助けたい想いが強すぎて、とんでもないことになった   作:king

2 / 3
warning  warning  warning  warning  warning  warning  warning  warning


※ヘブンバーンズレッド 2章のネタバレがあります。

 今からプレイする予定、もしくは2章をクリアされていない方はブラウザバックを推奨致します。


warning  warning  warning  warning  warning  warning  warning  warning




蒼井の行軍歌

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蒼井えりかはハイパーサイメシアである。

 

起きた出来事を全て記憶し、それを忘れることなく、つい先ほど起こったかのように思い浮かべる出来る能力。

 

いや、どれほど辛い事でも、苦しい事でも、忘れる事の出来ない能力。

 

ゆえに彼女は、守れなかった仲間の記憶に、常に悩まされている。

 

考えないように、と意識を飛ばすか、傍らにいる白い相棒に癒しを求めるか。

 

そうして逃げの思考にある中で、胸の奥でかすかに燻る何かがある。

 

考えろ。過去の出来事を。そこにある『違和感』を。

 

何を。

 

忘れている?

 

忘れられないはずの自分が、何かを忘れている?

 

その焦燥が、彼女を突き動かす。

 

訓練へと。任務へと…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最近は、逃げ以外にもう一つ、選択肢が増えた。

 

蒼井を構って離さない、賑やかな仲間。

 

茅森月歌。

 

31Aリーダーにして、元伝説的バンドのボーカルという肩書を持つ彼女は、知った事かと周りを巻き込んで、こうして新生バンドを立ち上げてしまった。

 

今日も乗りと勢いにまかせ新曲を作り上げたところだ。とても良い曲だ。特にタイトルが良い、と蒼井は思う。

 

しかし、やはりセッションが終わった後になると、記憶が彼女に牙をむく。

 

今日は特別任務を申請するには遅い。ジムで訓練することにしよう。

 

そうして一人、蒼井が訓練を行っていると、月歌が追いかけてきた。

 

まだまだ自分を離してはくれないらしい。

 

まるで台風みたいな、そう、まるで、『あの人』みたいだ…?

 

 

 

「…蒼井、蒼井。急にどうした?」

 

「あ… いえ、なんでも、ないです」

 

話の最中、急にふさぎ込んでしまった蒼井を心配そうに見つめる月歌。

 

蒼井は慌てて、取り繕うように笑った。

 

「ならいいけど。で、話の続きだけど、そーゆー時は、あたしなら「あたしが一番強い!」って思うようにしてるけどな」

 

「茅森さんらしいですね。 私なら何でしょう…?」

 

うーーーーーん

 

と、月歌は腕組みをしてうなり始め、頭をぐるぐると回し始めた。

 

こういう時の月歌は、見ていて面白い。どんな発想が飛び出してくるのか、びっくり箱のようで。

 

「無敵…」

 

なるほど、無敵の盾。とてもしっくりくる、と蒼井は感じた。

 

が…

 

「なんか違うな。 えーっと… そうだ。 『       』なんてどう?」

 

あ。

 

これだ。

 

まだ『思い出せない』けど、これが私の奥にある『何か』だ。

 

「とっても、いいと思います。『       』」

 

蒼井は噛みしめる様に、その言葉を口にした。 何度も、何度も…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ蒼井、今日も単独で任務かよ」

 

後日、同じ31Bの仲間、水瀬いちごが話しかけてきた。

 

オペレーションプレアデスが近づく中、蒼井は単独行動での特別任務を申請していた。

 

「すみません」

 

「そんなにあたしらが頼りにならねぇってのかよ。なぁ」

 

「違うんです! そうじゃなくて…」

 

水瀬は、いつものおどおどとした蒼井の姿とは違う何かを感じた。

 

結局、蒼井を変えたのは31Aで、自分達のやってることは無駄だったのか。

 

「これは、自分ひとりでやらなきゃいけないんです」

 

違った。

 

これは、何かを決意した瞳だ。

 

絶対に届かない何かを追いかけると、心に誓った顔だった。

 

切っ掛け確かに、31A、月歌だったのかもしれない。

 

でも、彼女を変えたのは別の誰かだ。何故だか、水瀬はそう思った。

 

