五歳になった。
時の流れは速く、もうすぐで前世の歳の三分の一に差し掛かりそうだ。
俺はこの四年間何をやってきたかというと主に言語習得と体力作りと魔術の練習だ。
まず最初に言語習得は順調そのものだ。
両親が話しているのはこの村では公用語である人間語だ。日本語に近かったため、すぐに覚えることができた。文字の形は全然違うのだが、文法的なものはすんなりと入ってきた。
単語は覚えるだけでよかった。言葉を先に覚えていたのも大きい。父親が何度か手作りらしき本の内容を読み聞かせてくれたから、単語をスムーズに覚えることができたのだ。
やはり設定が中世に似たものだからか活版印刷術なんてものはなく、一冊一冊が人が書いたもので値段が引くほど高いらしい。
たしかいつか見たラノベでも一から本を自分の手で作ろうと奮闘する話があった気がする。
長命である長耳族の特権なのかは分からないが、自分達の子孫が教育の点で困らないように書かれた本を継承しているらしい。
今度線香をあげにいくからね。
また、大森林の近くの縄張りには獣族が住んでおり獣族は獣神語を話すらしく、父親からは小競り合いが起こった時などに使えるので覚えておいて損はないと言って人間語が理解できるようになるとそのままの勢いで獣神語も教わった。だが、獣神語は人間語と比べて憶えるべき文字数が少なく難しい言い回しもないので五歳になる頃には完璧にマスターしていた。
五歳にしてバイリンガルである自分が恐ろしい。このままいっそ他の言語も教えてもらおうと思ったがそこまで世間は優しくなく、両親もこの二言語しか使えないのだという。それもそうだこれで両親がマルチリンガルだったら虫が良すぎる。機会があったら他の言語も学んでみたいものだ。前世では日本語もままならないのに英語も話せと言われてきたからあまり外国語に興味はなかったが、こうして学んでいくと案外面白いものだ。
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次に体力作りだ。三歳になると直立二足歩行が可能となり自由に歩き回ることができるようになった。たしかどこかで筋肉と体力は裏切らないと聞いたことがある。異世界はいつ死んでもおかしくなく、一寸先は死になる可能性が沢山ある。この村の周辺は比較的安全だが、この大森林にはたくさんの魔物が住んでおり出くわせば死は免れないだろう。一度死んだ身からするともう一度死ぬことになることは絶対にしたくないのだ。そのため初めは家の外をぐるぐる走るようにした。もっと村全体を走れるようになりたいが今は少し外からの偏見の目が怖い。自分の髪色は気に入っているが、周りの目が自分に対して憐れみや怪訝の目を向けている。この目は前世で死ぬ直前に見た周りの目線に似ている。そう思うと少し気が引けてしまう。
だが、五歳になるとそう思うことを馬鹿馬鹿しいと思い始めて距離を伸ばして走るようになった。ゆくゆくはこの村を何周も出来るぐらいになろう。
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最後に魔術だ。
まず最初に手書きの詠唱文が書かれた冊子を渡された。
「いいか、お父さんのお手本を見て真似してみなさい。
汝の求める所に大いなる水の加護あらん、清涼なるせせらぎの流れを いまここに『ウォーターボール』!」
そういうと父親は手から水を弾のように発射に無事木に衝突し少し木の幹が削れた。この水弾という技は前に父親が使っているのを覗き見て自らの魔力総量をあげる練習にしていたのだ。
雨季の期間だとどれだけ使ってもバレることはないのでありがたかった。
だが、父親に魔術を見せるのは初めて。上手くいきすぎてしまったら疑われる。
そう思い俺は普段の勢いの100倍程弱めたもので、
「汝の求める所に大いなる水の加護あらん、清涼なるせせらぎの流れをいまここに『ウォーターボール』!」
そう言うと手からプカプカと浮かぶ水の塊が生成されそのまますぐに地面に落下した。
「初めはそんなもんだ!気を落とすなよロイ!」
言い忘れていたが俺の名前はロイだ。
父親の名はカールロイス。
母親の名はサーナだ。
そしてどうやら俺の髪の色は父親譲りだ。
父親も立派な金髪で後ろで髪を結んでいる。そんな父親だが顔はこの村でも上位に食い込むほどの美男子だ。きっとモ◯ズキッチン出身なのだろう。息子の俺でさえ時折見惚れてしまう。村の男からはあいつはこの村の女を食い尽くす存在だ!とか言っているそうだがそれ以上に女性人気が凄く、男どもが尻込みするほどだ。
やはりどの世界でも女性は強い。
母親はどうなのかというとやはり美人なのだがこの村には美人が多く、少し物足りないという感じだ。少し気になって両親の馴れ初めを聞いたのだがどうやら母親は上級の解毒と治療魔術の使い手らしい。それで魔物に襲われたカールロイスをサーナが看病したことがきっかけらしい。そのため今のタイムスケジュール的には朝に体力作り、その後父親と攻撃魔術の練習午後には母親から解毒と治療魔術の練習という魔術の英才教育が行われている。そして物覚えがいいのか分からないが大抵の魔法は無詠唱で可能である。魔力も滅多に尽きることはなく両親は不思議に思っていた。小さい頃から魔力総量を増やしてきた成果が出た。
五歳を過ぎた頃から父親は剣術も教えるようになった。どうやら水神流と剣神流上級の使い手らしい。どこかで聞き覚えのある流派だったが、剣を振りかざし、自分より大きな魔物を討伐するという厨二心に火がつき魔術以上に頑張った。
そして十歳になる頃には魔術は解毒治療含めた上級無詠唱。聖級以上は天候などに影響が出るので使うなら村を出てからだ。と釘を刺された。
また、剣術は水神流、剣神流共に中級となった。
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