では俺の兵となることが決まっている。というより、ノリヨリに限らず家臣の子達の中で15歳の者は毎年まとめて一つの隊に編成され初陣を経験する。その中で一番家格が高い者が指揮をとる慣習だ

数ヶ月前に軍団として組織されてから俺たちは同じ釜の飯を食い部隊としての訓練を積んできた

 

そしてついにその成果を発揮する時がきた!!戦!戦!戦!

 

「ていうか今回の戦は小競り合い程度で本格的に戦ったりはしませんよ?」

 

え?

 

「え?」

 

「え?じゃないですよ。ここ1ヶ月毎日同じやり取りしてますよ」

 

「?????????」

 

「若様壊れちゃった…」

 

そうなのだ

 

実は今回の戦は戦ではないのだ

 

それというのも親父の代から南北に分かれて争っていた極東ではあるがここ10年は小康状態が続いているため軍略より政略が重要視されるようになってきたのだ。今でも年に一度決まった時期に戦が行われるがもっぱら初陣の消化と両者の権勢を誇示するのが主でしばらく矢を打ち合って撤退という有様だ。

 

つまらねえなあ

 

どさくさ紛れに攻めこんだら良い感じに乱戦にならないかな」

 

「物騒な心の声が口から垂れ流されてますよ」

 

救い…救いはないのか

 

「これだから戦狂いは…でも死者が出なくなったのは良いことだと思いませんか?若様も敵方に知り合いはいますよね?」

 

「まあそりゃそうだけどよ…」

 

融和路線が主流になってからしばらくして短期交換留学の話が南から提案された。それに伴って俺とノリヨリを含め選抜された数人の若者は半年間を北側の都市に赴き学校に通ったり南軍の訓練に混ざったりしていた

その結果俺にも南に友人や知己がそれなりにできたのだ

 

アカフユ…元気にしてっかなぁ

 

 

「兄上!ここにいたか!今日も手合わせしようぜ!」

 

「しゃあ!!始めようか!!血風吹きすさぶような大戦を!!」

 

「ただの手合わせに大袈裟すぎないか!?…でも楽しそうだな!」

 

「何ですかこの血の気多すぎ兄妹は」

 

マトイマルはこの9年天真爛漫に育った。爺があの半年後くらいにポックリ逝きやがった結果、例の風習は受け継がれないことになった。

どうやら爺は家の中でも最も武断派…言葉を選ばずに言えば手段を選ばない者として家中でも煙たがる者が多かったようだ。そして爺がいなくなった結果穏健派が台頭し…爺の教育を最後に受けていた俺はその転換に置いてけぼりを食らったのだ。

 

「今日は何してたんだマトイマル?また生け花か?」

 

「いーや、今日我輩はサッカーってやつをしてみたんだ!めちゃくちゃ楽しかったぜ!兄上も今度一緒にどうだ?」

 

「あー俺もやってみたことあるけど気を抜くとボール破裂しちまうんだよなあ」

 

「兄上はなんで戦い以外はそんながさつなんだ?我輩みたいに生け花とか茶道を習ってみたらいいんじゃないか?」

 

「勘弁してくれよ…てか我輩とかどこで覚えたんだ?可愛いけどさ」

 

「か、かわ!?」

 

「てかそんなことより手合わせするんだろ!?早くやろうぜ!マトイマル相手なら丈夫だし手加減しなくていいから助かるなぁ…道場で待ってるぞ!」

 

「あ!待ってくれよ兄上~!」

 

 

 

 

「…若様、戦でもあんな風に抜け駆けとかしそうだな…」

 

嵐のように去っていった兄妹、その兄に従って行軍することにノリヨリは一抹の不安を覚えた

 

 

 

 

数日後

 

 

「行軍終了!!これより陣を張る!」

 

戦場に到着したシュテンは行軍を終え陣張りをするノリヨリ達を尻目に他の味方と敵軍を観察する

 

敵も味方も陣張りこそ進めているものの談笑している姿や勝手に休んでいる姿が目立つ。また、武具の手入れを怠っていたものが多いのか穂先のついていない槍を持っている者も多かった

 

そんな光景を見て俺は…『我』は…得もいわれぬ怒りを覚えた

 

「あいつら…

 

 

戦を愚弄しおって…葦原醜男どもめが』

 

「若様?」

 

「?どうしたノリヨリ、陣張りが終わったか?」

 

「いえ、今しばらくかかりそうですが…何か今の声、変だったような…?」

 

「俺の声が…あー!あー!戦がしたいなー!

…そんな変だったか?」

 

「あ、気のせいだったみたいです、静かにしてください。」

 

「なんか当たりきつくないか!?」

 

その後俺も陣地に戻り陣の設営を手伝い終わらせ俺は会戦の時をいまかいまかと待つのだった

 

 

 

やっぱ抜け駆けしちゃおっかな~!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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