「なんで、だよ…」

 

「わかりません」

 

「分かんねぇのかよ?!」

 

「でも、やると決めたんです」

 

「チッ… 勝手にしやがれ」

 

もう、彼女は止まらないだろう。 嵐のように、駆け抜けていく。

 

水瀬にはそれが無性に寂しく感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オペレーションプレアデス当日。

 

運命の日、運命の時。

 

巨大キャンサー、レッドクリムゾンと相対し、誰もが絶望する中、盾を構え、蒼井えりかが立ち上がる。

 

「蒼井! もう無理だ!」

 

「いいえ! ひきません…! 負けません…! ここで背を向けたら、もう『あの人』の前には立てない…から…!」

 

歯を食いしばり、立ち向かう彼女。

 

「だ…から…」

 

と、司令部から緊急通信が入る。

 

《皆、聞こえてる…ッ? 今、特務中将閣下からの伝令が来たわ》

 

「こんな時に?!」

 

《いいから聞きなさい! 特に、蒼井さん。 中将からのお言葉です。

 

 連日の単独討伐任務ご苦労。貴様の功績を称え、特別勲章が授与される。

 

 『絢爛舞踏章』

 

 喜べ、この世界では、貴様が初めての授与者だ。

 

 いずれ、あのバカを追いかけるだろうその日まで、更なる殲滅を期待するものである。

 

 以上だ。ゴッドスピード。 だそうよ》

 

 

 

 

 

 

 

 

思い出した。

 

それは世界から消された、在りし日の記憶。

 

仲間を失い、くじけそうになった蒼井に、語り掛ける一人の少女。

 

それは世界を渡って流れ着いた、嵐の如き、恋する乙女。

 

「私なんか…全然だめで…」

 

「希望ってのはね、…こう、言い続けるところから始まってくのよ。 言ってみなさい。まずはそこから」

 

強くなりすぎた故に、人でなくなったモノ。あしきゆめと戦う者。

 

絢爛舞踏。

 

そして、世界を渡るがゆえに、人々の記憶から痕跡を消された者。

 

世界移動存在。

 

ニーギ・ゴージャスブルー。

 

彼女が残した、運命に打ち勝つための言葉、それは…

 

 

 

 

 

 

 

 

「だから、どうした!」

 

左手で盾を支えながら、右手を振りかぶる。

 

世界を漂う精霊達が、蒼い燐光を纏いながら、その右手に集まってゆく。

 

人でない何かと昇華した蒼井は、かつて自分を一度救った彼女が使っていた技をも、己が理に収めていた。

 

力の奔流に危機を感じたか、レッドクリムゾンがその狙いを蒼井のみに絞る。

 

が、それこそが蒼井の狙いである。

 

「だから、どうしたっ!!」

 

単独任務をこなす上で重要なのは、継戦能力。

 

相手の攻撃をずらし、如何にダメージを抑えて、一方的にダメージを与えてゆくか。

 

その為の体捌き。踊る様に、敵を屠る。

 

敵が彼女を捕えようと矛先を向けたとて、すでにその射線に彼女はいない。

 

そして、気が付くと己が懐にまで入り込まれている。

 

「だから…っ どぉしたぁぁあーーーーーっ!!!」

 

放たれる右アッパー。

 

精霊手。

 

精霊の力を使い、ぶつけることで相手を情報分解させる絶技。

 

その光に飲まれ、絶望の運命、レッドクリムゾンは消滅した。

 

希望の担い手、新たな絢爛舞踏、蒼井えりかによって。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…セラフ関係ねぇじゃん…」

 

仲間の心には、別の燻るナニカを植え付けてしまったが。

 

 

 

 

 

 

 

またまた、続かない

 

 

 

 




短編連作で続けてしまいました。

この後の話は脳内で妄想するのが精いっぱいですが…。



昔好きだったゲーム、ガンパレードマーチ。式神の城。

多分、設定とかめっちゃ間違って解釈してると思いますが、許してください。

ニーギ・ゴージャスブルー大好きです。

今も棚にフィギュアが飾ってあるくらいには。



ちなみに、この話では月歌はガンパレでいうところの『人類の決戦存在』です。

頑張ればHEROになれるかもしれません。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。