なんやかんやでアレクも使役出来た!
俺たちは迷宮都市ラパンへ来た。
道中、魔物を何体か使役したいと思っていたが、気がつけばアレクによって殲滅されていた。
三体までしか使役できないって言った俺が悪いんですけど。
「では、早速攻略に向かいましょう!」
アレクはラパンに着いた途端とんでもないことを言い出した。
そんな急いでも英雄は逃げませんよー。
「待ってください、アレクサンダーさん。
まずは物資を補給させてください。ほとんど使い果たしてしまって。」
「それもそうですね…では、準備が出来次第教えてください!僕は冒険者ギルドにいると思うので!それと、僕の事はアレクと呼んでくれて構いません。」
「では、アレク。3日ほどあれば準備完了出来るので、冒険者ギルドに三日後に集合ということで。」
と言って、俺はアレクと別れた。
─────
まず、硬いもの程斬れ味が良くなるというパウロの剣探しだ。まだこの町には来ていない可能性もあるが、念の為探しておく必要がある。
俺もいざっていう時は剣を使わないといけないからな。一軒一軒鍛冶屋や武器屋に聞き込みをしたが、それといった情報は得られず、一日目は成果なしで終了した。
二日目。俺はパウロの剣を探しつつ、迷宮内での食糧を買いに来ていた。アレクは食糧とかどうするんだろうか。不死身だとなにも食べなくても生きられるのか?けど、どこぞの魔界大帝は餓死しそうだったしな。もしかしたら殺した魔物にかぶりつくかもしれない。俺も魔物を食べたことが無いわけではないが、なにせ不味い。ゲテモノ料理を食べている感覚だ。
一応アレクの分の食糧も買っておこう。
冒険者の食糧と言ったら干し肉だ。
燻製されているとかではなく、ただ腐らないように干されただけの肉だ。俺は干し肉を買うため精肉屋に来た。
どのお肉が新鮮かしら…と考える訳でもないので、目の前にある干し肉をある程度買おうと思い、店員を呼ぼうとすると、店員は何やら店の奥で肉を切ることに夢中でこっちに気付く様子は全くない。
「すいませーん」
俺が声を出すことでやっと客の存在に気づいた店主がこちらに来た。汗をダクダクかいており、この地で肉体作業をする過酷さが目に見えてわかった。
「ハァ…ハァ…お客さんいらっしゃい。もう買うものは決めたのかい?」
俺はそう言われて選んでいた干し肉を買った。
「砂漠の都市でお肉を捌くのは精が出ますな。」
俺はダジャレを混じえつつ言った。
「いや、そうでもねえ。ちょっと前にいい包丁が手に入ったから使おうと思ったんだが、これが全く肉が切れないんだよ。困ったもんだぜ。」
聞いたことがある話だ。
そう俺が探し求めている魔剣の話だ。
店主はその包丁、もとい剣を見せてくれた。
長さはショートソードほどで、やや湾曲した刀身の真ん中に空いた穴と手を覆うようなハンドガードが特徴。
鉈のような剣だ。
まさかこんな所で見つけるなんて。
「この包丁譲り貰ってもいいですか?その分商品をたくさん買わせて頂きます。」
俺はここからここまでと言った分の干し肉を全て買った。
一度こういう風に買い物してみたかったのだ。
「肉が切れないようじゃただのガラクタよ。持ってても意味ないしアンタにあげるよ。それにしても肉すら切れない剣を何に使うんだい?」
「それは…もちろん、ヒュドラの首を刈り取るために。」
─────
翌日、俺は準備が出来たとアレクに報告するために冒険者ギルドへ向かった。
だが、受付や周りの席にはいない。
はて、どこへ行ってしまったのだろうか。
まさか、下見とか言って既に迷宮内いたり…
「北神三世アレクサンダーを見かけませんでしたか?」
俺がそう言うと、受付嬢は驚いてそそくさとどこかへ行ってしまった。
数分後受付嬢は小走りで戻ってきて、
「SS級冒険者アレクサンダー様がお待ちです。どうぞこちらへ。」
俺はそう言われて奥の部屋へと連れていかれた。
「やあ、思っていたより早かったねロイ。」
冒険者ギルドとは思えないような応接室にいたのは3日前よりもどこかツヤのあるアレクがいた。
まさか俺がいない間にナニかをしたのか…と思ったが、冒険者ギルドに寄ってくる冒険者達に煽てられていただけらしい。
なんでも、SS級冒険者なんて片手で数える程しかいないからだそうだ。
なんというか、承認欲求が強いな。前世だったらすぐにでもエゴサしそうだ。
今のアレクは煽てられて顔が持ち上げられないくらい鼻が伸びきっているだろう。へし折ってやりたい。生憎、俺は北神の鼻をへし折れる強さは持っていないので今日はこの辺にしといてやる。
「目当ての物も見つかりましたので攻略しに行きましょう。」
俺がそう言うとアレクは立ち上がり、壁に立て掛けていた神々しい剣を手に持った。
王竜剣カジャクト
能力は重力操作で、剣を持っていれば重力魔術が使える。
重力を利用した攻撃力と防御力に慣性を無視した機動力。さらに相手を空中に浮かせて動きを止めることが可能で、どれだけ巨大な魔物も、どれだけ俊敏な怪物も、どれだけ堅固な戦士も、相手にならない。
こんな剣を持っていたらチートでしかない。
これこそ本当のなろう系主人公だ。
北神二世が力量に関係ないからと言ってこの剣を捨てたのがよく分かる。
だが、三世であるアレクはまだその事に気づいていない。
早めにオルステッドにぶつけて改心でもさせておくか…
「では、転移迷宮に向かいますか。」
ミリスを出発して迷宮攻略へ向かうまでに大体1ヶ月かかった。
この先どのぐらいの時間がかかるかは予想出来ない。長ければ半年もなんてこともある。
なるべく早く攻略したいものだが、道中は魔物の強さというよりギミックを如何に最低限の時間でクリアするのかが勝負なので力よら頭をつかわされる。
俺の仮説である迷宮内の魔物を使うという案が使えないかもしれない。
それでも、助けるしかないのだ。
隣には頼れる主人公アレクだっている。
最悪、ベヒーモスを放ち迷宮を更地に変えることだって厭わない。
絶対に負けられない戦いがここにはある。
ある者は不安と覚悟の両方を持っており、またある者は父を越える英雄になるため胸が高鳴っている。
そんな二人がS級難易度転移迷宮の中へと入っていった。
3連休なので3つに分けました。